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2007年9月13日 (木)

Technics ST-S8

Sts800  1981年発売当時の定価98,000円、テクニクス製高級チューナー(写真上段、下段はST-G7)です。2007年8月初めにジャンク品を入手しました。実は本機にはいろいろ思い出があって、再入手の機会を待っていました。

 1981年、新入社員で入った会社の独身寮でオーディオマニアの先輩に出会いました。休日は一緒に大阪日本橋に出かけ、電機店をあれこれ見て回りました。私は入社最初のボーナスでSONY ST-J75を買いました。アンプとスピーカーは大学時代に自作したものをそのまま使っていました。日本全国(時々海外)を転戦する仕事だったので独身寮にはなかなか戻れなかったのですが、まとまった休暇は部屋にこもって音楽に浸っていました。

 1985年頃この先輩が海外支店転勤となり、荷物処分として他のアンプ類と一緒にST-S8を譲り受けました。高級品だとは知っていましたが、私も既に多くの機器を所有しておりそのまま長期保管状態に。その後私がその会社を退職したためその先輩とは音信不通になってしまいました。

 そして2002年頃、実家の倉庫整理で久しぶりに見つけたST-S8は受信周波数が0.1MHzずれているし、メモリーは効かないしというジャンク品になっていました。その頃始めたばかりのヤフオクにそのまま出品し、安値で落札されました。

 最近になって古いチューナーの修理調整が趣味になり、ST-S8とその先輩のことを思い出すようになりました。「オークションなどに出さず、ずっと持っていればよかった・・」とちょっぴり後悔モードです。機会があれば再入手してしっかり音を聴いてみたいと思っていました。

 思い出話にお付き合いいただき恐縮です。以下、ST-S8の修理調整記録です。

Sts801  ジャンクの理由は「受信するがかなりノイズがある」という事でした。手元に届いて確かめたところ、AMは普通に聴けますがFMは受信周波数が0.1MHzずれており受信音が割れる状態です。AMは問題無さそうなのでFM部の調整だけで何とかなりそうと判断しました。ランプ切れが2か所ありましたが、外観は大きなダメージありません。ワクワクしながら中を覗いてみると・・・

Sts802Sts803  まず良い意味で驚いたのはFMフロントエンド部、7連相当の豪華版でした。どおりで本体奥行きが約40cmもあるわけです。次に悪い意味で驚いたのは「造りが雑」という印象です。基板の端々が無造作に割ったような状態です。プラモデルの部品を枠から外すときに無理やり手で折ったような感じで、高級機の基板とは思えません。

Sts804  もう一つ驚いたのは、3本あるはずのメモリーバックアップ用ゴールドキャパシタが2本しかありません。1本が根元から無くなっており、足の残骸だけが残っています。外れた部品が内部に残っていない・・どうやら中を弄った先人がいたようです。コイル、可変抵抗器などはガタガタにズレていると覚悟しました(笑)。最近のオークションで掘り出し物を見つける事はなかなか難しいですね・・。

Sts805Sts806  まずは眼に見える不具合、キャパシタの交換です。オリジナルは1.8V3.3Fを3個直列で繋いであったと思われます。直列にすることで3倍の耐圧を稼いでいますが、手持ちに5.5V1Fのスーパーキャパシタがあったのでこれ1個で代用しました。耐圧容量ともオリジナルに近い状態になりました。当然ですが空いた2個分のスペースにも配線が必要なのでジャンパ線で直結しました。

 ところで本機には底面に点検蓋がありません。部品を交換するには背面の端子類やAMアンテナを外し、基板全体を外して裏返す必要があります。けっこう面倒な作業でした。薄型設計は見た目にはカッコ良いのですが、メンテナンス性が犠牲になっています。

Sts807Sts808Sts809  フロントパネルではFM IF BAND切替ボタンに対応する黄色LEDが点灯しません。分解して確認したところLEDの足が半田割れで接触不良になっていました。半田修正で復活しました。この黄色LED直下には本来切り取られるはずの基板の小さな「バリ」が残っていて、スイッチが押されるたびに接触してこの部分だけに無理な力が加わっていたことが半田割れの原因と思われます。「造りが雑」という印象が増幅しました。それから受信したときに点灯する「QUARTZ LOCK」の麦球も切れていたので12Vものに交換しました。

Sts810Sts811  先日1983年製のST-G7を調整しました。ST-S8と比べてみるとフロントエンド部などは回路構成が似ています。ST-G7には回路図があったのでこの経験を基にしてまずはFM同調点の調整です。FM-IF部にテストポイントTP102とTP103があります。ここに直流電圧計をセットして82.5MHzのNHK-FMを受信しながらT102とT103のコアを調整。電圧計がゼロになりステレオランプが点灯する位置に設定。かなり激しくズレていました。

Sts812Sts813  これだけでFM受信音はかなり良くなりましたが、続いてフロントエンド部の調整です。「VR501 FM SIGNAL」と書かれた半固定抵抗器とGNDに直流電圧計をセット、まず局発用コアL10を回して電圧が最大になる位置にします。

Sts814 Sts815  続いてL1、L2、L3、L5、L6、L8を回して電圧が最大になるように調整。この回路はトラッキング調整ができないタイプなので最後にIFTのT101を回して電圧を最大にします。受信感度が大幅に改善され、FM音声がとても明瞭になりました。もう音声が割れることはありません。

Sts816Sts817  フロントパネルのメモリー登録ボタン上にアナログチューナーのような周波数スケールがあります。受信周波数を赤色LEDでスケール上に表示するのですが、このLEDの点灯位置をVR503で調整可能です。この半固定抵抗はフロントパネルにつながった小さな基板上にあります。

Sts818  19kHzのパイロット信号キャンセルはVR303「19KHz LEVEL」とL302のコア調整で行います。チューナーの音声出力をUA-4FX経由でパソコンにつなぎWaveSpectraで波形を見ながら19KHzの信号が最小になるように調整します。

Sts820 Sts821  赤色LED5個が並んでいるシグナルメーターはVR501半固定抵抗で点灯調整できます。さらに本機は信号強度をデジタルでdB表示できるのですが、これもVR502半固定抵抗で調整できます。VR401「SEPARATION」でセパレーションの調整ができます。

 一通り作業が完了していつものFM番組をYAMAHA CDR-HD1500で留守録、他のチューナーと聴き比べてみました。まず受信感度はかなり良好です。他のチューナーではステレオ受信が厳しいFM局がきれいに受信できます。7連相当のフロントエンドが強力ですね。音は・・残念ながら輪郭の無い「甘い」感じです。BGMに聴く分には合格ですが、留守録用(貴重な音源を保存するため)のチューナーとしては音的に物足りません。コンデンサなどを全交換すれば改善するかもしれません。部品の劣化は製造時期を考えれば当然です。コンデンサ交換などは老後の楽しみに取っておこうと思います。

 最後に、使ってみて気が付いたことは、ST-S8はタイマーと連動して受信局を切り替えることができない事です。ちょっと残念でした。

Sts8

◆Technics コンポーネント総合カタログ P16 昭和56年11月発行 <PDF形式 約6.7MB>

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コメント

AMもFMもノイズが入ったらそちらさんの経験上ではどこが悪いろ考えられますか?

メーカーに修理に送ったらフロントエンドが悪くて先へ進めなかったようでしたけど。

FM/AMに関係なくノイズが発生する。

原因が一つと仮定するなら電源部が怪しいかな?と思います。

でもフロントエンドも悪いなら原因は複数と思われます。
申し訳ありませんが、これ以上は私には分かりかねます。

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