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2009年7月12日 (日)

Victor T-2020

■T-2020(1号機)入手 -------------------------------------------

T2020_01_2  T-2020 は 1977年製 FM5連バリコンを搭載したビクターのアナログチューナーです。2009年3月下旬、ヤフオクでジャンク品(1号機)を入手しました。「民生機で初のPLL検波搭載機・・」という噂のチューナーを実際に見たかった事、T-7070の検波回路と比較したかった事が購入理由です。出品者のコメントでは「動作確認済み」でしたが、実際届いてみると

 ・確かにFM/AMとも受信しましたが・・
 ・全身タバコのヤニまみれ
 ・足が4個とも無い
 ・メーターが点灯しない
 ・チューニングつまみの回転フィーリングがとても「重い」

 本当に「ジャンク品」でした(笑)。ボディがあまりに汚くて触る気になれない・・という事で送られてきた箱に戻し、未着手のまま放置していました。チューニングつまみの重さは何かが引っ掛っているのかと思いました。

■T-2020(2号機)入手 -------------------------------------------

T2020_02  2009年4月下旬、またヤフオクで T-2020を見かけました。「動作OK、つまみが1個欠落、取説付属。」 取扱説明書が欲しくてとりあえず入札したら、思いがけず開始価格のまま終了。送料の方が高くついた落札金額でした。こういうチューナーを欲しがる人はもういないんですね~。といういきさつで(2号機)を入手しました。

 ・FM/AMとも受信
 ・ヤニ汚れなし
 ・フロントパネルに傷が多い
 ・足は付いている
 ・メーター類は全点灯します
 ・チューニングつまみの回転フィーリングがとても「重い」

T-2020取扱説明書  取扱説明書(原本)はキレイな状態でしたが、「アンテナの繋ぎ方、アンプとの繋ぎ方、チューニングの仕方・・」など基本項目だけの内容でした。TRIOやPIONEERでは取扱説明書に詳しい技術解説が載っているケースが多いので、「ブロック図やPLL検波の詳しい解説が載ってるかも・・」と期待しましたがハズレました。 ※ スペックは最後のページに載っています。

T2020_04_2  チューニングつまみの回転フィーリングは1号機同様に「重い」です。2台ともそうなので故障ではなさそうです。76MHzから90MHzまでスーッと滑るように回せるのではなく、アンプのボリュームを回すような重さ、この説明で伝わりますか・・。これは重厚感があって悪くないのですが、後述の調整作業をするときは76MHz~90MHzを何度も往復するので疲れます。

■ニコイチ合体 -------------------------------------------------

 【1号機から】フロントパネル、ツマミ類、ボディ
 【2号機から】シャーシ、足、基板

 1号機はバラバラに分解し、フロントパネルやボディのヤニ汚れを徹底洗浄しました。結果、5mm厚のアルミパネルは驚くほどピッカピカになりました。ツマミ類もピカピカです。光線の具合で美しく輝いて見えます。この輝き具合は所有チューナーの中で一番かも?ボディも傷がほとんどなく綺麗な状態になりました。

 基板上の部品配置を2台比較したところ、両機全く同一だったので基板とシャーシはヤニ汚れのない2号機を使いました。

■メーター電球交換 ---------------------------------------------

 SメーターとTメーターですが、この時代のチューナーには珍しく「アナログ針式」ではなく「レベル点灯式」です。2号機を入手して点灯したメーターを見たとき、「まさか青色LED・・??」と驚きました。すぐに分解して確認したところ、アハッ、青色フィルターを透過した電球でした・・。この時代(1977年)に青色LEDはまだ無かったですよね。

 ところが清掃&合体作業が完了して受信チェックしたところ、Sメーターが点灯しなくなっていました。電球が載っている基板を外して確認してみると、Sメーター1灯目の電球が切れていました。電球が直列に繋がっているので、一つ球切れすると全部点灯しなくなります。ニコイチによって予備電球がたくさん確保できたので電球交換にて復旧しました。LED化を考える方法もありますね。

T202013 T2020_14 T2020_15 T2020_16 T2020_17

■T-7070に似ている ----------------------------------------------

 T-2020 の基板で IC などを見ているうちに「回路構成が T-7070 に似ている・・」と感じました。

 ・両機共通 [HA1137W]・・ミューティングとメーター制御用
 ・両機共通 [HA11211]・・検波用IC
 ・両機共通 [HA11233W]・・MPX用IC

 →Victor T-2020(1977年)・・オーディオの足跡
 ・民生機で始めてPLL検波を採用したステレオチューナー
 ・検波回路、MPX回路(2ステージ)をPLL化している。

 →Victor T-7070(1978年)・・オーディオの足跡
 ・世界で初めて3ステージにPLL回路を採用したラボラトリーシリーズのFMステレオチューナー。
 ・局部発振回路、検波回路、MPX回路(3ステージ)をPLL化している。

T2020_06 ニコイチ合体で不要になった方の基板(1号機)をシャーシから取り外して実験素材にしました。 特に検波回路については[HA11211] 横の銀色シールドケースを外して内側の部品配置も確認できました。T-7070 と比較した以下の写真をご覧ください。

T-7070検波回路周辺の回路図はこちら

■[HA11211]+検波回路周辺の比較 シールドケースあり------------------

T7070_001

T2020001

■[HA11211]+検波回路周辺の比較 シールドケースなし------------------

T7070_002

T2020002

■Victor T-2020 は本当にPLL検波??---------------------------------

 上記写真のとおり、Victor T-2020 と Victor T-7070 の検波回路はほとんど同じ構成です。「オーディオの足跡」ではどちらも「PLL検波搭載」と説明されています。でも [HA11211] 自体はクァドラチュア検波のICです。T-7070の内部回路を見て以来ずっと疑問だったのですが、最近「ひろくん」様がホームページで詳しい考察を示してくださいました。

 ひろくんのホームページ > FM検波方式 > PLL検波

 「Victor式PLL検波」=「改良型クォードラチュア検波」という解説に大きく納得、「PLL制御されたクォードラチュア検波」と理解しました。

■T-2020 各部調整 -----------------------------------------------

 T-7070(正確には JVC T-3030)のサービスマニュアルは入手済みです。フロントエンド以外はT-2020と回路構成が似ているので、調整方法や手順の参考資料に使えました。

T2020_07 【1.フロントエンド部の調整】
・以下の調整は IC101 [HA1137W] 右側 R139奥側足に直流電圧計を接続。
・OSC部調整 SSG(76MHz、60dB)本体目盛(76MHz) L105を調整最大に。
・OSC部調整 SSG(90MHz、60dB)本体目盛(90MHz) TC105を調整最大に。
・数回繰り返す。Tメーターがセンターからズレても構わない
・ANT部調整 SSG(76MHz、60dB)本体目盛(76MHz) L101、L102を調整最大に。
・ANT部調整 SSG(90MHz、60dB)本体目盛(90MHz) TC101、TC102を調整最大に。
・数回繰り返す。Tメーターがセンターからズレても構わない
・RF部調整 SSG(76MHz、60dB)本体目盛(76MHz) L103、L104を調整最大に。
・RF部調整 SSG(90MHz、60dB)本体目盛(90MHz) TC103、TC104を調整最大に。
・数回繰り返す。Tメーターがセンターからズレても構わない
・IFT部調整 SSG(83MHz、60dB)-本体目盛(83MHz) IFT101を調整最大に。
T2020_08 【2.検波コイルの調整】
・[HA11211] 隣にある二つの「TP」に直流電圧計セット
・SSG(83MHz-60dB-無変調)本体目盛(83MHz)の位置で受信。
・T102コアを調整してTP間電圧をゼロに。Tメーターはセンターの青色が点灯。
T2020_09 【3.Sメーターの調整】
・SSG(83MHz-70dB)
・R262 を調整してSメーターが全灯する位置に。
T2020_08_2 【4.ミューティング開始レベルの調整】
・SSG(83MHz-20dB)
・R138 を調整してミューティング開始位置に。
【5.検波部PLL回路の調整】
・音声出力を UA-101 経由で WaveSpectra で観察
・SSG(83MHz-60dB)
・シールドケース内の T103 を調整して二次三次歪を最小位置に
T2020_09_2 【6.VCO調整】
・SSG(83MHz、60dB、無変調)で受信。
・IC401 [HA11223]横にある「TP-76kHz」に周波数カウンタ接続
・R176 を調整して76kHzに。
【7.パイロットキャンセル調整】
・音声出力を UA-101 経由で WaveSpectra で観察
・SSG(83MHz、60dB、PILOT信号ON)AUTOモードで受信。
・R166を調整して19kHzの漏れを最小に。
T2020_10 【8.ステレオセパレーション調整】
・SSG(83MHz、60dB、Stereo L,R、1kHz、100%変調)AUTOモードで受信。
・R326を調整してWaveSpectraで波形を見ながら反対chへの漏れを最小に。
【9.録音レベル調整】
・本体 REC LEVELスイッチを CAL にセット
・R339 を調整して333Hz 実測-6dBに。

■T-2020 印象 -------------------------------------------

T2020_03  フロントパネルやツマミ類がピッカピカで気持ち良いです。ダイヤルスケールの照明も控えめで上品な印象です。普段は照明を少し落とした部屋でライトアップされたダイヤルスケールをボーっと眺めているのですが、T-2020は明るい部屋で映えるチューナーです。青色表示のSメーターとTメーターがよく目立ちます。チューニングつまみの回転フィーリングがやけに重いのも重厚な操作感としてOKです。

T2020_04  フロントエンドの受信調整が大きくズレていました。調整の結果、私が受信性能の目安にしている「NHK岐阜」が自宅でクリアに受信できるようになりました。これは優秀です。またセパレーションは定格データ50dB(1kHz)に対して53dB(1kHz)を確保できました。ほぼカタログ通りです。当時はこれで高性能だったのでしょうが、いつもの比較用音源CDを聴くと音像定位がややボケる、言い換えればマイルドな音に聴こえます。お酒を呑みながらまったりした気分で聴くにはちょうど良いです。

 同じ「Victor式PLL検波」を搭載した T-7070 は、セパレーション調整がLR独立で行えるなどMPX部の構成がT-2020 よりも豪華です。T-7070 は壊してしまいましたが、きっともう少し上質な音が出たと思います。もったいない事をしました。

■30年前といえば・・ ----------------------------------------

 T-2020やT-7070が発売された1977~1978年ころ、私はまだ大学生でした。地方都市だったためFM局はNHKしかなく、ボロアパートにはラジカセしかなかった・・。レコードプレーヤーもなかったのでNHK-FMをエアチェックしたカセットテープを聴くことが唯一の楽しみでした。

 30年前はさっぱり理解できなかった検波方式やMPX回路の違いなど、今になって勉強できていることが不思議な感じです。チューナー関係の古いカタログを読むと難しい専門用語が並んでいますが、その意味がようやく分かるようになってきました。多くの皆様からご教示いただけることに感謝いたします。

 

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