SONY ST-5150

2008年7月下旬、リサイクルショップで[SONY ST-5150]を税込525円で入手しました。[ST-5130]の弟機です。電源コードには[1973]の印字があります。同シリーズのアンプとセットで人気のあった機種だったと思います。実は[ST-5130後期型]のガラスパネル交換用に部品取りのつもりでした。でもフロントパネルに傷も無く全体にとてもきれいな状態なので、解体する前にキチンと調整し記録としてまとめてみました。
TA-1150/ST-5150 1973年6月発行カタログ(PDF形式:約15MB)
■内部構成---------------------------------------------------
ST-5150とST-5130のスペック一覧表を作ってみました。AM部はほぼ同等性能ですが、FM部はやはり違いが大きいですね。内部構成を見ると、オールディスクリートの[ST-5130]に対して[ST-5150]ではICが3個使われていて合理化されている印象です。
・FM-IF部:CX0412 ・FM-MPX部:CX-0431 ・AM部:CX-0451
回路図と実機を照合したところ、回路図に記載のないコンデンサー2個[C413,C414]と半固定抵抗2個[RT402,RT403]がありました。[RT402]と[RT403]はセパレーション調整用と間違えそうですが、最終出力レベルのバランス調整用と思われます。
「電解コンデンサー買い物リスト」を作成しておきました。底板を外すと基板裏面が露出しますから交換作業は容易です。(実際には交換していませんが・・)
→「ST-5150電解コンデンサー一覧表 ST-5150.zip」をダウンロード
■調整記録---------------------------------------------------------------
【1.フロントエンド部の調整】
・以下の調整は本体シグナルメーターが最大値になる事を確認。
・OSC部調整 SSG(76MHz、50dB)-本体目盛(76MHz)の位置 L104を調整して最大に。
・OSC部調整 SSG(90MHz、50dB)-本体目盛(90MHz)の位置 CT104を調整して最大に。
・数回繰り返す。
・ANT部調整 SSG(76MHz、50dB)-本体目盛(76MHz)の位置 L101を調整して最大に。
・ANT部調整 SSG(90MHz、50dB)-本体目盛(90MHz)の位置 CT101を調整して最大に。
・数回繰り返す。
・RF部調整 SSG(76MHz、50dB)-本体目盛(76MHz)の位置 L102、L103を調整して最大に。
・RF部調整 SSG(90MHz、50dB)-本体目盛(90MHz)の位置 CT102、CT102を調整して最大に。
・数回繰り返す。
・IFT部調整 SSG(83MHz、50dB)-本体目盛(83MHz)の位置 IFT101を調整して最大に。
【2.検波コイルの調整】
・FM受信モード=AUTO
・SSG(83MHz-60dB-無変調)シグナルメーターが最大振れになる位置(83MHz)で受信。
・T201コアを調整してチューニングメーターをセンター位置へ。
【3.VCO調整】
・SSG(83MHz、60dB、Stereo L+R、1kHz、100%変調)AUTOモードで受信。
・IC401(CX-0431)14pinに周波数カウンタ接続
・T401を調整して38kHzに & WaveSpectraを見ながら2次高調波を最小に。
【4.ステレオセパレーション調整】
・SSG(83MHz、60dB、Stereo L,R、1kHz、100%変調)AUTOモードで受信。
・RT401を調整してWaveSpectraで波形を見ながら反対chへの漏れを最小に。
【5.出力レベル調整】
・RT-402、RT-403を調整してWaveSpectraで波形を見ながら両chの出力レベルを同一に。
【6.FMシグナルメーターの振れ調整】
・SSG(83MHz、60dB、Stereo 1kHz、30%変調)AUTOモードで受信。
・RT202を調整してメーター振れ最大へ。
【7.MUTING調整】
・SSG(83MHz、30dB、Stereo 1kHz、100%変調)AUTOモードで受信。
・RT201でミューティング開始位置を調整。
■最後に-----------------------------------------------
ソニーデザインは良いですね。パネルの作りも豪華です。受信性能もそんなに悪くないと思います。ただ出てくる音を聴くとセパレーションの甘さ、輪郭のぼんやり感は否めません。「サ行」の発音が歪む感じがします。今後も永く愛用するには電解コンデンサーの総交換などメンテナンスが必要と思います。
ところで[ST-5150]の後継機に[ST-5150D]という機種があります。定価で1万円高です。フロントパネルに「MULTIPATH」スイッチが追加され、シグナルメーターをマルチパスメーターに切り替え可能になっているようです。背面にはFM検波出力端子が追加されています。内部構成が[ST-5150]とどのように違うのか(同じか)ちょっとだけ興味あります。
さて過日、予定通り周波数目盛が刻まれたガラスパネルを取り外し[ST-5130後期型]に移植しました。ピッタリ同一サイズです。実は[ST-5130後期型]を調整したとき、このガラスパネルを磨き過ぎて白い数字と目盛りの一部が消えてしまったのです。何事もほどほどに・・ですね。
| 型番 | ST-5150 | ST-5130 | |
|---|---|---|---|
| 型式 | FM/AMチューナー | FM/AMチューナー | |
| 年式 | 1973年 | 1971年 | |
| 定価 | 39,800円 | 69,800円 | |
| FM部 | 回路方式 | スーパーヘテロダイン方式 | スーパーヘテロダイン方式 |
| 受信周波数 | 76MHz~90MHz | 76MHz~90MHz | |
| 中間周波数 | 10.7MHz | 10.7MHz | |
| 実用感度 | 2.0μV(IHF) | 1.5μV(IHF) | |
| S/N比 | 70dB | 75dB | |
| キャプチャーレシオ | 1.0dB | 1.0dB | |
| 実効選択度 | 70dB(IHF) | 100dB(IHF) | |
| イメージ妨害比 | 75dB | 100dB | |
| IF妨害比 | 90dB | 100dB | |
| スプリアス妨害比 | 90dB | 100dB | |
| AM抑圧比 | 56dB (IHF) | 60dB(IHF) | |
| ミューティングレベル | |||
| 周波数特性 | 20Hz~15kHz、±1.0dB | 20Hz~15kHz、±1.0dB | |
| アンテナ端子 | 300Ω平衡 | 300Ω平衡 | |
| 75Ω不平衡 | 75Ω不平衡 | ||
| 高調波歪率 | mono:0.3%(400Hz、100%変調時) | mono:0.2%(400Hz、100%変調時) | |
| stereo:0.5%(400Hz、100%変調時) | stereo:0.3%(400Hz、100%変調時) | ||
| ステレオセパレーション | 40dB以上(400Hz) | 42dB以上(400Hz) | |
| 19kHz、38kHz抑圧比 | 50dB | 60dB | |
| AM部 | アンテナ | フェライトバーアンテナ | フェライトバーアンテナ |
| 外部アンテナ端子付 | 外部アンテナ端子付 | ||
| 受信周波数 | 530kHz~1,605kHz | 530kHz~1,605kHz | |
| 中間周波数 | 455kHz | 455kHz | |
| 感度 | 50dB/m(バーアンテナ使用時) | 50dB/m(バーアンテナ使用時) | |
| 30μV(外部アンテナ使用時) | 30μV(外部アンテナ使用時) | ||
| S/N比 | 50dB | 50dB | |
| イメージ妨害比 | 45dB(1000kHz) | 45dB(1000kHz) | |
| IF妨害比 | 40dB(1000kHz) | 41dB(1000kHz) | |
| 歪率 | 0.6% | 0.6% | |
| 総合 | 出力電圧/インピーダンス | 固定出力(Fixed):750mV/10kΩ(100%変調時) | 固定出力(Fixed):750mV/10kΩ(100%変調時) |
| 可変出力(Variable):0~2V/1.8kΩ(最大出力にて、100%変調時) | 可変出力(Variable):0~2V/1.8kΩ(最大出力にて、100%変調時) | ||
| 使用半導体 | トランジスタ:12個(受信回路:9個、付属回路:3個) | トランジスタ:46個(受信回路:22個、付属回路:24個) | |
| FET:4個(受信回路:2個、付属回路:2個) | FET:9個(受信回路:4個、付属回路:5個) | ||
| ダイオード:14個 | ダイオード:41個 | ||
| IC:3個 | IC:0個 | ||
| 電源 | AC100V、50Hz/60Hz | AC100V、50Hz/60Hz | |
| 消費電力 | 15W | 25W | |
| 外形寸法 | 幅400×高さ149×奥行344mm | 幅400×高さ149×奥行344mm | |
| 重量 | 7.0kg | 7.5kg | |
| 付属品 | FMフィーダーアンテナ×1 | FMフィーダーアンテナ×1 | |
| 接続コード RK-74×1 | 接続コード RK-74×1 | ||
| ポリシングクロス×1 | ポリシングクロス×1 | ||
| 75ΩF型プラグ×1 | 75ΩF型プラグ×1 | ||
| 参考 | ブログ記事 | ST-5150 | ST-5130初期型、ST-5130後期型 |
| ブログ写真集 | 写真集 | 写真集 | |
| 取扱説明書 | 捜索中 | 捜索中 | |
| カタログ | 1973年6月発行 | 捜索中 | |
| 回路図 | ST-5150回路図 | 捜索中 | |
| 参考リンク1 | オーディオの足跡 | オーディオの足跡 | |
| 参考リンク2 | T.I.C ST-5150 ($280) | T.I.C ST-5130 ($370) | |
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コメント
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BLUESS様、いつも楽しく拝見しております。
ST-5150Dの取説(3-780-442-01(3))と回路図(3-793-775-01(1))が出てきました。
取説には「FM受信時にマルチパススイッチを[ON]にすると、マルチパスの強さを示します。メーターが振れない方向にアンテナの向きを合わせます」との記述があります。
回路図にはIFのQ202のエミッタからの信号を2SC945でAC増幅後に1T22Aで検波しメーターを振らせる部分が追加されています。
その他、MPXICのIC401の入力にLCフィルタが追加され、その手前から新設の[FM DISCRI OUT]端子に出力されるようになっていました。
追加のトランジスタが自社製でないのが興味を引きます。また、回路図がBLUESS様掲示の「ST-5150回路図」のきっちりした書き方とは異なり、テンプレートを用いない手書き風です。
では、失礼します。
投稿: exjf3eqs | 2008年8月13日 (水) 08時19分
exjf3eqs様
ST-5150Dの詳細情報をありがとうございます。
やはりST-5150の基本性能はそのままで、いくつか機能が追加されただけ・・と言うことですね。
この時期のチューナーには「FM検波出力端子」が装備されている機種がありますね。FM4ch放送用のデコーダーを接続するためだったと思います。当時の流行に合わせて追加されたのでしょうね。
投稿: BLUESS | 2008年8月14日 (木) 09時22分
BLUESS様
<ST-5150D>
あまり参考にならないと思いますが、マニュアルと回路図を標記URLに置きました。スキャナが無く、資料としてはいまいちです。
<FM検波出力端子>
手持ちのオンキョーのT-455MKII('72年製)とTechnicsのST-8080('76年製)の背面を見てみると、マルチパス端子と兼用でFM検波出力端子が設置されていました。
私にはLPの4ch方式の記憶しか無く(それも雑誌やお店で眺めるだけでしたが)、4chFM放送については全く覚えがないのです。当時はどのような状況だったかご存じでしょうか?
<STG-55、Gマーク>
SONY製品もそうですが、機能に相応しい構造やデザインを持つ製品には強く惹かれるものがありますね。必要も無いのに、つい蓋を開けては喜んだりがっかりしたり・・・
ちなみに'81年のGマーク・カセットデッキがあるのですが、ボタンのデザインが統一され過ぎており、誤操作で大切な録音済みテープを何本もだめにしました。Gマーク商品といえども粗忽者には使いこなせません・・・
投稿: exjf3eqs | 2008年8月14日 (木) 21時57分
BLUESS様
度々すみません。先ほどのコメントで
<ST-55>とすべきところ、<ST-G55>というAurexとTechnicsが合体したような型番を記載していました。やはり粗忽物でした・・
投稿: exjf3eqs | 2008年8月14日 (木) 22時04分
exjf3eqs様
FM愛知を聴いていた高校生の頃(多分1975年頃)友人宅で[SANSUI QS-1]に触れた事があります。カッコいい!と思いましたが、でもFM4ch放送を聴いたという記憶は全くありません。
→http://www.audio-heritage.jp/SANSUI/etc/qs-1.html
1973年製YAMAHA CT-800にはマルチパス出力端子とは別に「IF OUT端子」があり、取扱説明書には「将来に予測されるディスクリート4チャンネル放送のアダプターを接続するための出力端子です。」と記されています。
1976年製のTRIO KT-7700はマルチパス出力端子のH側に「det. out」の表記があります。取扱説明書には「将来FM4チャンネル放送が始まった時、この端子に4チャンネルアダプターを接続してFM4チャンネル放送を聴くことができます。」と記載があります。
残念ですが私もはっきりとした事が分かりません。
1976年当時で「将来FM4チャンネル放送が始まった時・・」という記載があることを考えると、実際に放送があったかどうか??ですね。
当時の事情に詳しい方のご意見をいただきたいです。
投稿: BLUESS | 2008年8月14日 (木) 23時13分
BLUESS様
検波、IF出力と4chFM放送について早速有難うございます。
4chFM放送については経緯が「イシノラボどっとこむ」様の
「連載>日本オーディオ史>第6回 4chステレオ戦争」に多少記載があり、
実際に放送されていたとのことです。
このエッセイも更新を楽しみにしています。ご興味があればご覧になって下さい。
トップページのURLを下記にご連絡します(ご存じでしたらすみません)。
→http://www.ishinolab.com/
我家初の本格?FMチューナーは1976年に兄が購入した廉価モデルです。
当時聞いていたFM大阪では4chのプログラムは記憶になく、
既に放送は終了していたのかもしれません。
やはり良くご存じの方にご教授いただきたいところですね。
投稿: exjf3eqs | 2008年8月15日 (金) 01時23分
exjf3eqs様
ご紹介いただいたサイトを拝見しました。
とても興味深い内容でした。ありがとうございました。
実はちょうどKENWOOD KTF-5002の記事をまとめていたところだったので、勝手ながら引用&リンクさせていただきました。
ご了承お願いします。
投稿: BLUESS | 2008年8月16日 (土) 21時42分