80年代のバリコンチューナー(2)
前回ご紹介した [Technics ST-S7] を入手したとき、実は一緒に [YAMAHA T-9] の故障品も購入しました。いくつか不具合があるので現在修理調整中ですが、まだ時間がかかりそうです。保管している古いカタログの中にちょうど「1979年10月発行 YAMAHA T-9 専用カタログ」あったので、まずは参考資料としてPDF化しました。
ついでに [DENON TU-900] [TRIO KT-1100] [PIONEER F-700] の3機種をまとめた一覧表「80年代のバリコンチューナー」にも追記しました。[T-9] もギリギリ「80年代」の仲間に入れておきます。
■80年代のバリコンチューナー4台比較
→http://bluess.style.coocan.jp/audio/80s.htm
ところでこの「T-9専用カタログ」は「詳細な技術解説書」と言える内容になっています。特にTRIO製チューナーを強くライバル視しており、パルスカウント検波やサンプリングホールドMPXの欠陥を指摘した上で自社技術の優位性を5ページに渡ってアピールしています。技術的な論評は私にはできませんが、読んでみるとけっこう攻撃的な内容です。
確かに・・当時は専門用語やカタログ数値の意味もよく分からないまま、オーディオ雑誌の記事・意味の分からないカタカナ・デザイン・ブランドイメージで製品を選んでいました。最近ようやくチューナー関係の専門用語が少し分かるようになり、30年前のカタログを読み直しては教科書代わりに活用しています。
■「T-9専用カタログ」より一部抜粋------------------------------------
「チューナーは、一般のユーザーにオーディオ機器の中で最もむずかしいものと思われており、従って、ユーザー側からの正確な技術的理解の最も遅れているオーディオ機器です。そのためにチューナーでは、技術者の立場からすれば旧知でマイナス点も明らかな古い技術が、コマーシャル上、新しくて万能のワンポイント技術のように持ち出されて無反省に流行するといった傾向も見られます・・・」
「検波段でパルスカウント方式に対するヤマハ技術からの見解は、理論上の直線性は良いけれど、肝心の情報伝達能力に欠けているためオーディオチューナーには適さない、通信機用の過去の技術-ということです。これに対してヤマハは・・・」
「復調段でサンプリングホールド方式に対するヤマハのチューナー技術の見解は、非直線抵抗でコンデンサを充放電してスイッチするため過渡特性に欠点があり、アンプの動作性でいえばC級動作で、オーディオアンプとしては見捨てられた過去の技術-ということです・・」
■「ウルトラ・リニア・ダイレクト・ディテクター」って何??--------------------
パルスカウント検波に対してヤマハは「ウルトラ・リニア・ダイレクト・ディテクター」を採用していると記述していますが、これも全く意味の分からない立派な「宣伝用カタカナ」ですよね(笑) ブロック図では「スーパーリニア・レシオ検波」と記載あります。英語版には「WIDE RANGE YAMAHA RATIO DETECTOR」とあります。素直に「広帯域レシオ検波」と言ってくれた方が分かりやすいと思いますが、ユーザーから「古臭い・・」と思われるのを嫌った営業戦略だったのでしょうか。
検波方式の違いは「ひろくん」様のサイトで詳しく解説されています。私が持っている1983年製シンセ式の [T-2000W] も広帯域レシオ検波ですし、後継機の1990年製 [TX-2000] も同じです。シンセチューナーが主流になった後もヤマハはレシオ検波に拘っていたのですね。[T-2000W] は今も私のお気に入りチューナーの一台です。
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