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2009年8月の記事

2009年8月22日 (土)

YAMAHA T-9 / T-7 比較

 FM放送は正常に受信するようになったものの、モータードライブによるメモリー選局動作が不調の YAMAHA T-9 を修理中です。正常動作する弟機 T-7 も手元にあるので、両者比較のため各種一覧表を作ってみました。

■内部比較写真集-------------------------------------------------

Yamaha_t_001
Yamaha_t_006 Yamaha_t_002 Yamaha_t_003
Yamaha_t_005

T-9T-7
Yamaha_t9_01
T-9 フロントエンド部
Yamaha_t7_01
T-7 フロントエンド部
Yamaha_t9_02
T-9 IF部
Yamaha_t7_02
T-7 IF部
Yamaha_t9_03
T-9 検波部
Yamaha_t7_03
T-7 検波部
Yamaha_t9_04
T-9 検波部 uPC1167C
Yamaha_t7_04
T-7 検波部 LA12131N
Yamaha_t9_05
T-9 検波部 uPC1167C
Yamaha_t7_05
T-7 検波部 LA12131N
Yamaha_t9_06
T-9 IG03210
Yamaha_t7_06
T-7 IG03210
Yamaha_t9_07
T-9 MPX部 LA3380
Yamaha_t7_07
T-7 MPX部 IG02920
Yamaha_t9_08
T-9 MPX部 全景
Yamaha_t7_08
T-7 MPX部 全景
Yamaha_t9_09
T-9 MPX部 LPF
Yamaha_t7_09
T-7 MPX部 LPF
Yamaha_t9_10
T-9 モータードライブ制御部
Yamaha_t7_10
T-7 モータードライブ制御部
Yamaha_t9_11
T-9 モータードライブ制御部
Yamaha_t7_11
T-7 モータードライブ制御部
Yamaha_t9_12
T-9 モータードライブ制御部
Yamaha_t7_12
T-7 モータードライブ制御部
Yamaha_t9_13
T-9 モーター、ソレノイド等
Yamaha_t7_13
T-7 モーター、ソレノイド等
Yamaha_t9_14
T-9 電源スイッチ周辺
Yamaha_t7_14
T-7 電源スイッチ周辺
Yamaha_t9_15
T-9 電源トランス
Yamaha_t7_15
T-7 電源トランス

■性能比較一覧表-------------------------------------------------

YAMAHAT-9T-7
年式 1979年 1980年
定価 98,000円 69,800円
受信バンド FM専用 FM/AM
搭載バリコン FM5連AM3連 FM4連AM2連
F
M
FM検波方式 広帯域レシオ検波 広帯域レシオ検波
FM復調方式 C-MOS・DC NFB
スイッチングデコーダー
C-MOS・DC NFB
スイッチングデコーダー
受信周波数範囲 76~90MHz 76~90MHz
実用感度
(84MHz)
mono 300Ω 1.8μV (10.3dBf) 1.7μV (9.8dBf)
75Ω 0.9μV (10.3dBf) 0.85μV (9.8dBf)
S/N比
50dB感度
mono DX - 3.2μV (15.3dBf) 3.2μV (15.3dBf)
stereo DX BLEND ON 20μV (31.2dBf) 20μV (31.2dBf)
BLEND OFF 38μV (36.8dBf) 38μV (36.8dBf)
イメージ妨害比 (84MHz) 120dB 100dB
IF妨害比 (84MHz) 120dB 100dB
スプリアス妨害比 (84MHz) 120dB 100dB
AM抑圧比 (IHF) 68dB 67dB
実効選択度 ±400kHz LOCAL 30dB 55dB
DX 80dB 90dB
SUPER DX 100dB -
±200kHz DX 18dB 18dB
SUPER DX 30dB -
SN比 mono 92dB 90dB
stereo 85dB 85dB
全高調波歪率 LOCAL mono 100Hz 0.02% 0.03%
1kHz 0.03% 0.04%
6kHz 0.05% 0.07%
10kHz 0.03% 0.05%
stereo 100Hz 0.04% 0.04%
1kHz 0.04% 0.04%
6kHz 0.06% 0.07%
10kHz 0.07% 0.08%
15kHz 0.2% 0.2%
DX mono 100Hz 0.08% 0.1%
1kHz 0.15% 0.3%
6kHz 0.3% 0.7%
10kHz 0.08% 0.1%
stereo 100Hz 0.5% 0.5%
1kHz 0.4% 0.5%
6kHz 0.6% 0.8%
10kHz 0.8% 1.5%
15kHz 1.5% 3.0%
IM(混変調)歪率 LOCAL mono 0.03% 0.04%
stereo 0.04% 0.04%
DX mono 0.15% 0.5%
stereo 0.4% 1.0%
ステレオ
セパレーション
LOCAL DC-1kHz 60dB 60dB
2kHz-10kHz 55dB 52dB
DX DC-1kHz 38dB 30dB
2kHz-10kHz 30dB 25dB
周波数特性 50Hz-10kHz ±0.3dB 50Hz-10kHz ±0.3dB
20Hz-15kHz +0.3dB/-0.5dB 20Hz-15kHz +0.3db/-0.5dB
- 10Hz-18kHz +0.5dB/-3.0dB
サブキャリア抑圧比 75dB 70dB
AUTO DX動作レベル 50μV(39.2dBf) 50μV(39.2dBf)
ミューティング動作レベル 5μV(19.2dBf) 5μV(19.2dBf)
A
M
受信周波数範囲 - 522~1605kHz
実用感度 IHF - 15μV
選択度 1,000kHz±10kHz LOCAL - 27dB
DX - 17dB
SN比 - 52dB
イメージ妨害比 1,000kHz - 50dB
スプリアス妨害比 - 50dB
全高調波歪率 - 0.3%

可変端子
出力レベル/
インピーダンス
FM(100%変調、1kHz) 1V/600Ω(VRmax) 1V/600Ω(VRmax)
500mV/3.3kΩ(VRセンター) 500mV/3.3kΩ(VRセンター)
AM(30%変調、1kHz) - 300mV/600Ω(Vrmax)
- 150mV/3.3kΩ(VRセンター)
REC CAL(333Hz)
FM50%変調相当
250mV/3.3kΩ(VRセンター) 250mV/3.3kΩ(VRセンター)
固定端子
出力レベル/
インピーダンス
FM(100%変調、1kHz) 1V/600Ω 1V/600Ω
AM(30%変調、1kHz) - 300mV/600Ω
REC CAL(333Hz) 500mV/600Ω 500mV/600Ω
使用半導体 IC 23 20
FET 11 5
トランジスター 92 87
ダイオード 38 36
LED 15 14
20セグメントLEDメーター 1 1
LEDチューニングインジケーター 1 1
7セグメント3桁周波数表示器 1 -
ツェナーダイオード 3 3
セラミックフィルター 7 5
AMセラミックディスクリミネーター - 1
水晶振動子 1 -
ニッカド電池 1 1
主なIC FM部 IF uPC1167C LA1231
IF IG03210 IG03210
MPX LA3380 IG02920
AM部 - LA1240
大型IC LC7200 LC7200
LC7253 -
ACアウトレット 300W MAX 300W MAX
定格電源電圧/周波数 AC100V50Hz/60Hz AC100V/50Hz/60Hz
消費電力 16W 14W
外形寸法(幅×高×奥行mm) 460×95×335.5 435×95×335
重量 6.2kg 5.2kg

取扱説明書 取扱説明書PDF 取扱説明書PDF
カタログ 1979年10月発行 捜索中
参考サイト オーディオ回顧録 製品情報 -
オーディオの足跡 製品情報 -
BLUESS Laboratory記事 2009年8月15日記事 2009年4月26日記事
輸出仕様機 TIC - T-7 回路図など

■LC7200 電圧比較一覧表------------------------------------------

 T-9 のメモリー選局動作が不調です。一方の T-7 は正常に動作しているので、LC7200 各端子の直流電圧を電源オン時/オフ時についてそれぞれ測定してみました。(表中の数値単位:DCV)

LC7200
PinNamePower ONPower OFFPhoto on T-9PinNamePower ONPower OFF
T-7T-9T-7T-9T-7T-9T-7T-9
1 CR1 6.48 6.54 0 0 Lc7200_pin_detail2_2 42 CH5 9.36 8.35 3.52 3.38
2 CR2 0 0 0 0 41 CH4 9.36 8.33 3.52 3.38
3 BUC 5.82 8.21 0 0 40 CH3 0.55 8.33 3.52 3.41
4 TEST1 0 0 0 0 39 CH2 9.35 8.31 3.52 3.38
5 FM 0 8.42 2.66 3.38 38 CH1 9.35 8.34 3.52 3.38
6 MW 9.35 8.41 3.49 3.38 37 Vss 0 0 0 0
7 TEST2 9.41 8.47 3.44 3.38 36 B1 0 4.04 0 0
8 SK 9.41 8.47 3.44 3.38 35 B2 6.93 8.06 0 0
9 CV OUT 4.11 2.79 0 0 34 B3 0 8.09 0 0
10 CV IN 3.84 2.79 0.19 0 33 B4 6.95 0 0 0
11 Manu Tune 10.25 2.79 0 0 32 B5 6.95 0 0 0
12 FM OUT 9.47 0 0 0 31 B6 0 8.08 0 0
13 MW OUT 0 8.21 0 0 30 B7 0 0 0 0
14 S-curve 4.09 4.77 0 0 29 B8 6.97 8.12 0 0
15 M U/D 8.46 4.63 0.19 0 28 B9 0 0 0 0
16 MANU 9.41 8.41 3.48 3.36 27 B10 0 0 0 0
17 UP 9.41 8.46 3.48 3.42 26 Vref 7.01 8.14 0 0
18 DOWN 9.41 8.46 3.47 3.37 25 F-Tune 0 4.21 0 0
19 MEMO 9.04 8.41 2.18 3.37 24 M-IND 9.31 0 2.78 2.88
20 57k 9.47 8.46 3.51 3.43 23 MUTE 0 0 0 0
21 VDD 9.47 8.46 3.51 3.43 22 Dx-Lo 9.47 8.46 3.55 3.43

 →LC7200 Data Sheet PDF

●電源オフ時は内蔵充電池から約3.5Vが供給されているようで、T-9/T-7 ともにほぼ同じ電圧です。電源オン時は T-9/T-7 で約 1V の違いがあります。LC7200のデータシートを読むと [ VDD動作時= +9V typ. ] とあります。

 → T-9 の VDD=8.4Vではチョイ低いのか??

T-7電源スイッチ不調で参考にさせていただいたサイトで「T-9電源スイッチ修理でメモリー動作が正常になった・・」との記述がありました。

 → ひょっとしたら電源スイッチ不良が怪しいかも??

●19番端子[MEMO]の電圧を測定しながら、本体正面[MEMORY]ボタンを押すと、8.46V→0.55Vに低下します。Lレベルになる・・ということです。ただし選局ボタンを押しても登録できません。

 →LC7200は生きているのか??死んでいるのか??

今日も有意義な一日でした。続編は次の休日に・・

■モータードライブによるプリセットメモリー選局の動画-----------------------

 以下おまけです。モータードライブでプリセット位置へ移動する様子(T-7)を動画にしてみました。Niftyのビデオ共有サービスを利用しています。メモリーボタンを指で押すと「カチッ」と音がしますが、これはソレノイドの動作音です。T-9も本来はこのように動作するはずなんですが・・

/////////////////////////////////////////////////////////////////

■追記 2009年8月26日---------------------------------------------

 「電源スイッチが怪しいかも?」という状況なので、電源スイッチを外してスライド部分の分解清掃を試しました。他の信号系スイッチと全く同じものです。分解したところ、接点は真っ黒でした。アルコール洗浄しながら・・

詳細はYAMAHA T-9 記事に追記しました。

 

2009年8月15日 (土)

YAMAHA T-9

Yamaha_t9_001Yamaha_t9_005 [YAMAHA T-9] は5連バリコンを搭載した1979年のFM専用チューナーです。2008年10月末、馴染みのリサイクルショップで故障品を入手しました。FMがまったく受信できないようですが、外観は傷も無いとてもきれいな個体です。取扱説明書と専用カタログも付いていました。YAMAHAの最高級機(定価98,000円)ですから何とか復活させたいと思い、故障を承知で購入しました。税込3,150円でした。

 ブラックボディの T-7 を後から入手しましたが、YAMAHA製薄型チューナーにはやはり「シルバー」が似合います。入手から随分時間を要しましたが、この夏休みで作業がようやく進展しました。

 →YAMAHA T-9 取扱説明書(PDF形式 約2.6MB)
 →YAMAHA T-9 専用カタログ(PDF形式 約7MB)

■T-9の特長(取扱説明書より抜粋)---------------------------------

●高性能チューナー部
Yamaha_t9_006Yamaha_t9_008 Yamaha_t9_007MOS FET採用のRF1段増幅、ダブルチューン×2、RFアンチサチュレーション回路、ローゲインワイドギャップの5連バリコンのフロントエンド。低損失ユニレゾナンスセラミックフィルタを使用した位相歪補正回路と、超低歪率7段カレントリミッタ付のIFステージ。さらに、スタビライザー付超低歪率スーパーリニアダイレクトレシオ検波回路などで構成されるチューナー部は、高い妨害排除特性と低歪率、高感度、高選択度を確保しています。

●MPX部
Yamaha_t9_055 Yamaha_t9_010 Yamaha_t9_009 C-MOS ICと専用ハイスピードOPアンプICを使用したDC NFBスイッチングデコーダー部と、トラッキングサーボパイロットピュアキャンセル回路、アンチインターフェアランスPLLや、オープンロードタイプノルトン変換型3poleローパスフィルターなどで構成されるMPX部は、高SN比、低歪率・高スルーレイトなどを確保して、ワイドな再生音を得ています。

●プリセットチューニングシステム
Yamaha_t9_017Yamaha_t9_020 Yamaha_t9_018合計10の放送局をメモリーし、サーボモーターによるドライブで選局する便利なプリセットチューニングシステムは、POWERスイッチOFF時にもメモリーを続けるバックアップ機構を備えています。もちろんチューニングツマミによるマニュアル操作もOKです。

●オートDX回路
Yamaha_t9_002Yamaha_t9_008_2 IFステージに、妨害検出方式のLOCAL→DX自動切り換えのオートDX回路が付属。さまざまな電波のクォリティを自動的に検出し、音質と選択度のバランスをコントロールしてLOCALおよび、DXインジケーターで動作を表示します。さらに、スーパーDXポジションを設定、オートDX回路と共に遠距離局の受信に効果を発揮します。

●多彩な付属回路
Yamaha_t9_003ダブルオートブレンド、オプチカルバランスタイプのセンターチューニングインジケーター、OTS(Optimum Tuning System)やデジタル表示の周波数インジケーター、それにREC CAL機構など、多彩な付属回路がチューニング操作をスピーディに、またオートマチックに動作します。

●デザインと安定性
Yamaha_t9_004多彩な機能と、ヤマハならではの優美なデザインが調和したパネルフェース。それに、4ブロックに分けられた安定化電源は、デリケートな各回路の安定動作を確保しています。
 

■不具合状況------------------------------------------------

 ・T-7と同様の電源スイッチ不良
 ・内蔵充電池の劣化により周辺パーツ腐食
 ・76~90MHz間で何も受信できません。
 ・メモリー選局動作しません。

■分解記録------------------------------------------------

 ・ボディ外側には本体カバーを固定しているネジが見当たりません。
 ・そういえば T-2000W も同じでした。
 ・本体カバーは、両サイド4か所のネジで裏側から固定されています。
 ・本体を裏返して底からネジを外します。
 ・この本体カバーはよくある「鉄板」ではなく「プラスチック製」みたいです。
 ・天板の裏側だけに鉄板が貼り付けてあります。
 ・この頃流行った「非磁性体ボディ」だったのか?カタログ取説とも特に記載ありません。
 ・T-9にはFM5連+AM3連のバリコンが搭載されていますが、AMバリコンは全く使われていません。

■作業記録1(電源スイッチ、充電池)-----------------------------

 ・電源スイッチの不良は T-7 と同様の方法で補修しました。
 ・ニッカド充電池が劣化しており、端子や周辺部品の足が腐食しています。
 ・まずは電池を交換しました。T-7 同様に電池ホルダーを側面に固定する方法です。
 ・足が腐食している電解コンデンサー8個交換しました。

Yamaha_t9_021 Yamaha_t9_022 Yamaha_t9_024 Yamaha_t9_026 Yamaha_t9_027

■作業記録2(局発トリマコンデンサ1)-----------------------------

 ・現象から判断して局発用トリマーコンデンサーが容量抜けしています。
 ・φ5mm、二本足タイプ。頭が赤色なので「容量:6pF」でしょう。
 ・このトリマーコンデンサーを交換するにはバリコンユニット全体を外す必要あります。
 ・105円で買えるジャンクチューナーで糸の外し方、掛け方の練習をしました。
 ・練習のおかげで糸の取り扱いに慣れてきました(入手から既に半年経過・・)
 ・意を決して T-9 のバリコンユニットの糸を解きユニット全体を外しました。
 ・容量抜けしていたトリマを取り外しました。

Yamaha_t9_028 Yamaha_t9_029 Yamaha_t9_030 Yamaha_t9_031

 ・さて、苦労してここまで辿り着いたとき、別の解決方法を学びました。
 ・「バリコン本体にコンデンサを直付けする方法」です。
 ・きっとアマチュア無線の世界では常識、でもド素人の私は無知でした。
 ・バリコンユニットを外す必要はなかったような・・
 ・外した容量抜けトリマを元に戻し、バリコンユニットを元に戻しました。
 ・糸を掛け直してとりあえず元通り(故障状態)に復旧。

■作業記録3(局発トリマコンデンサ2)-----------------------------

 ・バリコンユニットを外さないで修理する方法を実践しました。
 ・OSC上部に8mm角青色トリマーコンデンサー(6pF)を仮止め。
 ・簡単に受信調整したところ、Sメーターが大きく振れました。
 ・オプティカルタイプのTメーターも光りました。ステレオランプも点灯。
 ・やった~!・・と思ったら、何と音声が出力されません。
 ・メーター類の動作からは、FM放送を受信していると判断できます。
 ・でも音声出力端子から音が出ません・・・一難去ってまた一難・・

Yamaha_t9_032 Yamaha_t9_033 Yamaha_t9_035 Yamaha_t9_034 Yamaha_t9_036

■作業記録4(LC7200)-----------------------------

 ・バリコンユニット上部にトリマーコンデンサーを仮止めしたまま原因究明。
 ・48時間連続運転していますが、OSC発振周波数に変動は見られません。
 ・音声出力ありませんが、検波段から直接信号を取り出すと音声聴こえました。
 ・「ミューティング」がかかっているような感じです。
 ・そう言えば・・
 ・T-7 の記事にポムロル様が寄せてくださったコメントを思い出しました。
 ・「D118のアノード側を接地して音が出るようならLC7200が怪しい・・」
 ・LC7200のデータシートを確認しました。23pin= MUTE OUT です。
 ・試しに23pinをGNDに繋いでみると・・
 ・ソレノイドが「カチッ」と反応し、音声が出てきました!
 ・23pin-GND の接続を外しても音声は出ています。
 ・電源ON-OFFしても音声は出ています。
 ・LC7200の動作が怪しいような?

Yamaha_t9_013 Yamaha_t9_016 Yamaha_t9_017

■作業記録5(局発トリマコンデンサ3)-----------------------------

 ・本格修理に向けて3本足タイプの「赤帽子」トリマを用意しました。
 ・これを「新トリマ」としてバリコン上部に半田付けしました。
 ・SSGから83MHzの信号を送り、T-9で受信できるよう「新トリマ」を調整しました。
 ・ただし、83MHzでピッタリあわせると、76MHzと90MHz両端では受信位置がズレます。
 ・本来ならトリマとコイルでトラッキング調整するところですが、
 ・残念ながらT-9のOSC調整用コイルは樹脂で固められていて動かせません。
 ・本来設計とは異なるトリマを取り付けたのでバランスが崩れたのでしょうか?
 ・考えた末、このT-9は「愛知県専用チューナー」にすることに・・
 ・愛知県では77.8MHz(Zip-FM)~82.5MHz(NHK-FM)の6局が受信できれば良いです。
 ・この範囲の中間として80.7MHz(FM愛知)に合わせるように「新トリマ」を調整しました。

Yamaha_t9_040 Yamaha_t9_041 Yamaha_t9_042 Yamaha_t9_043 Yamaha_t9_046

 ・本体目盛位置:80.7MHz、SG出力80.7MHz、70dBu
 ・バリコンユニット横にある「OSC OUT」端子に周波数カウンタを接続。
 ・「新OSC」を調整して周波数カウンタ70.0MHz(80.7MHz-10.7MHz)に。
 ・オプティカルタイプのTメーターではセンターの判断が難しいので、
 ・IC111 IG03210 20pin-GNDに特製Tメーター接続。
 ・T105を調整して特製Tメーターを中央に。
 ・これでOKと思います。77MHz~83MHz間では目盛りのズレはほとんどありません。

Yamaha_t9_037 Yamaha_t9_038 Yamaha_t9_045

 ※特製Tメーター:Technics ST-8200から外したTメーターに39kΩを介して使用。

■調整記録------------------------------------------------

 T-9の特徴である「モータードライブによるメモリー動作」を除けば、FM専用チューナーとして機能しています。T-7のサービスマニュアルを参考にしながら試行錯誤で受信調整してみました。

【本体切替ボタンの設定】
 ・RX MODE : AUTO DX
 ・MUTE/OTS : ON
 ・BLEND : OFF
 ・REC CAL : OFF

調整箇所調整作業
Yamaha_t9_045_2 【検波コイル調整】
 ・ダイヤル指針83MHz付近で受信なし状態
 ・IC111 20Pin-GNDに特製Tメーター接続
 ・T105を調整して特製Tメーターを中央に
 ・指針を76MHz~90MHzまで移動しセンターがズレない事を確認
Yamaha_t9_046_2 【OSCトラッキング調整】
 ・上記特製Tメーターを接続したままの状態
 ・ダイヤル指針80.7MHzにセット
 ・SSG 80.7MHz,無変調,70dBu
 ・バリコンユニット横 OSC OUT に周波数カウンタ接続
 ・交換したOSCトリマーを調整
 ・周波数カウンタ70.0MHz(80.7-10.7=70.0)に。
 ・特製Tメーターがズレた場合は T105でセンターに。
Yamaha_t9_057 【フロントエンド調整】
 ・SSG 80.7MHz,70dBu,無変調
 ・RFトリマーFM1-FM4を調整
 → 本体正面のシグナルメーターを最大に。
Yamaha_t9_007_2 【モノラル歪み調整】
 ・SSG 80.7MHz,70dBu,1KHz,100%変調
 ・音声出力をWaveSpectraで観測。
 ・TC101を調整
 → 高調波歪みを最小に。
Yamaha_t9_039 【VCOフリーラン周波数調整】
 ・SSG 80.7MHz,70dBu,無変調
 ・IC111[LA3380]1Pin-14Pinを2.2MΩの抵抗で直結
 → 強制ステレオモードに。
 ・IC111[LA3380]16Pinに周波数カウンターを接続。
 ・VR108を調整
 → 76KHz±10Hzに。
Yamaha_t9_007_2 【ステレオ歪調整】
 ・SSG 80.7MHz,70dBu,1KHz,100%変調,STEREO
 ・音声出力をWaveSpectraで観測。
 ・T103,T104,TC101,VR102,VR103を調整
 → 高調波歪みを最小。
Yamaha_t9_048 【パイロット信号キャンセル調整】
 ・SSG 80.7MHz,70dBu,パイロット信号
 ・音声出力をWaveSpectraで観測。
 ・T114を調整
 → 19KHz信号の漏れを最小に。
Yamaha_t9_009_2
Yamaha_t9_047
【セパレーション調整】1
 ・SSG 80.7MHz,70dBu,1KHz,100%変調,STEREO
 ・音声出力をWaveSpectraで観測。
 ・T113を調整
 → それぞれ反対CHへの漏れを最小に。
 ・VR105(L),VR106(R)を調整
 → それぞれ反対CHへの漏れを最小に。

【セパレーション調整】2
 ・SSG 80.7MHz,70dBu,400Hz,100%変調,STEREO
 ・音声出力をWaveSpectraで観測。
 ・T113を調整
 → それぞれ反対CHへの漏れを最小に。
 ・VR105(L),VR106(R)を調整
 → それぞれ反対CHへの漏れを最小に。
Yamaha_t9_053 【シグナルインジケーター最大値調整】
 ・SSG 80.7MHz,100dBu
 ・VR110を調整
 → 本体正面のLEDが全点灯する位置に。

【シグナルインジケーター最小値(ゼロ)調整】
 ・SSG 80.7MHz,0dBu
 ・VR109を調整
 → 本体正面のLEDが全消灯する位置に。
Yamaha_t9_049 【デジタル周波数調整】
 ・2階基板VR103を調整して周波数表示を微調整

■とりあえず試聴

 修理途中ですが、一通り調整できたので音を聴いてみました。調整結果は2次、3次の高調波がやや大きめに出るものの、セパレーションは両chとも60dB超を確保できます。いつも聴くCDをステレオ変調器経由で送信したところ、T-7よりも音に厚みがあるという感じです。これは良さそうです。

T9l T9r

■残る問題は---------------------------------------
 ・メモリー動作が不調です。
 ・メモリー登録できません。
 ・メモリーボタンによる選局もできません。
 ・やはりLC7200が不調なのか??
 ・残る電解コンデンサも総交換してみようか

 明日からまた仕事です。一週間の夏休みでしたが、静岡で地震があったり、あのレス・ポール氏が亡くなったり、ようやくT-9の作業が進んだり・・あっという間の休暇でした。

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【追記 2009年8月22日】

 T-9 と T-7 の各種比較一覧表を作ってみました。結構なボリュームになったので別記事にまとめてアップしました。

 → YAMAHA T-9/T-7 比較

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■追記 2009年8月26日---------------------------------------------

Yamaha_t9_063_2Yamaha_t9_064_2  「電源スイッチが怪しいかも?」という状況なので、電源スイッチを外してスライド部分の分解清掃を試しました。他の信号系スイッチと全く同じものです。分解したところ、接点は真っ黒でした。アルコール洗浄しながら・・

「どうせなら電源スイッチ無しにして動作確認しよう・・」

 電源スイッチを外した跡をジャンパ線で直結しました。これでは常時電源オンの状態になるので、スイッチ付きテーブルタップに電源コードを接続し、これで T-9 のオン/オフを切り替えることにします。

Yamaha_t9_060_2 Yamaha_t9_061_2 Yamaha_t9_062_2 Yamaha_t9_065_2 Yamaha_t9_066_2

 充電池を再セットして電源オン! これまで反応の無かったソレノイドが「カチッ!」と動きました。期待が膨らみます。一通り試した結果は・・

 ・「メモリーAグループ」の4番と5番にメモリー登録できました。
 ・「メモリーBグループ」の4番と5番にメモリー登録できました。
 ・登録できたボタンを押すと、モータードライブが動作しメモリー選局できました!
 ・他のメモリーには登録不可でした。
 ・10個のメモリー登録できるはずが、4個だけ登録できた・・という事です。
 ・LC7200 21pin(VDD) 電圧は 8.46V→8.58V になりました。

 何だか中途半端な結果です。電源スイッチを外して直結したところ、10個あるメモリーの内4個だけ使えるようになりました。電源スイッチはどうしようか??このまま使おうか??
 

■追記 2009年9月14日---------------------------------------------

Yamaha_t9_070Yamaha_t9_071  名古屋大須電気街のパーツショップで、T-9/T-7 電源スイッチ同等品を見つけました。サイズはピッタリです。これに付け替えてみます。

 

 

Yamaha_t9_switch

 

2009年8月14日 (金)

レス・ポール永眠

 ギブソン社を代表するエレキギター「レス・ポール」の生みの親、レス・ポール氏が 2009年8月13日94歳で亡くなったそうです。5年ほど前、ニューヨーク・ブロードウェイのライブハウス[ iridium ]でライブを観たことがあります。きっと世界中の音楽ファンがご冥福を祈っているでしょう。私も合掌・・。

■音楽総合サイト BARKS レス・ポール永眠
 →http://www.barks.jp/news/?id=1000051982

■音楽総合サイト BARKS 「レス・ポールの伝説」公開(2008年8月のニュース)
 →http://www.barks.jp/news/?id=1000042789

■サウンドハウス Les Paul 1915-2009
 →http://www.soundhouse.co.jp/material/lespaul/les_paul.asp

■iridium JAZZ CLUB official site
 →http://iridiumjazzclub.com/

■iridiumの場所・・ニューヨーク・観光マップ
 →http://www.nylovesyou.com/nyly/modules/gnavi/index.php?lid=18

 昨年公開された映画「レス・ポールの伝説」はご覧になりましたか? DVD版も出ています。レス・ポール氏の偉大さを綴ったドキュメンタリーです。今夜シミジミ観ようと思ってDVD棚を探しましたが見当たりません。娘が勝手に持ち出した可能性大です・・

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■【追記 2009年9月5日】------------------------------------

 DVDが帰ってきました。やはり娘が友だちに貸していました。こんなDVDを喜んでみるような女子大生って・・結構珍しいでしょうね。私のギターコレクションに実はレスポールはありません。この機に、一本買おうかな?ゴールド、ブラック・・・やはりサンバーストでしょうか。

Les_paul_01
Les_paul_02

 

2009年8月11日 (火)

東海地震観測情報

 2009年8月11日午前5時8分、名古屋の自宅で寝ていたところ突然の横揺れで飛び起きました。反射的に時刻を確認、自己判定で「震度4」と思いました。縦揺れは感じなかったです。※私はその昔、体感で震度を判定する訓練を受けています。

再掲ですが、地震や津波に関する情報入手先を以下に列記します。

■Hi-net高感度地震観測網(防災科学研究所)
http://www.hinet.bosai.go.jp/

 レスポンスは最速です。地震発生直後に震源位置が判明します。携帯電話に「携帯版」を登録しておくと超便利です。

■太平洋津波警報センター(アメリカ海洋大気圏局 NOAA)
http://www.prh.noaa.gov/ptwc/

 ハワイ・オアフ島にある津波警報センターです。場所はワイキキビーチのすぐ近く。太平洋で発生する地震と津波を観測しています。

■気象庁・地震情報
http://www.jma.go.jp/jp/quake/

 今回の地震で「東海地震観測情報」が初めて発表されました。よい機会なので「夏休みの研究」として東海地震について勉強しましょう。

■東海地震に関して発表される情報は3種類

 「東海地震観測情報」・・・東海地震の前兆現象であると直ちに判断できない場合。
 「東海地震注意情報」・・・東海地震の前兆現象である可能性が高まった場合。
 「東海地震予知情報」・・・東海地震の発生のおそれがあると判断した場合。

※詳しくはこちら → 気象庁 東海地震に関する情報
http://www.seisvol.kishou.go.jp/eq/tokai/hellojma_index.html

 

2009年8月10日 (月)

TRIO KT-9007 調整記録

Trio_kt9007_31_2  今日から一週間、仕事の予定がありません。私もようやく夏休みです。以前は子ども達を連れて海や山へ・・と忙しい休暇でした。最近は夫婦二人だけ残された感じで、悲しいかな休暇の予定がありません(笑)。

 温泉にでも行きたいなあ~。今から予約できる宿ってあるのかしら??高速道路はきっと超渋滞だろうなあ~?

 ようやく空き時間ができた・・と前向きに捉えて、今日は朝から TRIO KT-9007 の再調整をしました。詳細は過去記事に追記しておきました。

■TRIO KT-9007 (2009年7月 5日 記事)---------------------------
 →http://bluess.cocolog-nifty.com/labo/2009/07/trio-kt-9007.html

 古いバリコンチューナー、以前はレトロな雰囲気を楽しむ 「癒しの道具」 でしたが、最近は1970年代チューナー発展の歴史を再確認する 「勉強の道具」 になっています。

■FMチューナー発展の歴史、注目点は?・---------------------------

 【同調回路】・・バリコン式(クリスタルロックの有無)、シンセ式
 【フィルター】・・LC同調フィルタ、クリスタルフィルタ、セラミックフィルタ
 【検波方式】・・レシオ検波、クァドラチュア検波、パルスカウント検波
 【復調方式】・・スイッチング式、マトリクス式、PLL制御の有無

 回路に使われている IC に注目するのも面白いです。古いバリコンチューナーでもステレオ復調にPLL-ICが使われている機種なら再調整すればでソコソコ使えますね。楽しい休日趣味です。

2009年8月 9日 (日)

ABBEY ROAD / THE BEATLES

Abbey_road_01_2 「アビイ・ロード」は、1969年9月にリリースされたビートルズ12作目のアルバムです。そして8月8日は、あの有名なジャケット写真が撮影された記念日です。1969年8月8日に撮影されたそうなので、今年はちょうど40周年の節目の年になるようです。仕事場で偶然見ていたNHK総合TV夜7時のニュースで、「現地映像入り横断歩道の賑わう様子」 が伝えられていました。

■Wiki アビィ・ロード
 フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』アビィ・ロード

 Wikiに裏ジャケットに青いドレスの女性が写っているいきさつの解説がありました。

Abbey_road_01 Abbey_road_02 Abbey_road_03 Abbey_road_04

 洋楽に目覚めた70年代、お小遣いを貯金しては LPレコードを買っていました。でもレコードは滅多に買えないので、誰もがそうだったようにFM放送のエアチェックにハマっていきました。ビートルズやサイモン&ガーファンクル特集などは欠かさず録音していましたね。

 大学を卒業して間もなくCD時代が訪れ、結局保有するLPレコードを全部CDで買い直しました。まだ結婚前だったので、自分の給料が自由に使えた頃です・・

 ここ数年、このブログでFMチューナーの修理記事や70年代の洋楽を話題にしているのは、たぶん自分自身が「歳を取って昔を懐かしんでる」・・という事なのでしょうね・・

2009年8月 6日 (木)

You Light Up My Life / Debby Boone

You_light01  1977年、ワーナーパイオニアから発売された邦題「恋するデビー」です。今日クルマで聴いたラジオで流れたので懐かしくなって YouToube で探してきました。とにかく一度聴いてみてください。絶対に聴いたことありますよ。歴史に残る名曲の一つだと思っています。しっかりした歌唱力と落ち着いたバラード調のメロディーがとてもマッチしています。

You_light02  「恋するデビー」という邦題は歌手名デビー・ブーン(パット・ブーンの娘)から考えたと思いますが、この頃の洋楽には 「実にくだらない邦題」 が付いている曲が多いですね。シングルレコードのジャケットには 「アイドルを求めていたキミたちにステキな女の子を紹介しよう!!」 という情けないコピーまで付いています。

 大学2年生(1978年)頃からナイトクラブの生演奏バンドで、ギターを弾くようになりました。クラブ専属のプロ女性歌手がメインボーカルで、バンドメンバーは20代後半が中心でした。演奏中のメンバー紹介では 「ギターはメンバー最年少、実は国立大学の学生で・・」 と紹介され、ナイトクラブでは「異色の存在?」として結構可愛がってもらいました。

 「You Light Up My Life」はクラブステージの定番ラスト曲で、「くだらない邦題・・」 と 「英語の歌詞をちゃんと読めよ・・」 はボーカル女性の口癖でした。いま、ほろ酔いの頭の中を懐かしい思い出が駆け巡っています・・

 

2009年8月 1日 (土)

SONY製チューナー/ソリッド・ステート・フィルター

 SONY ST-5130 は私のFM音楽ライフの原点ともいえる思い入れのあるチューナーです。

Sony_st513012  1971年冬、私がまだ中学生だった頃に音楽好きだった父が自宅にオーディオセットを揃えました。このときのセットの中に ST-5130 がありました。その後1970年代後半に TRIO KT-7700SONY ST-5950 が我が家にやってきて、2009年現在これら3台ともまだ手元に残って現役稼働中です。

■ST-5130 マイナーチェンジ-------------------------------------

「ST-5130には前期型と後期型がある・・」以前報告したこと→ があります。

Sony_st513011  外観ではツマミの形状が違います。一方内部を見ると電源部やヘッドホンアンプ部の構成が違います。古いカタログを読み直してみると、ST-5130は1971年から1974年まで製造されていたようです。この間に仕様変更は何度もあったかもしれませんね。カタログ価格も69,800円(1971年) → 74,800円(1974年)に変わっていました。

■輸出機 ST-5130 回路図-----------------------------------------

 YAHOO Groups FMTunersST-5130(輸出機)回路図 が入手できました。入手した回路図は3枚に分割されたJPEG形式の画像だったのですが、これを1枚のPDF形式に整えて見やすくしてみました。※接合部が多少ずれているのはご容赦を・・

ヘッドホンアンプ部の構成を見ると、この回路図は「後期型」に近いと思われます。

■セラミックフィルター考察---------------------------------------

 今回の本題はここからです。セラミックフィルタのルーツを勉強するつもりで村田製作所ホームページの「沿革」を読んでいたら「FMラジオ用セラミックフィルタの開発」 の一節に次のような記述がありました。

 ・セラミックフィルターの製法に関する特許取得は昭和45年(1970年)・・
 ・FMラジオ用セラミックフィルタも最初に採用してくれたのがソニーで・・

 「村田製セラミックフィルターを搭載した最初のFMチューナーは何??」

 ど~でもいいのに、細かい事が気になって仕方ありません(笑)。そんな事もあって当家最古の ST-5130(電源コードには1971の印字)を引っ張り出してきた訳です。

1971年発行 ST-5130 カタログより引用----------------------------

Sony_st5130_19711  <理想的な選択度を示す ソリッド・ステート・フィルター 使用のIF段>
 8素子の新開発ソリッド・ステート・フィルターを採用。隣接チャンネルとの分離がきわめてシャープ(選択度100dB IHF)で通過帯域特性も一段とすぐれています。このため、強力な電波のすぐ隣りにある微弱な電波も安定に受信できます。また、優秀な通過帯域特性により、ステレオ放送受信時のひずみも極端に少なくなっています。
 このソリッド・ステート・フィルターは完全無調整型で経年変化がなく、長い間の同調ずれなどは全くおこらず、いつまでも最初と同じ、すばらしい音質でご使用いただけます。

1974年発行 チューナー総合カタログより-------------------------------

Sony_st_family_1974_011  ・ST-5000F:8素子のソリッド・ステート・フィルター
 ・ST-5130 :8素子のソリッド・ステート・フィルター
 ・ST-5140 :6素子のソリッド・ステート・フィルター
 ・ST-5150 :2素子のソリッド・ステート・フィルター
 ・ST-5055A:2素子ワンパッケージのソリッド・ステート・フィルター
 ・ST-5065 :2素子ワンパッケージのソリッド・ステート・フィルターを2個

 当時のカタログには 「ソリッド・ステート・フィルター」という文字が躍りますが、
 そもそも「ソリッド・ステート・フィルターって何?」・・と疑問が湧いてきます。

ST-5130 実機を再確認----------------------------------------------

Sony_st513001 St5130003 St5130006 St5130007 St5130008

 ST-5130 の基板は今まで何回も見ていますが、フィルターに注目したことは確かに無かったです。改めてIF段の基板を見てみると CF201~CF208、3本足の薄茶色セラミックフィルター(SFA10.7MC)が8個ありました。背面を見ると「MURATA」の印字がありました。これが「8素子のソリッド・ステート・フィルター」ですね。後年のシンセ式チューナーでは同じ形状で水色のものを良く見ます。

ST-5000F 実機を再確認---------------------------------------------

St5000f001 St5000fcf1_2 St5000fcf2 St5000fcf3 St5000fcf4

 電解コンデンサーを総交換したST-5000F は電源コードの印字が無いので、実は製造年がよく分かりません。そこでもう一台、電源コードに「1972」の印字がある ST-5000F の故障品(保管中)でIF段の基板を確認してみました。基板上に黒い金属製ケースが4つ並んでいます。ケースはGNDに半田付けされていましたが、試しに一つ外してみると・・・

 ST-5130 と同じ薄茶色セラミックフィルター(SFA10.7MC)が2個並んでいました。黒いケース内に 2個ずつ、合計8個のセラミックフィルターがあるようです。

 ※ST-5000F は1969年に発売され「FMチューナーの神的存在」とされていましたが、上記の1974年カタログとそして 1977年カタログ にも現役機として掲載されています。恐るべき「長寿製品」だったのですね。

ST-5150D 実機を再確認---------------------------------------------

St515006 St5150d001 St5150d002

 ST-5150 は処分してしまいましたが記録写真は残っています。また後継機の ST-5150D は保管しているので、ST-5150 の写真と ST-5150D 実機のカバーを開けてそれぞれ確認しました。どちらも ST-5130 とは少し違った 緑色の セラミックフィルター「CF-201、CF-202」がありました。「TAIYO」の印字があるので、これは 太陽誘電製 だと思います。

 この時期のソニーは「セラミックフィルター」=「ソリッド・ステート・フィルター」と呼んでいたようです。ST-5000F や ST-5130 では8個で、ST-5140では6個、上位機ほど多段になる・・。 素人発想だと 8個もあれば「超 Narrow Band」になりそうな気がします。

■村田製セラミックフィルターを初搭載したソニーのチューナーは?------------

 ラジオは分かりませんが、FMステレオチューナーでは「ST-5000F かな?」 と勝手に想像しました。

 Tuner Information Center ST-5000/ST-5000Fの記述を読むと「ST-5000 のフィルターは LCタイプ」 と記載があります。ST-5000 の改良モデルとして1969年に 「新開発のソリッドステートフィルター8素子搭載・・」で登場した ST-5000F なら時代的にも符合するように思えます。ちなみにソニー高級機の証 「F」 は 「FET」 を意味するようです。

 パーツ単位に注目すると見方が変わって面白い発見がありますね。今さらど~でも良い事なんですが、調べてみると楽しくてついハマってしまいます。以前ひろくん様が「・・まるで考古学のよう・・」とおっしゃっていたことを思い出しました。

 もし私の思い違いや理解不足、補完事項がありましたら是非ご指摘ください。よろしくお願いします。

■ST-5130 電解コンデンサ交換+再調整-----------------------------

 この先はおまけです。久しぶりに ST-5130 を開腹したついでに電解コンデンサを一部交換し、各部再調整してみました。
 →電解コンデンサ一覧表はこちら [sony_st5130.zip]

St5130010 St5130011

調整箇所作業内容
St5130001
St5130002
【フロントエンド調整】
・本体Sメーター左端子に直流電圧計を接続。
・OSC部調整 SSG(90MHz,60dB)本体目盛(90MHz)TC105調整→電圧最大
・OSC部調整 SSG(76MHz,60dB)本体目盛(76MHz)CV105調整→電圧最大
・数回繰り返す。Tメーターがセンターからズレても構わない
・RF部調整 SSG(90MHz,60dB)本体目盛(90MHz)TC101-104調整→電圧最大
・RF部調整 SSG(76MHz,60dB)本体目盛(76MHz)CV101-104調整→電圧最大
・数回繰り返す。Tメーターがセンターからズレても構わない
・IFT部調整 SSG(83MHz,60dB)本体目盛(83MHz)IFT101調整→電圧最大
St5130004
St5130005
【レシオ検波調整】
・T202のとなり D209 に直流電圧計を接続。
・SSG(83MHz、60dB)-本体目盛(83MHz)T202調整→電圧最大
・SSG(83MHz、60dB)-本体目盛(83MHz)T201調整→Tメーター中央
【Sメーター振れ調整】
・RT201
【ミューティング開始レベル調整】
・RT202
St5130009 【MPX部調整】
・音声出力をUA-101経由でWaveSpectraに接続
・SSG(83MHz、60dB、1kHz、Pilot信号)-本体目盛(83MHz)
・T401調整→ステレオ受信時の歪率を最小
・IFT101調整→ステレオ受信時の歪率を最小
・上記作業を数回繰り返す
・RT401調整→反対チャンネルへの漏れ最小

■やっぱり「ソニー」が好き。-----------------------------------

 電解コンデンサーを交換して24時間エージング。その後調整しましたがセパレーションはせいぜい40dB程度です。当時はこれが高性能だった訳で、これ以上の性能を期待している訳ではありません。今回は30年以上前の古いチューナーをこれからも永く愛用するためのメンテナンスです。これからも手入れしながら大切に使い続けます。

51309007  最近入手した1974年製 TRIO KT-9007 と並べてみました。ST-5130 は1971年製ですが、フロントパネルのデザインや質感はどう見ても KT-9007 が古臭く1960年代の香りを感じます。やっぱり私は「ソニーデザイン」が大好きです。

 

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