Aurex ST-55
2008年4月、Aurex ST-55を入手しました。Aurex(オーレックス)はオーディオ全盛期の東芝ブランドです。ワンオーナー品でほぼ無傷、取扱説明書(原本)も付属する良品でした。電源コードには1981年の印字がありましたが、本機は1980年度のグッドデザイン賞を受賞しています。当時の定価は49,800円、SONY ST-J75辺りが同級生ですね。
グッドデザイン賞のサイトを見てこの賞は1957年にスタートした事を知りました。Gマークは何と私と同級生でした(笑)。Gマークの「ライブラリー」を見ると、いろいろなジャンルで見覚えのある懐かしい製品がたくさんありますよ。一度ご覧ください。
→グッドデザイン賞 http://www.g-mark.org/library/ani40th.html
■点検・清掃・印象--------------------------------------------------
大切に扱われていたようで外観に目立つ傷はありません。本体奥行きはたった230mm、私が所有しているチューナのなかで最も小型です。取扱説明書の仕様を見て高性能は期待できないと予想しましたが、周波数ズレもなくFM/AMとも正常に受信します。シグナルメーターやメモリーボタンは電球照明でガラス越しに良く映えます。
背面アンテナ端子が同軸ケーブルの芯線と編線を直接繋ぐタイプです。このタイプは扱いにくいのでいずれF型端子に換装しようと思います。背面にはラインアウト調整用ボリュームが付いています。オーディオ機器に日本語表記があると「かっこ悪い」と思うのは何故でしょうね?
フロントエンド部は4連バリキャップ&トラッキング調整できるタイプです。RFアンプに3SK73GRが使われるなど本格的な構成ですが以降は極々普通です。IF BANDの切替機能はありません。歪補正回路などもありません。[HA12412]によるクォドラチャー検波、メモリーはFM/AM各6個のみ、エアチェック用のプログラム機能もありません。目立つICは以下の4つです。
・[HA12412] FM IF SYSREM
・[HA12016] FM STEREO MULTIPLEX DECORDER
・[TC4066BP] スイッチングIC
・[TA7616P] AM IC TUNER
■調整記録--------------------------------------------------
【FM同調点の調整】:HA12412-7-10pin(またはR223の両端)に直流電圧計接続
・SSG 83MHz、無変調、60dB → T201のコアを回して電圧≒ゼロに。
【フロントエンド調整】:LA1235の13pin-GNDに直流電圧計接続
・SSG 76MHz、無変調、30dB
・受信周波数76MHzの位置でコイルT001-T004を調整して電圧最大値へ。
・SSG 90MHz、無変調、30dB
・受信周波数90MHzの位置でトリマTC01-TC04を調整して電圧最大値へ。
・上記作業を数回繰り返す
・SSG 83MHz、無変調、30dB
・T005のコアを回して電圧最大値へ。
【セパレーション調整】:音声出力をWaveSpectraに接続
・SSG 83MHz、1kHz 100%変調、60dB、Lch/Rchのみ信号、パイロット信号ON
・R3048を調整して反対chへの漏れを最小に
【ミューティングレベル調整】:音声出力をWaveSpectraに接続
・SSG 83MHz、1kHz 100%変調、30dB、L-Rステレオ信号、パイロット信号ON
・R217を回してミューティング開始位置に
【FM信号レベルメーター調整】
・SSG 83MHz、1kHz 100%変調、70dB、L-Rステレオ信号、パイロット信号ON
・R219を回してレベルメーターが全灯する位置に
■試聴--------------------------------------------------
調整後はすっきり聴こえるようになりましたが、同級生のSONY ST-J75とは随分違う音です。セパレーションの甘さが気になります。やはり高音質を期待する機種ではなく雰囲気を楽しむ部類のチューナーでしょう。特にガラス製のフロントパネルは高級感があり、浮かび上がるようなイルミネーションがステキな雰囲気を醸し出します。ガラス製フロントパネルでしかも「黒」なので写真がうまく撮れませんが、でも実際は写真で見る以上に高級感があります。

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Aurex ST-55 取扱説明書
初めまして。最近FMチューナーに凝り始めて、とはいっても高級品を取替え取替えよりは古いジャンクチューナーを見つけては集めるという方向です。
という訳で、色々情報集めをしているうちにこのBlogを見つけて、いつも楽しませていただいています。そして、自然の帰結として「自分で調整したい」ということになりつつあります。
そこで疑問がいくつかあって、不躾ながらお伺いしたいと思います。当然のことながら、私は測定器などはもっておりませんので、出来る範囲は同調点とフロントエンドの調整どまりですが、ここでは「直流電圧計=一般のテスター」があれば、当地では78.6MHzの民放FMと86MHzのNHK-FMを受信しつつ行えるという判断でよいのでしょうか?
また、今回の少々珍しい機種の調整記事を見て感じたのですが、このBlogに限らずご自分で調整をなさる方は「計測ポイント」を、いとも簡単に特定しているようにお見受けしますが、これはどのメーカーも似たような表示で分かりやすくなっているものなのでしょうか?それともやはりそれぞれに回路図をご用意、または基盤を見て判断している・・・すなわちその程度の電気知識が無いとやらないほうが良いのでしょうか?
簡単にでもご教示いただければ幸いです。
投稿: GAM | 2008年7月27日 (日) 14時31分
GAM様
はじめまして。コメントいただきありがとうございます。
私も測定器を入手する前は地元の最低周波数と最高周波数のFM局を受信しながらトラッキング調整していました。この方法では76MHz~90MHzを均一に調整することは出来ませんが、地元のFM局受信に最適化する方法としては間違っていないと思います。直流電圧が測定できるテスターがあれば調整可能です。
プロフィール欄にも書きましたが、私は所有するバリコンチューナーの保守管理を自分自身の手でやりたいと思い、勉強目的でこのブログを始めました。記事では偉そうなことを書いていますが実は「電気電子の素人・・」です。
ここ5年ほどの間に100台近いジャンクチューナーを分解しながら体験的に学びました。たまたま上手く調整できたケースだけをブログに掲載しています。記事になる事もないまま解体処分したチューナーがいっぱいあります。また「ひろくんのホームページ」のチューナーコーナーで高周波に関する多くの知識を学びました。
調整箇所や測定ポイントは基板のシルク印刷が目印になります。回路図やサービスマニュアルがあれば間違いないのですが残念ながらこれは稀なケースです。シルク印刷が全く無い機種もあります。
FM-IF部やMPX部で使われているICのデータシートを探すと良い勉強材料になります。ICの内部構成が分かると測定ポイントも自ずと分かるようになります。
「自己責任の楽しい趣味の世界・・」と割り切れるなら、壊しても惜しくないジャンクチューナーを練習台にすると良いと思います。完璧な修理調整をお望みなら、メーカーサービスやオーディオ修理工房などを利用する方法をお薦めします。
投稿: BLUESS | 2008年7月28日 (月) 00時46分
BLUESSさん、こんばんは。これから電子回路のことを勉強して、「自己責任の楽しい趣味」にしていきたいと思っておりますので、よろしくお付き合い下さい。
実は、早速今日、近くのハードオフでTRIO/KT-9X(電源OK、AMは受信しました)というジャンクチューナーを2100円で仕入れてきました。家に帰って聴いてみたらFMも受信はするもののSTEROランプが点灯せず、MONOでしか聴こえません。ただ、決して悪い音ではなく、ちゃんと直せば良い音で聞けそうな予感はしました。この症状はひろくんのホームページも見ながら考えると「同調点の狂い」かな?と思いましたが、近いうちに暇を見つけて調整してみようと思います。
実際に壊れていた方が楽しめそうだな・・・なんて、既に病気が始まっていますね(笑)。ただ、このチューナー、新品時の値段だけで言えば6万円強もして随分高級だったようですが、あまりネットでも資料がなくて本当に自分で出来るか少々不安です。
投稿: GAM | 2008年7月28日 (月) 23時03分
GAM様
ようこそ、楽しいジャンクチューナーの世界へ!(笑)
KT-9X実機を見たことはありませんが、cooltuneさまのサイトに
「恐らくトリオのパルスカウント検波方式で唯一のデジタルシンセサイザーチューナー・・」
と記載があります。良さそうな機種ですね。
投稿: BLUESS | 2008年7月30日 (水) 15時25分
GAMさん初めまして。
KT-9Xは同時期のKT-1000と比べて人気がありませんでした。そのせいかネット上にも情報(というか人気)がありません。
制御用兼第二局発用ICとパルスカウント用のICはKT-1000やKT-1100と同じTR7020+TR4011で、MPX用のICはKT-8300と同じHA11223Wです。
価格も64800円と高価だったのでよさそうな気がします。私の掲示板に書かれた方の評価はよくなかったのですが、そのうち自分で確かめたいと思っています。
>BLUESSさん
私のホームページにKT-9XがFMだけとなっているのは誤りでFM/AM両用です。さっき見つけました(^^;
投稿: cooltune | 2008年7月31日 (木) 23時52分
cooltuneさま、こんばんは。HPもいつも拝見しております。KT-9Xについて情報をいただきまして有難う御座います。不人気につき流通量が少ないというのはとても物欲を掻き立てますね(笑)
セット物としての流通が多かったからといって単純に低ランクのものとも思えません。あけてみたら5連バリキャップで、電源はツイントランスになっており、かなり力を入れていたのが見て取れます。
まだ未調整の、モノラルによるFM放送を聞いた印象だけでは、低音が豊かで温かみのある音だったと思います。キチンと調整が出来た時どんな音になるかとても楽しみです。
投稿: GAM | 2008年8月 2日 (土) 00時40分
BLUESS さま はじめまして いつも楽しみに見させていただいています。
1957年生まれ 青春期はオーディオブームでした。BLUESS さまの影響で?ジャンクチューナーが気になり始めて時々ヤフオクなどで落札して楽しんでいます。ジャンクが復活して奇麗な音を奏でるのは充実感がありますよね。
さて、斬新なデザインが記憶にあり、Aurex ST-55を入手しました。つくりはともかく、運よく外観、動作ともまずまずでした。
しかし、受信局のメモリができなくなっていました。ところが、ST-55は平べったいスーパーキャパシタが見当たりません。どのコンデンサがその役割をしているのか お教えいただけば幸いです。
投稿: abetyan | 2022年1月10日 (月) 10時51分
1957年生まれ、同級生ですね。
古い記事にコメントいただきありがとうございます。これを書いたのは修理初心者の頃ですから、内容はちょっと怪しいかも?あまり内容を信用しないでください(笑)
ST-55は既に処分してしまったので手元にありませんが、当時のノートや写真を見直したところ、コントロールIC=TC9137P とメモがありました。写真をよく見ると正面パネルの裏側に張り付いた基板に載っているようです。キャパシタもこのIC近くにあると思います。
投稿: BLUESS | 2022年1月10日 (月) 11時23分
BLUESS さま
早速 当時のノートを調べていただくなどありがとうございました。正面パネルの裏側の大きな東芝製のコントロールICの周辺には、容量の大きなもので100μのコンデンサぐらいしかなく不思議です。部品点数も少ないチューナーですが、もう少し丹念に探してみます。
投稿: abetyan | 2022年1月11日 (火) 06時21分
初めまして。
Aurex ST-55の回路図を入手したいと思い、ネット検索していた所、ここに辿り着きました。
早速ですが、教えて下さい。
1.回路図は世間一般的に公開されていますでしょうか?
2.されている様でしたら、アドレスを教えて頂けないでしょうか?
解答して頂けると幸いです。
宜しくお願いいたします。
投稿: TAKA | 2023年2月12日 (日) 16時57分
残念ながらST-55の回路図は未だ見たことがありません。
サービスマニュアルなら機種名のネット検索で見つかると思います。
この中にあるブロックダイヤグラムが参考になります。
投稿: BLUESS | 2023年2月12日 (日) 20時06分
そうですか。残念です。
返事有難うございました。
投稿: TAKA | 2023年2月12日 (日) 21時38分
初めまして。たまたま目に止まったのでコメントいたします。
このチューナで使用されているHA12412(IF増幅とDET)とHA12016(MPX)はリニアICの回路図集(書籍)に載っていたのを見たことがあります。1982年頃ですがそれを見て基板を起こし、FMチューナを自作しました。バリキャップ4連のフロントエンド部は秋葉原の秋月電子で当時売っていたやつを使いました。CMOSで選択回路を作ってプリセット式にしたほかは極めてアナログで、局発の周波数をカウンタLSIに入れて表示していました。
このチューナはさほど高性能でもないので、おそらくICのリファレンス回路とそんなに違いはないように思われます。当時の書籍を図書館などで探すのも手かもしれませんね。
投稿: Marimo | 2023年7月12日 (水) 22時47分