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2016年4月の記事

2016年4月24日 (日)

TRIO KT-7700 修理調整記録2

 ・外観がとても綺麗なKT-7700の調整作業をお引き受けしました。
 ・今回は調整記録をキッチリ残そうと思って作業しました。
 ・以下、その記録です。

Kt770009

■製品情報------------------------------------------------------------

 ・オーディオ懐古録 TRIO KT-7700 ¥78,000(1976年)
 ・TRIO KT-7700/KT-7500 カタログ 1976年5月版
 ・Hifi Engine KENWOOD KT-8300 ※輸出機 型番注意!

Kt770001 Kt770003 Kt770004 Kt770005 Kt770007

■動作確認------------------------------------------------------------

 ・外観はとてもキレイな個体で目立つキズはほとんどない。
 ・FM同軸アンテナを接続して電源オン。
 ・周波数窓と3つのメーターを照らすオレンジ色の照明が点灯。電球切れ無し。
 ・地元のFM放送局をすべて受信OK。+0.1MHz程度のわずかな周波数ズレ。
 ・ただTメーター中点とSメーター最大点が微妙に一致しない。
 ・STEREOランプ点灯。
 ・IF BAND切替でNARROW時のインジケーター(赤色LED)が点灯しない。
 ・MPX FILTERオン時のインジケーター(赤色LED)が点灯しない。
 ・MUTING動作OK。可変出力VRに多少のガリ。
 ・MULTIPATH H出力から音声確認。
 ・ステレオ放送受信時、WIDE/NARROWともLchの音量がやや小さい。
 ・さらにLchだけに常時小さな雑音が入っている。
 ・NARROW時はさらに音質が劣化している感じ。

Kt770020 Kt770021 Kt770022 Kt770023 Kt770024
Kt770025 Kt770026 Kt770027 Kt770028 Kt770029
Kt770030 Kt770031 Kt770032 Kt770033 Kt770006

■修理記録:左右chの音量差--------------------------------------------

 ・まずは後述の調整作業を一通り行いました。
 ・調整によって受信性能は格段に向上しました。
 ・ただ、Lchの音量がやや小さい、Lchだけ雑音が混入する。
 ・故障個所を探して音声出力端子から溯ってMPX回路の各部確認。
 ・IC13 JRC4558TC出力 1ピン(Rch)と7ピン(Lch)電圧が異なる。
 ・IC13 JRC4558TC入力 3ピン(Rch)と5ピン(Lch)電圧は同じ。
 ・カンタイプの4558をゲジゲジ虫の4558に交換。
 ・ピンポン!これで左右の音量差は解消しました。
 ・ただ、Lch側のノイズは解消しない。

Kt770065 Kt770062_2 Kt770063 Kt770064

■修理記録:ノイズ源捜索----------------------------------------------

 ・ノイズ源を探してさらに回路図を溯る。
 ・16kHzフィルターに入る直前のQ29,Q30 ベース電圧が異なる。
 ・IC21 HA1156出力 4ピン(Rch)と5ピン(Lch)電圧は同じ。
 ・ということはノイズ源として怪しいのはQ26かQ28。
 ・どちらも2SC1345だったのでこれを2SC1815に交換。※足の配列に注意。
 ・正解でした。Lchの不快なノイズが無くなりました。
 ・この後、左右のバランスを保つためにRch側のQ22,Q24も交換。
 ・ついでに左右の音声信号が通過する電解コンデンサ交換
 ・C71,C72,C79,C80(1uF/50V)

Kt770060 Kt770061

■修理記録:LED交換--------------------------------------------

 ・IF BANDインジケーターはオリジナルと同じ中古LEDに交換。
 ・MPX FILTERインジケーターは緑色のLED交換。
 ・凸型LEDの在庫が緑色しかなかったのでご容赦ください。
 ・サイズが微妙に異なるので、100均材料で台座の高さを加工しています。

Kt770070 Kt770071 Kt770072_2 Kt770073
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■調整記録------------------------------------------------------------

【検波調整】
 ・IF BAND=NARROW
 ・アンテナ入力なし → VR 4調整 → Tメーター中点
 ・IF BAND=WIDE
 ・アンテナ入力なし → VR12調整 → Tメーター中点
【フロントエンドOSC調整】
 ※OSCトリマ調整孔が背面にありますが、隙間が狭いのでこれを回すのは難しいです。
 ※+0.1MHzの周波数ズレはご容赦ください。
【フロントエンドRF調整】
 ・TP1(R77右足)→ DC電圧計セット
 ・IF BAND=NARROW
 ・76MHz 1kHz 100%変調 60dB 受信 → RFコイル6個調整 → 電圧最大
 ・90MHz 1kHz 100%変調 60dB 受信 → RFトリマ6個調整 → 電圧最大
【検波調整】※繰り返し
 ・IF BAND=NARROW
 ・アンテナ入力なし → VR 4調整 → Tメーター中点
 ・IF BAND=WIDE
 ・アンテナ入力なし → VR12調整 → Tメーター中点
【IFトリガー調整】
 ・TP1(R77右足)→ DC電圧計セット
 ・83MHz 無変調 60dB 受信 → L11調整 → 電圧最大
 ・83MHz 無変調 0dB 受信 → L10調整 → 電圧最大(※L10 フロントエンド内)
【IFトリガーレベル調整】
 ・83MHz 無変調 60dB 受信 → VR2調整 → 電圧DC1.8V
 ・アンテナ入力なし→ VR1調整 → 電圧DC0.6V
【Sメーター振れ調整】
 ・83MHz 無変調 80dB 受信 → VR3調整 → Sメーター目盛り5
【MUTING調整】
 ・MUTING=1
 ・83MHz 無変調 16dB 受信 → VR9調整 → MUTING作動
【VCO調整】
・周波数カウンタをTP2接続
 ・アンテナ入力なし → VR 7調整 → 19kHz
【OUTPUTレベル調整】
 ・FM DET OUT端子にAC電圧計セット
 ・76MHz 1kHz 100%変調 60dB 受信 → VR10調整 → 電圧AC300mV
【セパレーション調整】
 ・音声出力端子にWaveSpectra接続
 ・83MHz ステレオ信号 60dB受信 → VR 5調整 → Lch信号最小
 ・83MHz ステレオ信号 60dB受信 → VR 6調整 → Rch信号最小
【ステレオ歪調整】
 ・音声出力端子にWaveSpectra接続
 ・83MHz ステレオ信号 60dB受信 → L10調整 → 高調波歪最小
【DEVIATIONメーター調整】
 ・83MHz 1kHz 100%変調 60dB 受信 → VR 8調整 → Dメーター目盛り100%

Trio_kt7700_alig

Kt770040_2 Kt770041_2 Kt770050_2 Kt770051_2 Kenwood_kt8300sche

■試聴----------------------------------------------------------------

 ・オレンジ色の照明窓がとても美しい個体です。
 ・TメーターとSメーターの動きが一致すると気持ちイイですね。
 ・LEDの色がアンバランスですが、、
 ・同時に3個とも点灯させることは多分ないのでご容赦ください。

Kt770010

2016年4月10日 (日)

Victor FX-711 修理調整記録2

 ・2016年1月、Victor FX-711の故障品2台セットが届きました。
 ・最悪の場合はニコイチで、とも思いましたが幸い2台とも復活しました。
 ・以下、作業記録です。

Fx71101

■製品情報------------------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 VICTOR FX-711 ¥49,800(1987年頃)
 ・オーディオ懐古録 Victor FX-711 ¥49,800
 ・Hifi Engine JVC FX-1100 サービスマニュアル、回路図あり
 ・FX-711 取扱説明書 PDF形式

Fx71103

■動作確認------------------------------------------------------------

【1号機】フロントパネルにシールあり
 ・ひどいヤニ汚れ。ボディには細かい擦り傷多数。
 ・電源投入OK、表示管点灯、周波数表示OK。
 ・ところが STEREO/MONOともに全く入感しません。
 ・電界強度表示は 0dB を示すだけです。

Fx711101 Fx711103 Fx711105 Fx711106 Fx711107

【2号機】フロントパネルにシールなし
 ・ヤニ汚れは無いものの、ボディには細かい擦り傷多数。
 ・電源投入OK、表示管点灯。周波数表示OK。
 ・オート選局で名古屋地区のFM放送局を受信しました。
 ・アンテナA/B切替、RF切替、IF BAND切替、MUTING、REC CAL音など動作OK。
 ・STEREOランプ点灯。
 ・電界強度表示は100dB~120dBと実際より相当高い値を示します。
 ・手元にあった適当なループアンテナでAM受信確認。
 ・名古屋地区のAM放送局を受信しました。
 ・ただ1000kHz以上の放送局の受信感度が悪いようです。

Fx711201 Fx711203 Fx711108 Fx711205 Fx711206

■1号機:修理記録:電源----------------------------------------------

 ・まずは1号機の電源周りを調査しました。
 ・電源基板から出ている電圧は正常ですが、メイン基板Q3エミッタ電圧がおかしい。

【メイン基板 電源部】
 ・Q801エミッタ電圧(+30V):+28.5V
 ・Q803エミッタ電圧(+12V):+1.5V →R817交換→ +11.8V
 ・Q805エミッタ電圧(+ 5V):+ 5.1V
 ・Q808エミッタ電圧(-12V):-12.8V

 ・周囲を調べてみると Q802(2SC458)の電圧がおかしい。
 ・Q802を 2SC1815 に交換 → 変化なし
 ・不具合の原因はヒューズ抵抗 R817 4.7Ω の断線でした。
 ・R817 を外して見ると黒く焼け焦げた跡があります。
 ・これを交換したところ、電界強度表示が出現、FM放送を受信できるようになりました。

Fx711120 Fx711121 Fx711125 Fx711126

■1号機:再び動作確認--------------------------------------------------------

 ・電界強度表示が現れてFM放送を受信できるようになりました。
 ・ただしモノラル受信だけ可能で、STEREO受信では全く音が出ません。
 ・モノラル受信=MUTINGオフの状態
 ・電界強度表示は60dB辺りを示すのに音が出ない、、
 ・動作を見ているとどうやらMUTINGが効いている感じ?
 ・同調点検出がズレているため MUTINGが解除できないのか?

■1号機:修理記録:FM同調点------------------------------------------

・まずは過去の事例に倣って一通り受信調整してみました。
・すると、
【FM同調点調整】
 ・TP103 DC電圧計セット
 ・83MHz 1kHz 100%変調 70dB → T206調整 → 0V±1.5mV
 ・この電圧が最小でも100mV前後。0Vに合わせられません。

 ・どうやら T206内部のコンデンサ容量抜けのようです。
 ・回路図で確認、R667に並列に22pF温度補償型コンデンサをハンダ面に外付け。
 ・これでTP103電圧をゼロに設定できました。
 ・上記調整でFM同調点が決まった途端、STEREO受信できるようになりました。
 ・やはり同調点ズレのため受信したと判定できず、MUTINGが解除できなかったわけです。
 ・あとは再調整で直りそうです。

Fx711130 Fx711131 Fx711132 Fx711140 Fx1100bk_la1266

■1号機:調整記録-----------------------------------------------------

 ・英文サービスマニュアルの調整方法を一部アレンジして調整しました。
 ・フロントパネルスイッチ設定
 ・RF MODE=DX
 ・IF BAND=WIDE
 ・MUTING=OFF

Fx711algn

●FM部
【VT電圧】
 ・TP101 DC電圧計セット
 ・受信周波数 76MHz → L151調整 → 7.5V±0.1V
 ・受信周波数 90MHz → TC105調整 → 22.0V±0.1V
 ・上記作業を数回繰り返す
【RFトラッキング調整】
 ・76MHz 1kHz 100%変調 40dB → L103,L104,L105,L106調整 → dB表示最大
 ・90MHz 1kHz 100%変調 40dB → TC101,TC102,TC103,TC104調整 → dB表示最大
 ・上記作業を数回繰り返す
【IFT調整】
 ・83MHz 1kHz 100%変調 40dB → T101調整 → dB表示最大
【PLL検波 VCO調整】
 ・TP104 周波数カウンタ接続
 ・受信バンド切替 → AM
 ・何も受信しない状態 → T208粗調整 → 10.7MHz±0.01MHz
 ・何も受信しない状態 → T208微調整 → 10.7MHz±0.01MHz
 ・受信バンド切替 → FMに戻す
【FM dB表示調整】
 ・83MHz 1kHz 100%変調 70dB → VR602調整 → 表示74dB
 ・83MHz 1kHz 100%変調 30dB → VR601調整 → 表示24dB
 ・上記作業を数回繰り返す
【モノラル歪調整:WIDE】
 ・IF BAND=WIDE
 ・音声出力をWaveSpectra接続
 ・83MHz 1kHz 100%変調 70dB → T204(黒)調整 → モノラル歪最小
【ステレオ歪調整:WIDE】
 ・IF BAND=WIDE
 ・音声出力をWaveSpectra接続
 ・83MHz 1kHz stereo変調 70dB → T202(黒)調整 → ステレオ歪最小
 ・QSCインジケーターが点灯していないことを確認
【ステレオ歪調整:NARROW】
 ・IF BAND=NARROW
 ・音声出力をWaveSpectra接続
 ・83MHz 1kHz stereo変調 70dB → T201(黒)調整 → ステレオ歪最小
 ・QSCインジケーターが点灯していないことを確認
【FM同調点調整】
 ・IF BAND=NARROW
 ・TP103 DC電圧計セット
 ・83MHz 1kHz 100%変調 70dB → T206調整 → 0V±1.5mV
【MUTINGレベル調整】
 ・MUTING=ON
 ・83MHz 1kHz 100%変調 20dB → VR604調整 → MUTING作動確認
【セパレーション調整】
 ・IF BAND=WIDE
 ・音声出力をWaveSpectra接続
 ・83MHz 1kHz STEREO変調 70dB → VR401調整 → Rch > Lchもれ最小
 ・83MHz 1kHz STEREO変調 70dB → VR402調整 → Lch > Rchもれ最小
 ・QSCインジケーターが点灯していないことを確認
【パイロット信号キャンセル調整】
 ・音声出力をWaveSpectra接続
 ・83MHz 1kHz STEREO変調 70dB → VR403調整 → 19kHzもれ最小
 ・左右chのバランスに注意
【REC CAL調整】
 ・83MHz 1kHz STEREO変調 70dB → 通常受信で出力レベル記録
 ・83MHz 1kHz STEREO変調 70dB → VR404調整 → 上記記録-6dBに設定
 ・TONE 427Hz

●AM部
【VT電圧】
 ・TP102 DC電圧計セット
 ・受信周波数 522kHz → L302調整 → 1.8V±0.1V
 ・受信周波数1629kHz → TC302調整 → 22.0V±0.1V
 ・上記作業を数回繰り返す
【トラッキング調整】
 ・ 729kHz(NHK第一)受信 → L301調整 → 感度最大
 ・1332kHz(東海ラジオ)受信 → TC301調整 → 感度最大
 ・上記作業を数回繰り返す
【AM dB表示調整】
 ・999kHz 90dB送信 → VR603調整 → ※AMのdB値は適当です。

■2号機:修理記録 高い周波数のAM局の受信感度が悪い

 ・TC301,TC302 トリマコンデンサ(20pF)を交換交換しました。
 ・交換後にAM部の調整をやり直しました。
 ・たぶん大丈夫だと思います。

Fx711230 Fx711240 Fx711241

■1号機、2号機:修理記録 キャパシタ交換------------------------------

 ・1号機、2号機とも登録したメモリ内容がすぐに消えてしまいます。
 ・フロントパネル内側基板にある電気二層コンデンサを交換しました。
 ・C703 0.047uF/5.5V → 0.1uF/5.5V
 ・電源プラグを抜いて1週間後もメモリ内容を保持していました。

Fx711141 Fx711142 Fx711143 Fx711144

■追記:タクトスイッチ------------------------------------------------

 ・フロントパネルのスイッチのうち、反応の鈍いものがいくつかあります。
 ・パネルを外してみると、タクトスイッチ(6mm角 ボタン高6mm)合計32個ありました。
 ・本来はタクトスイッチ全数交換がベストですが、ちょっと数が多過ぎて、、、
 ・何度もON/OFFを繰り返すうちに反応するようになったので、
 ・今回は交換は見送りました。

Fx711220 Fx711224 Fx711225 Fx711226

■試聴-------------------------------------------------------------

 ・1号機はちょっと手間がかかりましたがどちらも復活しました。
 ・両機とも良い性能を取り戻したと思います。

Fx71104

2016年4月 3日 (日)

YAMAHA TX-2000

 ・2015年12月末、YAMAHA TX-2000の調整作業を承りました。
 ・TX-2000は1台所有していますが調整記録を残していませんでした。
 ・今回はキチンと記録を残すことも目的として作業を進めました。

Tx200003_2

■製品情報------------------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 YAMAHA TX-2000 ¥100,000(1988年発売)
 ・Hifi Engine YAMAHA TX-2000 ※海外版サービスマニュアルあり

Tx200002 Tx200012

特長~取扱説明書から抜粋~

●高性能FMチューナー部
フロントエンドは高感度MOS FETを採用したRF増幅段、高SN比・高耐圧のツインバラクターダイオード採用の同調段、妨害特性に優れたデュアルゲートMOS FET採用のミキサー段で構成。IF段は電波の状態に応じて選択できるNARROW、WIDEの2モードを採用。MPX段には妨害ノイズを効果的にカットする新タイプのMPX回路の採用に加え、パイロットピュアキャンセラー回路を内蔵。本機は高感度・低歪率・高選択度を実現するとともに、高い信頼性を獲得しました。
●高性能AMチューナー部
2連バラクターダイオード、非同調高利得RFカスコード増幅段、二重平衡型作動ミキサーを装備したRF段。IF同調コイルと高選択度セラミックフィルター使用のIF段、低歪率ディスクリミネータで構成されるAMチューナー部は電界性雑音に強いローインピーダンスアンテナとともにAM放送を高感度・高忠実度で安定に受信します。
●マルチチューニングシステム
オート、マニュアル、ファインチューニングに加え、本機はFM/AM放送局をランダムに24局までメモリーし、プリセットキーを押すだけで選局することのできるプリセット選局機能を装備、正確で操作性の良いチューニングができます。
●CSL(コンピューターサーボロック)チューニング
PLLモードとFMサーボモードの2種類のチューニングモードをマイコンが信号の状態に応じて制御、正確で歪みの少ないFM受信をすることができます。
●マルチステイタスメモリー
プリセットメモリーは周波数と同時に、プリセット時に設定していた受信状態をすべてメモリーします。また自由に編集できるステーションコールサインメモリー機能も装備しました。
●リモコン標準装備
付属のリモコンを使用しますと、リスニングポジションを離れることなくプリセット選局をすることができます。

Tx200001 Tx200006 Tx200007 Tx200008 Tx200011

■動作確認------------------------------------------------------------

【依頼者様からお聞きした症状】
 ・他のチューナーと比較して受信感度が低い。
 ・同調する周波数が日によって変動することが多い。

【確認事項】
FM部
 ・本体はとても綺麗でサイドウッドはツルピカ、うっとりする美しさです。
 ・電源オン。オレンジ色の表示点灯。輝度劣化もなく眩しいほど輝いています。
 ・FMアンテナ端子はF型でA/B 2系統。同軸ケーブルを接続して受信確認。
 ・オート選局、マニュアル選局で名古屋地区のFM局を正常に受信できました。
 ・受信周波数にズレはありませんが、受信時の挙動から同調点ズレの気配を感じます。
 ・例えばNHK-FM(82.5MHz)の場合、82.4MHzで一旦停止してから躊躇うように82.5MHzになる。
 ・ファインチューニングにすると、82.5MHzに対して82.42MHz辺りでSメータ最大となる。
 ・IF MODE切替をAUTOにするとすべての局で NARROW 受信になる。

 ・翌日電源を入れてメモリ保持状態を確認したところ、、
 ・登録した周波数は記憶されていましたが、なぜかその周波数ではFM放送受信不可。
 ・マニュアル選局で周波数を少しずらしてみると82.5MHzのNHK-FMが82.3MHzで受信。
 ・オート選局を試してみると 82.3MHzでピタッと止まります。
 ・「周波数が日によって変動する、、」という現象の意味が分かりました。

AM部
 ・立派なスタンド型AMループアンテナが同梱されていました。
 ・取扱説明書に掲載されているイラストと同じ形なので純正付属品だと思います。
 ・「電界性雑音に強いローインピーダンスアンテナ」と解説されています。
 ・このアンテナを接続してAMの受信確認。
 ・名古屋地区のAM放送局をオート選局で正常受信しました。
 ・シグナルメーターはどの局も振り切れます。
 ・AM部は問題なさそうです。

ワイヤレスリモコン RS-TX2000
 ・単三電池2本セットして動作確認。
 ・プリセットしたメモリー24局を選局できる機能があります。
 ・というか、メモリ選局しかできないリモコンです。

Tx200013 Tx200020 Tx200021 Tx200023 Tx200024

■内部確認------------------------------------------------------------

 ・サイドウッドの側面には固定用のネジ穴がありません。
 ・サイドウッドとボディは連結され、底面と後面のネジで本体に固定されていました。
 ・シャーシは分厚い銅板製、大きな電源トランス、フロントエンドのシールドケースも銅製。
 ・さすが高級機ですね。豪華な造りになっています。
 ・フロントエンドは5連バリキャップ → WIDE/NARROW 2系統IF段 → レシオ検波

 ・LA1266:FM/AM一体型IF SYSTEM
 ・LA3433:PLL MPX IC
 ・VR 1:IF WIDE STEREO歪調整
 ・VR 2:IF WIDE STEREO歪調整
 ・VR 3:IF NARROW STEREO歪調整
 ・VR 4:IF NARROW STEREO歪調整
 ・VR 5:IF NARROW STEREO歪調整
 ・VR 6:IF NARROW STEREO歪調整
 ・VR 7:IF WIDE STEREO歪調整
 ・VR 8:IF WIDE STEREO歪調整
 ・VR 9:IF MONO歪調整
 ・VR10:S-Meter調整
 ・VR11:NARROWセパレーション調整 L→R
 ・VR12:NARROWセパレーション調整 R→L
 ・VR13:WIDEセパレーション調整 L→R
 ・VR14:WIDEセパレーション調整 R→L
 ・VR15:PILOT CANCEL調整
 ・VR17:IF OFFSET調整

 ・T 7:レシオ検波
 ・T 6:IF WIDE STEREO歪調整
 ・T13:IF WIDE STEREO歪調整
 ・T10:PLL入力位相調整
 ・T12:PLL入力位相調整
 ・T11:PILOT CANCEL調整

Tx200030 Tx200031 Tx200032 Tx200034 Tx200033
Tx200035 Tx200036 Tx200037 Tx200038 Tx200039
Tx200040 Tx200041 Tx200042 Tx200043 Tx200044
Tx200045 Tx200046 Tx200047 Tx200048 Tx200049
Tx200050 Tx200051 Tx200052 Tx200053 Tx200054
Tx200055 Tx200056 Tx200057 Tx200058 Tx200060

■調整記録------------------------------------------------------------

 ・同調ズレがありそうなのでまずは一通りの調整作業を行いました。
 ・海外版サービスマニュアルを一部アレンジ。

【本体設定】
 ・電源投入から5分以上経過していること
 ・OSCコイル、IFTの調整には金属製ドライバーは使用しないこと
 ・まずFMセクションを調整し、次にAMセクションを調整すること
 ・MODE:AUTO ST
 ・BLEND:OFF
 ・IF MODE:NARROW
 ・RF ATT:OFF
 ・FINE TUNING ON → すなわちCSL停止状態
 ・オーディオ出力をWaveSpectra接続
【電圧確認】
 ・+30 → +29V±1V → ※実測+28.6V
 ・+12 → +12.5V±0.5V → ※実測+12.3V
 ・-12 → -12.5V±0.5V → ※実測-12.2V
 ・+ 6 → + 6V±0.5V ※実測+6.2V
【VT電圧確認】
 ・L17の足に DC電圧計接続
 ・受信周波数 90MHz → T8調整 → 25.7V
 ・受信周波数 76MHz → 7.2V ※確認のみ
【FMフロントエンド調整】
 ・VR10の足 DC電圧計セット
 ・77.00MHz(SSG) 無変調 60dB受信 → FINE TUNING 電圧最大となる周波数を探す
 ・77.07MHz(TX2000)にて電圧最大
 ・この状態で T1,T2,T3,T4調整 → 電圧最大
 ・89.00MHz(SSG) 無変調 60dB受信 → FINE TUNING 電圧最大となる周波数を探す
 ・89.08MHz(TX2000)にて電圧最大
 ・この状態で VC1,VC2,VC3,VC4調整 → 電圧最大
【レシオ検波調整】
 ・VR10の足 DC電圧計セット
 ・83.00MHz(SSG) 70dB 無変調 →  FINE TUNING 電圧最大となる周波数を探す
 ・83.07MHz(TX2000)にて電圧最大
 ・基板上のFM S端子~GND間にDC電圧計セット
 ・83.07MHz(TX2000)位置で受信した状態 → T7調整 → 電圧ゼロ
 ※以下、信号発生器 83.00MHz送信 → TX2000 83.07MHz受信
【モノラル歪調整】
 ・83.07MHz(TX2000) 70dB 1kHz 100%変調 → VC5,VR9調整 → Mono歪最小
【PLL入力位相調整】
 ・83.07MHz(TX2000) 70dB 1kHz STEREO(L-R) → T10,T12調整 → Lch出力最大
【ステレオ歪調整】NARROW
 ・83.07MHz(TX2000) 70dB 1kHz STEREO(L-R) → VR3,4,5,6調整 → STEREO歪最小
【ステレオ歪調整】WIDE
 ・IF MODE:WIDE
 ・83.07MHz(TX2000) 70dB 1kHz STEREO(L-R) → T5,6,13,VR1,2,7,8調整 → STEREO歪最小
【セパレーション調整】WIDE
 ・IF MODE:WIDE
 ・83.07MHz(TX2000) 70dB 1kHz STEREO → VR13調整 → L→R漏れ信号最小
 ・83.07MHz(TX2000) 70dB 1kHz STEREO → VR14調整 → R→L漏れ信号最小
【セパレーション調整】NARROW
 ・IF MODE:NARROW
 ・83.07MHz(TX2000) 70dB 1kHz STEREO → VR11調整 → L→R漏れ信号最小
 ・83.07MHz(TX2000) 70dB 1kHz STEREO → VR12調整 → R→L漏れ信号最小
【パイロット信号キャンセル調整】WIDE
 ・83.07MHz(TX2000) 70dB 1kHz STEREO → VR15,T11調整 → 19kHz成分最小
 ・左右chのバランスに注意
【シグナルメーター調整】WIDE
 ・83.07MHz(TX2000) 80dB 1kHz STEREO → VR10調整 → レベルメーター全点灯
【ブレンドチェック】WIDE
 ・83.07MHz(TX2000) 70dB 1kHz STEREO → 受信中にBLENDスイッチON
 ・セパレーション値が左右とも悪化することを確認
【IF オフセット調整】
 ・FINE TUNING OFF → すなわちCSL受信状態
 ・D4~K3を短絡
 ・83.07MHzの表示が「30.7」という表示に変わる。
 ・VR17調整 → 周波数表示を微調整
 ・「30.7」→「30.0」と表示されるように調整
 ・調整後はD4~K3を開放
 ※D4~K3を短絡すると登録したメモリー内容がリセットされる

Tx200080 Tx200081 Tx200082

AM部
 ・付属AMループアンテナ接続
【VT電圧確認】
 ・ 522kHz受信 → L17電圧=23.1V ※確認のみ
 ・1620kHz受信 → L17電圧=3.5V ※確認のみ
【RF、IF調整】
 ・1053kHz受信(名古屋CBCラジオ)→ RFコイル調整 → Sメーター最大
 ・1053kHz受信(名古屋CBCラジオ)→ T9調整 → Sメーター最大

Yamaha_tx2000

■動作確認------------------------------------------------------------

 ・上記の通り、海外版サービスマニュアルに基づいて各部調整しました。
 ・フロントエンドのRF調整で受信感度が大幅に向上しました。
 ・レベルメーターはほぼ最大値まで点灯します。
 ・レシオ検波調整やIF歪調整で歪率も大幅に改善しました。
 ・セパレーションは左右とも60dB程度確保できました。
 ・とても良い性能を示しています。
 ・付属AMループアンテナはとても高感度でAM放送を強力に受信します。

 ・ところが、、
 ・受信性能は良いのですが、やはり動作に問題ありでした。
 ・正常に調整を終えた後、電源オフ。
 ・2日後に再び電源を入れると受信周波数が-0.2MHzズレます。
 ・例えば名古屋のNHK-FM(82.5MHz)の場合、82.3MHzで受信します。
 ・ズレた周波数でも受信感度や音質は調整後の正常な値を示します。
 ・他のFM放送局も同様に-0.2MHzの周波数で受信します。
 ・この状態で電源オフ。
 ・すぐに電源再投入すると、今度は正常な82.5MHzで受信します。
 ・他の放送局も本来の周波数で受信します。
 ・正常状態で電源を切ってすぐに再投入しても正常です。

 ・少し時間をおいて電源を入れると再び0.2MHzズレます。
 ・この場合は再々度の電源再投入で正常に戻ります。
 ・AMは常に正常で周波数ズレありません。FMだけの問題です。

■修理記録:周波数ズレ----------------------------------------------

 ・不具合発生時もFM同調点は正常、電源電圧も正常です。
 ・正常時と不調時で各部電圧測定しながら詳細に比較したところVT電圧に差異発見。
  ・VT電圧(正常時)82.5MHz(12.03V)
  ・VT電圧(不調時)82.3MHz(12.03V)
 ・不調時のVT電圧は全域で正常時よりも僅か(0.2V程度)に高い状態でした。
 ・電源を再投入すると正常時のVT電圧になります。

 ・IC12(LC7210)周りの電解コンデンサが怪しいか?
 ・試しにC168(1uF/50V)、C169(10uF/16V) を交換してみました。
 ・3日間放置後に電源を入れたところ、正常な周波数で起動しました。
 ・その後のテストでも周波数表示の不具合は発生しなくなりました。
 ・不具合との因果関係はよくわかりませんが? とりあえず結果オーライです。

Tx200090 Tx200092 Tx200093 Tx200094 Tx200095

■修理記録:フロントエンド FET交換、トリマコンデンサ交換-------------

 ・次なる不具合は、、
 ・しばらく受信しているとSメーター表示が大きく変動するようです。
 ・IF MODE = NARROW / WIDW ともに共通する症状です。
 ・このとき、LA1266-16ピン(Sメーター駆動電圧)電圧が大きく変動しています。
 ・ということはフロントエンド内のFET劣化か?
 ・回路図確認 Q1,Q2 = 3SK101 → これを 3SK74 交換
 ・ついでにRF調整で敏感な反応をしていた VC4(10PF)を新品に交換。
 ・Sメーターの変動が安定しました。

Tx200033_2 Tx200035_2 Tx2000100 Tx2000101 Tx2000102
Tx2000103 Tx2000104 Tx2000105 Tx2000110 Tx2000111

■試聴----------------------------------------------------------------

 ・受信性能、各種測定値はとても良い性能を示しています。
 ・さらに輝くフロントパネル、ツルピカのサイドウッド、眩いオレンジ照明。
 ・YAMAHAらしい洗練されたデザインで、所有する喜びを感じます。
 ・私自身も大切に残しておきたいチューナーの一台です。

Tx200005

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