・2024年11月、HOジャンクコーナーでKT-900ジャンク品に遭遇しました
・プライスタグに「FM受信不可」と書かれていますが
・まあ、故障個所は大体想像できるかな、、
・AMループアンテナ付属、それだけで元が取れるお値段でした
■製品情報--------------------------------------------------
・オーディオの足跡 TRIO KT-900 ¥49,800(1980年頃)
・<>a href="http://knisi2001.web.fc2.com/kt-900.html"オーディオ懐古録 TRIO AM-FM STEREO TUNER ¥49,800円(1980)
・Hifi Engine Kenwood KT-900 AM/FM Stereo Tuner (1980-82)
■動作確認--------------------------------------------------
・天板に擦り傷多いが、縦置きされていなかったので側板はほぼ無傷
・強化ガラス製のフロントパネルも無傷、しかもパネルの前傾なし
・電源オン、周波数窓の照明点灯、ダイヤル指針の照明点灯
・機能切換状態を示す緑色インジケーターもすべて点灯
・さて、名古屋地区のFM放送局を受信しようとすると、、
・76MHz~90MHz全区間で局間ノイズしか聞こえない、
・シグナルインジケーター点灯しない、全く受信不可
・REC CAL トーンに切り換えても基準音が聞こえない、無音です
・AMループアンテナを接続してAM放送も受信確認
・プライスタグの情報は本当でした、、
■内部確認+修理記録:バリコン軸の洗浄----------------------
・底板を確認、KENWOODサービスによる修理歴シールは見当たらない
・内部を見ても部品を交換した痕跡は見当たらない
・フロントエンドのバリコン軸を見ると緑青サビが盛大に湧いている
・たぶん相当長期間使われずに放置されていた個体かな?
・最近はバリコン軸の清掃に100均で買える歯間ブラシを愛用しています
・これである程度こそぎ落としてからエレクトロニッククリーナー洗浄
・最後にコンタクトグリースを薄く塗布して何度も往復させる
・洗浄完了ですが、受信確認するも変化なく全く受信不可
■修理記録:OSCトリマ交換-----------------------------------
・フロントエンド内OSCトリマコンデンサー(TC4)を回しても変化なし
・これを撤去し、ユニット外側に新トリマー(10pF)を直付けしました
・直径3mm穴の開いた小さな圧着端子に新トリマを固定
・仮調整したところFM放送が受信できるようになりました
・ただTメーターの点灯具合がおかしい
・右側の三角が常時点灯したままFM同調点を示さない
・FM同調点を調整するL4を回しても反応しない
■修理記録:L4(L30-0320-05)修理-----------------------------
・L4を回しても反応しない原因はたぶん内蔵コンデンサの容量抜けか?
・L4を取り外して裏側を見ると真っ黒に変色した状態でした
・内蔵コンデンサを除去して新コンデンサを外付けしました
・試行錯誤の結果、コンデンサの容量は82pFがちょうど良いです
・下記の調整作業を経て正常に受信できるようになりました
■調整記録--------------------------------------------------
【FM OSC調整】
・TR7020-2Pin → 電圧計セット(Sメーター電圧)
・83MHz 受信 → 新TC4調整 → 電圧最大
【FM RF調整】
・TR7020-2Pin → 電圧計セット(Sメーター電圧)
・83MHz 受信 → TC1,TC2,TC3調整 → 電圧最大
・83MHz 受信 → T1調整 → 電圧最大
【クアドラチュア検波調整】
・83MHz 受信 → 電圧最大状態
・TR7020-3Pin-11Pin → 電圧計セット(Tメーター)
・83MHz 受信 → L4調整 → 電圧ゼロ(Tメーター中点)
【WIDE GAIN調整】
・TR7020-2Pin → 電圧計セット(Sメーター電圧)
・83MHz Narrow受信 → Sメーター電圧記録
・83MHz Wide受信 → VR1調整 → 上記電圧と同じ
【高調波歪調整】
・音声出力端子 → WaveSpectra接続
・83MHz → T1(フロントエンド内)調整 → 高調波歪最小
【パルスカウント検波調整】
・TR4011-1Pin → 周波数カウンタセット
・83MHz受信 → L5調整 → 1.965MHz
【VCO調整】
・R56左足 → 周波数カウンタ接続
・SSG 83MHz 無変調 → VR5調整 → 76kHz
【セパレーション Narrow調整】※Narrow調整を先に行なうこと
・音声出力端子 → WaveSpectra接続
・83MHz Narrow → VR4調整 → 反対chへの漏れ信号最小
【セパレーション Wide調整】
・音声出力端子 → WaveSpectra接続
・83MHz Wide → VR3調整 → 反対chへの漏れ信号最小
【REC CAL調整】
・83MHz受信 → 出力レベル記録
・83MHz受信 → VR2調整 → -6dB設定 ※430Hz
★VR2を回したところ基準音が聞こえるようになりました
【AM受信調整】
・AMループアンテナ → 接続端子注意 [AM]~[GND]
・600kHz → L11,L12調整 → Sメーター最大点灯
・1400kHz → TC1,TC2調整 → Sメーター最大点灯
■修理記録:L5(0252-05-081)修理-----------------------------
・受信調整が完了して「これで直った」と思ったら、あれ?
・ランニングテスト開始30分で突然受信音が消失
・「ザー」という局間ノイズしか聞こえなくなりました
・この時TメーターとSメーターは正常に反応します
・ということは問題はパルスカウント検波回路か?
・これまでの経験で怪しいのは以下のフィルターです
・L5(0252-05-081) 2nd OSC同調コイル
・L6(L79-0120-05) 2nd IF BPF
・L8(0109-05-081) PC検波後LPF
・手初めにL5の金属部分にハンダごてを当てて温度試験をしてみたら
・わずか数秒で同じ症状が発生しました
・ハンダごてを外しエアダスターでL5を数秒冷却するとFM受信が復活
・L5を取り外して裏側を確認すると予想通り内蔵コンデンサが真っ黒!
・これを除去して新品82pFで外付けで追加しました
・83MHz受信 → L5調整 → 1.965MHz
・再調整して受信動作が復活しました
・1週間のランニングテストでも不具合は再発しません
・どうやらL6とL8はまだ生きているようです
■改造記録:フィラメント電球LED化---------------------------
・KT-900/KT-990のガラス製フロントパネルはとても素敵です
・分解してガラスの裏側まで磨くとその美しさが復活します
・分解清掃のついでに電球をLED化しました
【LED電源】
・オリジナル電球はAC仕様なのでDC電源を取れる場所を探す
・電源回路の未使用端子27番 → +21.7V ※これを借用します
・制限抵抗を配置するため背面パネルに小さな基板を増設
【指針照明】
・指針裏側の透明プラスチック内にφ4mm電球が仕込まれている
・ここは直径3mmのLED(warm white)に拡散キャップを被せて元に戻す
・実験用電源で明るさを確認しながら電流約4mA、制限抵抗2.2kΩで接続
・発光部に耐熱ポリイミドテープを貼って電球色っぽく仕上げました
【フロント照明】
・選局ツマミ内側に埋め込まれたφ4mm電球×2個直列配置
・ここにφ5mm電球色LED×2個を直列に仕込んで配線変更
・拡散キャップを被せオリジナル電球ホルダーに埋め込んで元に戻す
・実験用電源で明るさを確認しながら制限抵抗680Ωでよさそう
・実測電流は19mAでした
■試聴------------------------------------------------------
・KT-990/900のガラス製フロントパネルはとっても素敵です
・LED化するといろいろな色味を試したくなりますが
・私はできるだけオリジナルに近づけることを目指します
・たぶんLED化してあるとは気付かれない出来映えです
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