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チューナー関連リンク

2018年11月11日 (日)

TRIO KT-8000 修理調整記録5

 ・2018年10月、故障したKT-8000が届きました。
 ・発売当時に入手したワンオーナー品が不調になったそうです。
 ・以下、作業記録です。

Kt800007

■製品情報------------------------------------------------------------

 ・TRIO KT-8000取扱説明書

Kt800002 Kt800011

 ・1976年 KT-9700 \150,000円 初のパルスカウント検波搭載機
 ・1977年 KT-9900 \200,000円 パルスカウント検波機の最高峰
 ・1977年 KT-8000 \ 69,800円 中級機で初のパルスカウント検波
 ・1978年 KT-8300 \ 63,000円 KT-8000の後継機。

■動作確認------------------------------------------------------------

 ・電源コードの印字「1977」
 ・フロントパネルやボディは経年の汚れでくすんだ感じ。
 ・FMアンテナを接続して電源オン。
 ・窓照明の右半分が暗い。二つのメーター照明はOK。
 ・選局ツマミを回すと放送局周波数付近でTメーターとSメーターが反応する。
 ・STEREOランプ点灯、受信動作自体は正常みたいです。
 ・MUTING動作正常。
 ・ところが固定/可変出力とも酷い雑音しか出ない。
 ・wide/narrowとも同じ雑音症状
 ・マルチパスH端子からは正常な音声が聞こえる
 ・76~80MHz区間で指針移動すると激しいバリバリ音が発生。
 ・バリバリ音に合わせてSメーターが激しく振れる。

Kt800001 Kt800003 Kt800004 Kt800005 Kt800006
Kt800010 Kt800012 Kt800013 Kt800014 Kt800015

■内部確認------------------------------------------------------------

 ・FM専用7連バリコン → HA1137W → MC1496 → 1.96MHz-BPF → PC検波 → HA11223
 ・TメーターとSメーターが正常に動作している。
 ・マルチパスH端子から正常音声が聴こえる。
 ・つまり HA1137W クアドラチュア検波まで正常
 ・TP1.96MHzに周波数カウンタ接続 → 第2IF確認 → L16調整可能 → 正常
 ・HA11223-2ピン(検波信号入力)→ 正常
 ・HA11223-5ピン(Rch)、6ピン(Lch)→ ノイズ混りの酷い音×
 ・不調原因はHA11223か?
 ・窓照明用電球3個のうち中央と右端の2個がタマ切れ。

Kt800018 Kt800020 Kt800019 Kt800021 Kt800023
Kt800024 Kt800025 Kt800026 Kt800027 Kt800028
Kt800029 Kt800030 Kt800031 Kt800032 Kt800033
Kt800034 Kt800035 Kt800036 Kt800037 Kt800038

■修理記録1:電球交換-------------------------------------------------

 ・窓照明用電球 8V/30mA
 ・ジャンク箱から同等品を探して交換。
 ・電球交換のついでにフロントパネル、ガラス裏側、ツマミ類を清掃。
 ・照明に映える周波数窓が復活しました。

Kt800040 Kt800041 Kt800042 Kt800043 Kt800044

■修理記録2:HA11223の足清掃------------------------------------------

 ・HA11223を交換しようと思いましたが、その前に。
 ・真っ黒に変色した HA11223 の足を硬めの歯ブラシで丹念に清掃。
 ・何と!これで直りました!!
 ・酷い雑音が消えてキレイなFM音声が流れてきました。
 ・ICの足に付着した黒い物質が端子間を短絡させるみたいです。
 ・基板を見渡すと同様に足が変色したトランジスタ多数。
 ・これらも歯ブラシと爪楊枝で足の間を磨きました。

Kt800060

■修理記録3:バリバリノイズ--------------------------------------------

 ・76MHz~80MHz間で指針を移動すると激しいバリバリノイズ発生する。
 ・ノイズに合わせてSメーターが大きく振れる。
 ・この症状は経験的にバリコン回転軸の接触不良が怪しい。
 ・爪楊枝の先端で注意深く回転軸を清掃、仕上げに導通グリスを軽く塗布。
 ・この措置でノイズは解消しました。
 ・ときには指針を76~90MHz間を往復させてやると良いです。

Kt800051 Kt800050 Kt800052

■調整記録------------------------------------------------------------

【FM OSC調整】
 ・SSG 90MHz → TC7調整 → Sメーター最大
 ・SSG 76MHz → L7間隔調整 → Sメーター最大
 ※L7調整は難しいので83MHzの一点調整実施
【RF調整】
 ・SSG 90MHz → TC1~6調整 → Sメーター最大
 ・SSG 76MHz → L1~6調整 → Sメーター最大
 ・SSG 83MHz → L11調整 → Sメーター最大
【FM同調点(HA1137W)調整】
 ・SSG 83MHz → L14調整 → 本体Tメーター中央
【IF調整】
 ・IF BAND=Wide
 ・SSG 83MHz → L12調整 → Sメーター最大
 ・IF BAND=Narrow
 ・SSG 83MHz → L13調整 → Sメーター最大
【2nd IF調整】
 ・L16調整 → TPにて1.96MHz確認
【Sメーター調整】
 ・IF BAND=Wide → VR1調整 → Sメーターゼロ
 ・IF BAND=Narrow→ VR2調整 → Sメーターゼロ
 ・VR3:Sメーター振れ調整
【ノイズアンプ調整】
 ・D5 カソード側に電圧計セット
 ・離調時 →  VR8調整 → 8.3V
 ・同調時  → 0V 確認のみ
【MPX部調整】
 ・VR7:パイロットキャンセル調整
 ・VR6:VCO調整 TP(R133前足)にて76kHz確認
 ・VR4、VR5:セパレーション調整

■試聴--------------------------------------------------------------

 ・不具合が解消して正常に使える様になりました。
 ・照明に映える周波数窓、アルミパネルの光沢がステキです。
 ・FM放送を流しながらボーっと眺めているだけで幸せな気分になれます。

Kt800008

2018年11月 4日 (日)

TRIO L-07TII

 ・2018年10月、L-07TIIの修理調整作業を承りました。
 ・薄型のパルスカウント検波搭載機です。
 ・以前から興味があった機種ですが実機に触れるのは初体験!

L07tii08

■製品情報------------------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 TRIO L-07TII ¥130,000(1979年頃)
 ・オーディオ懐古録 TRIO L-07TII FM STEREO TUNER ¥130,000(1979年頃)
 ・Hifi Engine Kenwood L-07T FM Stereo Tuner (1977-81) USD $625 (1979)

L07tii02 L07tii13

 ・LシリーズといえばKENWOODブランドを連想しますがこれはTRIOブランド。
 ・型番から考えて元祖「L-07T」があると思うのですが、、見たことがない。
 ・TICで L-07T について分かったこと。
  ・1978, $625
  ・外観はよく似ているが、電源スイッチの形状、ラックマウント仕様が違う。
  ・パルスカウント検波ではなくクアドラチュア検波。

L07t_tic KENWOOD L-07T

■動作確認------------------------------------------------------------

 ・薄型ボディなのに持ち上げるとずっしり重量感。
 ・ボディ上面が薄っすら変色、上に載せていた機器の足跡、目立つ擦り傷。
 ・FMアンテナを接続して電源オン。
 ・周波数窓の照明点灯、二つのメーター照明点灯。
 ・名古屋地区のFM放送局を+0.1MHzの位置で受信。
 ・Tメーター中点とSメーター最大点がわずかにズレている。
 ・STEREOランプ点灯、実際のステレオ感もOK
 ・MUTING動作OK
 ・マルチパスH端子からも音声が聞こえる。
 ・基本動作に問題なし、、、と思っていたら、、

L07tii03 L07tii04 L07tii05 L07tii06 L07tii07
L07tii14 L07tii15 L07tii16 L07tii17 L07tii10

 ・約30分ほど通電していたら突然音声が途切れた!
 ・メーターを見るとSメーターが不規則に大きく振れる。
 ・感度を失ったときにMUTINGが作動する状態。
 ・MUTINGオフにするとSメーターの振れに応じて雑音交じりの放送が聞こえる。
 ・その後Sメーターが完全に感度を失い雑音しか聞こえない。
 ・翌日になって再度通電すると、Sメーター全く振れず。受信不可。
 ・これは重症か、、、?

■内部確認------------------------------------------------------------

 ・アルミ製一枚板の天板と木製サイドウッドが合体した「コの字型」ボディ。
 ・FM専用7連バリコン OSC部は密閉型
 ・IF回路はwide/narrowに加えてSメーター専用回路もあり
 ・wide回路
  2SK55→2SC535→SAF1→2SC535→uPC577H→SAF2→TA7060P→T1
 ・narrow回路
  2SC535→2SK55→CF1→TA7060P→CF2→TA7060P→TA7060P→CF3→TA7060P→TA7060P→T1
 ・Sメーター回路
  Q7(2SC535)→CF4→CF5→Q8,9,10,11,12(2SC535)→T3→IC8(NJM4558D)→Sメーター
 ・IC7:HA1137W→Tメーター駆動、Sメーター回路は未使用。
 ・第2OSC回路
 ・IC10:HA11223
 ・電源回路の横に黒いボックスは何でしょう?
 ・底板を外して裏側から黒ボックスにアクセス可能。
 ・分解してみると独立したパルスカウント検波基板が収まっていました。

L07tii20 L07tii21 L07tii22 L07tii23 L07tii24
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■修理記録:電源回路--------------------------------------------------

 ・Sメーターが激しく左右に振れて受信状態が不安定になる。
 ・ということはSメーター回路の故障か?
 ・しかしSメーター回路が壊れてもWide/Narrow回路と検波回路は生きているはず。
 ・wide/narrow どちらも同じ不具合症状、マルチパスH端子も同じ症状
 ・HA1137W 6ピン クアドラチュア検波信号も出ていない。
 ・まずは電源電圧チェックから着手。

  電源回路規定値 実測値
 ・ 4番端子 -13.5V -8~-9V 不安定
 ・ 6番端子  (GND) ±0V
 ・ 7番端子 +13.5V +8~+9V 不安定
 ・10番端子 + 3.7V +4.5V
 ・12番端子 + 2.5V +3.2V

Kenwood_l07tii_sche

 ・規定値に対して電圧不足かつ不安定な状態です。
 ・IC1:JRC4558D 1ピン -8~-9V 不安定
 ・IC1:JRC4558D 7ピン +8~+9V 不安定

 ・IC1:JRC4558D の足が8本とも黒く変色している、、これが怪しいか?
 ・通常なら4558を交換するところですが、、その前に、、
 ・思うところあって歯ブラシ(硬め)で足と足の隙間を磨いてみました。
 ・黒い汚れを落としてみると、何と!これで直りました。
 ・各部電圧が規定を示し、受信動作も正常になりました。
 ・どうやら黒く変質した物質が端子間を短絡させるようです。
 ・他のICやトランジスタでも同様の症状があったので丹念に清掃しました。

L07tii60 L07tii61 L07tii62 L07tii63 L07tii64

■調整記録------------------------------------------------------------

 ・MUTING オフ
 ・IF BAND wide
【FM OSC調整】
 ・SSG 76MHz → OSCコイル調整 → Sメーター最大
 ・SSG 90MHz → OSCトリマ調整 → Sメーター最大
 ※OSC調整孔がユニット背面側にあるのでアクセスが難しい。
 ※背面パネルの「PASSED」シールを剥がすと丸穴がある。
 ※柄の長いセラミックドライバーがあれば調整可能。
【RF調整】
 ・SSG 76MHz → L1,L3,L4,L5,L7,L8調整 → Sメーター最大
 ・SSG 90MHz → TC1~TC6調整 → Sメーター最大
 ・SSG 83MHz → L10調整 → Sメーター最大
【Sメーター調整】
 ・SSG 83MHz → T3調整 → Sメーター最大
 ・SSG 83MHz,100dB → VR2調整 → Sメーター目盛10
 ・SSG 83MHz, 10dB → VR2調整 → Sメーター目盛 1
【Tメーター調整】
 ・音声出力 → WaveSpectra接続
 ・SSG 83MHz → 高調波歪が最小になる位置で受信
 ・SSG 83MHz → T2調整 → Tメーター中点
【ノイズアンプ調整】
 ・Q14-G 電圧計セット
 ・離調時 → VR4調整 → 7.0~7.5V
 ・同調時 → 0V 確認のみ
【2nd IF調整】
 ・TP16 → 周波数カウンタ接続
 ・T4調整 → 1.96MHz
【MUTING調整】
 ・SSG 83MHz 20dB → VR3調整 → Muting作動位置
【パイロット信号キャンセル調整】
 ・83MHz ST変調 → VR6調整 → 19kHz漏れ信号最小
【VCO調整】
 ・R107左足 → 周波数カウンタ接続
 ・83MHz受信 無変調 → VR5調整 → 76kHz
【セパレーション調整】
 ・wide
 ・83MHz ST信号 → VR7調整 → 漏れ信号最小
 ・83MHz ST信号 → VR8調整 → 漏れ信号最小
 ・narrow
 ・83MHz ST信号 → VR9調整 → 漏れ信号最小

L07tii

Kenwood_l07tii_bloc

■試聴----------------------------------------------------------------

 ・Sメーター専用IF回路やパルスカウント検波の独立基板など凝った構成です。
 ・さすがオーディオ全盛期の高級チューナーですね。
 ・元祖「L-07T」を見てみたい。

L07tii09

2018年10月21日 (日)

TRIO KT-7700 修理調整記録3

 ・2018年9月末、KT-7700の修理調整を承りました。
 ・以下、作業記録です。

Kt770003

■製品情報------------------------------------------------------------

 ・オーディオ懐古録 TRIO KT-7700 ¥78,000(1976年)
 ・TRIO KT-7700/KT-7500 カタログ 1976年5月版
 ・Hifi Engine KENWOOD KT-8300 ※輸出機 型番注意!

Kt770002 Kt770011

■動作確認------------------------------------------------------------

 ・外観はとてもキレイな個体で目立つキズはほとんどない。
 ・FM同軸アンテナを接続して電源オン。
 ・周波数窓と3つのメーターを照らすオレンジ色の照明が点灯。電球切れ無し。
 ・Narrow、MPXfilter の赤色LEDインジケーター点灯。
 ・地元のFM放送局をすべて受信OK。僅かに周波数ズレ。
 ・ただTメーター中点とSメーター最大点が一致しない。
 ・MUTINGは作動するが、作動レベルがおかしい。
 ・STEREOランプ点灯するが点灯範囲がとてもシビア。
 ・しばらく受信しているとSTEREOランプ消灯してモノラル受信になる。
 ・固定/可変端子とも音声確認。
 ・MULTIPATH H出力から音声確認。
 ・故障というより調整箇所があちこちズレているようです。

Kt770004 Kt770007 Kt770005 Kt770008 Kt770009
Kt770013 Kt770014 Kt770015 Kt770016 Kt770017

■内部確認-------------------------------------------------------------

 ・本体底板に修理記録シール
 ・S56.6.5 アース不良 1981年

Kt770020 Kt770021 Kt770023 Kt770024 Kt770025
Kt770026 Kt770027 Kt770028 Kt770029 Kt770030
Kt770031 Kt770032 Kt770033 Kt770034 Kt770035
Kt770036 Kt770037 Kt770038 Kt770039 Kt770040

■調整記録------------------------------------------------------------

 ・輸出機用サービスマニュアルに従って各部調整してみました。

Trio_kt7700_alig

【検波調整】
 ・IF BAND=NARROW
 ・アンテナ入力なし → VR 4調整 → Tメーター中点
 ・IF BAND=WIDE
 ・アンテナ入力なし → VR12調整 → Tメーター中点
【フロントエンドOSC調整】
 ※OSCトリマ調整孔が背面にありますが、隙間が狭いのでこれを回すのは難しいです。
 ※+0.1MHzの周波数ズレはご容赦ください。
【フロントエンドRF調整】
 ・TP1(R77右足)→ DC電圧計セット
 ・IF BAND=NARROW
 ・76MHz 60dB 受信 → RFコイル6個調整 → 電圧最大
 ・90MHz 60dB 受信 → RFトリマ6個調整 → 電圧最大
【検波調整】
 ・IF BAND=NARROW
 ・アンテナ入力なし → VR 4調整 → Tメーター中点
 ・IF BAND=WIDE
 ・アンテナ入力なし → VR12調整 → Tメーター中点
【IFトリガー調整】
 ・TP1(R77右足)→ DC電圧計セット
 ・83MHz 60dB 受信 → L11調整 → 電圧最大
 ・83MHz  0dB 受信 → L10調整 → 電圧最大(※L10 フロントエンド内)
【IFトリガーレベル調整】
 ・83MHz 60dB 受信 → VR2調整 → 電圧DC1.8V
 ・アンテナ入力なし→ VR1調整 → 電圧DC0.6V
【Sメーター振れ調整】
 ・83MHz 80dB 受信 → VR3調整 → Sメーター目盛り5
【MUTING調整】
 ・MUTING=1
 ・83MHz 16dB 受信 → VR9調整 → MUTING作動
【VCO調整】
・周波数カウンタをTP2接続
 ・アンテナ入力なし → VR 7調整 → 19kHz
【OUTPUTレベル調整】
 ・FM DET OUT端子にAC電圧計セット
 ・76MHz 1kHz 100%変調 60dB 受信 → VR10調整 → 電圧AC300mV
【セパレーション調整】
 ・音声出力端子にWaveSpectra接続
 ・83MHz ST信号 60dB受信 → VR 5調整 → Lch信号最小
 ・83MHz ST信号 60dB受信 → VR 6調整 → Rch信号最小
【ステレオ歪調整】
 ・音声出力端子にWaveSpectra接続
 ・83MHz ST信号 60dB受信 → L10調整 → 高調波歪最小
【DEVIATIONメーター調整】
 ・83MHz 1kHz 100%変調 60dB 受信 → VR 8調整 → Dメーター目盛り100%

Kt8300sche

■試聴----------------------------------------------------------------

 ・故障個所は無かったです。
 ・上記再調整によって使えるようになりました。
 ・オレンジ色の照明窓がとても美しいですね。
 ・TメーターとSメーターの動きが一致して気持ちイイです。

Kt770010

2018年10月14日 (日)

TRiO KT-1100 修理調整記録3

 ・2018年9月、KT-1100の修理調整を承りました。
 ・周波数目盛と指針が大きくズレているそうです。
 ・以下、作業記録です。

Trio_kt110003

■製品情報------------------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 TRIO KT-1100 ¥73,800(1982年発売)
 ・オーディオ懐古録 TRIO KT-1100 AM-FM STEREO TUNER ¥73,800
 ・Hifi Engine Kenwood KT-1100 AM/FM Stereo Tuner (1983)

Trio_kt110002 Trio_kt110011

■動作確認------------------------------------------------------------

 ・外観はとても綺麗な状態で、目立つキズはありません。
 ・FMアンテナを接続して電源オン。
 ・二つのメーター照明点灯、赤い指針点灯。
 ・ズレた受信状態でSTEREOランプ点灯、SERVO LOCKランプ点灯。
 ・RF切換OK、FM BAND切換OK、MUTING動作OK、REC CALトーンOK。

Trio_kt110001 Trio_kt110005 Trio_kt110004 Trio_kt110007 Trio_kt110006
Trio_kt110010 Trio_kt110012 Trio_kt110013 Trio_kt110014 Trio_kt110015

 ・名古屋地区のFM局を受信しました、、が、、ご指摘通り指針と目盛のズレが大きい。
 ・放送波 → 目盛り(ズレ幅)
 ・77.8MHz → 76.1MHz(-1.7MHz)
 ・79.5MHz → 77.6MHz(-1.9MHz)
 ・80.7MHz → 78.7MHz(-2.0MHz)
 ・82.5MHz → 80.3MHz(-2.2MHz)
 ・92.9MHz → 89.4MHz(-3.5MHz)※FM補完放送
 ・93.7MHz → 90.2MHz(-3.5MHz)※FM補完放送

 ・特に高い周波数でズレ幅が大きく、何とFM補完放送まで受信できます。
 ・FM補完放送が受信できるので、これはこれで使えるような気もする、、??
 ・周波数のズレ以外の動作は正常のようです。

■内部確認------------------------------------------------------------

Trio_kt110020 Trio_kt110021 Trio_kt110022 Trio_kt110023 Trio_kt110024
Trio_kt110025 Trio_kt110026 Trio_kt110027 Trio_kt110028 Trio_kt110029
Trio_kt110030 Trio_kt110031 Trio_kt110032 Trio_kt110034 Trio_kt110035

■修理記録------------------------------------------------------------

 ・フロントエンド内OSCトリマTC8を回しても発信周波数が全く変化しない。
 ・TC8が完全に容量抜け、この機種では頻繁に遭遇する不具合です。
 ・これまでの事例に倣って外部に新トリマを設置しました。
 ・今回はハンダを染み込ませたハンダ吸取線をGND側の台座にしました。
 ・以下の調整作業を経て正常周波数に設定できました。

Trio_kt110024_2 Trio_kt110040 Trio_kt110041

■調整記録------------------------------------------------------------

【FM OSC調整】
 ・83MHz受信 → フロントエンドTC8調整 → Sメーター最大
 ※OSCコイルL5の調整が難しいため83MHzのみで調整
【FM RF部調整】
 ・IF BAND NARROW
 ・83MHz受信 → フロントエンドTC1,TC2,TC4,TC6調整 → Sメーター最大
 ・83MHz受信 → フロントエンドT1調整 → Sメーター最大
 ※L1~L4の調整が難しいため83MHzのみで調整
【IF調整】
 ・IF BAND NARROW
 ・音声出力 → WaveSpectra接続
 ・83MHz → L2,L3調整 → Sメーター最大
【Tメーター調整】
 ・IF BAND NARROW
 ・83MHz受信 → Sメーター最大かつ高調波歪最小位置にて受信
 ・L4調整 → Tメーター中点
【Wide Gain調整】
 ・83MHz受信 → VR1調整 → Wide/Narrow Sメーター振れ具合を同じ位置に
【2nd OSC調整】
 ・IC4(TR4011)-1pin → 周波数カウンタ接続
 ・83MHz受信 → L6調整 → 1.965MHz
【VCO調整】
 ・IC7(TR7040)付近の二つのTPを直結
 ・TP(19kHz) → 周波数カウンタ接続
 ・83MHz → VR4調整 → 19kHz±10Hz
【Pilot Cancel調整】
 ・音声出力 → WaveSpectra接続
 ・83MHz ST → VR3,L19調整 → 19kHz漏れ信号最小
【セパレーション調整/wide】
 ・IF BAND WIDE
 ・音声出力 → WaveSpectra接続
 ・83MHz ST → VR5調整 → Lch漏れ信号最小
 ・83MHz ST → VR9調整 → Rch漏れ信号最小
【セパレーション調整/narrow】
 ・IF BAND NARROW
 ・音声出力 → WaveSpectra接続
 ・83MHz ST → VR6調整 → 漏れ信号最小
【REC CAL調整】
 ・83MHz受信 → 出力レベル測定
 ・VR2調整 → 上記レベル-6dBに設定 ※404Hz
【タッチセンサー調整】
 ・Q13エミッタ(=R197) → 周波数カウンタ接続
 ・L18調整 → 400kHz
【AM OSC調整】
 ・ 600kHz受信 → L17調整 → シグナルメーター最大
 ・1400kHz受信 → TC7調整 → シグナルメーター最大
【AM RF調整】
 ・ 600kHz受信 → L14,L15調整 → シグナルメーター最大
 ・1400kHz受信 → TC3,TC5調整 → シグナルメーター最大
【AMメーター調整】
 ・VR12 Sメーター振れ具合調整
 ・VR11 Tメーター中点調整

Trio_kt1100

■試聴----------------------------------------------------------------

 ・83MHz付近では指針と目盛りはピッタリ合います。
 ・ただ目盛り両端では多少のズレが生じます。この点はご容赦ください。

Trio_kt110008

2018年10月 7日 (日)

YAMAHA T-7 修理調整記録3

 ・2018年9月初め、YAMAHA T-7の修理調整作業を承りました。
 ・選局ツマミが異常に固くてほとんど回転できません。
 ・最近この症状に遭遇するようになりました。
 ・まずはツマミの修理から着手。

Yamaha_t707

■製品情報-----------------------------------------------------------

 ・オーディオ懐古録 YAMAHA T-7  NATURAL SOUND AM/FM STEREO TUNER ¥69,800円
 ・Hifi Engine Yamaha T-7 Natural Sound AM/FM Stereo Tuner (1980-82)

Yamaha_t702 Yamaha_t711

■修理記録:選局ツマミが異常に固い-----------------------------------

 ・通常なら軽快に回転する選局ツマミが異常に固い、重い、回転しない。
 ・点検のためボディを開けて内側からフライホイールを外す。
 ・通常のチューナーならこれでシャフトが抜けるはず。
 ・ところがこの機種はシャフトが抜けません。
 ・モータードライブ用のパーツが挟まっているせいか?
 ・やむなくシャフトの継ぎ目にミシンオイルを少量注入。
 ・この状態でそっと優しく回してみると、、
 ・固かった回転が徐々に改善し、しばらく続けているうちに固さが解消しました。
 ・私が持っているT-9とほぼ同じ回転フィーリングに戻りました。

Yamaha_t750 Yamaha_t751 Yamaha_t752 Yamaha_t753 Yamaha_t754

■動作確認------------------------------------------------------------

 ・選局ツマミが回るようになったのでようやく動作確認開始。
 ・PAL/F変換端子を介してFMアンテナ接続。
 ・AMは手持ちのループアンテナを接続して電源オン。
 ・赤い指針が点灯、各種切換ボタンのインジケータ点灯。
 ・しかしFM/AMとも全く受信しない。
 ・指針内蔵のTメーター、シグナルメーターともに反応なし。
 ・局間ノイズも出ない。
 ・固定/可変出力端子とも音が出ない。
 ・REC CALトーンも出ない。

■内部確認------------------------------------------------------------

 ・ボディを開けた状態で電源オン。
 ・すると何か「ブーン」という異音が聞こえるような??
 ・異音の源は自動選局用モーターの回転音でした。
 ・電源オンと同時にモーターが勝手に回転していました。
 ・ただモーター軸をフライホイールに密着させるソレノイドは作動していない。
 ・従ってモーターだけが空回りし続けている状態です。
 ・これは「ずっと自動選局中」=「指針移動中」の状態でした。

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■修理記録:電源回路--------------------------------------------------

 ・まずは電源電圧チェック
 ・基板表示+12 → 規定値+12.5±1V → 実測値+12.3V
 ・基板表示-12 → 規定値-13.5±1V → 実測値+ 5.0V ★
 ・基板表示+ 9 → 規定値+ 9.5±1V → 実測値+ 9.0V
 ・基板表示 9B → 規定値+10.5±1V → 実測値+ 8.4V ★

 【異常値】
  ・規定値-12Vに対して+5.0Vが出ていること
  ・9Bが規定値に対してちょっと低いこと

 ・回路図と照合しながら電源パーツの規定電圧値をチェック。
 ・その結果、放熱板付きのTR81(2SD400F)で異常発見!
 ・ネット検索で同型トランジスタの新品を調達。
 ・交換して再度電圧確認したところ、、

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 ・基板表示+12 → 規定値+12.5±1V → 実測値+12.3V
 ・基板表示-12 → 規定値-13.5±1V → 実測値-14.0V ◎
 ・基板表示+ 9 → 規定値+ 9.5±1V → 実測値+ 9.0V
 ・基板表示 9B → 規定値+10.5±1V → 実測値+10.1V ◎

 ・電圧値が正常範囲に収まっていました
 ・電源オンと同時にモーターが勝手に回転する症状が解消しました。
 ・選局ツマミを回してみると、TメーターとSメーターが反応します!!
 ・不調原因は電源回路TR81(2SD400F)の故障でした。

■動作確認(再)--------------------------------------------

 ・受信動作するようになったので再度動作確認。
 ・名古屋地区のFM放送局をすべて受信OK。
 ・わずかな周波数ズレ(+0.2MHz程度)あり。
 ・Tメーター点灯、シグナルメーター点灯、STEREOランプ点灯。
 ・実際のステレオ感もOK。
 ・各種切換ボタンの動作OK。REC CALトーンOK。
 ・AMも名古屋地区の放送局を受信。
 ・プリセットメモリボタンを押すと自動選局動作開始。
 ・既にセットされた位置で停止する。
 ・五つのボタンとも既に登録された位置で停止する。
 ・試しにメモリ登録してみると自動選局動作OK!
 ・さらなる故障個所はなさそうです。

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■調整記録--------------------------------------------------

【本体スイッチ設定】
 ・FUNCTION = FM
 ・RX MODE = AUTO DX
 ・MUTE/OTS = OFF
 ・BLEND = OFF
 ・REC CAL = OFF
【検波調整】
 ・IC111 20pin(またはR282)-GND → 電圧計セット
 ・ダイヤル指針83MHz付近にセット → T103調整 → 電圧ゼロ
【FM OSC調整】
 ・IC102 (LA1231) 13pin → 電圧計セット
 ・83MHz受信 → フロントエンドTC1調整 → 電圧最大
 ※OSCコイルL7の調整が難しいため83MHzのみで調整
【FM RF部調整】
 ・IC102 (LA1231) 13pin → 電圧計セット
 ・83MHz受信 → フロントエンドTCA,TCR1,TCR2調整 → 電圧最大
 ※RFコイルL1~L5の調整が難しいため83MHzのみで調整
【Mono歪調整】
 ・音声出力 → WaveSpectra接続
 ・83MHz → TC101調整 → 高調波歪最小
【VCO調整】
 ・IC113 1pin-14pin → 2.2MΩを介して直結
 ・これにより強制ステレオモードになり本体ステレオランプ点灯
 ・R226(19kHz TP)→ 周波数カウンタ接続
 ・83MHz → VR108調整 → 19kHz±10Hzに。
【ST SUB調整】
 ・音声出力 → WaveSpectra接続
 ・83MHz SUB → T112調整 → Lchレベル最大
【Stereo歪調整】
 ・音声出力 → WaveSpectra接続
 ・83MHz ST → VR101 VR102 VR103,T102調整 → 高調波最小
【Pilot Cancel調整】
 ・音声出力 → WaveSpectra接続
 ・83MHz ST → T113,VR109調整 → 19jHz漏れ信号最小
【セパレーション調整】
 ・音声出力 → WaveSpectra接続
 ・83MHz ST → VR105調整 → Lch漏れ信号最小
 ・83MHz ST → VR106調整 → Rch漏れ信号最小
【シグナルインジケーター点灯調整】
 ・83MHz 100dB → VR112調整 LED全点灯
 ・83MHz 0dB → VR111調整 LED全消灯
【AM OSC調整】
 ・ 600kHz受信 → T110調整 → シグナルメーター最大
 ・1400kHz受信 → AMOSC調整 → シグナルメーター最大
【AM RF調整】
 ・ 600kHz受信 → T109調整 → シグナルメーター最大
 ・1400kHz受信 → AMANT調整 → シグナルメーター最大
【プリセットチューニング上限位置調整】
 ・90.5MHz受信 → プリセット5に登録
 ・80MHz付近でプリセット5を押し指針移動開始
 ・このとき90.2MHz付近で自動停止するようにVR113を調整する
【プリセットチューニング下限位置調整】
 ・75.5MHz受信 → プリセット1に登録
 ・80MHz付近でプリセット1を押し指針移動開始
 ・このとき75.8MHz付近で自動停止するようにVR114を調整する

※プリセットチューニング上限・下限調整
 ・バリコンの可動範囲外に指針が行かないように制限します。
 ・上記90.5MHzや75.5MHzは私の設定例です。
 ・76~90MHzの範囲外、かつバリコンの可動範囲内なら何でもOK。

T7

■プリセットチューニングの使い方--------------------------------------

【メモリーの手順】
 ・「MEMORYボタン」を押しながら「選局ボタン1~5」を押す。
 ・FM5局、AM5局、合計10局をメモリー可能。
 ・一度メモリーしたら、離調後に再度プリセット選局し直す。
 ・自動選局された位置でもう一度メモリーし直す。
 ・こうするとプリセット選局の精度が上がる。
【選局の手順】
 ・「選局ボタン1~5」を押すとメモリーされた周波数に自動的に同調する。
 ・自動選局中に選局ツマミを回すと動作解除されマニュアル選局に移行する。

 ・電源コンセントを接続した状態なら電源オフでも登録内容は消えません。
 ・ただ電源コンセントを抜くと登録内容も消失します。
 ・メモリーバックアップ用の充電池は今回ノータッチです。

■試聴-----------------------------------------------------------------

 ・再調整によってFM/AMともクリアに受信できるようになりました。
 ・アナログバリコンチューナーなのにプリセット選局可能。
 ・モータードライブで指針が移動する様子は超マニアックですね。
 ・貴重な機種が復活して良かったです。

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