以前からサンスイ製のTU-S707X(★)を所有していますが、最近同じサンスイ製のTU-α707(●)を入手しました。フロントパネルにはどちらにも[SLDD]のロゴが入っています。昔からお馴染みのロゴマークなのに実はその意味は良く知りません。ゴールデンウィークの宿題にちょうど良いと思っていろいろ勉強しました。以下その記録です。
■サンスイ製シンセチューナーの系譜--------------------------------------
これはcooltune様のサイトに纏められています。
→http://cooltune.s28.xrea.com/sansuitu.htm
1984年 TU-S707X \54,800 ★
1984年 TU-S707X DECADE \54,800
1986年 TU-α707 \??,800 ●
1987年 TU-α707i \59,800
1989年 TU-α707Extra \54,700
1991年 TU-α707R \53,800
■SLDD -- Super Linear Digital Decorder ------------------------------------
TICで検索したところカタログの一部?と思われるA4サイズ2ページの解説文書(英文)が見つかりました。専門用語が難しいだけで英文自体は平易な文章です。一通り読んだ感想は「SLDDってSONYのWODSDと同じじゃん・・」と言うことでした。どちらも高セパレーション化を目指したMPX回路技術です。
・SANSUI SLDD解説→SANSUI_SLDD.pdf
同じTICで[TU-S77X/S77XW]と記載された回路図も入手できます。以前1984年製[TU-S707X]の調整記事を書いたとき、この回路図と実機を照合しました。一部実装されていない部品もありましたが、回路図と[TU-S707X]はほとんど一致します。この回路図で示されたMPX部がディスクリート回路による[SLDD]だと思われます。


[TU-S707X]ではセパレーションがWIDE/NARROWそれぞれにL/R独立で調整可能です。WaveSpectraで1kHzの波形を見ながら70dB程度まで改善できます。19kHzパイロット信号キャンセルもL/Rそれぞれきっちり調整できます。非常に優秀な回路だと思います。
1986年製[TU-α707]ではディスクリート回路に代わって[SANYO LA3450]により[SLDD]が実装されています。セパレーションや19kHzパイロット信号キャンセル調整用の半固定抵抗の数は随分減っていますが、それでもセパレーション、高調波歪共にきっちり調整可能です。[TU-S707X]とは多少違った音質ですが、聴き心地の良い音が出てきます。
■WODSD -- Wave Optimized Digital Stereo Decorder --------------------
ソニー製シンセチューナーの[ST-S333ESXⅡ]や[ST-S333ESG]の基板を見ていると[WOIS][WODSD]とシルク印刷された回路があります。また本体正面パネルには[Wave Optimizer Tuner]という表示もあります。これらは[Wave Optimizer Technology]=「波形最適化技術」=「各段に投入された技術の総称」であることが[ST-S333ESXⅡ]掲載の技術解説を読んで理解できます。
・SONY ESシリーズ テクノロジーカタログ →SONY_ES_1987_10.pdf
1987年製[ST-S333ESXⅡ]では[SANYO LA3450]によって[WODSD]が実装されています。1989年製[ST-S333ESG]では[SONY CXA1064]によって[WODSD]が実装されています。
■[SANYO LA3450]≒[SONY CXA1064]、[SLDD]≒[WODSD] ------------------------------
ネット検索すると[SANYO LA3450]のデータシートはすぐ見つかりますが[SONY CXA1064]のデータシートが見つかりません。このような状況なのであくまで推論です。でも状況証拠から[SANYO LA3450]≒[SONY CXA1064]、同様に[SLDD]≒[WODSD]と推察できます。[SLDD]と[WODSD]が完全に同一の技術又は回路かどうかは分かりませんが、やっている事、得られる効果はほぼ同じだと思いました。興味ある方はリンク先資料をお読みください。
■最後に -------------------------------------------------------------
サンスイやソニーの独自技術と思われた[SLDD]や[WODSD]は実は[SANYO LA3450]で実現されているという事です。あるいはディスクリートで組まれた[SLDD]や[WODSD]をIC化したのが[SANYO LA3450]だったと言うことかも知れません。ひょっとしたら[SANYO LA3450]はサンスイ・ソニー・サンヨーの共同開発だったのかもしれません。勝手な推測ですが・・
同じ[SANYO LA3450]を搭載したチューナーに1987年製[VICTOR FX-711]があります。フォトカプラーによる光伝送が売りの機種でしたが、ビクターはこの[LA-3450]回路技術に関して特にPRしていなかったようです。でも実際に調整してみると707シリーズや333シリーズ同様の高性能を発揮していることが体感できます。
自分では良い勉強になったと思っていますが、もしも技術的な間違い、勘違い、勝手な思い込みなどがありましたら是非ご指摘ください。よろしくお願いします。
■■追記 2008年5月17日 ■■■ TU-S707X 再々調整の記録 ■■■■■■■■■■■■■
約一年前に掲載した[TU-S707X]の調整記事ですが、今回[SLDD]がよい勉強になったのでこれを機会に再度調整してみました。特にセパレーションについて、回路図を参考にしながら調整してみました。正しい方法かどうかは分かりませんが興味ある方はご覧ください。
【TU-S707X 再々調整の記録】
→https://bluess.cocolog-nifty.com/labo/2007/06/sansui_tus707x_c1c6.html
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