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2016年5月15日 (日)

Accuphase T-106

 ・2016年1月、高級チューナーの調整作業を承りました。
 ・アキュフェーズ製では珍しくAM受信回路を搭載している機種です。
 ・そのAM回路は「シンクロナス検波」を採用しています。
 ・調べてみるとシンクロナス検波とは SANSUI TU-X1 と同じ「同期検波」でした。
 ・とても興味深い研究テーマをいただきました。

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■製品情報------------------------------------------------------------

オーディオの足跡 Accuphase T-106 ¥145,000(1984年1月発売)

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●正確な電子同調方式
選局のための同調は水晶発振子により希望信号に±0.002%の精度でピタリと合わせることができ、時間や温度変化によるズレはほとんどなく、ひずみ最少、感度最高の点にロックします。電子同調のため外部振動による変調ひずみや雑音はほとんど生じません。周波数のディジタル表示は雑音の発生しないスタティック方式です。

●14局ランダムメモリーとパルスチューニング方式
7個のフェザータッチボタンを複式に使用し、14局のFMとAMステーションを好みのボタンにランダムメモリーしておき瞬時に呼び出すことができ、受信ボタンのナンバーと周波数がディジタル表示されます。バリコン式チューニングと同じフィーリングの光学を応用した回転ツマミ式チューニングも備えており、ピップ音とともに100kHzおき(AMは9kHzおき)に連続選局することもできます。

●2段複同調フロントエンドによるFM妨害波の除去
妨害波の中から希望局だけを選び出して増幅し、中間周波を作り出すフロントエンドはFMチューナーの頭脳ともいうべき重要な部分です。本機のフロントエンドは入力と増幅段間がそれぞれ複同調となっており、大入力の妨害波による混信(RF相互変調)を大幅に改善し、切り替えなしに大入力に対応しています。

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●新開発DGL FM検波器と群遅延平坦IFフィルター
T-106は新しく開発されたDGL検波器と、特に選択した群遅延平坦IFフィルターを組み合わせることにより安定で歪の少ないキャプチャーレシオの優れた特性を得ています。
DGL(Differential Gain Linear Detector)検波方式は、高速ロジックICの出力の遅れ時間に着眼し、これを19個直列にしてひずみ最少、S/N最良になるように位相角を114度遅らせて、この遅延信号と入力信号をエクスクルーシブ・オア回路に加え、二つの信号間の電位を選択して回路を開閉し、変調によって生ずる信号波の疎密度をディジタル的に検出(論理的乗算)して音声信号を取り出す新しい方式で、遅延回路の直線領域が極めて広く(±5MHz)、しかも無調整回路のため安定で、その上素晴らしい微分利得直線特性が得られます。IFフィルターは広(NORMAL)と狭(NARROW)の2組を使用しており、混信の激しいときはNARROWに切り替えることにより選択度重点の受信ができます。

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●最新のFMステレオ復調器
最新技術を集積したFMステレオ復調回路により、復調のみの性能(実測値)は極限に近い特性を得ています。FMステレオ入力が小さく、クリアな受信ができない領域(5uV以下)では自動的にモノフォニックに切り替わり、清澄な受信ができるようになっています。またこの後に続くオーディオ回路は、使用部品を厳選し、音質重視の設計をいたしました。

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●AMシンクロナス検波による混信除去と低ひずみ率
T-106はAM放送受信も重視し、ひずみが少なく混信除去能力に優れたシンクロナス検波を採用しました。シンクロナス方式は、混合器に注入する局発発振周波数を入力搬送波と同一にすることにより一挙にオーディオ信号を取り出すもので、選択度はオーディオ回路に設けた低域フィルターの特性で決まり、検波ひずみの少ない優れた方式で、将来AMステレオ放送が始まればスタンダードになる方式と考えられます。
シンクロナス検波のもう一つの大きな特長は、妨害波が受信局より高い周波数側か低い周波数側かにより側波帯(Sideband)を選択することができるので、上空波が強くなる夜間、海外局の混信に悩む地域で威力を発揮いたします。

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本機は標準広帯域スーパー方式にプラスしてシンクロナス検波回路を採用しています。周波数特性は最近行われているNHKのサウンドイコライジング(プリエンファシス)特性に合わせたディエンファシス特性を持たせてありますので、プリエンファシス放送を良好な周波数特性で受信することができます。また9kHzフィルターにより隣接局のビートを取り除いています。

●2メーターによる電波インジケーター
信号強度を示すSメーターと変調度を200%まで表示するピーク変調度計により入力電波の状態を知ることができます。また変調度計はスイッチ切り替えによりマルチパス計となり、ひずみ最少になるアンテナ方向を知ることができます。

●その他の機能
付属機能として電波の弱いステレオ局のノイズを低減する「ノイズフィルター」、混信の多いときに使用する「セレクティビティ・スイッチ」、局間ノイズを取り去る「ミューティング・スイッチ」、混信時にAM側波帯を選択する「サイドバンド・セレクター」、そしてその他のプログラムソースの音量レベルに合わせる「レベルコントロール」などが完備されています。

●別売ローズウッド・キャビネット
天然ローズウッド仕上げのキャビネットを用意しました。リスニングルームの雰囲気を一段と引き立てます。
型名 A-9
価格 16,000円
サイズ 幅466mm×高153mm×奥行385mm

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■動作確認------------------------------------------------------------

 ・ボディやパネルは経年の汚れが目立ちます。
 ・電源コードを接続してスイッチオン。
 ・二つのメーター照明点灯。周波数表示点灯。
 ・周波数ツマミを回すとFM=0.1MHz単位、AM=9kHz単位で周波数が変化します。
 ・周波数の変化に応じて「ピッ」「ピッ」と電子音が鳴ります。
 ・オートサーチのような周波数が自動的にアップダウンする機能はありません。
 ・アナログチューナーのようにツマミを回して希望周波数に合わせます。
 ・最初は面倒ですが、メモリー登録を済ませればあとの操作は楽になります。

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 ・メーター照明点灯。Tメーター代わりに[TUNED]点灯。[STEREO]点灯。
 ・名古屋地区のFM放送局を正常に受信しました。
 ・周波数ズレなし。表示管の劣化もなさそうです。
 ・IF BAND切替(NARROW/NORMAL)OK、MUTING動作OK。
 ・メーター切替(MULTIPATH/DEVIATION)OK。
 ・FILTER切替(ON/OFF)の効果がよく分かりません?

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 ・手持ちの適当なAMループアンテナでAM放送も受信できました。
 ・ただ高い周波数のAM局(CBC 1053kHz、東海1332kHz)の感度が悪いようです。
 ・SIDE BAND SELECTOR切替スイッチに上下(upper/lower)の区別が無いのが残念。
 ・どちらかクリアに聞こえる方に切り替えて使用します。
 ・FM/AMともメモリー登録OK。可変出力VRにガリ無し。

■内部確認+調整記録------------------------------------------------

 ・回路図やサービスマニュアルは見つかりません。
 ・ひろくん様のサイトで紹介されている T-107 の調整方法を参考にさせていただきました。

 ・VR1 NARROW GAIN
 ・VR2 S-METER MAX
 ・VR3 S-METER MIN
 ・VR4 76K VCO
 ・VR5 PILOT CANCEL
 ・VR6 SEPARATION
 ・VR7 SIGNAL MUTE
 ・VR8 TUNE MUTE
 ・VR9 MOD
 ・VR201 METER
 ・VR202 記載なし

Accut106

【電圧確認】
 ・+15 → +14.9V
 ・+ 5 → +4.95V
 ・+5.6→ +5.65V
●FM部
【本体設定】
 ・MUTING OFF
 ・FILTER OFF
 ・SELECTIVITY NARROW
【VT電圧】
 ・J3~GND DC電圧計セット
 ・アンテナ入力なし
 ・76MHz → OSCコイル調整 →確認のみ※実測 3.6V
 ・90MHz → OSCトリマ調整 →確認のみ※実測21.5V
【RF調整】
 ・VR2足にDC電圧計セット
 ・76MHz 無変調 40dB → RFコイル調整 → 電圧最大
 ・90MHz 無変調 40dB → RFトリマ調整 → 電圧最大
【IFT調整】
 ・VR2足にDC電圧計セット
 ・83MHz 無変調 40dB → IFT調整 → 電圧最大
【検波調整】
 ・音声出力をWavespectraで観察
 ・83MHz 無変調 80dB → T2調整 → 高調波歪最小
 ・83MHz 無変調 80dB → T1調整 → 高調波歪最小
【IF GAIN調整】
 ・83MHz 無変調 80dB → VR1調整 → NORMAL/NARROWでSメーター振れ同じ
【SIGNAL METER調整】
 ・83MHz(無変調, 40dB)→ VR2調整 → Sメーター= 40
 ・83MHz(無変調,100dB)→ VR3調整 → Sメーター=100
【MUTING調整】
 ・MUTING ON
 ・83MHz(100%変調, 20dB)→ VR7調整 → MUTINGオン
【STEREO歪調整】
 ・音声出力をWavespectraで観察
 ・83MHz(1STEREO変調,80dB)→ IFT調整 → 高調波歪最小
【MPX VCO調整】
 ・TP9に周波数カウンタ接続
 ・83MHz(無変調,80dB) → VR12調整 → 76kHz
【SEPARATION調整】
 ・音声出力をWaveSpectraで観測
 ・83MHz(R/L信号,1kHz 80dB)→ VR5調整 → もれ信号最小
【DEVIATION調整】
 ・83MHz(STEREO 100%変調)→ VR9調整 → DEVメーター100%
●AM部
【VT電圧】
 ・J3~GND DC電圧計セット
 ・アンテナ入力なし
 ・ 522kHz → T205調整 → 確認のみ※実測 1.5V
 ・1629kHz → VC1調整 → 確認のみ※実測23.3V
【RF調整】
 ・ 522kHz → T201,T202調整 → Sメーター最大
 ・1629kHz → VC3,VC2調整 → Sメーター最大
 ・ 999kHz → T203調整 → Sメーター最大
【検波歪調整】
 ・ 999kHz → T204,VC4調整 → 歪み最小
【Sメーター調整】
 ・VR201 メーター振れ調整

【AM同期検波位相調整】
 ・AM部の調整方法は試行錯誤の結果です
  ・TP201 IC201-1ピン → AM放送が聞こえる
  ・TP202 → 449.99kHz
  ・TP203 → 449.99kHz
  ・TP204 → AM放送が聞こえる
  ・TP205 → AM放送が聞こえる
 ・上記確認事項と回路図を研究した結果、これでいいのかな?
 ・TP204、TP205をWavespectra接続
 ・VR202調整 → リサージュ波形を正円に

■試聴----------------------------------------------------------------

 ・FM/AMとも故障個所はありませんでした。
 ・再調整によって良い性能を取り戻したと思います。
 ・シンクロナス検波(同期検波)が意外な発見でした。

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