TRIO KT-7700 調整記録
1977年頃から我家にずっといるKT-7700です。何と30年前の製品で、当家最古のSONY ST-5130に次いで2番目に古いチューナーです。KT-7700に関する詳しい製品情報は国内サイトでは見つかりません。TRIO製品の中にあっては中級機扱いなので仕方ないことでしょうか。一方輸出モデルの「KT-8300/KT-9900」はTICで良い評価を受けています。KT-8300は正面パネルの色がシルバー、KT-9900は欧州向けでブロンズ色の違いがあるようです。
※輸出モデルの型番が国内向けモデルと極めて紛らわしいのでご注意ください。以下の記事に登場する「KT-8300/KT-9900」はすべてKT-7700の輸出モデル名を意味します。
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■KT-7700に関する情報
【KT-7700に関する前回記事】 2006/10/22(LED交換、仕様一覧表、取扱説明書PDFファイル)
https://bluess.cocolog-nifty.com/labo/2006/10/trio_kt7700_led_1bee.html
【KT-7700掲載カタログ紹介】 2006/12/07(1976年版カタログPDFファイル)
https://bluess.cocolog-nifty.com/labo/2006/12/trio_1976_c884.html
【Tuner Information Center (TIC)】 ※KT-8300サービスマニュアルあります。
http://www.fmtunerinfo.com/kenwood.html
【MPB's Audio Projects】KT-8300改造記事あります。
http://mpbarney.googlepages.com/home
【FMtuners / High End FM Tuners】Yahoo Group
http://tech.groups.yahoo.com/group/fmtuners/
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■調整記録
cooltune様のサイトでKT-7700の輸出モデルがKT-8300(KT-9900)という情報を得てTICで調べたところ、輸出モデルの調整法が記載されたサービスマニュアルや回路図が入手できました。「ついにこの日が来たか・・」という感慨に耽りながらKT-7700の内部に手を入れました。KT-8300(KT-9900)サービスマニュアルとKT-7700を詳しく照合すると両機は同一機ではないことが判明しました。
・KT-7700 FM専用 FM7連バリコン搭載(ユニット番号:X01-1230-00)
・KT-8300 FM/AM FM6連バリコン搭載(ユニット番号:X01-1220-10)
AM機能の有無が違います。上記のようにバリコンを載せたユニットが異なるので、トラッキング調整は「ANT」「RF1」「RF2」「RF3」「RF4」「RF5」の6ヶ所になります。ただしフロントエンド以降のFM部ユニット(X05-1350-10)は同一なので、ここでの調整項目はそのまま使えます。具体的な調整方法はサービスマニュアルをご覧いただくとして、ここでは調整作業の印象のみ書き留めます。※精度の怪しい中古測定機器を使って調整している点は差し引いてご覧ください。
→KT-8300サービスマニュアルにKT-7700関係事項を加筆したPDFファイル(約2.3MB)
・トラッキング調整のズレはごく僅か。
・TP1で測定するIF TRIGGERとIF TRIGGER LEVELはズレが大きめ。
・TP2で測定するVCO(19kHz)はほとんどズレなし。
・セパレーションのズレが大きく、調整による改善効果が絶大!
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■テストポイント「TP1」「TP2」の位置について
「テストポイントの位置は回路図を参照せよ」というサービスマニュアルの指示に従って回路図上で「TP1」「TP2」を探しました。回路図とにらめっこ状態になって約1時間。「TP」という場所は発見しましたが「TP1」と「TP2」が見つかりません(汗)。老眼の目には厳しい作業です(涙)。日を改めて再度約1時間に渡って回路図を探索しました。やはり「TP1」と「TP2」が見つかりません。さすがに「これはおかしい!」と思い始めました。気付くのが遅すぎますか・・(笑)
「TP2」はVCO調整(19kHz)ですからICg12の10番ピンに繋がった「TP」の位置で間違いないと思います。実機の基板ではR184(100KΩ)の足が計測ポイントで、周波数カウンタで19kHzが測定できました。「TP1」はIF出力を測定しているので、回路図上で「IF TRIGGER」と書かれたVRg2近く「b」上側の「●」ではないかと考えました。ただ基板上にはフックやテストピンが見当たりません。試しにVRg2に繋がったRg77(22KΩ)の足に直流電圧計を接続したところ指示された設定値に調整することができました。実機での調整はVRg2~Rg77間にあるジャンパ線がベストポイントだと思います。
このテストポイントが正しいかどうか不安があったので、この件について【FMtuners / High End FM Tuners】Yahoo Groupの過去ログを調べてみました。テストポイントの場所について過去に同じ議論がされていて、やはり回路図に「TP1」と「TP2」の記載は無いとの結論でした。調整に用いる実際ポイントも私の判断と同じでした。
KT-7700の国内版サービスマニュアルをお持ちの方がいらっしゃいましたら、マニュアルと回路図でテストポイントの件をご確認いただけると嬉しいです。
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■KT-7700の検波方式について
「マルチプリケーティブ ディスクリミネーター」って何でしょう? cooltune様は「名称からしてたぶんクォドラチャー検波の改良型では・・」と述べられています。実機では検波回路がパッケージ(型番:W02-0005-05)になっているので内部の様子が分かりません。さすがにこれを分解する度胸はありません・・。弟機のKT-7500は「クォドラチャー検波」であるとカタログに明記されています。サービスマニュアルの記述に「phase shifter」「multiplier」とありますから、やはりクォドラチャー検波の一種と考えて良さそうです。「wave shaping circuit」の意味はよく分かりません。
【サービスマニュアルから引用】
The detector circuit is assembled into a unit(W02-0005-05). It is a wide-band detector circuit of multiplicative detection system. The system is composed of phase shifter, wave shaping circuit, and multiplier having a low distortion characteristic. The detection band width is 5MHz and a low distortion characteristic of 0.04% is realized over more than 1MHz range. SN ratio is more than 85dB.
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■試聴
調整前後で受信性能はそんなに変わらない印象ですが、セパレーション調整の効果ははっきり分かります。セパレーションをしっかり調整するためには検波段の調整が重要。調整作業にはサービスマニュアルに示された設定電圧などの情報がとても役に立ちます。ヘッドホンの中で楽器の位置がしっかり定まる感じがVery Good!低音域も力強くなった印象です。出力段にある16kHzの立派なLPFを見れば、スペクトルの状態は納得できます。前回評価「○」を「◎」に変更します。

【アナログチューナー比較記事】
https://bluess.cocolog-nifty.com/labo/2007/11/post_9fa9.html
今回の作業でTPを探すために回路図と真剣に向き合った数時間・・とても勉強になった充実の時間でした。
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■追記(2008年2月2日)
調整記事の公開後、cooltune様より「無線と実験」1976年5月号に掲載されたKT-7700回路図コピーをお譲りいただきました。ありがとうございました。
※以下に登場するKT-8300/KT-9900とはKT-7700の輸出モデル名を意味します。ご注意ください。
KT-8300/KT-9900は海外仕様機です。FM放送のプリエンファシスは日本とは違いますから「75μs/25μs」の切替スイッチが背面に付いています。KT-8300の回路図を見ていくと切替スイッチもちゃんと記載されています。私の手元にあるのは国内仕様のKT-7700ですからプリエンファシスの切替スイッチはありません。日本のFM放送は50μs固定ですから当然ですね。
「あれ~?」
写真の通りKT-7700のメイン基板は(X05-1350-10)でKT-8300の回路図に掲載されたユニット番号と同じです。でもKT-7700のディエンファシス回路がKT-8300と同じはずがありません。抵抗とコンデンサが違うはず!おまけにcooltune様からいただいた回路図を見るとメイン基板は(X05-1350-01)となっています???という事でKT-7700実機・KT-7700回路図・KT-8300回路図とのにらめっこ状態に再度突入しました(笑)。
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■比較して分かった事
【KT-7700実機にある】→【KT-7700回路図にない】
・ICg12の8ピン、9ピンとQg20の間にある0.01μFのコンデンサー(基板裏面に直付け)
・このコンデンサーはKT-8300の回路図に記載あり(部品番号なし)
【KT-7700実機にある】→【KT-8300回路図にない】
・Icg13近くのコンデンサーCg105、Cg106
・KT-7700回路図ではCg105→Cg118、Cg106→Cg119と記載あり
【KT-8300回路図にある】→【KT-7700実機にない】
・Flg6(16kHzのLPF)に入る直前にCg116とCg117
・Flg6(16kHzのLPF)を出た直後のRg125とRg126

【KT-8300回路図】【KT-7700実機】で部品が異なる
・Rg129、Rg130:2.7K→1K
・Rg133、Rg134:120K→33K
※その他見落としはあるかもしれません。ご容赦を・・
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■結論
・輸出用基板(X05-1350-10)に国内用部品(X05-1350-01)を搭載して製造
・製造後の製品改良のため基板裏面にコンデンサー2個を追加
大量生産されたのではなく、一台一台ていねいに組み立てられた製品のような気がします。これからも愛着を持って大切に使い続けます(感謝)。
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■追記(2009年8月8日)
KT-7700専用カタログを入手したのでPDF化して追加しました。ディスクリミネータの原理図や歪特性図が載った技術資料的カタログです。どうぞご覧ください。※折りたたむとB5サイズになる一枚物のカタログです。

























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