YAMAHA T-9

[YAMAHA T-9] は5連バリコンを搭載した1979年のFM専用チューナーです。2008年10月末、馴染みのリサイクルショップで故障品を入手しました。FMがまったく受信できないようですが、外観は傷も無いとてもきれいな個体です。取扱説明書と専用カタログも付いていました。YAMAHAの最高級機(定価98,000円)ですから何とか復活させたいと思い、故障を承知で購入しました。税込3,150円でした。
ブラックボディの T-7 を後から入手しましたが、YAMAHA製薄型チューナーにはやはり「シルバー」が似合います。入手から随分時間を要しましたが、この夏休みで作業がようやく進展しました。
→YAMAHA T-9 取扱説明書(PDF形式 約2.6MB)
→YAMAHA T-9 専用カタログ(PDF形式 約7MB)
■T-9の特長(取扱説明書より抜粋)---------------------------------
●高性能チューナー部
MOS FET採用のRF1段増幅、ダブルチューン×2、RFアンチサチュレーション回路、ローゲインワイドギャップの5連バリコンのフロントエンド。低損失ユニレゾナンスセラミックフィルタを使用した位相歪補正回路と、超低歪率7段カレントリミッタ付のIFステージ。さらに、スタビライザー付超低歪率スーパーリニアダイレクトレシオ検波回路などで構成されるチューナー部は、高い妨害排除特性と低歪率、高感度、高選択度を確保しています。
●MPX部
C-MOS ICと専用ハイスピードOPアンプICを使用したDC NFBスイッチングデコーダー部と、トラッキングサーボパイロットピュアキャンセル回路、アンチインターフェアランスPLLや、オープンロードタイプノルトン変換型3poleローパスフィルターなどで構成されるMPX部は、高SN比、低歪率・高スルーレイトなどを確保して、ワイドな再生音を得ています。
●プリセットチューニングシステム
合計10の放送局をメモリーし、サーボモーターによるドライブで選局する便利なプリセットチューニングシステムは、POWERスイッチOFF時にもメモリーを続けるバックアップ機構を備えています。もちろんチューニングツマミによるマニュアル操作もOKです。
●オートDX回路
IFステージに、妨害検出方式のLOCAL→DX自動切り換えのオートDX回路が付属。さまざまな電波のクォリティを自動的に検出し、音質と選択度のバランスをコントロールしてLOCALおよび、DXインジケーターで動作を表示します。さらに、スーパーDXポジションを設定、オートDX回路と共に遠距離局の受信に効果を発揮します。
●多彩な付属回路
ダブルオートブレンド、オプチカルバランスタイプのセンターチューニングインジケーター、OTS(Optimum Tuning System)やデジタル表示の周波数インジケーター、それにREC CAL機構など、多彩な付属回路がチューニング操作をスピーディに、またオートマチックに動作します。
●デザインと安定性
多彩な機能と、ヤマハならではの優美なデザインが調和したパネルフェース。それに、4ブロックに分けられた安定化電源は、デリケートな各回路の安定動作を確保しています。
■不具合状況------------------------------------------------
・T-7と同様の電源スイッチ不良
・内蔵充電池の劣化により周辺パーツ腐食
・76~90MHz間で何も受信できません。
・メモリー選局動作しません。
■分解記録------------------------------------------------
・ボディ外側には本体カバーを固定しているネジが見当たりません。
・そういえば T-2000W も同じでした。
・本体カバーは、両サイド4か所のネジで裏側から固定されています。
・本体を裏返して底からネジを外します。
・この本体カバーはよくある「鉄板」ではなく「プラスチック製」みたいです。
・天板の裏側だけに鉄板が貼り付けてあります。
・この頃流行った「非磁性体ボディ」だったのか?カタログ取説とも特に記載ありません。
・T-9にはFM5連+AM3連のバリコンが搭載されていますが、AMバリコンは全く使われていません。
■作業記録1(電源スイッチ、充電池)-----------------------------
・電源スイッチの不良は T-7 と同様の方法で補修しました。
・ニッカド充電池が劣化しており、端子や周辺部品の足が腐食しています。
・まずは電池を交換しました。T-7 同様に電池ホルダーを側面に固定する方法です。
・足が腐食している電解コンデンサー8個交換しました。
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■作業記録2(局発トリマコンデンサ1)-----------------------------
・現象から判断して局発用トリマーコンデンサーが容量抜けしています。
・φ5mm、二本足タイプ。頭が赤色なので「容量:6pF」でしょう。
・このトリマーコンデンサーを交換するにはバリコンユニット全体を外す必要あります。
・105円で買えるジャンクチューナーで糸の外し方、掛け方の練習をしました。
・練習のおかげで糸の取り扱いに慣れてきました(入手から既に半年経過・・)
・意を決して T-9 のバリコンユニットの糸を解きユニット全体を外しました。
・容量抜けしていたトリマを取り外しました。
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・さて、苦労してここまで辿り着いたとき、別の解決方法を学びました。
・「バリコン本体にコンデンサを直付けする方法」です。
・きっとアマチュア無線の世界では常識、でもド素人の私は無知でした。
・バリコンユニットを外す必要はなかったような・・
・外した容量抜けトリマを元に戻し、バリコンユニットを元に戻しました。
・糸を掛け直してとりあえず元通り(故障状態)に復旧。
■作業記録3(局発トリマコンデンサ2)-----------------------------
・バリコンユニットを外さないで修理する方法を実践しました。
・OSC上部に8mm角青色トリマーコンデンサー(6pF)を仮止め。
・簡単に受信調整したところ、Sメーターが大きく振れました。
・オプティカルタイプのTメーターも光りました。ステレオランプも点灯。
・やった~!・・と思ったら、何と音声が出力されません。
・メーター類の動作からは、FM放送を受信していると判断できます。
・でも音声出力端子から音が出ません・・・一難去ってまた一難・・
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■作業記録4(LC7200)-----------------------------
・バリコンユニット上部にトリマーコンデンサーを仮止めしたまま原因究明。
・48時間連続運転していますが、OSC発振周波数に変動は見られません。
・音声出力ありませんが、検波段から直接信号を取り出すと音声聴こえました。
・「ミューティング」がかかっているような感じです。
・そう言えば・・
・T-7 の記事にポムロル様が寄せてくださったコメントを思い出しました。
・「D118のアノード側を接地して音が出るようならLC7200が怪しい・・」
・LC7200のデータシートを確認しました。23pin= MUTE OUT です。
・試しに23pinをGNDに繋いでみると・・
・ソレノイドが「カチッ」と反応し、音声が出てきました!
・23pin-GND の接続を外しても音声は出ています。
・電源ON-OFFしても音声は出ています。
・LC7200の動作が怪しいような?
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■作業記録5(局発トリマコンデンサ3)-----------------------------
・本格修理に向けて3本足タイプの「赤帽子」トリマを用意しました。
・これを「新トリマ」としてバリコン上部に半田付けしました。
・SSGから83MHzの信号を送り、T-9で受信できるよう「新トリマ」を調整しました。
・ただし、83MHzでピッタリあわせると、76MHzと90MHz両端では受信位置がズレます。
・本来ならトリマとコイルでトラッキング調整するところですが、
・残念ながらT-9のOSC調整用コイルは樹脂で固められていて動かせません。
・本来設計とは異なるトリマを取り付けたのでバランスが崩れたのでしょうか?
・考えた末、このT-9は「愛知県専用チューナー」にすることに・・
・愛知県では77.8MHz(Zip-FM)~82.5MHz(NHK-FM)の6局が受信できれば良いです。
・この範囲の中間として80.7MHz(FM愛知)に合わせるように「新トリマ」を調整しました。
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・本体目盛位置:80.7MHz、SG出力80.7MHz、70dBu
・バリコンユニット横にある「OSC OUT」端子に周波数カウンタを接続。
・「新OSC」を調整して周波数カウンタ70.0MHz(80.7MHz-10.7MHz)に。
・オプティカルタイプのTメーターではセンターの判断が難しいので、
・IC111 IG03210 20pin-GNDに特製Tメーター接続。
・T105を調整して特製Tメーターを中央に。
・これでOKと思います。77MHz~83MHz間では目盛りのズレはほとんどありません。
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※特製Tメーター:Technics ST-8200から外したTメーターに39kΩを介して使用。
■調整記録------------------------------------------------
T-9の特徴である「モータードライブによるメモリー動作」を除けば、FM専用チューナーとして機能しています。T-7のサービスマニュアルを参考にしながら試行錯誤で受信調整してみました。
【本体切替ボタンの設定】
・RX MODE : AUTO DX
・MUTE/OTS : ON
・BLEND : OFF
・REC CAL : OFF
■とりあえず試聴
修理途中ですが、一通り調整できたので音を聴いてみました。調整結果は2次、3次の高調波がやや大きめに出るものの、セパレーションは両chとも60dB超を確保できます。いつも聴くCDをステレオ変調器経由で送信したところ、T-7よりも音に厚みがあるという感じです。これは良さそうです。
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■残る問題は---------------------------------------
・メモリー動作が不調です。
・メモリー登録できません。
・メモリーボタンによる選局もできません。
・やはりLC7200が不調なのか??
・残る電解コンデンサも総交換してみようか
明日からまた仕事です。一週間の夏休みでしたが、静岡で地震があったり、あのレス・ポール氏が亡くなったり、ようやくT-9の作業が進んだり・・あっという間の休暇でした。
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【追記 2009年8月22日】
T-9 と T-7 の各種比較一覧表を作ってみました。結構なボリュームになったので別記事にまとめてアップしました。
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■追記 2009年8月26日---------------------------------------------

「電源スイッチが怪しいかも?」という状況なので、電源スイッチを外してスライド部分の分解清掃を試しました。他の信号系スイッチと全く同じものです。分解したところ、接点は真っ黒でした。アルコール洗浄しながら・・
「どうせなら電源スイッチ無しにして動作確認しよう・・」
電源スイッチを外した跡をジャンパ線で直結しました。これでは常時電源オンの状態になるので、スイッチ付きテーブルタップに電源コードを接続し、これで T-9 のオン/オフを切り替えることにします。
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充電池を再セットして電源オン! これまで反応の無かったソレノイドが「カチッ!」と動きました。期待が膨らみます。一通り試した結果は・・
・「メモリーAグループ」の4番と5番にメモリー登録できました。
・「メモリーBグループ」の4番と5番にメモリー登録できました。
・登録できたボタンを押すと、モータードライブが動作しメモリー選局できました!
・他のメモリーには登録不可でした。
・10個のメモリー登録できるはずが、4個だけ登録できた・・という事です。
・LC7200 21pin(VDD) 電圧は 8.46V→8.58V になりました。
何だか中途半端な結果です。電源スイッチを外して直結したところ、10個あるメモリーの内4個だけ使えるようになりました。電源スイッチはどうしようか??このまま使おうか??
■追記 2009年9月14日---------------------------------------------

名古屋大須電気街のパーツショップで、T-9/T-7 電源スイッチ同等品を見つけました。サイズはピッタリです。これに付け替えてみます。
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こんにちは。
「お手伝い」などとおこがましい事を申しましたが、BLUESSさん、完璧です。
LC7200の件は私のT-7と同様な症状のようですね。
もしLC7200が入用でしたら、スペアをお送りします。
もしも、と思ってT-7用に2個購入しましたので。
LC7200、故障しやすいのでしょうか。私のT-7もバッテリが逝かれていましたので、バッテリが死ぬときにLC7200を道連れにするのではないでしょうか。
実はLC7200を交換したのですが、メモリ動作は完治していません。周辺部品をもう一度調べるつもりです。
投稿: ポムロル | 2009年8月16日 (日) 12時37分
ポムロル様
LC7200のヒントを頂いたおかげで、とりあえず使える状態になりました。
ありがとうございました。
入手から時間がかかりましたが、おかげさまでバリコンチューナーの
糸の外し方と掛け方をマスターできました・・??
私もLC7200周辺を詳しく調べてみたいと思っています。
幸いT-7が完動なので、比較しながら確認してみます。
ただ私の場合は作業が遅いので、とにかく時間がかかります。
気長にお付き合いください。よろしくお願いいたします。
T-7は元々部品取りのつもりで入手したチューナーですから、
LC7200の交換が必要になったらT-7から移植しようかと思っています。
もし差し支えなければ、LC7200等パーツ入手先を教えていただけませんか?
投稿: BLUESS | 2009年8月16日 (日) 20時49分
了解しました。
T-7とT-9のメモリ動作、LC7200を使用して同じことをやっているはずなのにモータドライブの回路が異なっているのが不思議です。
LC7200の入手先は:
NIKKO ELECTRONICS
http://www.dalbani.co.uk/index.php
です。左上のsearchに部品名を入れると表示され注文が可能になります。
T-9はフロントエンド以外調整していませんし、ハンダのやり直しもしていないのですが、昨日改めてT-7を聞いたら、T-9とは全く傾向が違うことに気づきました。
投稿: ポムロル | 2009年8月17日 (月) 05時27分
ありがとうございます。
進展ありましたら、随時追記いたします。
投稿: BLUESS | 2009年8月17日 (月) 23時11分
せっかくスライドSWを分解したのだったら、ここに Sanhayato コンタクトグリース GM-H50 を塗布することをお奨めします。導電グリスです。また、バリコンの軸のアースプレートとの接触部に塗布するのもお奨めです。バリコンが接触不良をおこして知らずに感度低下していることがありますから。
投稿: ひろくん | 2009年8月28日 (金) 05時32分
>Sanhayato コンタクトグリース GM-H50 を塗布することをお奨めします。
GM-H50は以前 F-500 で教えていただいた直後に入手しました。
爪楊枝の先端に極少量乗せ、ほんの僅かに塗布してスイッチは復旧しました。
バリコン軸の接触部への塗布も試してみました。
T-9では効果は実感できなかったものの、指針を移動するとバリバリノイズが
発生する実験用ジャンク機では効果てきめんでした。
いつもありがとうございます。
投稿: BLUESS | 2009年8月29日 (土) 18時42分
はじめまして。長年T-9を愛用してきたものです。昨日突然、電源がはいらなくなりました。ネットで探したところbluessさんのページをみつけました。他にも全く同じ症状でした。
これはと思い、電源スイッチを外して、直結してみましたら、メモリも復活して驚いています。
さて古い電源スイッチの代替品を大須のパーツショップで見つけられたそうですが、もしよろしければ詳しい品番等あれば教えていただけないでしょうか。あるいはこのタイプを探そうと思った場合、どんな形式と呼ばれているのでしょうか。
オリジナルスイッチを再び使おうと思ったのですが、当方の組立力では復原できませんでした(悲)。何とかスイッチを復活させたいと思います。
どうかよろしくお願いします。
投稿: カイロ | 2009年11月 8日 (日) 20時46分
カイロ様
こんばんは。はじめまして。
T-9は本当に良いチューナーですね。
発売当時に新品で購入できた方が羨ましいです。
さて、お尋ねいただきました電源スイッチについてお答えします。
・購入したスイッチの裏側を良く見たら
・「SMC 4110」・・メーカー名と型番とおぼしき刻印ありました。
・画像のアップを記事下に追加しました。
・部品名は「プッシュスイッチ」だと思います。「スライドスッチ」かも?
・見つけたのは名古屋市大須の「海外通商」というパーツショップです。
・赤門通り沿いの店舗でした。
・間口が狭く奥行きが長い店舗の入口付近、スイッチ類が並ぶ場所にありました。
・1個100円でした。
・私はスイッチ類の規格が良く分かりません。
・T-9から外したスイッチを持ち歩き、店頭で比較しながら同等品を探しました。
お役に立てると良いのですが・・
投稿: BLUESS | 2009年11月 8日 (日) 22時31分
BLUESS様
早速のご教示ありがとうございました!
早速秋葉で物色してみます。
やはり実物を持って探しまわるのがベストのようですね。
重ねてお礼申し上げます。
投稿: カイロ | 2009年11月 9日 (月) 13時02分
カイロ様
アキバならきっと見つかりますね。
部品調達に関しては東京近郊の方が羨ましいです。
名古屋大須のパーツショップは昔に比べてずいぶん減りました。
「ネット通販に押されてる・・」と、ある店主が言っていました。
部品を持って探し回るのも楽しい時間だと思うのですが・・。
投稿: BLUESS | 2009年11月 9日 (月) 23時48分
はじめまして、gakiともうします。
T-9,T-7,KT-1100Dを所有しておりまして、若干修理なども手がけています。
実はBLUESSさんがT-9,T-7修理の際に私の修理記録を参考にしていただいたようで(http://www.riric.jp/)びっくりすると同時にちょっとはお役に立てたようでうれしく思いました。
私のT-9も動きが渋くなりはじめたので再度修理する必要があるかもしれないのが憂鬱ですが、BLUESSさんのT-9も元気になるとよいですね。
投稿: gaki | 2010年1月20日 (水) 08時35分
gakiさま
初めまして。
T-9/T-7の修理事例はとても参考になりました。
連絡先が分からなかったので無断リンクとなりましたが、
晴れてリンクのご許可をいただいたと理解します。
ありがとうございます。
今後ともよろしくお願いします。
投稿: BLUESS | 2010年1月20日 (水) 13時39分