YAMAHA T-7
2009年2月下旬、ヤフオクで「電源が入らない故障品」を入手しました。既に持っている YAMAHA T-9 を修理するための部品取り目的でしたが、
・予想以上に外装の状態が良い
・予想外に T-9 と同様のモータードライブ※搭載
※チューニングツマミがモーターで回転し、メモリー位置で自動選局可能
・電源の故障は何とか修理できそう
ということで、キチンと修理調整して使ってみようと思いました。
・Tuner Information Center(TIC)に取扱説明書(英文)と回路図(判読厳しい~!)があります。
→http://www.fmtunerinfo.com/yamaha.html
・Yahoo Group FMtuners の File置き場に T-7(輸出仕様)のサービスマニュアルがありました。
→http://tech.groups.yahoo.com/group/FMtuners/
■T-7の特長(取扱説明書より抜粋)---------------------------------
【高性能FMチューナー部】
高感度型アンチサチュレーションローゲインRF増幅段、ミキサー段、パルンタイプ・プリセレクター付4連バリコンのフロントエンド。低損失ユニレゾナンスセラミックフィルターをDX側に5素子、LOCAL側に3素子(位相補正回路付)使用のオートDX回路+カレントリミッター付8段差動増幅回路のIFステージ。スタピライザー付超低歪率スーパーリニアレシオ検波回路を採用したFMチューナー部は、妨害排除特性に優れ、高感度、低歪率、そして高い選択度を確保しています。
【FM MPX部】
C-MOS・DC NFBスイッチングタイプデコーダー部は、C-MOSアナログスイッチ、専用ハイスピードOPアンプ、専用ICによるパイロットピュアキャンセル回路アンチインターフェアランスPLLシステム、オープンロードタイプノルトン変換型、2Poleローパスフィルターなどで構成され、高いSN比と、低歪率、そして透明度の高い再生音を得ています。
【高性能AMチューナー部】
2連バリコン、非同調RFカスコード増幅、差動ミキサー、トリプルダブルチューン、帯域切り換え回路付きIFステージ、そして、低歪率の検波回路などで構成されるスーパーヘテロダイン方式のAMチューナー部は、電界性雑音に強い低インピーダンス型ループアンテナと共に、AM放送を高忠実度で、そして安定に受信します。
【プリセットチューニングシステム】
AM放送5局、FM放送5局、合計10の放送局をメモリーし、サーボモーターによるドライブで選局する便利なプリセットチューニングシステムは、POWERスイッチOFF時にもメモリーを続けるパックアップ機構を備えています。もちろんチューニングツマミによるマニュアル操作もOKです。
【オートDX回路】
IFステージに、妨害検出方式のLOCAL→DX自動切り換えのオートDX回路が付属。さまざまな電波のクオリティを自動的に検出し、音質と選択度のバランスをコントロールしてLOCALおよび、DXインジケーターで動作を表示します。
【多彩な付属回路】
オートブレンドタイプの雑音低減回路、オプチカルバランスタイプのセンターチューニングインジケーター、OTS(Optimum Tuning System)やREC CAL機構など、多彩な付属回路がチューニング操作をスピーディに、またオートマチックにオペレートします。
【デザインと安定性】
多彩な機能と、ヤマハならではの優美なデザインが調和したパネルフェース。それに、充分な容量を持った電源トランスと安定化電源は、デリケートな各回路の安定動作をパックアップしています。
■T-7 修理記録 --------------------------------------------------
故障の理由は「電源が入らない事」ですが、確かめてみると電源スイッチを奥まで押し込んだ状態(指で押し続けている状態)なら通電しました。ところが指を離して「カチッ」とロックする位置では通電しなくなります。「電源オンの状態を持続できない」という表現が正しいです。電源スイッチの接触不良を予想してネット検索すると、まったく同じ現象の事例がありました。
・修理事例
→http://www.riric.jp/electronics/repair/T7.html
電源スイッチの載った基板がグラグラしています。上記サイトを参考にして正面パネル側から基板を引っ張るように白いカラーモールで固定しました。電源の問題はこれで解決しました。電源スイッチのハンダ修正、メモリーバックアップ用充電池交換も施しました。上記サイトに倣って電池ボックスに充電池を入れ、結束バンドで側面に縛りつけました。
■T-7 IC考察 ------------------------------------------
・クォドラチュア検波回路内蔵の LA1231 がありますが、シグナルメーター制御用に使われています。
・YAMAHAロゴのICは、IG-03210=LA2300、IG-02920=LA3380 と思われます。
・IG-02920(LA3380)はスイッチング信号取出しに使われ、後段にMPXディスクリート回路を備えています。
・大型の LC7200 はオートチューニング制御用ICです。
・AM用には LA1240 が使われています。
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■T-7 受信調整 --------------------------------------------------
※FMアンテナ端子は PAL端子です。F端子との変換プラグ を用意しておくと便利です。
【本体スイッチ設定】
・FUNCTION = FM
・RX MODE = AUTO DX
・MUTE/OTS = OFF
・BLEND = OFF
・REC CAL = OFF
【各部電圧チェック】
・基板表示 +12 → +12.5±1V
・基板表示 -12 → -13.5±1V
・基板表示 + 9 → + 9.5±1V
・基板表示 9B → +10.5±1V
・基板表示 + 7 → + 7.0±1V
・基板表示 - 7 → - 7.5±1V
【1.検波回路バランス調整】
・IC111 20pin(またはR282)-GND にTメーター接続
・ダイヤル指針83MHz付近にセット
・T103 を調整してTメーターをセンターに
※Technics ST-8200から部品取りしたTメーターに39kΩを挟んで使用。これ便利です!!
【2.トラッキング調整】
・IC111 20pin(またはR282)-GND にTメーター接続
・SSG(90MHz)ダイヤル指針を90MHzにセット
・フロントエンド内 FM OSC トリマーを調整してTメーターをセンターへ
・ダイヤル指針を76から90まで移動して、Tメーターがほぼセンターにあることを確認
【3.フロントエンド RF部調整】
・SSG(83MHz)ダイヤル指針を83MHzにセット
・IC102 (LA1231) 13pinに直流電圧計接続
・フロントエンド内 RFトリマー(FM1,FM2,FM3)を調整して電圧最大に
【4.モノラル歪調整】
・T-7 音声出力(L側)を WaveSpectra で観察
・SSG(83MHz、70dB、1kHz、100%変調)
・TC-101 を調整してWaveSpectraを見ながら二次高調波を最小に(実測0.014%)
【5.VCOフリーラン周波数調整】
・IC113 1pin-14pin 間に2.2MΩを介して直結
・この接続で強制ステレオモードになり、本体ステレオランプ点灯
・R226(19kHz TP) に周波数カウンタを接続
・SSG(83MHz、70dB、無変調)
・VCO ADJ(VR108)を調整して周波数カウンタで19kHz±10Hzに。
【6.PLL調整】
・T-7 音声出力(L側)を WaveSpectra で観察
・SSG(83MHz、70dB、1kHz、100%変調、L=-R)
・T112 を調整して1kHz出力波形を最大に
【7.ステレオ歪調整】
・T-7 音声出力(L側とR側)を WaveSpectra で観察
・SSG(83MHz、70dB、Stereo L,R、1kHz、100%変調)
・VR101 VR102 VR103 → 二次高調波を最小に
・T102 → 三次高調波を最小に
【8.パイロット信号キャンセル】
・T-7 音声出力(L側とR側)を WaveSpectra で観察
・SSG(83MHz、70dB、パイロット信号のみ、9%変調)
・T113 と VR109 を調整してWaveSpectraを見ながら19kHzの漏れを最小に
【9.ステレオセパレーション調整】
・SSG(83MHz、70dB、Stereo、1kHz、100%変調)
・L側:VR105 を調整してWaveSpectraを見ながら反対chへの漏れを最小に
・R側:VR106 を調整してWaveSpectraを見ながら反対chへの漏れを最小に
【10.シグナルインジケーター点灯調整】
・SSG(83MHz、100dB)
・VR112 を調整してすべてのシグナルLEDが点灯する位置に
・SSG(83MHz、0dB)
・VR111 を調整してすべてのシグナルLEDが消灯する位置に
【11.プリセットチューニング上限・下限位置調整】
・バリコン回転角を検知してメモリー位置を設定する仕組みですが、
・サービスマニュアルを読んでも今ひとつ調整方法が理解できません・・
・メモリー動作も問題ないので今回はスルーして「宿題」とします。
■[MUTE/OTS] [ON] [OFF/MULTIPATH] スイッチの使い方----------------
※OTS(Optimum Tuning System)
※AFC(Automatic Frequency Control)
T-7では同調点のドリフトを防ぐために、近くの強い受信信号に自動同調される「AFC回路」が組み込まれています。この回路は同調点を保持するためには非常に有効な回路ですが、同調点が少々ずれていても同調してしまうため、最適同調点がつかめません。このため選局時にはチューニングツマミを触ることによってAFCを一時解除する「OTS機構」があります。チューニングツマミに触るとAFCが解除されたしるしにチューニングインジケーターが暗くなります。このインジケーターは入力信号強度をほぼ正確にdB表示しています。
「MUTE/OTS」スイッチがOFFの状態では、AFCは強制的に解除された状態になります。このときインジケーター表示は暗くなり、マルチパス成分だけが明るく表示されます。
■[RX MODE] [AUTO DX] [LOCAL] スイッチの使い方-------------------
一般的には WIDE/NARROW といいますが、YAMAHAでは LOCAL/DX です。
【AUTO DX】ポジション
FM受信では電波が強く妨害のない時は、ワイドレンジな「LOCAL」モードで受信し、電波が弱くなったり妨害電波などがあると選択度が高いDXモードへ自動的に切り換わり雑音の少ない受信が可能になります。ただし、一度DXモードに切り換わると、電界強度が回復してもLOCALポジションには自動復帰しませんので、チューニングツマミをまわしてもう一度選局しなおすか、一時LOCALポジションに切り換えてください。
AM受信では、AUTO DXポジションでは常にDX動作となり、IFモード自動切り換え動作は行いません。DXとLOCALは手動で切り換えます。
【LOCAL】ポジション
放送局に近くアンテナ入力が充分に強く、妨害の少ない電波を受信する場合にはこのポジションにします。音質本位の低歪率特性となりますので、解像度の高い透明感のある音質になります。
■プリセットチューニングの使い方-------------------------
【メモリーの手順】
・「MEMORYボタン」を押しながら「選局ボタン1~5」を押す。
・FM5局、AM5局、合計10局をメモリー可能。
・一度メモリーしたら、離調後に再度プリセット選局し直し、自動選局された位置でもう一度メモリーし直す。
・こうするとプリセット選局の精度が上がる。
【選局の手順】
・「選局ボタン1~5」を押すとメモリーされた周波数に自動的に同調する。
・自動選局中にチューニングツマミを回すと、自動選局は解除されマニュアル選局に移行する。
■T-9 との違い ------------------------------------------
・本体横幅が通常コンポサイズ(T-9 が大き過ぎると思いますが・・)
・受信周波数のデジタル表示がない
・FM4連バリコン(T-9 は5連)
・IF MODE切替が2段切替え(T-9 は LOCAL/DX/SuperDX の3段切替)
■T-7 試聴結果 ------------------------------------------
YAMAHA製FMチューナーは、シンセ式になった T-2000W や TX-2000 でもレシオ検波を採用しています。T-7(T-9も)もレシオ検波です。YAMAHAはレシオ検波に拘りを持ち続けたメーカーだったようですね。MPX部は LA3380+ディスクリート回路の構成です。いつも比較用に使っているCDを聴いてみると、低音がしっかり出ている感じで、締まった太い音・・という印象です。良い音です。
T-7 はバリコン機として受信性能・音質とも満足できるチューナーです。音質に関わる部分は T-9 とほぼ同等性能。モータードライブによる自動選局動作もマニアックな雰囲気が漂ってとても良いです。本体横幅が大きい T-9 よりもこの T-7 の方が実用的だと思います。
難点は75Ωアンテナ端子が「PAL」であること。この時期のYAMAHA製チューナーの共通事項ですね。PAL-F 変換プラグを一つ入手しておくと役に立ちます。今回はブラックボディの T-7 を入手しましたが、シルバーモデルもあります。
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■追記 2009年8月18日-------------------------------------
最近 T-9 のリペアを再開しましたが、T-9は回路図やサービスマニュアルが見つからない状況です。回路構成が似ている T-7 と T-9 を比較するため、Yahoo Group FMtuners で入手したT-7サービスマニュアルから回路図を抽出し、主要部品に色付けして見易く加工してみました。主なICのブロック図も貼り付けてあります。PDFファイルをパソコン画面上で200%拡大するとよく見えます。
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■追記 2009年8月20日-------------------------------------
モータードライブでプリセット位置へ移動する様子を動画にしてみました。Niftyのビデオ共有サービスを利用しています。
















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