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2008年10月の記事

2008年10月25日 (土)

TU-S707X MPXデコーダー化実験(2)

 サンスイ[TU-S707X]の優秀なMPX部を「汎用デコーダー」として利用できないか?

 素敵なアイデアをいただき試行錯誤を繰り返しました。検証に用いた機種が多かった事と本業多忙期が重なったため時間がかかりましたが、前回記事からの経過報告を以下にまとめました。

■最初に訂正--------------------------------------------------

St5950_3 前回記事の「・・SONY ST-5950のマルチパス出力を繋いでもステレオ音声にならない・・」という報告は誤りでした。訂正してお詫びします。原因は[TU-S707X]側のパイロット信号部分の調整ズレでした。念入りに再調製したところステレオ復調できたことをご報告します。これを踏まえて以下の記事をご覧ください。

■実験目的-------------------------------------------------------

Kt7700tus707x  私は70年代の古いバリコンチューナーが大好きです。保管場所に苦労しながらも所有機器はすべて大切に使っています。お酒をチビチビ飲みながらボンヤリ聴くだけならバリコンチューナーの出音に十分満足しています。ただ80年代以降シンセチューナーが主流となり、さらにMPX回路技術も進化したので「バリコンチューナー+新MPX回路の組み合わせで出音の違いを確かめたい」・・と思いました。

 70年代チューナーの多くは背面に「マルチパス端子」を装備しており、このうち[H]端子からはステレオ復調される前のFMコンポジット信号が出ています。この信号を[TU-S707X]のMPX部に直接入力しようという実験です。マルチパス端子以外に「FM4チャンネル放送用デコーダーを接続するための専用端子」を備えたチューナーもありますが、この端子も同様に使えます。

■[TU-S707X]のMPX部を使う理由--------------------------------------

 SANSUIのMPX回路技術は SLDD[Super Linear Digital Decoder]と呼ばれ、1984年製[TU-S707X]ではディスクリート回路で実装されています。過去の調整経験ではセパレーションが約70db(1KHz)ほど確保できるなど、MPX部の優秀性能は確認済みです。また[TU-S707X]は大型バリコンチューナーと重ねて置いても邪魔にならない薄型ボディ、MPX部が独立基板、TICから回路図入手可能、など好条件が揃っています。

 ・SANSUI SLDDに関する過去記事

 [TU-S707X]以降の[TU-α707]シリーズでは同回路がIC化された[LA3450]がMPX部に使われています。サンスイ以外でもこのICを使ったチューナーはあります。このICで専用回路を設計製作する方法もありますが、残念ながら私には開発能力ありません。この方法は開発できる方にお願いします。

■[TU-S707X] → [TU-S707X(改)]へ改造 ------------------------------

 ・オリジナル状態で各部入念に再調整する。この作業が最重要!! ※調整方法はこちら→
 ・左右の基板を繋ぐ黒いフラットケーブルをすべて外す。(MPX側基板のコネクタを外す)
 ・外したフラットケーブル先端が他のパーツや金属ボディと接触しないようにビニールテープ等で処理する。
   (オリジナル[TU-S707X]として再調整できるようにケーブル自体は切断せずに残します)
 ・背面AMアンテナホルダーを外し、信号入力端子としてRCAジャック取付け。
 ・この端子をケーブルを外したコネクタ[C1]と[GND]へそれぞれ接続。
 ・コネクタ[A5]→[A6]、[A7]→[A8]をそれぞれ直結する。
 ・コネクタ[B8]→[GND]に接続。

S707x2_2 S707x2_3 S707x2_4 S707x2_5 S707x2_6
S707x2_7 S707x2_8 S707x2_11 St5950_2 Tus77xmpxmini

 この改造によって・・

 ・電源ボタン以外のボタンはすべて操作不能になる。
 ・受信時にステレオランプは点灯するが、その他のランプ(LED)は点灯しなくなる。
 ・FL管の表示内容がおかしくなる(周波数表示消灯、MEMORY常時点灯など)。
 ・上記課題はありますが、音質に直接かかわる問題ではありません。
 ・MPX基板だけで動作させるためフラットケーブルを全部外しましたが、[C1]以外の接続は残しておく方法もOKです。

 ※電気製品の改造には危険が伴います。同様の実験をされる方は十分ご注意の上、自己責任でお願いします。

■【マルチパス端子があるチューナー】を接続した実験--------------------

 実験の前に各チューナーをしっかり受信調整します。その後、マルチパス端子(H)側出力を[TU-S707X(改)]に繋ぎます。この状態で信号発生器から各チューナーに[83MHz,1kHzステレオ信号]を送信し、送信強度を変化させながら[TU-S707X(改)]の[C1-GND]電圧を測定してみました。双子機[TU-S707X DECADE]で検証した結果も同じ表にまとめました。この表でピンク色の部分が正常なステレオ音声を聴ける範囲です。[ST-5130]以外はステレオ復調できました。

 ・STEREO:TU-S707X(改)のステレオランプが点灯すれば[on]
 ・音質◎:正常なステレオ音声  (※◎○△×は私の聴感です)
 ・音質○:そこそこ聴ける音声
 ・音質△:過入力によるクリップしたステレオ音声
 ・音質×:実用範囲外

メーカー機種名[SSG 83MHz 1kHz 100% Pilot]
SONY ST-513020dB 30dB 40dB 50dB 60dB 70dB 80dB
St5130 AC(mV) 78 78 75 75 75 75 75
DC(V) 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
STEREO off off off off off off off
音質 × × × × × × ×
SONY ST-595020dB 30dB 40dB 50dB 60dB 70dB 80dB
St5950 AC(mV) 106 105 105 105 105 105 105
DC(V) 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
STEREO on on on on on on on
音質
TU-S707X DECADE20dB 30dB 40dB 50dB 60dB 70dB 80dB
Tus707x AC(mV) 211 186 108 108 108 108 108
DC(V) 2.40 2.43 2.51 2.52 2.52 2.52 2.52
STEREO off off on on on on on
音質 ×
Technics ST-860020dB 30dB 40dB 50dB 60dB 70dB 80dB
St8600 AC(mV) 135 135 134 133 133 133 133
DC(V) 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
STEREO on on on on on on on
音質
Technics ST-807720dB 30dB 40dB 50dB 60dB 70dB 80dB
St8077 AC(mV) 114 176 188 187 187 187 187
DC(V) 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
STEREO off on on on on on on
音質 × ×
TRIO KT-110020dB 30dB 40dB 50dB 60dB 70dB 80dB
Kt1100 AC(mV) 189 189 189 189 189 189 189
DC(V) 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
STEREO on on on on on on on
音質 ×
PIONEER F-50020dB 30dB 40dB 50dB 60dB 70dB 80dB
F500 AC(mV) 271 270 270 270 270 270 270
DC(V) 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
STEREO on on on on on on on
音質 ×
PIONEER F-70020dB 30dB 40dB 50dB 60dB 70dB 80dB
F700 AC(mV) 303 294 294 294 294 294 294
DC(V) 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
STEREO on on on on on on on
音質 ×
YAMAHA CT-80020dB 30dB 40dB 50dB 60dB 70dB 80dB
Ct800 AC(mV) 305 302 302 302 302 302 302
DC(V) 0.15 0.15 0.15 0.15 0.15 0.15 0.15
STEREO on on on on on on on
音質 ×
TRIO KT-770020dB 30dB 40dB 50dB 60dB 70dB 80dB
Kt7700 AC(mV) 304 302 302 302 302 302 302
DC(V) 0.61 0.61 0.61 0.61 0.61 0.61 0.61
STEREO on on on on on on on
音質 ×

■[TRIO KT-7700]で検証----------------------------------------

Kt7700inside  [TRIO KT-7700]はマルチパス出力を基板上の半固定抵抗で調整できる珍しい機種です。上記実験はサービスマニュアル規定値=300mV(83MHz、1kHz、60dB受信時)に調整した状態で行いました。基板上の半固定抵抗器[VR10:FM DET OUT]を回してみると90~600mVの範囲で調整可能です。上記実験では「△」ですが、およそ90~200mVの範囲であれば[TU-S707X(改)]によって正常なステレオ音声「◎」に復調されることを確かめました。オリジナル[TU-S707X DECADE]と同レベルにしておくと安心して使えますね。

 ・KT-7700の調整方法は過去記事を参照ください。

■【マルチパス端子がないチューナー】を接続するには------------------

 ・ステレオ復調される前の信号を回路から直接取出す必要があります。
 ・SONY ST-5950の例ですが、MPX用ICの入力ピン直前から取り出す方法が良さそうです。
 ・ICクリップ+テストリードの配線では信号劣化(減衰)が心配です。
 ・受信するチューナー側に「専用出力端子」を追加設置する方法が良いですね。
 ・機種にによって事情が異なるので、今後の研究材料にします。

■まとめ-------------------------------------------------------

 [TU-S707X]のMPX部を活用するアイデアはどうやら使えそうです。私としてはお気に入り機種[TRIO KT-7700]の音が[TU-S707X(改)]経由で聴けたので大満足でした。今もこの組み合わせでFM放送を聴きながらこの文章を書いています。

 ただ[TU-S707X(改)]を汎用デコーダーとして利用するには、接続するチューナーからの入力レベルを調整する仕組みが必要です。信号が弱い場合はステレオ復調できませんし、逆に強すぎる場合は復調した音声が歪みます。さらに改造を進めると「電源部とMPX部を取り出して別ケースに収める」というアイデアもありますから、もう少し楽しめそうです。

 

2008年10月 5日 (日)

TU-S707X MPXデコーダー化実験(1)

S707x2_1  先週cooltune様の掲示板で「MPXデコーダー」の話題を拝見しました。あるFMチューナーの検波出力を別のチューナーのMPX回路に入れて復調させる・・というアイデアです。今日を逃すとこの先当分休みが無いので、早起きして手持ちの機材で実験してみました。

 →http://cooltune.s28.xrea.com/

■SONY ST-5950(1976年)FM5連バリコン搭載 FM検波出力端子あり
 →ST-5950の紹介記事

 バリコンチューナーは何台も持っていますがリスニング用は一台あればいいので、定期的に交換しながら聴いています。ST-5950はたまたま最近リスニング用に使っている機種です。音のイメージも頭に残っているのでMPXの違いを比較しやすいと思いました。

5950707_2 5950707_3 5950707_4 5950707_5 5950707_6

 ST-5950の背面にはこの頃のチューナーによくある「FM DET OUT」端子があります。FM4チャンネル放送用デコーダーを接続するためですが、この端子から復調される前のFMコンポジット信号が出ています。この信号をTU-S707XのMPX(※接続箇所は後述)に入れたところ期待通り音声が出てきましたが、信号レベルが低すぎるのかステレオ音声になりません。

SONY ST-5950 FM DET OUT信号FMA5950detout

5950707_135950707_14  次にST-5950のMPX用IC[HA1156]-2pinの手前から検波信号を取り出してTU-S707XのMPXにいれてみると、これは成功でした。TU-S707Xの前面パネルのステレオインジケーターが点灯しステレオ音声が出てきます。比較するまでも無くST-5950で復調した音声とは完全に別物の音です。

■SANSUI TU-S707X(1985年)SLDD搭載
 →【過去記事】SANSUI TU-S707X 調整記録 
 →【過去記事】SANSUI SLDD

 TU-S707XのMPX回路はSLDDが組み込まれたディスクリート構成です。セパレーションは約70dB(1kHz)ほど確保できますし、高調波歪も抑えられています。双子機のTU-S707X DECADEも持っているので「一台は壊してもいいや・・」と割り切って作業できる点が何よりです(笑)

5950707_6new  TU-S707Xはメイン基板が2枚に分かれており、正面から見て右側が「RF-IF部」、左側が「MPX部」です。右側基板にある[HA12412]-6pinからの検波出力がフラットケーブル[C]の1番端子を通って左側基板のMPX回路に入っています。ST-5950の検波出力をここに接続しました。両機のシャーシを繋いでGNDを取っています。

 →【回路図1】TU-S77X (TU-S707X)
 →【回路図2】TU-S77X (TU-S707X)

5950707_7 どうせならMPX部の基板だけで動作できないかと思い、二つの基板を繋ぐ黒いフラットケーブルを全部外してみました。案の定音は出なくなります。ここから回路図を見ながら考えました。フラットケーブル[A]の5-6と7-8をそれぞれ直結すると音は出るようになりました。ここは[REC CALL信号]との切替用です。ところが今度は音声がステレオになりません。

試行錯誤の結果フラットケーブル[B]と[D]を接続した状態ではステレオになることが判明。さらに細かく検証すると、フラットケーブル[B]8番端子と[D]4番端子を接続するとステレオになることが分かりました。ステレオランプは点灯しますが、ただその他の表示はおかしくなっています。
※2008年10月12日訂正&追記・・詳細は下の方で・・

5950707_8 5950707_12 5950707_9 5950707_10 5950707_11

 私の技量ではここまでです。そもそもこの方法が正しいかどうかも分かりません。とりあえずTU-S707Xは壊れなかったようです。配線を復元して正常稼動を確認しました。専門家の方のご意見をお伺いしたいです。

■NHK-FMのスペクトルを見て・・
 作業しながら気が付いたことがあります。こちらは愛知県のNHK名古屋放送局(82.5MHz)を受信していますが、14-15kHz付近にフィルターが入っているように見えます。気になったので[KENWOOD KT-2020]を使って様子を観察しました。モノラルのニュース番組もステレオ音楽番組も同じでした。NHK岐阜放送局(81.8MHz)も同じ。過去に録音した素材がたくさんあるので聴き直してみます。

検波:SONY ST-5950 → 復調:SONY ST-5950
Nhk59505950

検波:SONY ST-5950 → 復調:SANSUI TU-S707X
Nhk5950707

検波:KENWOOD KT-2020 → 復調:KENWOOD KT-2020
Nhk20202020

 

■マルチパス出力について【2008年10月9日 追記】--------------------------------

 FM DETOUT出力(マルチパス出力)について、取扱説明書がある4機種からスペックを拾ってみました。

 機 種FM DETOUTMultipath(H)Multipath(V)
TRIO KT-7700 0.3V 0.3V 0.1V
YAMAHA CT-800 400mV/1kΩ 400mV/1kΩ 17mV/80kΩ
PIONEER F-700 --  400mV/10kΩ 130mV/10kΩ
SONY ST-5150D 200mV/3kΩ 150mV/100kΩ 150mV/10kΩ

 TU-S707XのMPX入力に必要な2.7Vに比べるとどの機種も低すぎます。ここから信号を取る場合は別にアンプなどを挟む必要がありますね。

 

■専用入力端子設置【2008年10月12日 追記】------------------------------------

フラットケーブル[B-8]と[D-4]を接続すると何故ステレオ音声になるのか?

純正状態[TU-S707X DECADE]、実験機[TU-S707X]、回路図を比較しながら考えました。MPX部回路図では[B-8]の先にある[R199]の規定電圧が[0.7V]となっています。

 □純正状態[TU-S707X DECADE]
  →FM受信時 [R199]=[200mV]、[TP3]=[304kHz]測定可能
  →AM受信時 [R199]=[0.68V]、[TP3]=[304kHz]測定不可

 □実験機[TU-S707X]で黒いフラットケーブルを全部外した状態
  →常時 [R199]=[0.56V]、[TP3]=[304kHz]測定不可

 □実験機[TU-S707X]で黒いフラットケーブル[B-8]と[D-4]を接続した状態
  →常時 [R199]=[電圧不安定]、[TP3]=[304kHz]測定可能

[D-4]は電源部からの[-6.2V]です。なるほど! [B-8]と[D-4]を接続すると[R199]=[0.7V]にならないのでVCOが発振して[TP3]=[304kHz]が測定可能、よってステレオランプが点灯し音声もステレオになる・・まさに「結果オーライ」だったわけです。ということは、このまま[B-8]にマイナス電圧を繋いでおくのはマズイですね。

S707x2_8 S707x2_7 解決策として[B-8]をすぐ近くの[GND]に接続しました。[R199]=[76mV]で安定し、これでステレオ音声もOKです。回路図の各所に記載のある電圧値は概ね実測値と一致します。どうやら問題無さそうですが、この間違った接続でどこかの部品を損傷したかもしれません。同様の実験をされる方はくれぐれもご注意ください。

今後の実験接続を簡単にするため、本体背面にあるAMループアンテナホルダーを外してRCAジャックを取り付けました。信号線は[C-1]に繋ぎます。アースは基板裏面のGND部に半田付けしました。次は信号レベルが低いマルチパス出力を接続する方法を考えてみます。

S707x2_2 S707x2_3 S707x2_4 S707x2_11 S707x2_5

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