2010年のヤフオクは YAMAHA T-7 で始まりました。入手したのは故障品ですが、出品者さまが若き日に購入したワンオーナー品とのこと。取引連絡の過程で故障に至る状況を詳しく教えていただきました。おまけにオリジナル取扱説明書もお譲りいただくなど新年早々気持ちの良いお取引でした。
今年も良いご縁がたくさんありますように・・(祈)
■製品情報-----------------------------------------------------------------
・Tuner Information Center (TIC)
→http://www.fmtunerinfo.com/yamaha.html
・T-7(1号機)過去記事【2009年4月26日】
→http://bluess.cocolog-nifty.com/labo/2009/04/yamaha-t-7.html
・T-7取扱説明書(PDF形式、約730KB)
・既にブラックモデル(1号機)を持っていますが、YAMAHA製品はシルバーモデルが似合います。
・天板後方に目立つ擦り傷あります。上に載せた機器の脚が擦れた感じです。
・フロントパネルはほぼ無傷。ボタンにサビは無くきれいでした。
・フロントパネルを洗浄してラックに収めれば、外観上の問題はまったくありません。
・純正AMループアンテナが付いていました。
※以下の写真は修理調整後に撮影したものです。
■故障状況の確認-----------------------------------------------------------
・電源OK。
・オプティカルタイプのTメーターは左側だけ常時薄く点灯。
・76MHz~90MHz間で選局指針をどこに移動しても点灯状態に変化なし。
・Tメーターとしてまったく機能していない。
・一方、SメーターはFM/AMとも放送局周波数辺りで大きく振れる(LEDが点灯する)。
・FM/AMとも受信しているようだが、音声出力端子から音が出ない。
・「ザー」という局間ノイズも出ない。
・ところが REC CAL音は聞こえる。
・ステレオランプ点灯しない。
・メモリー登録ができない。
・モータードライブによるメモリー選局も動作しない。
・電源オン時、ソレノイドは無反応。
・電源オフ時、ソレノイドが「カチッ」と反応する。
・チューニングつまみを回すと、選局指針が左行き80MHz付近で引っ掛かる。
・正面に並んだ各種切換えスイッチを押したとき、微妙な引っ掛り感がある。
■電源部の確認-------------------------------------------------------------
・勉強のため電源部を詳しく見てみました。
・輸出機用 T-7サービスマニュアルに回路図が載っています。
・解像度が粗く部品番号などが読み取れませんが、実機と比較しながら判読しました。
・基板に印刷された数字はトランジスタの部品番号と一致することに気付きました。
・たとえば「70」→「TR170」、「81」→「TR181」です。
・コントロールIC LC7200-23pin(MUTE)電圧を測定すると8.4vでした。
・LC7200データシートはこちら→
・T-9修理時と同様に「ミューティング」が掛かりっぱなしの状態です。
・サービスマニュアルに従って電圧規定値チェック
| 記号 | 規定値 | 実測値 |
| +12 |
+12.5±1v |
+12.28v |
| -12 |
-13.5±1v |
-13.77v |
| + 9 |
+ 9.5±1v |
+9.03v |
| 9B |
+10.5±1v |
+8.43v |
・9B → LC7200-21pin(VDD) に供給する電源系統です。
・T-7 回路図では「 LC7200-21pin → 10.4v?」と読めそうな気がします。
・LC7200 のデータシートでは 動作電圧 → 9v とあります。
・9B → 8.4v では電圧が低くて LC7200 が正常動作していないのか?
■偶然!指で触ったら-------------------------------------------------------
・回路図と照合するため電源部の部品を確認していたら・・
・電源部で頭が飛び出した電解コンデンサ(C252 10uF/25v)1本発見 。
・隣のトランジスタ(TR175 2SB544 放熱板付き)の熱で炙られたか・・
・そのTR175(2SB544)の放熱板に軽く触れた瞬間・・何と!
・一瞬、オプティカルタイプのTメーターが点灯、STEREOランプも点灯しました。
・TR175(2SB544)に触れると点灯したり消灯したり・・これは接触不良です。
・TR175(2SB544)に触れてみると「抜けかけた乳歯」のようにグラグラしています。
・ハンダ面を見ると原因はハンダクラックでした。しかも足3本とも・・。
・隣のトランジスタ(TR181 2SD400 放熱板付き)にもハンダクラック発見。
■作業1:ハンダクラック補修-----------------------------------------------
・発見したハンダ不良個所を補修しました。
・この結果、オプティカルタイプのTメーターが正常点灯するようになりました。
・放送局周波数付近で STEREOランプも点灯しました。
・Sメーターも大きく振れます(LEDが点灯する)。
・メーターの動作を見る限り、受信動作は正常なようです。
・検波段(IC104-6pin出力)から信号を取り出すと復調前の音声が聴こえました。
・ところが音声出力端子からはまだ音が出ません。
・依然ミューティングが掛かったままです。
・【確認】9B=+10.5±1V → 8.43v:変化なし。
・【確認】LC7200-23pin(MUTE) → 8.4v:変化なし。
■作業2:電源部の電解コンデンサ11個交換-----------------------------------
・TR175 横で頭が飛び出した C252 を含め、電源部の電解コンデンサ11個交換しました。
・特に 10uF/25v の劣化がひどかったです。足が腐っている感じです。
・1000uF/25v×2個 → ニチコンFGに交換。
・10uF/25v×9個 → ニチケミKMGに交換。
・前回修理の経験から、電源スイッチのハンダ補修も施しました。
・電源を入れ直すとFM放送が聞こえてきました。
・やった~!!ミューティング解除されてます。
・【確認】9B → +10.5±1V → 10.14v:規定値になっていました。
・【確認】LC7200-23pin(MUTE) → 0v:Mute OFFの状態になっていました。
・メモリー登録もできるようになっていました。
・モータードライブによるメモリー選局が動作するようになりました。
・LC7200が正常動作を始めたようです。
※ここまでの作業で T-7 の動作は正常になりました。
※メモリー動作不調の T-9 についてヒントが得られた気がします。
■作業3:すべての電解コンデンサ交換---------------------------------------
・検波部やMPX部を見渡すと、足が劣化した電解コンデンサが多数あります。
・こうなったら残る電解コンデンサもすべて交換。
・部品交換後に再調整して音質改善を目指しました。
・手持ちの部品の中から適合品を使いました。部品選定に拘りありません。
・10uF/25v×9個 → ニチケミKMGに交換。
・その他すべて → ニチコンVXに交換。
■作業4:充電池は交換しないまま-------------------------------------------
・LC7200のメモリ保持用にバッテリー(ニッカド充電池)が使われています。
・24時間連続通電後、1週間電源オフ。
・電源を入れる前に測定すると LC7200-21pin → 3.4v でした。
・1週間ぶりに電源オン。
・登録したメモリーは生きていました。モータードライブも動作します。
・とりあえずこのまま使ってみて、今後不具合が発生したら1号機と同様に「電池ボックス式」に交換します。
■作業5:左行き80MHz付近でチューニングインジケータが引っ掛る--------------
・チューニングLEDを載せた基板に繋がるケーブルが固くなっている。(冬場だから?)
・ケーブルが基板上のスライドスイッチに引っ掛るようです。
・ケーブルの「クセ」を手で修正。
・もう少し柔からい素材のケーブルを使った方が良さそうです。
■作業6:正面に並んだプッシュスイッチを押したときの微妙な引っ掛り感------
・電源スイッチ1個、各種切換えスイッチ5個。
・正面スイッチに加わった力が白いプラスチック部品を介して基板に伝わります。
・引っ掛り感の原因は、スイッチ裏面とプラスチック部品の頭がズレていることです。
・白いプラスチック部品をいったん外し、向きを調整して再セット。
・正面スイッチに加わった力が一直線に伝わるようにすればOKです。
■作業7:各部調整--------------------------------------------------------
・TICで入手したT-7サービスマニュアルに従って調整しました。
・詳細はT-7(1号機)過去記事参照
■使ってみた印象など------------------------------------------------------
・T-7 完全復活しました。気持ちよく動作しています。
・T-7 はFM4連バリコンという点が唯一残念なところです。
・FM5連だったら言う事なしでした。
・でも受信性能や音質に不満は無いです。
・バリコン機なのにメモリー選局できる珍しい機種です。
・オプティカルタイプのTメーターをチカチカ点滅させながらモータードライブで自動選局。
・このマニアック感がたまりません・・(笑)
・出品者様が大切にしていたチューナー、今後は私が大切に使わせていただきます。
・ありがとうございました。
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