SONY ST-5140

2009年8月夏休み、近所のリサイクルショップで税込1,050円のジャンク品を購入しました。FM/AMともに受信するそうですが、周波数スケールの目盛印刷がひどく歪んでいる、FMのステレオランプが点灯しない、ホコリまみれ、とにかく汚い・・という状態でした。
特に目盛りの歪みがひどいので、普通の人は買わないでしょうね。でも後述のようにガラス板ごと交換する方法があります。外装も汚れているだけで傷は無さそうなので、修理調整の練習材料にしようと思いました。
■1971年発行 ST-5140 カタログより引用----------------------------
●ソニー独自のダイレクト・ミキサー方式によるFM局増加に備えた万全の設計です。
高周波部分で混変調をおこすトランジスタ等の能動素子を全く用いず、精密4連バリコンを使った3つの同調回路から直接FETのミキサーに電波を入れるこの方式は、感度(2.0μV/m,IHF)、妨害排除特性(スプリアス妨害比100dB)、電界強度特性のどれをとっても全く理想的。これらかのFMチューナーが備えるべき条件をすべて満たしています。
●抜群の選択度ソリッドステート・フィルター
IF段に6素子の新開発ソリッドステート・フィルターを採用。隣接チャンネルとの分離がきわめてシャープで通過帯域特性も一段と優れています。このため、強力な電波のすぐ隣りの微弱な電波も安定に受信。また、優秀な通過帯域特性によりステレオ受信時の歪みも極端に少なくなっています。
●イライラする選局ズレをなくしました。
信頼性の高い半導体と特殊設計のバリコン、新回路の開発により、初期ドリフト特性と温度ドリフト特性はたいへん優れています。一度正しく選局すれば、お部屋の温度が変わっても、時間がたっても同調点はそのまま。AFCスイッチを併用すれば、さらに完璧です。電波の強さを示すインプット・メーターのほかに、正確に同調できるセンターゼロのメーターを採用しています。3段の対称型ダイオードリミッターを含むぜいたくな5段構成のリミッター回路。パルス性雑音に強くキャプチャーレシオも優れています。
●AM放送の不快な雑音をシャットアウト。
AMチューナー部は、ソリッドステートフィルターを含むトリプルチューンIFT、フォワードAGCなどによる高選択度で強電界に強い設計。
■6素子のソリッド・ステート・フィルター-----------------------------
・1974年発行 チューナー総合カタログより
・ST-5000F:8素子のソリッド・ステート・フィルター
・ST-5130 :8素子のソリッド・ステート・フィルター
・ST-5140 :6素子のソリッド・ステート・フィルター
・ST-5150 :2素子のソリッド・ステート・フィルター
当時のカタログには 「ソリッド・ステート・フィルター」という文字が躍りますが、ST-5140実機を確認したところ薄茶色の MURATA製セラミックフィルター(SFA10.7MC)が6個ありました。
※ST-5140内部はホコリだらけでした。丁寧に清掃しましたが、基板にこびりついて取れない汚れがあります。あまりキレイにはなりませんでした。
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■周波数目盛が印刷されたガラスの交換---------------------------
ST-5150/Dは大量に売れた機種だったようで、ハードオフやリサイクルショップで頻繁に遭遇します。ヤフオクでも常時出品がありますね。私はこのシリーズの製品デザインが大好きなので、見かけるとつい買ってしまいます。そんなに買ってどうするか・・・周波数目盛が印刷されたガラス板、電球類、ツマミ、基板などを部品として確保しています。
話は脱線しますが、この銀色の丸いツマミ、実は ONKYO T-455NII に移植するとサイズ・質感ともジャストフィットします。T-455NIIオリジナルはちょっと「ダサい」雰囲気の黒いプラスチック製ツマミですが、交換すると精悍な印象のフロントマスクに生まれ変わります。こんなくだらない事で楽しんでいます(笑)

今回の ST-5140 の周波数目盛りがかなり歪み、文字も一部欠落しています。そこで保管していた正常なガラス板に交換しました。目盛の刻みサイズは兄弟3機種とも共通なので保管している部品が役立ちます。外装の汚れを落とすと、フロントパネルが気持ちよくピッカピカになりました。
■ガラスの磨き過ぎに注意------------------------------
周波数目盛がなぜこのように歪むのか? たぶん前所有者が分解清掃した際に痛めてしまったと想像します。ガラス板に印刷されている数字や目盛りも磨き過ぎると取れてしまいます。

ガラス左右両端には緑色の塗料が塗られています。目盛りが緑色に光る仕組みですが、安易に水洗いするとこの緑色塗料が剥げてしまいます。こうなると「浮かび上がるような緑色の周波数目盛り」になりません。何事もほどほどに・・
■兄弟機種比較----------------------------------------------
【ST-5130】FM5連バリコン、8素子フィルター、INS回路、ヘッドホン回路
【ST-5140】FM4連バリコン、6素子フィルター、INSなし、ヘッドホンなし
【ST-5150】FM4連バリコン、2素子フィルター、INSなし、ヘッドホンなし
※検波回路と復調回路はST-5130/ST-5140両機ほぼ同等です。
※ST-5150はST-5130/5140に比べるとICが多用され、回路が合理化されている印象です。
※ST-5130のINS回路とは・・パルス性のノイズを消す世界初の機構
自動車のイグニッション・ノイズを極めて効果的にカットするソニー独自のINS(Impulse Noise Suppressor)機構を開発し採用しています。弱い電波を受信中、付近を通る車のノイズにはよく悩まされるものですが、このスイッチを入れるとノイズがきれいにカットされます。なお、このINSは音質に全く悪影響を与えませんから心ゆくまで音楽を楽しめます。
最近のクルマは電子制御ですから、INS機構は不要ですね。そう考えるとST-5130とST-5140の差は僅かです。
兄弟3機種(ST-5130、ST-5140、ST-5150D)を並べてみました。30年以上経過しても色褪せないこのソニーデザイン、私は大好きです。1970年前半の TRIO PIONEER SANSUI 製品と比べると、見た目(外観)は段違いにカッコ良いと思っています。
| 型番 | ST-5150/D | ST-5140 | ST-5130 | |
|---|---|---|---|---|
| 型式 | FM/AMチューナー | FM/AMチューナー | FM/AMチューナー | |
| 年式 | 1973年 | 1973年 | 1971年 | |
| 定価 | 39,800円 | 49,800円 | 69,800円 | |
| F M 部 |
回路方式 | スーパーヘテロダイン方式 | スーパーヘテロダイン方式 | スーパーヘテロダイン方式 |
| 受信周波数 | 76MHz~90MHz | 76MHz~90MHz | 76MHz~90MHz | |
| 中間周波数 | 10.7MHz | 10.7MHz | 10.7MHz | |
| 実用感度 | 2.0μV(IHF) | 1.6μV(IHF) | 1.5μV(IHF) | |
| S/N比 | 70dB | 70dB | 75dB | |
| キャプチャーレシオ | 1.0dB | 1.0dB | 1.0dB | |
| 実効選択度 | 70dB(IHF) | 80dB(IHF) | 100dB(IHF) | |
| イメージ妨害比 | 75dB | 76dB | 100dB | |
| IF妨害比 | 90dB | 100dB | 100dB | |
| スプリアス妨害比 | 90dB | 100dB | 100dB | |
| AM抑圧比 | 56dB (IHF) | 56dB (IHF) | 60dB(IHF) | |
| 周波数特性 | 20Hz~15kHz、±1.0dB | 20Hz~15kHz、±1.0dB | 20Hz~15kHz、±1.0dB | |
| アンテナ端子 | 300Ω平衡 | 300Ω平衡 | 300Ω平衡 | |
| 75Ω不平衡 | 75Ω不平衡 | 75Ω不平衡 | ||
| 高調波歪率 | mono:0.3%(400Hz、100%変調時) | mono:0.2%(400Hz、100%変調時) | mono:0.2%(400Hz、100%変調時) | |
| stereo:0.5%(400Hz、100%変調時) | stereo:0.5%(400Hz、100%変調時) | stereo:0.3%(400Hz、100%変調時) | ||
| ステレオセパレーション | 40dB以上(400Hz) | 40dB以上(400Hz) | 42dB以上(400Hz) | |
| 19kHz、38kHz抑圧比 | 50dB | 50dB | 60dB | |
| A M 部 |
アンテナ | フェライトバーアンテナ | フェライトバーアンテナ | フェライトバーアンテナ |
| 外部アンテナ端子付 | 外部アンテナ端子付 | 外部アンテナ端子付 | ||
| 受信周波数 | 530kHz~1,605kHz | 530kHz~1,605kHz | 530kHz~1,605kHz | |
| 中間周波数 | 455kHz | 455kHz | 455kHz | |
| 感度 | 50dB/m(バーアンテナ使用時) | 50dB/m(バーアンテナ使用時) | 50dB/m(バーアンテナ使用時) | |
| 30μV(外部アンテナ使用時) | 30μV(外部アンテナ使用時) | 30μV(外部アンテナ使用時) | ||
| S/N比 | 50dB | 50dB | 50dB | |
| イメージ妨害比 | 45dB(1,000kHz) | 45dB(1,000kHz) | 45dB(1,000kHz) | |
| IF妨害比 | 40dB(1,000kHz) | 41dB(1,000kHz) | 41dB(1,000kHz) | |
| 歪率 | 0.6% | 0.6% | 0.6% | |
| 総 合 |
出力電圧/インピーダンス | 固定出力(Fixed):750mV/10kΩ(100%変調時) | 固定出力(Fixed):750mV/10kΩ(100%変調時) | 固定出力(Fixed):750mV/10kΩ(100%変調時) |
| 可変出力(Variable):0~2V/1.8kΩ(最大出力にて、100%変調時) | 可変出力(Variable):0~2V/1.8kΩ(最大出力にて、100%変調時) | 可変出力(Variable):0~2V/1.8kΩ(最大出力にて、100%変調時) | ||
| 使用半導体 | トランジスタ:12個(受信回路:9個、付属回路:3個) | トランジスタ:26個(受信回路:19個、付属回路:7個) | トランジスタ:46個(受信回路:22個、付属回路:24個) | |
| FET:4個(受信回路:2個、付属回路:2個) | FET:4個(受信回路:2個、付属回路:2個) | FET:9個(受信回路:4個、付属回路:5個) | ||
| ダイオード:14個 | ダイオード:33個 | ダイオード:41個 | ||
| IC:3個 | IC:- | IC:- | ||
| 電源 | AC100V、50Hz/60Hz | AC100V、50Hz/60Hz | AC100V、50Hz/60Hz | |
| 消費電力 | 15W | 15W | 25W | |
| 外形寸法 | 幅400×高さ149×奥行344mm | 幅400×高さ149×奥行344mm | 幅400×高さ149×奥行344mm | |
| 重量 | 7.0kg | 7.2kg | 7.5kg | |
| 付属品 | FMフィーダーアンテナ×1 | FMフィーダーアンテナ×1 | FMフィーダーアンテナ×1 | |
| 接続コード RK-74×1 | 接続コード RK-74×1 | 接続コード RK-74×1 | ||
| ポリシングクロス×1 | ポリシングクロス×1 | ポリシングクロス×1 | ||
| 75ΩF型プラグ×1 | 75ΩF型プラグ×1 | 75ΩF型プラグ×1 | ||
| 参 考 |
ブログ記事 | ST-5150、 ST-5150D | ST-5140 | ST-5130初期型、ST-5130後期型 |
| ST-5000 ST-5130 ST-5140 ST-5150 ソリッドステートフィルターに関する考察 | ||||
| 取扱説明書 | 1973年6月発行 | 捜索中 | 捜索中 | |
| カタログ | 1973年6月発行 | 1971年発行 | 1971年発行 | |
| 回路図 | ST-5150回路図 | 捜索中 | ST-5130回路図 | |
| オーディオの足跡 | ST-5150、ST-5150D | ST-5140 | ST-5130 | |
| T.I.C | ST-5150 ($280) | - | ST-5130 ($370) | |
※回路構成は ST-5130 とよく似ているので、受信調整もほとんど同じ手順です。
※調整の過程でステレオにならない不具合は復旧しました。
■聴いてみて-----------------------------------------------

内部のパーツは一つも交換していません。とりあえず受信できている程度なので、このような状態で音質云々もないでしょうね。ただBGMとしてFMを流しておくには充分です。このシリーズ特有の「柔らかい緑色の照明」が特にお気に入りです。
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