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2012年10月28日 (日)

kencraft GT-810

 ・2012年10月中旬、ヤフオクでジャンク扱いのGT-810を入手しました。
 ・終了間際に高騰するかと思ったら開始価格のままあっさり終了。

Gt810_86

 ・kencraft GT-810 SOLID STATE FM STEREO TUNER
 ・kencraft はかつてTRIOが販売していた自作キット製品のブランド名です。
 ・葉っぱのマークはTRIOと同じ、ロゴマークの「kencraft」はすべて小文字。

■製品情報------------------------------------------------------------

 ・ケンクラフトに関する情報はネット上にも少ないです。
 ・KENWOODホームページ「社史」「ブランドの変遷」の中に僅かに記述がありました。
  ※ここはリンクから外れた孤立ページのようです。親ページが見当たりません。
  →1971年10月、kencraft(ケンクラフト)ブランドでキット事業に参入。
  →1975年、キット事業を終息。

■実機確認------------------------------------------------------------

 ・全体にくすんだ感じ。でもフロントパネルに目立つ傷なし。保存状態良好。
 ・持ち上げてみるとズッシリとした重量感。
 ・電源コードに「1973」の印字。マルチパス出力端子あり。端子類はサビだらけ。
 ・FMアンテナを接続して受信確認。ちなみに75Ω端子はM型、、通信機仕様です。
 ・願いを込めて電源オン!
 ・周波数窓を照らす青色の照明ランプ点灯、二つのメーター照明も点灯。
 ・赤く光るはずのダイヤル指針が見えない、、、ここはランプ切れか。

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 ・選局するとFM放送受信OK、二つのメーター動作OK、STEREOランプ赤く点灯。
 ・MUTING動作OK、MPX FILTER動作OK、正面パネルのスイッチ動作問題なし。
 ・LEVEL調整VRに少しガリあり。出音に違和感なし、、
 ・これはイイ!! と、思ったら、、

Gt810_91 Gt810_92 Gt810_93 Gt810_94

 ・通電から数分でSTEREOランプが明滅する状態になり、その後消灯、、
 ・選局し直しても、電源再投入してもSTEREOランプ点灯せず。
 ・STEREOランプが切れたか? いや、聴感上もモノラル。
 ・翌日電源投入したところSTEREOランプが明滅しその後消灯、、同じ症状です。
 ・やはり40年前の製品が無傷のわけがない、、逆にヤル気が出てきました。

■ラジオ技術 1973年1月号----------------------------------------------

 ・製品情報を検索する過程で cooltune様の雑誌記事リストがヒットしました。
 ・「ケンクラフトのFMチューナキットGT-810の製作・測定と試聴」黒川晃
 ・この情報を元にして名古屋大須のハイファイ堂で古本を購入。
 ・cooltune様の雑誌記事リストはホントに貴重な情報です。

Gt810_40 Gt810_41 Gt810_42 Gt810_43 Gt810_44

 ・黒川氏による製作レポート、実測レポート、評価レポートが掲載されていました。
 ・GT-810 定価 \39,800円、内容的にはKT-6005(\49,800円)とほぼ同等とか。
 ・標準製作時間 約15時間
 ・ブロック図、保証値、組立後の実測グラフ、評価記事など。
 ・黒川氏が組み立てた個体は無調整でS/N比64dB、セパレーション35dBだったそうです。

Gt810_blockdiagram          ラジオ技術1973年1月号より転載

 【参考】別の誌面に kencraftの広告ページがありました。
  ・GT-810 FMチューナキット 39,800円
  ・GM-820 パワーアンプキット 34,800円
  ・GM-620 パワーアンプキット 24,800円
  ・GP-830 プリアンプキット 24,800円

■KENWOODから回路図購入-----------------------------------------------

 ・ダメもとでKENWOODホームページからメールで回路図購入を問い合わせました。
 ・翌日には返信メールが届き「回路図コピーなら販売可」と回答いただきました。
 ・40年前の古い機種でも丁寧に対応していただけることがとても嬉しかったです。
 ・問合せから3日後、A3サイズ1枚の回路図コピーがメール便で届きました。
 

Gt810_schs

■内部確認------------------------------------------------------------

 ・内部のホコリは意外に少なめ。エアーで飛ばすだけで清掃完了。
 ・基板を繋ぐ配線がキレイにまとめられていて好印象。
 ・フロントパネルは2重構成で凝った造りでした。
 ・チューニングつまみはアルミ削り出し。キットながら豪華です。

Gt810_11 Gt810_12 Gt810_13 Gt810_14 Gt810_20

 ・IF部のカバーと電源部シャーシに組み立てた方のサインがありました。
 ・「昭和50年2月2日完成、\40,500円」 
 ・昭和50年=1975年、キット事業が終息に向かった年ですね。
 ・定価39,800円との違いは何? 値上げがあったのかも。

Gt810_21 Gt810_22 Gt810_23 Gt810_24 Gt810_27

 ・FM専用機なのにFM4連AM2連バリコン搭載。
 ・高周波増幅 2SK19 ×2、局発 2SC785×2、ミキサ 3SK35
 ・記事によればこのフロントエンドはKT-6005と同じものらしい。
 ・合計6素子のクリスタルフィルタ + IF増幅 2SC555A×2
 ・レシオ検波、MPXはIC化される以前のスイッチング回路

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 ・フロントエンド、IF基板、MPX基板、AF基板がそれぞれユニット化。
 ・パソコンの拡張スロットに挿すようにベース部分にはめ込んであります。
 ・キットとして結構合理的にできているものだと感心しました。

■修理1:ダイヤル指針の照明------------------------------------------

 ・チューニング指針が点灯しない理由が分かりました。
 ・なぜかチューニング指針のランプに繋がる配線が切断されています。
 ・フロントパネルを分解。指針部分を台座ごと取り出して配線を仮復旧。
 ・指針部分が赤く点灯しました。球切れではないことを確認。
 ・配線をやり直して修理完了しました。
 ・それにしてもなぜここを切断したのか??

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■修理2:ステレオランプの不調----------------------------------------

 ・MPX基板で回路図に記された電圧値を確認しました。
 ・電圧値がおかしかったトランジスタを順番に交換。
 ・Q308:2SC734 → 2SC1845 → 効果なし
 ・Q306:2SC1345 → 2SC1845 → ステレオランプ点灯!
 ・運よく2個目で不良トランジスタ発見。

Gt810_53 Gt810_61 Gt810_87_2

■再調整--------------------------------------------------------------

 ・半固定抵抗がすべてボンドで固定されています。
  「調整という工程を期待できないので、より安定した部品と回路構成に気を配っている」
 ・黒川氏の解説にこのような記述がありました。
 ・部品コストはKT-6005より高く付いているそうです。

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【フロントエンド】
 ・CT104、L104
 ・L101、L102、L103 / CT101、CT102、CT103
 ・L108

【IF基板】
 ・VR1(VR201)→Q201(2SC381エミッタ)電圧0.8V
 ・VR2(VR202)→出力レベル調整
 ・VR3(VR203)→Sメーターレベル振れ調整
 ・VR4(VR204)→ミューティングレベル調整
 ・L 7(L207)→歪調整
 ・L 9(L209)→レシオ検波調整
 ・L11(L211)→Sメーター最大へ
 ・L12(L212)→TP8電圧MAX

【MPX基板】
 ・VR1(VR301)→VCO調整
 ・VR2(VR302)→SEP調整

■試聴-----------------------------------------------------------------

 ・現代のFPGAチューナーなら誰が組み立てても調整不要で高性能が期待できますが、
 ・考えてみればチューナーをキット製品にすることは結構難しいですよね。
 ・調整しないわけですから個体ごと、制作者ごとに性能差がかなり出そうです。
 ・でもそんなことよりも「自分で作った」という事が重要だったはず。

 ・昭和50年2月2日、
 ・このキットを完成させた方はきっとワクワクしながら選局したんでしょうね。
 ・FM放送を受信した瞬間の喜び、完成させた満足感、お酒が美味しかったかな?
 ・その様子を勝手に想像してしまいます。

 ・青く浮かび上がる周波数窓と二つのメーターが良い雰囲気です。
 ・とりあえず今でもちゃんと動作してFM放送が聴けることだけで十分満足。
 ・古い資料を探す作業も考古学みたいで楽しかったです。

Gt810_81

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コメント

珍しい 貴重な物を手に入れられたようですねhappy01古本まで探して来るとは流石です!
組み立てた当時を想うのはほんとうにロマンですねcatface
しかしこれ部品一つづつ付けてくとなると凄いです とても出来ません!
今時みたいに基板はめて完成 ではないんでしょうね…
昭和50年…かれこれ38年?製作者が若かったとしたら今もまだどこかでラジオを聴いてるのかも知れませんね…その顔さえ目に浮かんでまいります(笑)

IF部のクリスタルフィルタが貴重ですね。コストがかかっています。MPXは当時としては普通だったのでしょうが、この回路では性能は期待できませんね。経年変化も大きいはず。

Amp修理工房様 TRIO KT-8001 修理記録

KT-8001の修理写真を見ると、フロントエンドは同一、IF部とMPX部もよく似ているようです。
オールドチューナーファンとして、機会があったらKT-8001も入手してみたいです。
もはや骨董品収集と紙一重、と心得ています(笑)

思わぬところで誉めていただきありがとうございます m(_ _)m
ケンクラフトは私がオーディオに興味を持ったころには廃番で、代わりにラックスキットが全盛でした。
大須のハイファイ堂の雑誌類には気付きませんでした。上の階のスピーカーの量に圧倒されて見落としたのでしょう。

オーディオ関係は全然進んでいないのですが、先日ヤフオクで昭和50年~55年の時期のテクニクスのサービスガイドを大量落札しました。
チューナーも20機種はありそうなので期待してください。内容を調べてリストを作る予定です。

名古屋大須のハイファイ堂ですが、本店の隣に中古レコードを扱う店舗があります。
古いオーディオ雑誌はこの店舗の奥に並んでいてかなりの品揃えです。
公立図書館でバックナンバーが見つからないときはここで買っています。

テクニクスのサービスガイド、楽しみにしています。

ラジオに興味を持ち始めて初めて買ったラジオの製作72年12月号の裏表紙の広告が
この機種でした。それ以来この機種に憧れていました。オクに出ていたとは・・
この機種後から別基盤でAMが増設できるようになっていました。ダイヤル盤はFMだけですのでサイドの方にダイヤルが取り付けられるようになっていました。
先年このラジオの製作をオクで手に入れました。久しぶりに読み返して見たいです。
ケンクラフトそういえばテスターのキットも出していてこれを探しているのですが中々見つからないですね。三角のおにぎりみたいなテスターでこれも欲しくて堪らなかった思い出が
あります

zuizuiさま

AM基板の増設ですか、、なるほどキットならではの楽しみ方ですね。

ケンクラフトのテスターのキット、、私も覚えています。
横から見ると三角形の基板だったような記憶です。

チューナー修理お疲れ様でした
その熱意すごいですね 

昔、ケンクラフトのパワーアンプを作ったことがありました
このチューナーと似たパネルでした
パワーは20W+20Wくらいでしたか 
パワーメーターがLR付いていました

基板は殆ど完成品で、基板間の配線をするだけでした
製作は割と簡単でして、ちょっと物足りない感じでしたね
現物は、あちこち引っ越しした時に廃棄したと思います。

狼少年ケン・クラフト様

コメントいただきありがとうございます。
自作派がたくさんいてキットが売れた時代ですね、当時は。

古いアンプに未練は無いのですが、古いチューナーだけは
見かけるとつい再生したくなります。

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