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2015年11月の記事

2015年11月29日 (日)

KENWOOD KT-1100D 修理調整記録

 ・2015年10月末、KT-1100Dの再調整を承りました。
 ・この機種は発売当時に購入し、長くエアチェック用に使った経験があります。
 ・当時はSONY 333シリーズ、DA-F9000、そしてこの KT-1100Dがお気に入り機種でした。
 ・でもFPGAチューナーを使うようになってシンセ機はほとんど処分しました。
 ・KT-1100Dの内部写真や調整記録を残していなかったので良い機会をいただきました。
 ・以下、作業記録です。

Kt1100d18

■製品情報------------------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 KENWOOD KT-1100D ¥74,800(1987年頃)
 ・取扱説明書 PDF形式
 ・KENWOOD カタログ(1986年11月版) D-3300T/KT-1100D/KT-1010F/KT-880F
 ・KENWOOD カタログ(1987年9月版) KT-1100D/KT-V990/KT-V880

Kt1100d02 Kt1100d04

■動作確認-------------------------------------------------------------

 ・フロントパネル左上にある「KENWOOD」のロゴが立体型のバッジタイプです。
 ・立体バッジではなくて普通の白文字印刷のタイプもあります。
 ・外観は経年の汚れがありますが目立つキズは無さそうです。
 ・背面の音声出力端子が破損しています。
 ・電源オン。表示部は文字欠けや文字痩せもなく明るさ十分です。
 ・FMアンテナを接続して受信テスト。
 ・FMは-0.1MHz周波数ズレ。Tメーターが中点ではなく右に1本ずれる。
 ・IF BAND切替OK。RF SELECTOR切替OK。TEST TONE OK。
 ・ズレた周波数で受信するもののその他の動作は大丈夫そうです。
 ・AMループアンテナ接続。AM放送は特に問題なさそう。

Kt1100d10 Kt1100d11 Kt1100d12 Kt1100d13 Kt1100d15

■音声出力端子修理-----------------------------------------------------

 ・Lch端子の内側プラスチックまで割れています。
 ・部品取り用 PIONEER F-120D の基板に同じ形の端子がありました。
 ・これを移植して修理完了。

Kt1100d20 Kt1100d21 Kt1100d23 Kt1100d25 Kt1100d26

■内部確認+調整記録-------------------------------------------------

Kt1100d40 Kt1100d41 Kt1100d42 Kt1100d43 Kt1100d44
Kt1100d45 Kt1100d46 Kt1100d47 Kt1100d48 Kt1100d49
Kt1100d51 Kt1100d52 Kt1100d53 Kt1100d54 Kt1100d55

・サービスマニュアルは未入手ですが、D-3300TKT-2020の調整方法を流用できます。

【VT電圧】
 ・TP7~GND DC電圧計セット
 ・アンテナ入力なし
 ・76MHz → L14調整 → 3.0V±0.1V ※実測 3.14V
 ・90MHz → TC1調整 →25.0V±0.1V ※実測25.82V
【検波調整】
 ・TP10~TP11 DC電圧計セット
 ・83MHz(無変調,80dB)受信 → L9調整 → 0.0V±10mV ※実測0.63v
 ・TP12~TP13 DC電圧計セット
 ・83MHz(無変調,80dB)受信 → L12調整 → 0.0V±10mV ※実測-0.28v
【RF調整】
 ・R64右側端子 DC電圧計セット=Sメーター電圧
 ・83MHz(1kHz,100%変調,40dB)→ L1,L4,L7,L18調整 → 電圧最大
【IFT調整】
 ・R64右側端子 DC電圧計セット=Sメーター電圧
 ・83MHz(1kHz,100%変調,30dB)→ L5調整 → 電圧最大
【AUTO STOP=MUTING調整】
 ・83MHz(1kHz,100%変調,30dB)→ VR1調整
【SIGNAL METER調整】
 ・電源スイッチ後方の小さな基板
 ・83MHz(無変調,43dBu)→ VR3調整 → 最上段ドット点灯
【TUNING METER調整】
 ・電源スイッチ後方の小さな基板
 ・83MHz(10Hz,100%変調,80dB) → VR2調整 → ※
  ※中央の縦白セグメント点灯、両側の赤縦セグメントの中点へ
【MPX VCO調整】
 ・TP19 に周波数カウンタ接続
 ・83MHz(無変調,80dB) → VR4調整 → 19kHz±50Hz
【SUB CARRIER調整(38kHz)】
 ・音声出力をWavespectraで観察
 ・83MHz(SUB信号,1kHz,100%ステレオ変調,80dB)→ L25調整 → Lch最大
【歪調整1 DET】
 ・83MHz(MONO信号,1kHz,100%変調,80dB)→ VR3:DET調整 → 高調波歪最小
【歪調整2 MONO】
 ・83MHz(MONO信号,1kHz,100%変調,80dB)→ VR4:MONO調整 → 2kHz歪最小
【歪調整3 MONO】
 ・83MHz(MONO信号,1kHz,100%変調,80dB)→ VR6:MONO3調整 → 3kHz歪最小
【歪調整4 STEREO】
 ・83MHz(L/R信号,1kHz,100%ステレオ変調,80dB)→ VR5:ST-L調整 → 高調波歪最小
【歪調整5 STEREO】
 ・83MHz(SUB信号,1kHz,100%ステレオ変調,80dB)→ VR7:SUB調整 → 高調波歪最小
【歪調整6 NARROW】
 ・83MHz(MAIN信号,1kHz,100%ステレオ変調,80dB)→ VR2:DET調整 → 高調波歪最小
【SEPARATION調整1 WIDE】
 ・IF BAND:WIDE
 ・83MHz(R信号,1kHz,100%ステレオ変調,80dB)→ VR2調整 → L信号もれ最小
 ・83MHz(L信号,1kHz,100%ステレオ変調,80dB)→ VR3調整 → R信号もれ最小
【SEPARATION調整2 NARROW】
 ・IF BAND:NARROW
 ・83MHz(1kHz,100%ステレオ変調,80dB)→ VR1調整 → 左右信号もれ最小
【DEVIATION調整】
 ・電源スイッチ後方の小さな基板
 ・83MHz(mono信号,1kHz,100%変調,80dB)→ VR4調整 → 100%点灯位置

【AM簡易調整】
 ・VT電圧 522kHz → L20 → TP9電圧 → 2.3V
 ・VT電圧 1629kHz → TC2 → TP9電圧 → 21.2V
 ・ 729kHz NHK第一放送受信 → L21調整 → Sメーター最大
 ・1332kHz 東海ラジオ受信  → TC3調整 → Sメーター最大
 ・1053kHz CBCラジオ受信  → L22調整 → 音質チェック

Kenwood_kt1100d_sche

■試聴-----------------------------------------------------------------

 ・久しぶりにKT-1100Dの音を聴きました。やはりイイですね。
 ・RF SELECTOR を DISTANCE に設定すると微弱FM局の電波もよく拾います。
 ・特に他機種では入感しないコミュニティFM局がいくつも聴こえます。
 ・FM受信性能は抜群に良いです。

Kt1100d19

2015年11月22日 (日)

TRIO KT-7100 修理調整記録

 ・2015年10月、TRIO KT-7100の修理調整作業を承りました。
 ・発売当時に購入してずっと大切に使ってこられた大切な機種だそうです。
 ・古くても愛着あるチューナーを何とか復活させたい、、
 ・以下、作業内容をご報告します。

Kt710008

■製品情報------------------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 TRIO KT-7100 ¥39,800(1977年発売)
 ・TRIO 総合カタログ 1979年2月版

Kt710002 Kt710011

■動作確認------------------------------------------------------------

 ・外観に目立つキズはなく、フロントパネルは綺麗です。
 ・ツマミやレバーの汚れ、手垢はクリーニングで輝きを取り戻しそう。
 ・電源コードの印字「1976」
 ・電源オンOK、周波数窓の照明点灯OK、メーター照明点灯OK。
 ・FMアンテナ接続。-0.2MHz周波数ズレ。
 ・二つのメーター動作OK。SメーターMAXとTメーター中央がずれる。
 ・STEREOランプ(赤LED)点灯。
 ・各種動作を見るとFM放送を受信しているはず、、でも音が出ない。
 ・左右ともまったくの無音。
 ・背面バーアンテナでAM放送を確認。
 ・名古屋地区のAM放送周波数位置でSメーターが大きく振れる。
 ・でも音が出ない。まったくの無音。

Kt710003 Kt710004 Kt710005 Kt710006 Kt710007

 ・FM/AMともまったく音が出ない。
 ・ミューティングが効いたままか?それともオーディオ回路故障か?

■内部確認------------------------------------------------------------

 ・FM4連、AM2連バリコン
 ・HA1137 FM IF SYSTEM (クアドラチュア検波)
 ・HA1156 FM MPX
 ・HA1197 AM SYSTEM
 ・メーター照明電球が眩しいほど明る過ぎる。

Kt710020 Kt710022 Kt710025 Kt710026 Kt710029

■修理記録:電源部ダイオード交換---------------------------------------

 ・二つのメーター動作 → 正常
 ・HA1137 6ピン クアドラチュア検波出力 → 正常
 ・HA1156 4ピン Lch音声出力 → 正常
 ・HA1156 5ピン Rch音声出力 → 正常
 ・HA1197 12ピン AM音声出力 → 正常

 ・受信動作は正常です。音声信号を辿って不具合箇所を捜索しました。
 ・音声出力端子直前の Q10,Q11(2SK30A)のソース端子まで正常音声が聴こえる。
 ・音声出力端子直前の Q10,Q11(2SK30A)のドレイン端子から音が出ていない。
 ・ゲート電圧を測るとどちらも-13.6V、これはおかしい。
 ・このマイナス電圧を辿ると電源回路に行き当たりました。
 ・原因はダイオードD12が故障して導通状態だったことでした。
 ・D12を交換したところ Q10,Q11が正常動作し音声端子から音が出るようになりました。

Kt710060 Kt710061 Kt710062

■修理記録:メーター照明電球交換---------------------------------------

 ・内部確認で気になったのはメーター照明が眩しいほどに明る過ぎること。
 ・電球を外してみると仕様 8V/0.3W に対して 6.3V/1W の球が取り付けられていました。
 ・ここは電球が交換されているようです。
 ・左右の照明窓電球とメーター電球は合計3個が数珠繋ぎの配線です。
 ・メーター電球を手持ちの 8V/0.3Wに交換しました。
 ・電球3個の明るさが同等になって落ち着いた照明雰囲気になりました。

Kt710040 Kt710044 Kt710041 Kt710042 Kt710043

■お詫び--------------------------------------------------------------

 ・上記作業後、汚れが気になったのでパネルを分解してガラス板の内側を磨きました。
 ・周波数や目盛りが印字されたアクリル板も外して汚れを落としました。
 ・慎重に作業を進めたのですが、、
 ・指針先端を軽く拭いたところ、中央部の赤色塗料が剥がれてしまいました。
 ・塗料の下は穴開き構造で、赤色塗料は薄い膜のように張り付いていただけでした。
 ・結果的に指針中央部の穴を通して周波数目盛りが見えるようになりました。
 ・私の不注意で誠に申し訳ありません。
 ・どうにも修復のしようがないのでこのままとさせていただきます。

Kt710050 Kt710051 Kt710052 Kt710006_2

■調整記録------------------------------------------------------------

 ・1号機の記録に倣って各部調整しました。

Trio_kt7100algn

 ・検波調整コイルL9(下段:Tメーター中点)
 ・検波調整コイルL9(上段:歪調整)
 ・フロントエンド調整
 ・VR1:VCO調整 → TP(19kHz)
 ・VR2:セパレーション調整
 ・周波数ズレ、受信感度、歪率、セパレーションが向上しました。

■試聴----------------------------------------------------------------

 ・4連バリコン+HA1137(クアドラチュア検波)+HA1156(PLL MPX)。
 ・余計な付属回路が無い超シンプル構成ですがFM放送はこれで十分楽しめます。
 ・電球を交換したことによって照明窓が落ち着いた雰囲気になりました。
 ・シルバーパネルと暖色系照明がよくマッチしています。
 ・この雰囲気がオールドチューナーの魅力ですね。

Kt710009

 ・思い出の詰まった大切な機種なのに指針を痛めてしまい誠に申し訳ありません。
 ・重ねてお詫び申し上げます。

2015年11月15日 (日)

TRIO KT-9900 2号機

 ・2015年9月、KT-9900(2台目)の修理調整を承りました。
 ・FM放送が正常に受信できない状態とのこと。
 ・1号機の経験を踏まえて修理に挑戦してみました。

Kt9900203

■製品情報------------------------------------------------------------

 ・オーディオ懐古録 TRIO KT-9900 ¥200,000
 ・オーディオの足跡 TRIO KT-9900 ¥200,000(1978年発売)
 ・Hifi Engine KENWOOD KT-917
 ・取扱説明書 KENWOODダウンロードサイトから入手可能
 ・1号機の記録 2015年10月4日記事

Kt9900202 Kt9900211

■動作確認------------------------------------------------------------

<ご指摘の症状>
 ・一応受信できて音声も出るが、感度が低く常時「ザー」という雑音が聞こえる。
 ・MUTING 40dBに設定すると無音になる。
 ・アンテナA/Bとも同じ症状
 ・固定/可変出力とも同じ症状。
 ・STEREO/MONOとも同じ症状。

<確認事項>
 ・アンテナAに同軸ケーブルを接続して電源オン。
 ・電源オンから音が出るまで約10秒。
 ・1号機(電源部の電解コンデンサ総交換済み)は約5秒でした。
 ・周波数窓の照明点灯。メーター照明点灯。
 ・オレンジ色のインジケーター点灯。緑色のIFバンド表示も点灯。
 ・僅かに周波数ズレあるものの地元FM局を受信。STEREOランプ点灯。
 ・受信から数秒後にDDLインジケータ点灯。
 ・照明やインジケータ類はすべて点灯。タマ切れなし。
 ・それぞれのメーターは正常に動作している。
 ・ただご指摘のように出てくる音が良くないです。
 ・常時「ザー」という雑音、音声は「モゴモゴ」とこもったような感じです。
 ・マルチパスH端子の音を聞いてみる雑音の無いキレイな音声が出ています。
 ・つまりパルスカウント検波回路までは正常ということ。
 ・不具合は検波回路より後段、MPX回路やオーディオ回路にありそう。

■原因調査------------------------------------------------------------

 ・マルチパスH端子の出力正常、つまりパルスカウント検波までは正常。
 ・MPX基板(X04-)上で不具合箇所を捜索。
  ・MPX基板1番端子 MPX基板入力端子 正常
  ・IC3(TC4066BP)入力 2,4,8,10ピン 正常
  ・IC3(TC4066BP)出力 1,3.9.11ピン 正常
  ・IC1(NJM4559DF)入力 5ピン 正常
  ・IC1(NJM4559DF)出力 7ピン 正常
  ・R73 左側 正常
  ・R73 右側 異常
  ・IC5(NJM4559DF)入力 6ピン 異常
  ・IC5(NJM4559DF)出力 7ピン 異常
 ・どうやら故障部品は IC5(NJM4559DF)のようです。

■修理記録 IC5(NJM4559DF)オペアンプ交換-----------------------------

 ・1号機でも苦戦しましたが、MPX基板を外す作業は相当面倒です。
 ・MPX基板(X04-)は外さず、斜めに傾けて隙間からはんだごてをそっと挿入。
 ・慎重にIC5を外してICソケット設置。
 ・手持ち在庫 NJM4559D をはめ込んで電源オン。
 ・「ザー」という雑音が消えて本来のFM音声が出てきました。
 ・第一関門クリア!

Kt9900240 Kt9900241 Kt9900243 Kt9900244 Kt9900246

 ・ハンダ面には IC5-2ピン~5ピン間に1kΩ抵抗が直付けされていました。
 ・この抵抗を外した状態では音声出力レベルが-10dBほど低くなります。
 ・ハンダ面への直付け作業は困難なので、止むを得ず上面から取り付けました。

■修理記録 IC9 C-MOS IC交換-------------------------------------------

 ・オペアンプを交換して常時聴こえる不快な雑音は消えましたが、、
 ・次の不具合はLchだけに「ザザッー、ザザッー」と不定期に混じる雑音でした。
 ・Rchの音声には雑音は混じりません。
 ・MPX基板(X04-)の出口からさかのぼってノイズ源を捜索。
 ・IC9 (TC4066BP) 入力 2ピン→正常、3ピン→正常
 ・IC9 (TC4066BP) 出力 1ピン→正常、4ピン→異常
 ・ノイズ源は IC9 (TC4066BP) か?
 ・慎重にIC9を外してICソケット設置。新品の TC4066BPをセット。
 ・ところが問題の雑音が解消しません。
 ・IC9の入力はコンポジット信号なので雑音源はスイッチング信号の方か?

Kt9900251 Kt9900252 Kt9900253 Kt9900261 Kt9900262

■修理記録 トランジスタ交換-------------------------------------------

 ・IC9 (TC4066BP) にスイッチング信号を供給する回路を点検。
 ・雑音の発生間隔が長く、かつ不定期なので粘り強く雑音発生を待ちました。
 ・雑音を出していたのは Q7 (2SA733) でした。
 ・周囲のトランジスタ4個セットまとめて交換しました。
 ・Q7,Q8 :2SA733 → 2SA1015
 ・Q10,Q11:2SC945 → 2SC1815
 ・これでLchだけの雑音は消えたと思います。

Kt9900263 Kt9900264

■修理記録 電源部電解コンデンサ交換-----------------------------------

 ・電源基板で気になっていた頭が飛び出したコンデンサを交換。
 ・C22 100uF/16V → 100uF/63V
 ・電源オンから音が出るまでの時間が約2秒短縮されました。

Kt9900270 Kt9900271

■修理記録 さらなる不具合--------------------------------------------

 ・修理完了、と思ってFM放送をBGMに流しながら動作確認していました。
 ・ところが次なる不具合発覚。
 ・NHK-FMでモノラルのニュース放送に切り替わるとRchの音量が小さくなる。
 ・Lchは正常な音量が出る。
 ・ステレオ全国放送に復帰すると左右から正常に音がでる。
 ・ステレオ放送中にKT-9900側でMONOに切り換えると左右から正常に聴こえる。
 ・MUTINGオフの状態で離調すると「ザー」という局間ノイズが聴こえますが、
 ・この局間ノイズがやはりRch側が極端に小さいです。
 ・ステレオ放送受信時は正常なのに、、この不具合原因が分かりません。

■調整記録------------------------------------------------------------

 ・1号機の調整記録に倣って各部調整しました。

Kt99001 Kt99002

■FM多重放送によるノイズ問題------------------------------------------

 ・【SCA調整】の項目
 ・KT-9900 L6 調整 → D4(X04-)カソード側DC電圧最大へ
 ・この2号機は L6を回してもD4カソード電圧がほとんど変化しません。※30mV前後
 ・L6とD4の中間にあるIC2 (NJM4559DB)の劣化を疑って交換しましたが変化なし。
 ・L-01T 2号機の L11 を L6に移植してみましたがこれも変化なし。

Kt9900265 Kt9900266 Kt9900267 Kt9900280 Kt9900281_l01t

 ・KT-9900 1号機では SCAスイッチが頻繁に ON/OFF を繰り返す症状がありました。
 ・KT-9900 2号機では 電圧が低すぎてSCAスイッチが作動しません。
 ・L-01TとKT-9900のSCAスイッチ回路を比較してみました。
 ・相違点は L-01T回路図に記された「SCA TUNED」回路でフィルターが一段少ないこと。
 ・たった2台の検証事例ですが、今のところ KT-9900ではノイズ問題を回避できません。

Sca_2

【L-01T】
 ・検波信号 → L10 → L11 → IC9(NJM4559)(1/2) → D36 → IC9(NJM4559)(2/2)
 ・部品番号 L10 = 00050-05-081
 ・部品番号 L11 = 0050-05-0081
 ・SCA FILTER
 ・部品番号 L12,L13,L14,L15 = 0048-05-081
【KT-9900】
 ・検波信号 →  →  L6 → IC2(NJM4559)(1/2) → D4 → IC(NJM4559)(2/2)
 ・部品番号 L9 = 0050-05-871
 ・SCA FILTER
 ・部品番号 L1,L2,L3,L4 = 0048-05-871

■試聴----------------------------------------------------------------

 ・残念ながらNHK-FMのVICSノイズは回避できませんでした。
 ・このノイズは、電波状況が悪くて「サー」という雑音が聴こえる状況と似ています。
 ・曲間の無音時やクラシック曲のピアニシモ部分で特に気になります。
 ・大音量のロックやジャズではあまり気にならないです。
 ・「見えるラジオ」が終了した民放FM局では、そもそもノイズ問題はありません。
 ・KT-9900ではこのノイズ問題と付き合っていかなければならないようです。

Kt9900204

2015年11月 8日 (日)

KENWOOD L-01T 2号機

 ・2015年9月初め、L-01T の故障品を研究用に寄贈していただきました。
 ・漆黒パネルに映えるオレンジ照明がとても美しい機種です。
 ・これは何としても修理して使える状態にしたい!
 ・以下、修理作業の記録です。

L01t03

■製品情報------------------------------------------------------------

 ・オーディオ懐古録 KENWOOD L-01T ¥160,000(1979年)
 ・オーディオの足跡 KENWOOD L-01T ¥160,000(1979年頃)
 ・Hifi engine KENWOOD L-01T 輸出機のサービスマニュアルが入手できます。
 ・KENWOOD L-01T 1号機の記録

L01t02 L01t11

■故障状況------------------------------------------------------------

 ・バリコン軸を回転させるプーリーが外れている。
 ・接続部品(ギア、ワッシャー)も外れている。
 ・プーリーに巻かれていた糸も当然解けている。
 ・バリコン軸を手動で回すとTメーターとSメーターは反応しFM放送を受信する。

L01t51 L01t52 L01t53 L01t54 L01t55

■修理記録:外れた部品の復旧------------------------------------------

 ・外れた部品(ギア、ワッシャー)が同梱されていたので助かりました。
 ・まずは外れた部品をバリコン軸に組み付けます。
 ・次に外れた糸を巻き付ける。
 ・糸掛けの手順はサービスマニュアルに記載あります。
 ・多くのバリコンチューナーを分解して糸掛け方法を練習した甲斐がありました。

L01t57 L01t63 L01t58 L01t64 L01t61

■修理記録:85MHz以上が選局できない-----------------------------------

 ・不思議なことに指針が85MHzより上の周波数に移動できません。
 ・チューニングつまみは回りますが、糸がスリップして指針が動かない状態です。
 ・もう一度糸を解いてバリコン軸の回転具合を確認すると普通に回転できます。
 ・指針の動きを観察すると、指針を載せている台座が何かに引っ掛かるようです。
 ・障害物は何も無さそうなのに??

L01t71 L01t70 L01t72 L01t73 L01t80

 ・原因がよく分からないまま清掃を兼ねてフロントパネルを外してみました。
 ・フロント四隅にある丸いプラスチック蓋を外すと隠しネジがあります。
 ・正面から指針の動きを観察するとやはり何かに引っ掛かります??

L01t81 L01t82 L01t83 L01t84 L01t85

 ・照明用豆電球が載っている基板を外したところ、、原因が分かりました!
 ・電球を覆うように貼り付けてある白いアクリル板が右斜め下方向にずり落ちています。
 ・これは電球の光を拡散するためのアクリル板だと思います。
 ・両面テープで基板に貼り付けてありましたが接着力が弱まったのでしょう。
 ・ずり落ちたアクリル板が指針台座にぶつかる位置が84MHz~85MHz付近だったわけです。
 ・アクリル板を一旦剥がして再度張り直して復旧しました。
 ・これで指針がスムーズに移動するようになりました。

■再調整--------------------------------------------------------------

 ・1号機 に倣って各部再調整しました。
 ・故障個所は特にありませんでした。
 ・調整ズレの修正によって良い性能を取り戻したと思います。

L01t20 L01t21 L01t22 L01t23 L01t30
L01t31 L01t32 L01t33 L01t34 L01t35

■FM多重放送によるノイズ問題------------------------------------------

 ・SCA調整は前回1号機と同じ方法で調整できました。
 ・新しい VICS WIDE でも L-01T は従前の調整方法でノイズを回避できます。
 ・KT-9900では SCAスイッチが頻繁に ON/OFF を繰り返す症状がありました。
 ・L-01TとKT-9900のSCAスイッチ回路を比較してみました。
 ・L-01T回路図に記された「SCA TUNED」回路でフィルターが一段少ないです。
 ・コイル型番は同じ。試しに取り替えてみましたが変化なしでした。

Sca_2

【L-01T】
 ・検波信号 → L10 → L11 → IC9(NJM4559)(1/2) → D36 → IC9(NJM4559)(2/2)
 ・部品番号 L10=00050-05-081
 ・部品番号 L11=0050-05-0081
 ・SCA FILTER
 ・部品番号 L12,L13,L14,L15=0048-05-081
【KT-9900】
 ・検波信号 →  →  L6 → IC2(NJM4559)(1/2) → D4 → IC(NJM4559)(2/2)
 ・部品番号 L9 =0050-05-871
 ・SCA FILTER
 ・部品番号 L1,L2,L3,L4=0048-05-871

■試聴----------------------------------------------------------------

 ・漆黒のフロントパネルに映えるオレンジ照明が抜群に美しいです。
 ・フロントに目立つひっかきキズがあるのがちょっと残念、、
 ・でも中身は再調整によって良い性能を取り戻しました。
 ・インテリア兼BGM機として大切に使わせていただきます。

L01t06

2015年11月 3日 (火)

YAMAHA T-1 修理調整記録

 ・2015年9月末、YAMAHA T-1の修理調整作業を承りました。
 ・以下、作業記録です。

Yamaha_t103

■製品情報------------------------------------------------------------

 ・オーディオ回顧録 YAMAHA T-1 ¥60,000円
 ・オーディオの足跡 YAMAHA T-1 ¥60,000円(1977年頃)
 ・取扱説明書 (PDF形式)
 ・回路図

Yamaha_t102 Yamaha_t111

■動作確認------------------------------------------------------------

 ・フロントパネルはキレイです。キズは見当たりません。
 ・天板後部に目立つ引っかきキズ。
 ・FMアンテナを接続して電源オン。ライトグリーンの美しい照明点灯。
 ・指針の照明、メーター照明も点灯。タマ切れなし。
 ・DXインジケーター点灯、STEREOランプ点灯。
 ・さて、肝心のFMは+0.2MHzの周波数ズレ。
 ・Sメーター最大とTメーター中点が一致しない。
 ・FM音声はちょっと歪っぽい感じ。
 ・メーター針の塗装がボロボロ状態。。
 ・AMは全くの無音、局間ノイズも出ない

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Yamaha_t110 Yamaha_t112 Yamaha_t113 Yamaha_t114 Yamaha_t115

■修理記録:メーター指針再塗装----------------------------------------

 ・TメーターとSメーターの指針を見ると、朱色の塗料がボロボロになった状態です。
 ・これではかっこ悪いのでメーターを分解して針を再塗装しました。
 ・分解、組み立ては慎重に、慎重に、、 ※詳しい手順と注意事項は1号機記事参照。
 ・今回はタッチペンで赤く塗りました。

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■修理記録 AM受信-----------------------------------------------------

 ・全くの無音状態、局間ノイズも出ない。
 ・この機種のAMアンテナはFMアンテナと共用するタイプです。
 ・回路図記載の電圧値と実機を確認。特に異常値はない。
 ・TR229 2SD655 → 中古同品に交換 → 効果なし
 ・TR230 2SC1918 → 2SC1815交換 → 効果なし
 ・電解コンデンサ C260,C261,C263 → 新品交換 → 効果なし
 ・これだけ交換して効果なし。
 ・Sメーターが全く動かないのでそもそも受信できていない状態。
 ・あと残っているのは T202,T203ですが部品が無いので未交換です。

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■調整記録------------------------------------------------------------

【レシオ検波調整】
 ・何も受信しない状態 → T201上段コア調整 → Tメーター中点へ
【FM OSC調整】
 ・76MHz受信 → Lo 調整 → Sメーター最大、Tメーター中点
 ・90MHz受信 → TCo調整 → Sメーター最大、Tメーター中点
【FM RF調整】
 ・76MHz受信 → LA,LR1,LR2 調整 → Sメーター最大
 ・90MHz受信 → TCA,TCR1,TCR2 調整 → Sメーター最大
 ・83MHz調整 → IFT 調整 → Sメーター最大
【レシオ検波歪調整】
 ・83MHz受信 → T201下段コア調整 → 高調波歪最小
【IF歪調整】
 ・83MHz受信 → VR201,CF201,CF204調整 → 高調波歪最小
【FM-Sメーター振れ調整】
 ・83MHz受信 → VR202 → Sメーター振れ具合調整
【VCO調整】
 ・変調0% → VR204調整 → 19kHz
【パイロットキャンセル】
 ・83MHz受信 → VR203、T205、T206調整 → 19kHz漏れ信号最小、左右バランス注意
【セパレーション調整】
 ・83MHzステレオ信号受信 → VR205,VR206調整 → セパレーション最大

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■試聴----------------------------------------------------------------

 ・T1の特徴は何といってもエメラルドグリーンに輝く美しい周波数窓です。
 ・メーター針を赤く塗り直した効果も絶大ですね。
 ・FMは現状でベストの状態になったと思います。
 ・一方でAMは不調のまま。申し訳ありませんがこのままお返しします。

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2015年11月 1日 (日)

SONY ST-S333ESXII 修理調整記録5

 ・2015年9月末、ST-S333ESXIIの調整作業を承りました。
 ・特に故障箇所は無かったので各部再調整だけ行いました。
 ・以下、作業記録です。

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■製品情報------------------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 SONY ST-S333ESXII ¥49,800(1987年発売)
 ・1987年10月発行 SONY ES テクノロジーカタログ
 ・Hifi Engine ST-S730ES 海外版サービスマニュアル

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■動作確認------------------------------------------------------------

 ・天板に擦り傷。フロントパネルとサイドウッドはほぼ無傷。
 ・電源OK。FM受信OK。周波数ズレなし。AUTO選局OK。
 ・IF BAND切替OK。MUTING動作OK。STEREOランプ点灯。
 ・CAL TONE出力 OK。
 ・手持ちのループアンテナでAM受信確認OK。
 ・特に不具合は感じません。

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■内部確認------------------------------------------------------------

 ・修理調整記録4 で最終オーディオ回路のLPFに新種を発見しました。
 ・今回の個体は、過去に多く見たアクティブ型でした。
 ・MPX-ICは今回もCXA1064。LA3450を搭載した個体にはなかなか遭遇しません。
 ・このシーズの定番、裏面にGNDハンダクラック多数。

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■修理記録・ハンダクラック修正----------------------------------------

 ・不具合としては発症していませんが予防措置です。
 ・クラック箇所を修正しました。

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■調整記録------------------------------------------------------------

 ・海外版SMの記述をベースにして一部アレンジ。

【FM同調点調整】
 ・IFT205調整 LA1235-7pin~10pin間電圧ゼロ ※調整前実測615mV
 【VT電圧調整】
 ・IC803-5pin電圧測定
 ・90MHz L104調整 21.0V±0.2V ※調整前実測21.6V
 ・76MHz 確認のみ 8.0V±1.0V ※調整前実測8.05V
【SST回路調整】
 ・SST調整はVT電圧調整後、かつトラッキング調整前に行うこと
 ・76MHz受信 RT801調整 IC802-11pin電圧 → 0V
 ・90MHz受信 IC802-9pin電圧 → 14V確認 ※調整前実測14.0V
【トラッキング調整】
 ・IC203(LA1235)-13pin(又はRT204)電圧max
 ・76MHz L101,L102,L103
 ・90MHz CT101,CT102,CT103
【PLL検波調整】
 ・TP201をGNDに落とす
 ・IFT207調整 TP202 DC電圧ゼロ ※調整前実測218mV
 ・CT201調整 歪最小
【IF歪調整】
 ・Wide受信、MUTINGオフ
 ・IC203(LA1235)-13pin電圧計セット
 ・RT202、RT203 時計回り一杯に回す
 ・SSG出力20dBモノラル信号送信
  ・IFT201調整 電圧最大へ
  ・IFT101調整 電圧最大へ
 ・SSG出力80dBにセット
  ・IFT203、RT202を交互に調整 歪最小へ
 ・SSG出力20dBにセット、Mutingオン
  ・IFT202調整 電圧計最大へ
 ・SSG出力80dBステレオ信号送信
  ・IFT204、RT203を交互に調整 歪最小へ
【STEREOインジケータ調整】
 ・RT206 SSG出力20dBでステレオインジケータ点灯
【パイロットキャンセル】
 ・RT303、L301 19kHz信号漏れ最小 左右バランス確認
【セパレーション調整】
 ・RT301 R→L ※調整後実測64dB
 ・RT302 L→R ※調整後実測68dB
【Sメーター調整】
 ・RT204
【MUTINGレベル調整】
 ・RT205
【CAL TONE】
 ・Peak Level-5.8dB 316Hzの波形が出ていました。-6dBに調整。
【AM調整】
 ・RT401 Sメーター調整
 ・RT402 AUTOSTOP調整

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<調整結果>
 ・FM同調点が大きく外れていて周波数ズレ寸前でした。
 ・PLL検波調整にズレが大きかったです。
 ・セパレーション値も大幅に改善しました。

■試聴---------------------------------------------------------------

 ・はんだクラック以外に顕著な不具合はありませんでした。
 ・各部再調整によって良好な性能を取り戻したと思います。
 ・FM/AMとも良い音です。

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