フォト
2017年10月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        

チューナー関連リンク

« Raspberry Pi2 with Durio Sound PRO | トップページ | ROTEL RT-1220 »

2016年1月10日 (日)

KENWOOD KT-3030

 ・2015年11月、KENWOOD KT-3030の修理調整を承りました。
 ・以下、作業内容をご報告します。

Kt303000

■製品情報------------------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 KENWOOD KT-3030 ¥120,000(1984年頃)
 ・オーディオ懐古録 KENWOOD KT-3030 ¥120,000
 ・KENWOODカタログ(1985年1月版) KT-3030 / KT-2020 / KT-1010II / KT-880
 ・Hifi Engine  KENWOOD KT-1100SD

Kt303002 Kt303006
Kt303007 Kt303008 Kt303009 Kt303010 Kt303012

■動作確認------------------------------------------------------------

<依頼者様からお聞きした不具合状況>
 ・FM放送受信中に「ザザッ」と雑音が入る。
 ・FM放送受信中にときどき音が消える。
 ・すぐに音が戻るときもあれば、数秒~数分かかるときもある。

<確認事項>
 ・FMアンテナを接続して電源オン。
 ・電源投入直後は周波数などを表示する蛍光管表示部全体の輝度が不安定。
 ・しばらく時間が経つと明るく安定する。
 ・ただ周波数の「小数点」「FM」「MHz」が表示されない。
 ・この状態でAUTO選局を開始すると蛍光管表示部全体の輝度が明滅する。
 ・どこか放送局を受信して停止すると輝度は明るい状態で安定する。
 ・いつの間にか周波数の「小数点」「FM」「MHz」が表示されている。

 ・名古屋地区のFM放送局はすべて受信OK。周波数ズレなし。
 ・SIGNALメーター点灯。Tメーター動作OK。DEVIATIONメーター点灯。STEREOランプ点灯。
 ・RF SELECTOR DIRECT/DISTANCE切替に伴って表示切替OK。
 ・IF BAND 切替スライドVRに伴ってWide/Narrow表示切替OK。
 ・MUTING動作OK、REC CALトーンOK。
 ・固定/可変出力とも出音確認。可変VRにガリ無し。
 ・マルチパスH端子からもFM音声確認。
 ・メモリ登録動作OK。電源プラグを抜いて1週間後もメモリ保持していました。

 ・動作確認中にご指摘の「ザザッ」という雑音を確認。
 ・「ザザッ」という雑音が数回聞こえた後、一瞬音が消える症状も確認。
 ・音が消えている間はSIGNALメーターの表示が消失、STEREOランプも消灯。
 ・音が消えている間はマルチパスH端子の出力は「ザー」という局間ノイズになる。
 ・音が出ない理由はMUTINGが効いているから。MUTINGオフにすると局間ノイズでした。
 ・音が出ない時間は数秒くらいでした。
 ・その後数回に渡って音が出なくなる(MUTINGが作動する)症状を確認しました。
 ・受信感度が低下 → MUTING作動 → 音が出なくなる。

 ・電源コードの印字「1995」。電源コードは別製品に交換済みのようです。
 ・底板にKENWOODサービスの修理記録シール「02.01.17」

Kt303013 Kt303040 Kt303041 Kt303050

■内部確認------------------------------------------------------------

 ・カタログには性能を誇示する「カタカナ用語」が並びますね。
 ・実機で確認しながらその機能を読み解きました。

【ダイレクト・リニア・レセプション・サーキット】
 ・バリキャップ12個を使ったパラレルツイン回路+MOS-FET
 ・OSC周波数対VT電圧特性を全周波数に渡って直線(リニア)にする

【DLLD:ダイレクト・リニア・ループ・ディテクタ】
 ・IF信号をダイレクトに直線化して閉ループ検波器で検波。
 ・閉ループ内の歪補正回路でVCOの非直線歪を打ち消す

【DCC:ディストーション・コレクティング・サーキット】
 ・IF段の2次~4次歪までキャンセルする機能

【DPD:ダイレクト・ピュア・デコーダー】
 ・38kHzの純粋な正弦波で検波出力と掛け算する方式。
 ・38kHz方形波で問題になる114kHzや190kHzの高調波成分を含まない。

Kt303020 Kt303021 Kt303022 Kt303023 Kt303024
Kt303025 Kt303026 Kt303027 Kt303028 Kt303029
Kt303030 Kt303031 Kt303032 Kt303033 Kt303034

 ・IC13 AN7418 FM Stereo Multiplex Demodulator
 ・VR1:DET DIST.
 ・VR2:2ND MONO DIST.
 ・VR3:2ND L ONLY DIST.
 ・VR4:3RD MONO DIST.
 ・VR5:3RD SUB DIST.
 ・VR6:4TH MAIN 10k DIST.
 ・VR7:4TH L ONLY 10k DIST.
 ・VR8:W2 BAND DIST.
 ・VR9:N1 BAND DIST.
 ・VR10:N2 BAND DIST.
 ・VR11:PILOT CANCEL
 ・VR12:VCO
 ・VR13:SEPARATION Lch
 ・VR14:SEPARATION Rch
 ・VR15:SEPARATION W2
 ・VR16:SEPARATION N1
 ・VR17:SEPARATION N2
 ・VR18:SIGNAL LEVEL
 ----------------------------
 ・VR1:DEVIATION
 ・VR2:T.CENTER

■修理記録:蛍光管表示部の接触不良----------------------------

 ・蛍光管表示部と基板との接合部をルーペ観察するとハンダクラック発見。
 ・接合箇所のハンダをすべてやり直しました。
 ・小数点もキチンと表示されるようになりました。

Kt303040_2 Kt303041_2 Kt303042 Kt303043

■修理記録:「ザザッ」という雑音と音が消える症状----------------------

 ・不具合発生時はSIGNALメーターのレベル表示がすべて消える。
 ・マルチパスH端子からは「ザーッ」という局間ノイズしか聞こえない。
 ・つまり感度を失っている、全く受信していない状態になっています。

Kt303070

 ・経験的にフロントエンド内トリマコンデンサの接触不良を疑いました。
 ・試しにOSCトリマTC6に軽く触れたところ不具合症状が再現されました。
 ・このTC6をグリグリと30回ほど回したところ不具合が発生しなくなりました。
 ・原因はTC6の接触不良と思われます。
 ・RF部のトリマコンデンサTC1~TC5にも同様の軽い接触不良がありました。
 ・今回は交換していませんが、サービスマニュアルにトリマ容量の記載がありました。
 ・TC1,TC3,TC4,TC5(白色)= 11PF
 ・TC2,TC6(青色)= 7PF

■調整記録------------------------------------------------------------

 ・輸出機KT-1100SDのサービスマニュアルをベースにして一部アレンジしました。
 ・D-3300Tで確認した調整方法とほぼ同じです。
 ・IF BAND スイッチ記号:(左端)N2 ← N1 ← (中央) → W2 → W1(右端)

Kt3030algn

【本体設定】
 ・RF SELECTOR:DISTANCE
 ・IF BAND:W1(右端位置)
【VT電圧】
 ・TP1~TP2 DC電圧計セット
 ・アンテナ入力なし
 ・76MHz →  L6調整 → 3.0V ※実測 2.4V
 ・90MHz → TC6調整 →24.0V ※実測20.3V
【検波調整】
 ・TP7~TP8 DC電圧計セット
 ・83MHz(1kHz,100%変調,80dB)受信 → L21調整 → 0.0V
【RF調整】
 ・Multipath V端子 DC電圧計セット
 ・76MHz(1kHz,100%変調,40dB)→ L1~L5調整 → 電圧最大
 ・90MHz(1kHz,100%変調,40dB)→ TC1~TC5調整 → 電圧最大
【IFT調整】
 ・Multipath V端子 DC電圧計セット
 ・83MHz(1kHz,100%変調,40dB)→ L11,L12調整 → 電圧最大
 ・83MHz(1kHz,100%変調,40dB)→L14,L18調整 → 電圧最大
【MPX VCO調整】
 ・TP9に周波数カウンタ接続
 ・83MHz(無変調,80dB) → VR12調整 → 76.000kHz
【PILOT CANCEL調整1】
 ・音声出力をWavespectraで観察
 ・83MHz(19kHz信号,10%変調,80dB)→ VR11調整 → 19kHz信号最小
 ・83MHz(19kHz信号,10%変調,80dB)→ L26 調整 → 19kHz信号最小
 ・左右chのバランス確認
【SUB CARRIER調整(38kHz)】
 ・音声出力をWavespectraで観察
 ・83MHz(SUB信号,1kHz90%変調+19kHz10%変調,80dB)→ L28調整 → Lchレベル最大
【歪調整1 DET】
 ・83MHz(MONO信号,400Hz,100%変調,80dB)→ VR1調整 → 歪率最小
【歪調整2 MONO】
 ・83MHz(MONO信号,1kHz,100%変調,80dB)→ VR2調整 → 歪率最小
【歪調整3 MONO】
 ・83MHz(MONO信号,1kHz,100%変調,80dBu)→ VR4調整 → 歪率最小
【歪調整4 STEREO/L】
 ・83MHz(L信号,1kHz90%変調+19kHz10%変調,80dB)→ VR3調整 → 歪率最小
【歪調整5 STEREO/SUB】
 ・83MHz(SUB信号,1kHz90%変調+19kHz10%変調,80dB)→ VR5調整 → 歪率最小
【歪調整6 STEREO/MAIN】
 ・83MHz(MAIN信号,1kHz90%変調+19kHz10%変調,80dB)→ VR6調整 → 歪率最小
【歪調整7 STEREO/L】
 ・83MHz(L信号,10kHz,90%変調+19kHz10%変調,80dB)→ VR7調整 → 歪率最小
【歪調整8 W2】
 ・IF BAND=W2
 ・83MHz(SUB信号,1kHz90%変調+19kHz10%変調,80dB)→ VR8調整 → 歪率最小
【歪調整9 N1】
 ・IF BAND=N1
 ・83MHz(SUB信号,1kHz90%変調+19kHz10%変調,80dB)→ VR9調整 → 歪率最小
【歪調整10 N2】
 ・IF BAND=N2
 ・83MHz(SUB信号,1kHz90%変調+19kHz10%変調,80dB)→ VR10調整 → 歪率最小
【SEPARATION調整1 W1】Super Wide
 ・IF BAND=W1
 ・83MHz(R信号,1kHz90%変調+19kHz10%変調,80dB)→ VR13調整 → Lchもれ最小
 ・83MHz(L信号,1kHz90%変調+19kHz10%変調,80dB)→ VR14調整 → Rchもれ最小
【SEPARATION調整2 W2】Wide
 ・IF BAND=W2
 ・83MHz(R/L信号,1kHz90%変調+19kHz10%変調,80dB)→ VR15調整 → もれ最小
【SEPARATION調整3 N1】Narrow
 ・IF BAND=N1
 ・83MHz(R/L信号,1kHz90%変調+19kHz10%変調,80dB)→ VR16調整 → もれ最小
【SEPARATION調整4 N2】Super Narrow
 ・IF BAND=N2
 ・83MHz(R/L信号,1kHz90%変調+19kHz10%変調,80dB)→ VR17調整 → もれ最小
【SIGNAL METER調整】
 ・83MHz(無変調,70dB)→ VR18調整 → 7番目のドット(最上段)点灯
【TUNING METER調整】
 ・83MHz(MAIN信号,1kHz100%変調)→ 2階基板VR2調整 → ※
  ※中央の縦白セグメント点灯、両側の赤縦セグメントの中点へ
【MODULATION METER調整】
 ・83MHz(MAIN信号,1kHz100%変調)→ 2階基板VR1調整 → ※
  ※MODURATIONメーター100%位置で点灯

Kt1100sd_sche_s

■修理記録:セパレーション調整用VR交換--------------------------------

 ・上記調整でVR13,14を回しても最適値に決めきれない状態でした。
 ・セパレーション調整用VR13、VR14(502:5kΩ)を新品に交換しました。
 ・交換後はセパレーション最適値がピタッと決まりました。

Kt303060 Kt303061

■試聴----------------------------------------------------------------

 ・通常RF=DISTANCE。FM送信塔に近くて電波が強すぎる場合はRF=DIRECT。
 ・通常IF BAND= WIDE側(右端)。近接局の影響がある場合は順次NARROW側へ調整。
 ・RF=DISTANCEにすると通常は入感しないコミュニティFM局や遠距離局も受信できます。
 ・受信感度は抜群に良いです。

Kt303003

■おまけ--------------------------------------------------------------

 ・本機が掲載された カタログ の中面に当時のFM-TOKYOのスタジオ風景写真が載っています。
 ・使われている機材を見ると時代を感じます。

« Raspberry Pi2 with Durio Sound PRO | トップページ | ROTEL RT-1220 »

ピュアオーディオ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« Raspberry Pi2 with Durio Sound PRO | トップページ | ROTEL RT-1220 »