SONY ST-5000F 3号機 トランジスタ交換

この ST-5000F 3号機 は前回整備後に友人に譲り、彼が経営する喫茶店でBGM機として稼動していました。営業時間中はずっと稼動するという過酷な使用環境なので一種の「耐久テスト」のような状態でしたが・・・
・「使用開始2週間位でノイズが入るようになった」と連絡ありました。
・営業中の店へ行き、自分の耳で実際のノイズを確認。
・「ボソッボソッ、ガサゴソ・・」という不定期なノイズ。
・Lch、Rchともにノイズが入る。
・ノイズが入るとステレオランプが消灯する。
・ノイズが入る頻度が顕著に増えてきているそうです。
・という訳で、10月下旬に引き取ってきました。
■問題はMPX回路?----------------------------------------
・二つのメーター動作を見ると受信状態に問題はなさそう。
・電源トランス横に「MPX」と書かれたテストポイントがあります。
・ステレオ復調される前の検波出力(FMコンポジット信号)が出ています。
・この信号を直接聴くと、可聴帯にあるL+R信号がモノ音として聴こえます。
・ディエンファシスされていないので、少々ハイ上がりな音です。
・音声出力端子からノイズが出る時も、ここではノイズは発生していません。
・念のため MPXデコーダーに改造した SANSUI TU-S707X に接続してみました。
・キレイなステレオ音声に復調できました。ノイズは発生しません。
・FMコンポジット信号は正常に出ています。
・問題は MPX基板 にあるようです。
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※この波形は192kHz対応サウンドカードがあれば WaveSpectra で観察できます。
※私はUSBオーディオインターフェイスとして EDIROL UA-101 を使っています。
■MPX部 不具合箇所の探索-----------------------------------------
・ST-5000F回路図と、ST-5000FWブロック図があります。
・ST-5000FWは輸出仕様で回路構成は多少違いますが、MPX部は同じです。
・現象からたぶんトランジスタが怪しいと思い、ブロック図で見当をつけました。
・ステレオ復調後の音声信号が流れるトランジスタはLPF前後に8個あります。
・Lch(Q504,Q506,Q508,Q510)、Rch(Q505,Q507,Q509,Q511)
・ST-5000FWブロック図の表記は( X*** )
・トランジスタの足にICクリップを引っ掛けて音を直接聴いてみました。
※通電中の足をショートさせると危険です。くれぐれも慎重に!
・結果はどこで聴いてもノイズが入ります。
| No. | Tr. | Note |
|---|---|---|
| Q501/X501 | 2SC633A | COMPOSITE SIGNAL AMP |
| Q502/X502 | 2SC633A | 19kHz AMP |
| Q503/X503 | 2SC633A | 38kHz AMP |
| Q504/X504 | 2SC633A | Lch AF AMP |
| Q505/X505 | 2SC633A | Rch AF AMP |
| Q506/X506 | 2SC633A | Lch EMITTER FOLLOWER |
| Q507/X507 | 2SC633A | Rch EMITTER FOLLOWER |
| Q508/X508 | 2SC633A | Lch AF AMP |
| Q509/X509 | 2SC633A | Rch AF AMP |
| Q510/X510 | 2SC633A | Lch EMITTER FOLLOWER |
| Q511/X511 | 2SC633A | Rch EMITTER FOLLOWER |
| Q512/X512 | 2SC633A | SWITCHING CIRCUIT |
| Q513/X513 | 2SC633A | SWITCHING CIRCUIT |
| Q514/X514 | 2SC633A | SWITCHING CIRCUIT |
| Q515/X515 | 2SC633A | SWITCHING CIRCUIT |
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・「ノイズ発生時はステレオランプが消灯する」・・原因は復調前にありそうです。
・残ったトランジスタは7個(Q501,Q502,Q503,Q512,Q513,Q514,Q515)。
・Q501 の頭に軽く触ってみると「ボソッボソッ、ガサゴソ・・」とノイズ発生!
・その他のトランジスタ(Q502,Q503,Q512,Q513,Q514,Q515)は触れても変化なし。
・どうやらトランジスタ Q501 2SC633A が劣化しているようです。
■2SC633A 捜索--------------------------------------------------
・http://www.datasheetarchive.com/ で型番検索してみました。
・1981年と1993年の トランジスタ規格表PDFが出てきました。
・互換品を確認したうえでネット検索。
・ヤフオクに 2SC633A の出品がありました。
・今後の故障に備えて25個入手しました。
・互換品の価格に比べると割高ですが、
・でも、オリジナル部品が入手できるならその方が良い・・と思いました。
■2SC633A 交換--------------------------------------------------
・Q501 の交換作業は簡単に完了。
・他のトランジスタ(Q502,Q503,Q512,Q513,Q514,Q515)交換は見送りました。
・24時間連続運転でノイズは発生しません。
・約1週間経過、新たな問題は発生しません。
・今日、友人の喫茶店に届けて「耐久テスト?」を再開しました。
・さあ、次はどんな不具合が発生するか・・
■セパレーション調整用VR----------------------------------------
・今後の交換に備えて部品を確認しました。
・ST-5000F回路図には記載ありませんが、5KΩ(B)です。
・3本足のうち、1本は配線無かったです。
・足の長いVRを探してみます。
■修理が楽しい?------------------------------------------------
・ST-5000FにはICが1個も使われていません。
・予備部品も確保したので、今後トランジスタが故障しても対応できます。
・フィルムコンデンサなども交換すると良いでしょうね。
・不具合が出てもその原因を探ること自体が実は楽しい・・もはや病気です(笑)
・1972年製、37年前のチューナー・・でも色褪せないステキなデザインです。
・これからも永く使っていきたいまさに「名品」ですね。
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コメント
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私のST-5000Fも復活しました。
オーディオサービスさんにメンテして貰い、ノイズの問題は解消しました。ただ電波の干渉がある模様で、NHK・FMでは少々マルチパスっぽいノイズが乗りますが、鑑賞には耐えるレベルに収まっています。
Bluessさんのアドバイス通り、ステレオ復調部分に問題がありました。有難うございます。
投稿: Kapell | 2009年11月23日 (月) 11時53分
Kapellさま
ST-5000Fが復活して良かったです。
家電製品としては骨董品クラスですが、このデザインはホント惚れ惚れします。
不具合と上手に付き合いながら、永く使っていきたいですね。
投稿: BLUESS | 2009年11月25日 (水) 10時55分
私のST-5000Fですが、やはりクラシックのステレオ放送ではノイズが気になるレベルなので、別の修理業者にメンテを頼みました。
今度は本当に大丈夫です。フロントエンドや電源部分まで手を入れました。実にフレッシュな音に生まれ変わりました♪
ところで、ST-5000Fのアンテナ結線ですが・・・
貴HPの写真で結線方法が芯線とシールドが逆になっているものがあります。
https://bluess.cocolog-nifty.com/photos/sony_st5000f/005.html
右上端子が芯線で下端子はシールドが正しいと思われます。私もずっと間違えていて、その別の修理業者が教えてくれました。(^_^;)
投稿: Kapell | 2010年1月 9日 (土) 16時54分
>芯線とシールドが逆になっている・・・
ありゃ!間違えてましたか・・(汗);
端子裏側を見てもどちらが芯線か良く分からないので、
300Ωと75Ωの端子配置を見て勝手に解釈していました。
ご指摘のように繋ぎ換えても、そんなに違いは無いような・・
でも、芯線だけを繋ぐとはっきり違いが分かりました。
取扱説明書を入手したらキチンと確かめたいです。
ご指摘ありがとうございました。
※接続し直した写真を追加しました。
投稿: BLUESS | 2010年1月 9日 (土) 21時58分
私もとうとうST-5000Fを入手してしまったので、WEB上で情報を集めようとしたところ・・・また貴サイトにお世話になります。
300Ωと75Ωの端子の件ですが、
・300Ωは平衡なので、一方の端子が接地されていることはありえない
→300Ωと75Ω共通となっている端子が、接地側ということもありえない
→75Ωの(300Ωとの)共通側は(機種を問わず常に)芯線で、単独側がシールドになる
という考え方で多分合っていると思うのですが、いかがでしょう?
手元のST-5000Fの資料を漁っていたところ、国内仕様のブロック図が出てきました。既にお持ちかも知れませんが一応メールで送付させて頂きます。
投稿: いな | 2011年9月 8日 (木) 13時51分
いな様
ST-5000Fのブロック図、ありがとうございました。
>300Ωと75Ωの端子の件、、
300オームの一端がGNDのはずがない、、
その通りですね。
投稿: BLUESS | 2011年9月 8日 (木) 22時22分
いつも楽しく読ませていただいております。
私のST-5000Fはヤフオクで入手したものですが、電源スイッチの後ろ側というか電源トランスのフロント側からちりちりというようなノイズがでており、しばらくそのまま使っていたところビニールが溶けるような臭いと煙が出て電源基盤の大きな抵抗が1本焼き切れてしまいました。
どのあたりに問題があったのでしょうか。アドバイスをいただけたらお願いします。
投稿: came | 2016年2月 2日 (火) 17時04分
cameさま
こんばんは。
抵抗が焼き切れた、ということはかなり大きな電流が流れたようです。
電源回路のどこかがショートしたという事だけ分かりますが、具体的にはちょっと分かりません。アンプ修理を扱う専門家に見てもらった方が良いと思います。
投稿: BLUESS | 2016年2月 2日 (火) 22時16分