Victor T-7070 解体記録
毎年3月は年度末締切の仕事を抱えて本業の超繁忙期なのですが、ようやく一区切りついて今日は3週間ぶりの「完全オフ日」でした。ブログの更新もずいぶん久しぶりの感じです。2月末に書いていた記事を整理して掲載します。
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ジャンク品を入手し「修理記録」として書き始めた記事ですが、残念ながら修理の過程で完全に壊してしまったチューナーです。この機種はあまり見かけないので「解体記録」にタイトル変更して掲載します。
■Victor T-7070入手 --------------------------------------
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2008年11月末、いつも利用するリサイクルショップで税込105円で入手しました。店主が言うには「キズ多いし、汚いし、電源も入らないから・・」確かに見た目は最悪な状態です。でも・・
・Victor Laboratory のロゴあり。
・Pioneer F-120のような薄型ボディ。
・ズッシリと感じる重量感。
・フロントパネルとサイドパネルがアルミ製。
・本来はラック取付用ミミが付いていたらしい。
・各スイッチの操作フィーリングに重厚感あり。
・背面にDET OUT端子あり。
・電源コードの印字は 1978 。
・ひょっとしてT-2020の進化系か?
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Victor T-7070 に関する予備知識はなかったのですが、何だか高級機の予感?がしました(笑)
■持ち帰って情報収集 --------------------------------------------
・天板を外すと基板裏面が見える。
・底板を外すと部品実装面が見える・・いわゆる「ブラ下がり構造」です。
・基板には部品がビッシリ詰まっている。
・フロントエンド部はシールドカバーで覆われているが、5連バリキャップ!
・シールドカバー固定ネジが外せない・・電源部のコンデンサーが邪魔です。
・チューナー用ICとしてHA11211、HA1137W、HA11223が使われている。
・何とPLL検波!
・マイコン系ロジックICが異常に多い・・
・コンセントに繋いでも表示が何も出ない・・
・電源部の電解コンデンサーは液漏れがひどい。
・ボディにキズ多い、アンテナ端子やRCA端子は完全に錆びている。
・長期間にわたり放置されていた様子。
・見た目は最悪。でも「5連バリキャップ+PLL検波+HA11223」素性はとても良い。
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何とか修理したいと思い、まずは情報を求めてネット検索。ところが「T-7070」で検索してもほとんど情報が見つかりません。彷徨っていると「オーディオ回顧録」様のサイトでプリアンプP-3030の情報に辿り着き、外観がそっくりである事に気付きました。そこで今度は「JVC T-3030」で検索すると海外サイトがゾロゾロと出てきます。当たり~! JVC T-3030の写真を見ると Victor T-7070 にそっくりでした。
HiFi ENGINE に JVC T-3030 の取扱説明書(英文)がありました。読んでみると外観やスイッチ類、背面端子類の配置などが VictorT-7070 と同じ、T-7070本体上面に印刷されているスペック数値も同じです。
「輸出用 T-3030、国内用 T-7070 かな??」と想像しました。
【HiFi ENGINE】JVC T-3030 の写真、取扱説明書入手
→http://www.hifiengine.com/gallery/jvc-sea-7070-t-3030-p-3030.shtml
【オーディオ回顧録】 Victor P-3030情報
→http://www.niji.or.jp/home/k-nisi/p-3030.html
■本当に [JVC T-3030] = [Victor T-7070] か? -----------------
【Manual-In-PDF.com】 サービスマニュアル購入
→http://www.manuals-in-pdf.com/
JVC T-3030 のサービスマニュアル(英文)を購入しました。PayPalで14.99USDに対して支払額は1392JPY(2008年12月末時点)。円高のおかげで割安に買えるのはありがたいです。全44ページ、状態良好で欠落は無いようです。技術解説、回路図、調整手順、パーツリストが揃っています。この資料を使って JVC T-3030 と Victor T-7070 実機を比較検証してみました。
結果は・・電源部に多少の相違はありますが、それ以外はT-3030回路図とT-7070実機はほとんど一致します。国内版では不要の「ディエンファシス切替スイッチ(25/50/75usec)」まで実装されています。
FM用ICが2個ありますが、HA1137Wのクアドラチュア検波はシグナルメーターとミューティング制御用に使われています。PLL検波は後段のHA11223で行われています。
前面[ANTIBIRDY]スイッチのON/OFFにより[ANTI-BIRDY FILTER L118,L119]を通過するか迂回するかを切り替えています。
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■JVC T-3030の特徴 -----------------------------------------------
【JVC T-3030 取扱説明書 INTRODUCTION~全文を適当に意訳しました】
FMシンセサイザーチューナー JVC T-3030をお買い上げいただきありがとうございます。あなたはまさに多くの先進機能をもったステレオコンポーネントのオーナーになりました。シンセサイザーチューナーの内部には機械的なメカは一切なく、すべての操作は基準水晶発振器の発振周波数に基づいて電気的に動作します。素晴らしい受信精度と安定したハイファイ再生のため、T-3030では三つのPLL回路を使っています。
1.周波数シンセサイザーセクション
2.FM検波セクション
3.MPX復調セクション
さらにフロントエンドはデュアルゲートMOS FETで構成しています。低歪率、高S/N比、高セパレーション、直線性、安定性はT-3030に採用された最新技術の賜です。ボディスタイルや機能性・操作性についても新次元を予見させます。JVCは高品質のサウンドを実現するため、T-3030の他にM-3030(ステレオパワーアンプ)とP-3030(ステレオプリアンプ)を製造しています。
T-3030をお使いになる前にこの取扱説明書を注意深く読んで、確実にベストパフォーマンスを引き出してください。
【JVC T-3030 サービスマニュアル FEATURE~原文】
・Quartz PLL Frequency Synthesizer for maintaining high accuracy of reception in frequencies of 100kHz spacings.
・All electronic controlled manual tuning in addition to a 7-station preset tuning convenience.
・Phase Locked Loop (PLL) discriminator for high performance and elimination of interference,unaffected by variations in environment or in aglng.
・Surface Acoustic Wave(SAW) filter to insure ideal transferring characteristics and superb selectivity for hi-fi reception. ・Automatic Pilot Signal Canceller circuit and negative feed backed decorder employed in the MPX demodulator IC for obtaining extremely low distortion during FM stereo reception.
・2 Dual Gate MOS FETs and 2 double tuned circuits employed to gain a high performance in receiving various levels of input signals.
・Anti-birdy filter with defeat switch employed to eliminate noise interference during FM stereo reception.
・7-segment indicator shows both the receiving frequency and the preset number,and 5 LED indicators for showing input signal level to the antenna terminal
・REC LEVEL calibrator is a convenience for adjusting to a highly accurate recording level.
・Coaxial antenna connector for hookup to an FM aerial with correct impedance.
■Victor T-7070 コンデンサ交換 -------------------------------------
激しく液漏れしている電源部電解コンデンサを交換しました。
・C303 1000uF/50V
・C321 220uF/50V
・C322 220uF/50V
・C332 1000uF/25V
・C343 470uF/63V
・C346 470uF/35V
交換後に電源投入したところ、周波数表示部の小数点だけが赤く点灯しました。まずは一歩前進です。回路図に記載のある各部電圧を測定するとフロントエンド以降のチューナー基板では規定値を示しました。
古い大型コンデンサを外したのでシールドカバーのネジが外せるようになりました。フロントエンドの中を見てみると・・MOS-FETは3SK60でした。
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■Victor T-7070 電池交換と初期設定 ----------------------------------
T-7070の背面にメモリー保持用と思われる電池ホルダーがあります。ホルダーを外してみると30年前の「National製4G13」6V銀電池が入っていました。電圧を測ってみると0.01V。T-3030の取扱説明書を読むと「長期間電池を外していた場合は電池を入れて初期設定が必要・・」とあります。いま入手できる「4G13」の代替品は以下の通りでした。
【電池情報】
・オリジナル:4G13
・代替品:4SR44、4LR44、2CR1/31・H
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【電池交換後の初期設定】
・MANUAL/SELECTスイッチをMANUAL側にする。
・選局ボタン1を押す。
・UP/DOWN/QUICK の三つのボタンを同時に押す。88.8MHzが表示されることを確認。
・選局ボタン2~7について同様に操作する。
ホームセンターで最も安価な4LR44(498円)を買ってきて電池ホルダーにセット、電源を入れるとメモリー番号の赤色表示が出ました!
・取扱説明書に従って「初期設定」を行うと、周波数「88.8」表示される。
・しばらく表示されるがまた消灯。
・電源を入れ直すとしばらく点灯してまた消灯。
・点灯している間に無理やり選局するとFM放送受信できました!!
・IF段、検波段、MPX段は生きている。
・周波数表示の挙動がおかしい。
・[UP]、[DOWN]ボタンが思うように効かない。
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■コントロール部のICがどれか壊れているのか?----------------
・電源電圧は正常。
・コントロール部のICを指先で触れてみる。
・6D5 [74LS09] に軽く触れると周波数表示が出現することが判明。
・半田付けの接触不良か?それともIC不調か?
・こうなったら[74LS09]のハンダ面を見るしかないと決断。
・2層構造になったコントロール部の基板を外そうと試みました。
・2枚の基板を繋ぐコネクタ部のピン数が多くて外しにくい。
・ちょっと力を入れたら・・・
「バキッ!」・・・やってしまいました(涙)
・残念ながら、T-7070としては「修理不能」となりました。
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■復活への道? -------------------------------------------------
割れたコントロール部基板と配線をすべて外して、残った部分で復活方法を考えました。
・チューナー基板と電源基板は一体構造です。
・コントロール部基板が無くてもチューナー部へは電源供給されています。
・チューナー部は生きていると思われます。
・シグナルメーター用LEDとステレオLEDは配線残っています。
・実機と回路図を見比べながら外した配線のピンアサインを確認しました。(下表)
・「VT電圧(90MHz-21v)はコネクタ684で測定する」とサービスマニュアルに記載あります。
※フロントエンド部コネクタ113に5v~21v程度のチューニング電圧をかけてやれば動作するのでは?
※別のチューナーのVT電圧を供給してやれば動作するかも??
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| 【電源部基板】 | 【コントロール基板】 | |
|---|---|---|
| 301(NC) | → | 685(E) |
| 302(VDD 25v) | → | 686(VDD 25) |
| 303(NC) | → | 687(NC) |
| 304(MUT) | ← | 688(MUT) |
| 305(NC) | → | 689(NC) |
| 306(VDD BATT 6v) | → | 690(VDD BATT) |
| 307(VDD DL) | → | 691(VDD DL) |
| 311(NC) | → | 692(E) |
| 312(VDD 5v) | → | 693(VDD) |
| 313(NC) | → | 694(E) |
| 314(VDD SY) | → | 695(VDD SY) |
| 315(NC) | → | 696(E) |
| 316(--) | → | 697(E) |
| 317(VDD DSP 5v) | → | 698(VDD DSP) |
| 【コントロール基板】 | 【フロントエンド】 | |
|---|---|---|
| 678(E) | - | 116(E) |
| 679(RF IN) | ← | 115(RF OUT) |
| 680(E) | → | 114(E) |
| 681(E) | → | ---(E) |
| 682(E) | → | ---(E) |
| 683(E) | → | ---(E) |
| 684(LPF O) | → | 113(VCC IN) |
■F-120 + T-7070 --------------------------------------------
PIONEER F-120 を使って早速実験してみました。
・F-120のVT電圧測定用[TP]をT-7070フロントエンド[113Pin]へ接続。
・両機のシャーシを接続。
・F-120の表示を79.9MHzにすると、T-7070で82.5MHzのFM局が受信できました。
・とりあえずT-7070でFM放送受信できます!
・T-7070のシグナルメーター点灯しませんがステレオランプ点灯します!
・ステレオ音声が聴こえます!
・ようやくT-7070の音を聴けました!
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105円で入手してから約3ヶ月。不注意から基板を割ってしまいましたが、結果オーライの楽しいジャンク再生実験でした。T-7070をお持ちの方で修理調整のために回路図・サービスマニュアルをお探しの方がいらっしゃいましたらご一報ください。研究材料として提供いたします。
完全復活できたら掲載しようと思って書き溜めていましたが、なかなか時間が取れません。4月になったら他のチューナーのコントロール部を流用してケースに詰め込む方法などを考えてみます。
■JVC T-3030(Victor T-7070)の仕様 (取扱説明書より抜粋)-------
| 機種名 | JVC T-3030 | ||
| 発売年 | 1978 | ||
| 発売時定価 | ? | ||
| FM検波方式 | PLL検波 | ||
| FM部IC | HA1137W | ||
| FM部IC | HA11211 | ||
| FM部IC | HA11223 | ||
| 受信周波数範囲 | 87.6~108.0MHz | ||
| 受信精度 | ±1kHz以下(25℃) | ||
| 周波数ドリフト | 0.001%以下(-5℃~40℃) | ||
| 実用感度 | 0.9μV/75Ω (10.3dBf IHF) | ||
| S/N比50dB感度 | mono | 1.9μV/75Ω (16.8dBf IHF) | |
| stereo | 19μV/75Ω (36.8dBf IHF) | ||
| イメージ妨害比 | 110dB | ||
| IF妨害比 | 110dB | ||
| スプリアス妨害比 | 110dB | ||
| RF相互変調 | 100dB | ||
| キャプチャーレシオ | 1.0dB | ||
| 実効選択度 | 80dB(±400kHz) | ||
| AM抑圧比 | 65dB | ||
| 歪率 | mono | 100Hz | 0.10% |
| 1kHz | 0.08% | ||
| 6kHz | 0.10% | ||
| stereo | 100Hz | 0.10% | |
| 1kHz | 0.10% | ||
| 6kHz | 0.10% | ||
| 相互変調歪率 | mono | 0.05% | |
| stereo | 0.08% | ||
| S/N比 | mono | 75dB | |
| stereo | 72dB | ||
| ステレオセパレーション | wide | 100Hz | 45dB |
| 1kHz | 50dB | ||
| 10kHz | 45dB | ||
| 周波数特性 | 50Hz~10kHz±0.3dB | ||
| 30Hz~15kHz+0.3,-0.5dB | |||
| サブキャリア抑圧比 | 70dB | ||
| RCA抑圧比 | 70dB | ||
| ミューティング範囲 | Mute1 | 2μV/75Ω(17.3dBf) | |
| Mute2 | 16μV/75Ω(35.3dBf) | ||
| ディエンファシス切替 | 25μsec/50μsec/75μsec | ||
| 出力レベル | Variable | 0~1.5V/2.5kΩ | |
| Fixed | 750mV/2.5kΩ | ||
| DetOut | 160mV/2.5kΩ | ||
| Rec Level Out | 333Hz(FM50%変調) | ||
| アンテナ | 75Ω不平衡型 | ||
| 電源電圧 | AC120V/60Hz(USA Model) | ||
| 消費電力 | 19W(USA Model) | ||
| 外形寸法(H×W×Dmm) | 61×420×348 | ||
| 重量 | 5.2kg | ||
| 取扱説明書 | HiFi Engine.com | ||
| サービスマニュアル | Manuai-in-pdf.com | ||
■追記 2009年5月5日----------------------------------
「Victor T-7070 の情報がオーディオの足跡様のサイトに掲載された・・」とexjf3eqs様に教えていただき、早速見てみました。ご指摘の通り、掲載された写真と私が持っている実機とでは基板の様子がかなり違いますね。
下図は JVC T-3030 サービスマニュアルに掲載されている写真です。
サービスマニュアルの写真と実機はほぼ一致します。オーディオの足跡さまに掲載された写真はたぶん当時の製品カタログから引用されていると思いますが、開発段階の試作品写真がカタログに使われた・・ということでしょうか?興味深いです。




























































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