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2015年8月 2日 (日)

TRIO KT-5000

 ・2015年6月初め、TRIO KT-5000の修理調整作業を承りました。
 ・相当古そうな機種ですね。でも初体験機種なので興味津々。
 ・随分時間がかかりましたが作業内容をご報告します。

■製品情報------------------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 TRIO KT-5000 ¥39,500(1969年頃)
 ・ネット捜索で回路図発見

Kt500008_2

■動作確認------------------------------------------------------------

 ・経年の汚れがあるものの傷は少なくサイドウッドはかなり状態が良い。
 ・電源オン。周波数窓の照明が暗い。指針は点灯しないタイプか。
 ・左側Sメーター照明点灯。しかし右側Tメーター照明切れ。
 ・MUTINGランプ、MPX FILTERランプ点灯せず。
 ・FMアンテナを接続して受信動作確認。
 ・左側Sメーターの針が動かない。右側Tメーター針は動いている。
 ・FM放送受信OK。ただしSTEREOランプ点灯せず。実際の音にステレオ感なし。
 ・固定出力(REC OUT)、可変出力(OUTPUT)以外にモノ出力(MONO OUT)。
 ・マルチパス端子装備。H端子からは受信音が聴こえる。
 ・AMは背面バーアンテナで受信OK。ただしSメーターの針が動かない。

Kt500001 Kt500004 Kt500005 Kt500006 Kt500007
Kt500008 Kt500011 Kt500012 Kt500013 Kt500014

■内部確認------------------------------------------------------------

 ・堆積してた大量のホコリを清掃。
 ・シールドケースに収まったフロントエンドユニット。整然と並んだ基板。
 ・FM4連、AM3連バリコン。
 ・MPX回路はIC化される以前の古いディスクリートタイプ。
 ・入手した回路図と照合した結果、80%一致するという感じでした。

Kt500020_3 Kt500022_3 Kt500025_3 Kt500029_2 Kt500034_2

Kenwood_kt5000_sch_s

■修理記録:電球切れ--------------------------------------------------

 ・フロントパネル分解で手間取りました。
 ・正面から見て右サイドを固定している仕組みが分からずにちょっと苦戦。
 ・パネル裏側からナットを外してようやく外れました。

Kt500070 Kt500069 Kt500071 Kt500072 Kt500073

 ・周波数窓左側電球 8V0.3Aヒューズ型。ここは交換して即完了。
 ・Tメーター電球 8V/0.15A。ところが電球交換しても点灯しない。
 ・MUTING、MPX-FILTER パイロットランプ 8V/0.15A。
 ・ここも交換しても点灯しない??
 ・配線確認。電球配線は単純な数珠繋ぎなのに??
 ・電圧確認すると、点灯しない電球には電圧が来ていない。
 ・回路図確認。電解コンデンサとダイオードが入っている部分がありました。
 ・電源部整流ダイオード交換。これで電球が点灯しました。
 ・ついでに隣の1000uF/16v交換しました。
 ・これによってSTEREOランプを点灯させるための電圧がMPX回路に繋がりました。

Kt500080 Kt500081 Kt500082 Kt500083 Kt500084

■お詫び--------------------------------------------------------------

 ・フロントパネルを分解した際、周波数目盛りを刻んだガラス板を外して清掃しました。
 ・経年の汚れを拭き取ったのですが、白い目盛り塗料が簡単に剥がれてしまいました。
 ・緑色の目盛りや周波数は残っているので、そんなに違和感はないですが、、
 ・同型ジャンク機を入手できたらガラス板を移植します。
 ・誠に申し訳ありません。

Kt500075

■修理記録:Sメーター針が動かない-------------------------------------

 ・回路図確認。IF基板13番端子→Sメーター
 ・13番端子のSメーター電圧OK。メーター端子の電圧OK。
 ・Sメーターの端子間の電解コンデンサ220uF/3v交換。
 ・やはりSメーターの針が動かない。
 ・Sメーター自身の故障のようです。
 ・同型機から移植するしかないです。

Kt500004_2 Kt5000100 Kt5000101 Kt5000102 Kt5000103

■修理記録:STEREOランプ点灯しない------------------------------------

 ・電源部のダイオード交換によってSTEREOランプ回路の電圧復旧。
 ・ただしまだSTEREOランプは点灯しない。
 ・MPX回路Q3/2SC281電圧不良→2SC1815交換
 ・C24 10uF/25v、 C25 1uF/50v 交換
 ・VR1,VR2調整によってSTEREOランプ点灯しました。

Kt500093 Kt500094 Kt500096 Kt500097 Kt500007_2

■調整記録------------------------------------------------------------

 【フロントエンド調整】
 ・IF基板L8上段→Tメーターゼロ調整
 ・IF基板13番端子→Sメーター(FM)電圧確認
 ・FMOSC 76MHz L4、90MHz TC5
 ・L5調整 83MHz電圧マックス
 【RF調整】
 ・76MHz→L1、L2、L3
 ・90MHz→TC1、TC2、TC4、TC3
 【第一レシオ検波調整】→MPX回路へ
 ・L8上段→何も受信しない状態でTメーター中央
 ・IF基板 L2(上段、下段)、L3(上段、下段)、L5→Sメーター最大
 ・L8下段 二次高調波最小
 【第二レシオ検波調整】→Sメーター、STEREOランプ駆動
 ・IF回路14番端子の電圧測定
 ・L7左右コア調整 電圧最大へ
 【その他】
 ・IF基板VR1:FM検波出力レベル
 ・IF基板VR2:FM Sメーター振れ調整
 ・IF基板VR3:MUTINGレベル調整
 ・IF基板VR4:部品実装なし
 ・IF基板VR5:AM Sメーター振れ調整
 【MPX調整】
 ・MPX基板ダイオードD7カソード側にDC電圧計接続 ※実測2.0v
 ・L17-23調整→電圧最大へ
 ・MPX基板VR1、VR2調整→STEREOランプ点灯位置へ
 ・L17-04、L17-05調整→D2カソード側電圧最大
 ・信号発生器からL+R信号送信
 ・L17-43調整→Lch出力最大へ
 ・AF基板VR1調整→セパレーション
 【AM調整】
 ・IF基板10番端子→Sメーター(AM)電圧確認
 ・フロントエンドCT6、CT7、CT8
 ・背面バーアンテナ内部、IF基板L10,L11
 ・L4、L6、L9調整

Kt5000

■試聴----------------------------------------------------------------

 ・Sメーターの針が動かないことが残念ですが、その他は動作するようになりました。
 ・青色LEDを思わせるインジケーターランプがよいアクセントになっています。
 ・音質は意外に良いです。サイドウッドが綺麗なので雰囲気はベリーグッド。
 ・痛めてしまったガラス板とSメーター移植は宿題にさせてください。

Kt5000105

■KT-5000 2号機-------------------------------------------------------

 ・2015年6月末、部品取り目的で2台目のKT-5000を入手しました。
 ・痛めてしまったガラス板とSメーターを交換するつもりでした。
 ・ところが、、STEREOランプの様子が違う、ガラス板がない、電球配置が違う、、
 ・フロントパネル内側、周波数窓の内部構造は1号機とは全く別物でした。
 ・製造番号を見ると、1号機は初期型、2号機は後期型のようです。
 ・それにしても大胆な設計変更があったものです。

Kt5000251

■初期型と後期型の違い-------------------------------------------------

 ・外観デザイン、アンテナ端子、出力端子の配置は共通。
 ・フロントエンド、IF基板、MPX基板、AF基板は共通。
 ・後期型では電源部電解コンデンサの容量が増えている。
 ・フロントパネル周波数窓内側の構造は、別機種と言えるほど異なる。

Kt5000221 Kt5000243 Kt5000247 Kt5000255 Kt5000256

【1号機:初期型】
 ・周波数や目盛りは透明ガラス板に印刷されている。
 ・両サイドに配置された電球がガラス板を照らし、周波数や目盛りが浮かび上がる。
 ・ダイヤル指針はガラス板の後ろ側を左右に移動する。
 ・STEREOインジケーターは赤いパイロットランプとして点灯。
 ・ソニーのST-5000やST-5130などの構造と同じです。

【2号機:後期型】
 ・周波数や目盛りは黒いガラス板に青文字で印字されている。
 ・ガラス板の背面には白いアクリル板を挟んで8V/0.3Aヒューズ型電球4個。
 ・ダイヤル指針はガラス板を移動する。
 ・STEREOインジケーターはガラス板に刻まれた「FM STEREO」が浮かび上がる
 ・これ以降のTRIO製チューナーKT-9007やKT-7007などと同じ構造です。

■2号機:動作確認-----------------------------------------------------

 ・サイドウッドは傷が多いが、ボディ本体は意外にきれい。
 ・電源オン。周波数窓の左半分が暗い。二つのメーター照明点灯。
 ・MUTINGランプ、MPX FILTERランプ点灯。STEREOランプ点灯。
 ・FMアンテナを接続して受信動作確認。
 ・Sメーター、Tメーターとも針が振れる。
 ・FM放送受信OK。STEREOランプ点灯。ただし実際の音にステレオ感なし。
 ・MUTING動作OK。放送局がない位置でもSTEREOランプ点灯。
 ・固定出力(REC OUT)、可変出力(OUTPUT)以外にモノ出力(MONO OUT)。
 ・マルチパス端子装備。H端子からは受信音が聴こえる。
 ・AMは背面バーアンテナで受信OK。AM受信時もSTEREOランプ点灯。
<課題>
 ・FM/AMともSTEREOランプが常時点灯する。
 ・ステレオ信号受信時にSTEREOランプ点灯。
 ・モノラル信号受信時もSTEREOランプ点灯。
 ・強制モノラルモードに切り替えてもSTEREOランプ点灯。
 ・AM受信モードに切り替えてもSTEREOランプ点灯。
 ・STEREOランプ点灯するが実際のステレオ感なし。

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■2号機:修理調整記録

 ・1号機の調整記録に倣って一通り各部調整。
 ・MPX基板Q4,Q5,Q7 2SC458 → 2SC1815 交換
 ・STEREOランプの点灯動作が正常になりました。
 ・調整方法は1号機と同じです。
 ・なかなか良い音で鳴っています。

Kt5000250

■KT-5000 3号機-------------------------------------------------------

 ・2015年7月中旬、何と3台目のKT-5000を入手しました。
 ・入手動機は オリジナル取扱説明書 が付属していたから。
 ・2号機は依頼者様にお返しし、この3号機は自分用に残すつもりでした。
 ・ところが3号機の内部を見てまたまたビックリ!
 ・またしても内部に大きな設計変更があります。
 ・いや~、驚きました。 ※写真下から1号機。2号機、3号機

Kt5000301

■2号機と3号機の違い-------------------------------------------------

 ・2号機と3号機のフロントパネル、周波数窓構造は同じ。
 ・ところが電源回路、MPX基板、AF基板がまったく異なる。
 ・裏側にあった電源回路が照明後ろに縦置き。AF基板は右隅に縦置き。
 ・IF基板は同じだが、2号機には実装が無かったVR4(BEACON LEVEL)が載っている。
 ・MUTING、MPX FILTERの青いパイロットランプの電球が異なる。
 ・バリコン軸を回転させる糸掛け方法が異なる。

Kt5000310 Kt5000311 Kt5000313 Kt5000316 Kt5000318
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■3号機動作確認------------------------------------------------------

 ・サイドウッドは傷が多いが、ボディ本体は意外にきれい。
 ・電源オン。周波数窓の右隅が暗い。二つのメーター照明点灯。
 ・MUTINGランプ、MPX FILTERランプ点灯。STEREOランプ点灯。
 ・FMアンテナを接続して受信動作確認。
 ・Sメーター、Tメーターとも針が振れる。
 ・FM放送受信OK。STEREOランプ点灯しない。実際の音にもステレオ感なし。
 ・MUTING動作OK。
 ・固定出力(REC OUT)、可変出力(OUTPUT)以外にモノ出力(MONO OUT)。
 ・マルチパス端子装備。H端子からは受信音が聴こえる。
 ・AMは背面バーアンテナで受信OK。
<課題>
 ・STEREOランプのタマ切れ確認。
 ・要再調整

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■3号機:再調整------------------------------------------------------

 ・1号機との相違点のみ。
 【その他】
 ・IF基板VR4:BEACONレベル調整
 【MPX調整】
 ・MPX基板ダイオードD2カソード側にDC電圧計接続
 ・L1(19kHz)調整→電圧最大へ
 ・IF基板VR4調整→STEREOランプ点灯位置へ
 ・信号発生器からL+R信号送信
 ・L4(38kHz)調整→Lch出力最大へ
 ・AF基板VR1調整→セパレーション

■KT-5000 まとめ------------------------------------------------------

 ・予想外の展開で同じ機種を3台も見ることになりました。
 ・たぶん1号機が初期型、2号機は中期型、3号機が後期型でしょう。
 ・「外観や仕様は予告なく変更する場合があります、、」
 ・よく見かけるフレーズですが、本当に大胆な変更があったようです。
 ・よい勉強になりました。新種の化石を見つけたようで楽しかったです。
 ・依頼者様には調整後の3号機をお返しいたします。
 ・以上の経緯をご理解の上、ご了承をお願いいたします。

Kt5000302 Kt5000303 Kt5000304 Kt5000305 Kt5000306

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コメント

Bluess様

いつも楽しく拝見しています。
同じモデル名でもこれほど変遷があり、考古学的で面白いですね。

ところで、回路図を眺めていて、フロントエンドにAFCが無い事に気が
付きました。この機種だけ?と思って過去記事をざっと拝見しますと、
KT-3300、5000、7100、7500、7700、8100、9007もAFC無しなんですね。
初級機と高級機の差でも、年代の新旧とも関係は無さそうです。

離調による歪率やセパレーションの悪化を防ぐため、1980年代以降は
各社ともサーボロックとして積極的に採用していた事を記憶していますが、
真空管の時代からFMチューナーにはAFCは必須、のように考えており
ましたので、少し発見でした。

とりとめの無い話題ですみません。またの更新を楽しみにしております。

exjf3eqs様

レス遅れて申し訳ありません。
夏休みでしばらく不在にしていました。

>フロントエンドにAFCが無い、、

なるほど、確かにそうですね。
いろいろな視点があって興味が尽きません。
いつも新たなご指摘をいただき誠にありがとうございます。

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