TU-S707X MPXデコーダー化実験(2)
サンスイ[TU-S707X]の優秀なMPX部を「汎用デコーダー」として利用できないか?
素敵なアイデアをいただき試行錯誤を繰り返しました。検証に用いた機種が多かった事と本業多忙期が重なったため時間がかかりましたが、前回記事からの経過報告を以下にまとめました。
■最初に訂正--------------------------------------------------
前回記事の「・・SONY ST-5950のマルチパス出力を繋いでもステレオ音声にならない・・」という報告は誤りでした。訂正してお詫びします。原因は[TU-S707X]側のパイロット信号部分の調整ズレでした。念入りに再調製したところステレオ復調できたことをご報告します。これを踏まえて以下の記事をご覧ください。
■実験目的-------------------------------------------------------
私は70年代の古いバリコンチューナーが大好きです。保管場所に苦労しながらも所有機器はすべて大切に使っています。お酒をチビチビ飲みながらボンヤリ聴くだけならバリコンチューナーの出音に十分満足しています。ただ80年代以降シンセチューナーが主流となり、さらにMPX回路技術も進化したので「バリコンチューナー+新MPX回路の組み合わせで出音の違いを確かめたい」・・と思いました。
70年代チューナーの多くは背面に「マルチパス端子」を装備しており、このうち[H]端子からはステレオ復調される前のFMコンポジット信号が出ています。この信号を[TU-S707X]のMPX部に直接入力しようという実験です。マルチパス端子以外に「FM4チャンネル放送用デコーダーを接続するための専用端子」を備えたチューナーもありますが、この端子も同様に使えます。
■[TU-S707X]のMPX部を使う理由--------------------------------------
SANSUIのMPX回路技術は SLDD[Super Linear Digital Decoder]と呼ばれ、1984年製[TU-S707X]ではディスクリート回路で実装されています。過去の調整経験ではセパレーションが約70db(1KHz)ほど確保できるなど、MPX部の優秀性能は確認済みです。また[TU-S707X]は大型バリコンチューナーと重ねて置いても邪魔にならない薄型ボディ、MPX部が独立基板、TICから回路図入手可能、など好条件が揃っています。
・SANSUI SLDDに関する過去記事
[TU-S707X]以降の[TU-α707]シリーズでは同回路がIC化された[LA3450]がMPX部に使われています。サンスイ以外でもこのICを使ったチューナーはあります。このICで専用回路を設計製作する方法もありますが、残念ながら私には開発能力ありません。この方法は開発できる方にお願いします。
■[TU-S707X] → [TU-S707X(改)]へ改造 ------------------------------
・オリジナル状態で各部入念に再調整する。この作業が最重要!! ※調整方法はこちら→
・左右の基板を繋ぐ黒いフラットケーブルをすべて外す。(MPX側基板のコネクタを外す)
・外したフラットケーブル先端が他のパーツや金属ボディと接触しないようにビニールテープ等で処理する。
(オリジナル[TU-S707X]として再調整できるようにケーブル自体は切断せずに残します)
・背面AMアンテナホルダーを外し、信号入力端子としてRCAジャック取付け。
・この端子をケーブルを外したコネクタ[C1]と[GND]へそれぞれ接続。
・コネクタ[A5]→[A6]、[A7]→[A8]をそれぞれ直結する。
・コネクタ[B8]→[GND]に接続。
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この改造によって・・
・電源ボタン以外のボタンはすべて操作不能になる。
・受信時にステレオランプは点灯するが、その他のランプ(LED)は点灯しなくなる。
・FL管の表示内容がおかしくなる(周波数表示消灯、MEMORY常時点灯など)。
・上記課題はありますが、音質に直接かかわる問題ではありません。
・MPX基板だけで動作させるためフラットケーブルを全部外しましたが、[C1]以外の接続は残しておく方法もOKです。
※電気製品の改造には危険が伴います。同様の実験をされる方は十分ご注意の上、自己責任でお願いします。
■【マルチパス端子があるチューナー】を接続した実験--------------------
実験の前に各チューナーをしっかり受信調整します。その後、マルチパス端子(H)側出力を[TU-S707X(改)]に繋ぎます。この状態で信号発生器から各チューナーに[83MHz,1kHzステレオ信号]を送信し、送信強度を変化させながら[TU-S707X(改)]の[C1-GND]電圧を測定してみました。双子機[TU-S707X DECADE]で検証した結果も同じ表にまとめました。この表でピンク色の部分が正常なステレオ音声を聴ける範囲です。[ST-5130]以外はステレオ復調できました。
・STEREO:TU-S707X(改)のステレオランプが点灯すれば[on]
・音質◎:正常なステレオ音声 (※◎○△×は私の聴感です)
・音質○:そこそこ聴ける音声
・音質△:過入力によるクリップしたステレオ音声
・音質×:実用範囲外
■[TRIO KT-7700]で検証----------------------------------------
[TRIO KT-7700]はマルチパス出力を基板上の半固定抵抗で調整できる珍しい機種です。上記実験はサービスマニュアル規定値=300mV(83MHz、1kHz、60dB受信時)に調整した状態で行いました。基板上の半固定抵抗器[VR10:FM DET OUT]を回してみると90~600mVの範囲で調整可能です。上記実験では「△」ですが、およそ90~200mVの範囲であれば[TU-S707X(改)]によって正常なステレオ音声「◎」に復調されることを確かめました。オリジナル[TU-S707X DECADE]と同レベルにしておくと安心して使えますね。
・KT-7700の調整方法は過去記事を参照ください。
■【マルチパス端子がないチューナー】を接続するには------------------
・ステレオ復調される前の信号を回路から直接取出す必要があります。
・SONY ST-5950の例ですが、MPX用ICの入力ピン直前から取り出す方法が良さそうです。
・ICクリップ+テストリードの配線では信号劣化(減衰)が心配です。
・受信するチューナー側に「専用出力端子」を追加設置する方法が良いですね。
・機種にによって事情が異なるので、今後の研究材料にします。
■まとめ-------------------------------------------------------
[TU-S707X]のMPX部を活用するアイデアはどうやら使えそうです。私としてはお気に入り機種[TRIO KT-7700]の音が[TU-S707X(改)]経由で聴けたので大満足でした。今もこの組み合わせでFM放送を聴きながらこの文章を書いています。
ただ[TU-S707X(改)]を汎用デコーダーとして利用するには、接続するチューナーからの入力レベルを調整する仕組みが必要です。信号が弱い場合はステレオ復調できませんし、逆に強すぎる場合は復調した音声が歪みます。さらに改造を進めると「電源部とMPX部を取り出して別ケースに収める」というアイデアもありますから、もう少し楽しめそうです。
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コメント
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順調に進んでいるようですね。
送り出し側の出力レベルはTU-S707X DECADEの値がベストということでしょうか。
送り出し側出力が高すぎる場合は抵抗一本で済みそうですが低い場合はアンプが必要ですね。
アンプを入れると音質に影響しますし通常のオーディオアンプよりは広帯域が必要になってきます。
オペアンプ一個で済めばいいのですが結構大変かもしれません。
それにしてもサンスイの技術者はこういう利用をされるとは思ってもいなかったでしょう (^^)
投稿: cooltune | 2008年10月26日 (日) 01時35分
ST-5130のマルチパス出力に関して本来のスペックが分からないのですが、
姉妹機の情報をネット上で調べてみると・・
SONY ST-5150 Horizontal:150mV/100kΩ
SONY ST-5150D Discri out:200mV/3kΩ
SONY ST-5140 Horizontal:180mV/18kΩ
我が家のST-5130は故障しているかも?・・という気がしてきました。
ST-5130を例外とすれば、抵抗を挟むだけで済みそうです。
もう少し調べてみます。
投稿: BLUESS | 2008年10月26日 (日) 21時33分