PIONEER TX-910
・1972年(昭和47年)10月発売。定価70,000円(翌年75,000円に改訂)
・1974年(昭和49年) 9月製造中止。
・当時の資料によれば「日本初、MPX部にPLL-ICを採用したFMチューナー」です。
・発売から38年後の2010年9月中旬、ヤフオクで入手しました。
・終了間際に高騰するかと思ったらあっさり終了。ちょっと拍子抜けでした。
■製品情報------------------------------------------------------------
【国内機】
・PIONEER TX-910 オーディオ回顧録
・PIONEER TX-910 オーディオの足跡
・PIONEER TX-910 製品カタログ[1974年1月発行]
・PIONEER TX-910 取扱説明書(捜索中)
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【国内機シリーズの比較】※製品カタログの記述比較
・TX-910 / 75,000円 / FM5連バリコン → 広帯域レシオ検波 → [PLL+差動復調回路]
・TX-810 / 53,000円 / FM4連バリコン → クオドラチュア検波 → 差動復調回路
・TX-710 / 43,000円 / FM4連バリコン → クオドラチュア検波 → 差動復調回路
・TX-810/710 は HA1137 によるクオドラチュア検波。
・兄弟機の中でMPX部がPLL化されているのは TX-910 だけのようです。
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【輸出機】
・Pioneer TX-9100 Tuner Information Center T.I.C.
・Pioneer TX-9100 回路図
・Pioneer TX-9100 取扱説明書
・Pioneer TX-9100 製品カタログ
■分解清掃-------------------------------------------------------------
・金属ボディに別売のウッドケースを被せたのではなく、もともとボディ全体が木製です。
・ウッドボディを外すと TRIO KT-9007 と同様に各部が金属カバーで覆われています。
・フロントエンドを覆う金属カバーはボディとハンダ付されていました。
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・底板を外すと電源部とバリコン裏側が見えます。
・バリコン裏側にFM調整用トリマが実装されていました。
・AM3連バリコン。
・AM調整用のコイルやトリマはIF基板側に取り付けられています。
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・フロントパネルのツマミ類は手前に強く引けば簡単に抜けます。
・チューニングツマミだけはイモネジ2本で固定されていました。
・パネル文字は単なる印刷ではなく、一文字一文字が打刻されています。写真で分かるかな?
・徹底清掃の結果、窓枠のくすみが少し残ったものの概ね美品レベルに復活したと思います。
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・とりあえずFM/AMとも受信しました。STEREOランプも点灯します。
・周波数目盛と指針のズレはそんなに気になりません。
・電源部電解コンデンサのスリーブがかなり後退しています。
・調整作業の前に電源部の電解コンデンサ(10個)を総交換しました。
・ついでに電源部基板横にあるMUTING基板の電解コンデンサ(2個)も交換しました。
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■部品交換リスト------------------------------------------------------
・470uF/25v×1
・330uF/50v×3
・220uF/25v×1
・220uF/16v×1
・100uF/35v×1
・100uF/10v×1
・ 22uF/35v×1
・ 22uF/10v×2
■調整記録------------------------------------------------------------
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【レシオ検波調整】
・電波を受信しない状態で T4コア調整 → Tメーターセンターへ
【フロントエンド調整】(底面から)
・IF基板17番端子にDC電圧計セット(Sメーターの電圧チェック)
・FM-OSC調整 90MHz TC5 Sメーター最大振れ(電圧最大)
・FM-OSC調整 76MHz T5 Sメーター最大振れ(電圧最大)
・受信調整 90MHz TC1,TC2,TC3,TC4 Sメーター最大振れ(電圧最大)
・受信調整 76MHz T1,T2,T3,T4 Sメーター最大振れ(電圧最大)
・IF TRANS調整 83MHz 歪み最小(WaveSpectra観測)
【ミューティング調整】
・MUTING WIDTH CONTROL (VR4/6.8kΩ)-R38(10Ω)の足電圧=11.2V
・MUTING CENTER CONTROL(VR3/1.5KΩ)TPの電圧=8.3V
・MUTING LEVEL CONTROL(VR6/33kΩ)MUTING LEVEL1=20dB
【Sメーター振れ調整】
・VR5 4.7KΩ Sメーター最大振れ位置を調整可能
【VCO調整】
・MPX基板 2番端子=(PA1310-10pin)→周波数カウンタ接続
・VR1 19kHz調整
【セパレーション調整】
・VR2/150kΩ 調整用VRは1個なので L/R 均等に調整
・1kHz実測セパレーション → 約40dB
【AM部の調整】メモだけ
・AM3連バリコン搭載、貴重品です。
・調整用のコイルとトリマコンデンサがバリコンから離れたIF基板上にあります。
・AM用IC=HA1138
・IF基板 14番端子 → DC電圧計を接続すれば Sメーター電圧を読める。
■MPX-PLL IC PA1310---------------------------------------------------
・当時の雑誌記事によれば TX-910 は「日本初、MPX部にPLL-ICを採用したFMチューナー」です。
・TX-910のカタログには「・・新開発の PLL MPX IC PA1310 搭載・・」という記述があります。
・実機のMPX基板を確認したところ、確かに「PA1310」と印字されたICがありました。
・パイオニアが自社開発したような品番ですが、実際はモトローラ社 MC1310 と思われます。
・「TX-910後期型では HA1156W に変更されている、、」という記述※がありました。
※黒川晃著「FMチューナ・マニュアル」P370
・HA1156 や HA1156W は MC1310 と互換性があるということですね。
■MPX-PLL IC いろいろ------------------------------------------
・1972年~
→PA1310(MC1310):
→MC1310 の互換品:HA1156、HA1156W(HA1156の改良型)、SN76115N
・1974年~パイロットキャンセル回路の内蔵化
→PA1001:TX-9900(1974年10月発売)に初搭載されたパイオニアオリジナルIC。
→HA11223:HA1156から進化。パイロットキャンセル回路内蔵。
→LA3350 と AN363N も同世代か?
※保有機種の確認
・MC1310 / PA1310 → PIONEER TX-910
・HA1156(W) → SONY ST-5950 / SANSUI TU-707 / TRIO KT-7700 KT-9007
・SN76115N → Technics ST-8600
・PA1001 → PIONEER F-26
・HA11223 → DENON TU-900 / Victor T-2020 / TRIO KT-8300 KT-1000 KT-1100
・LA3350 → YAMAHA CT-1000 CT-R1 T-1 T-3
・AN363N → Technics ST-77T ST-C01
■付随機能-------------------------------------------------------------
【MPX NOISE FILTER】
・WaveGeneでホワイトノイズを発生させ、FM変調器経由で TX-910 に送ってみました。
・TX-910 の音声出力を WaveSpectra で観察したグラフを掲載します。
・本来22kHzまで均質に出ているはずですが、16kHz以上はLPFがしっかり効いています。
・この状態で MPX NOISE FILTER をオンにすると 19kHz以上が更に減衰します。(青色グラフ)
・ほとんど聴こえない領域の高音域ですが、実際放送で試してみるとその効果は体感できます。
【PULSE NOISE】
・ON/OFF による違いがよく分かりません。
・同時期の製品 SONY ST-5130 にも同じような機能の [INS]スイッチがあります。
・どちらも当時のクルマやバイクのエンジンがまき散らすノイズ対策でした。
・最近のクルマ(エンジン)は進化しているので、もはやその効果は体験できないかも?
■TX-910 でFM放送を聴く------------------------------------------------
・外観はまさに「昭和の香り漂うオールドチューナー」ですね。
・でも MPX部がPLL化されたチューナーなら今でもリスニング用に十分使えます。
・1980年製パルスカウント検波の F-700 と並べて聴いてみました。
・薄暗い部屋に置くと青い照明窓が不思議な存在感を醸し出します。
・電源部以外の電解コンデンサは未交換ですが、音質はそんなに悪くないです。
・本当は全交換したかったのですが、、年末作業は今日で終了、あすは自宅の大掃除です。
~ルバイヤート風?四行詩擬き~
照明を控えめにした一人だけの自遊空間
バーボンのハイボールを傾けながら
オールドチューナーの心地良いサウンドに包まれる
アルファ波が溢れ出る至福のひととき
、、、なんちゃって、、、ただの四行文です(笑)
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コメント
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Bluess様 新年おめでとうございます。今年も更新を楽しみにしております。
最近Webの検索で知ったのですが、MC1310の互換品としては他にNSのLM1310、RCAのCA1310、東洋電具(現ローム)のBA1310、松下電子工業のAN115などがあり、これらはデータシート上も確かに互換性があるようです。AN115だけはSN76115からのネーミングかも知れませんね。この外にもNEC、東芝、三菱にも互換品があるようなのですが、データーシートでの確認はできていません。
投稿: exjf3eqs | 2011年1月 2日 (日) 01時01分
もう一点、ご存知かもしれないのですが、PA1001AはSONYのST-J55、ST-J60にも使用されている東光のKB4437だということです。
投稿: exjf3eqs | 2011年1月 2日 (日) 01時33分
exjf3eqsさま
いつもご教示いただき誠にありがとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。
ST-J55/J60 の実機は見た事ありませんが、TICのリストを見て PA1001A=KB4437 を知りました。
KB4437のデータシートは見たこと無いです。
http://www.fmtunerinfo.com/lists.html
毎回新しい発見があって楽しいです。
専門家の皆様には既知の事実でしょうけど、、(笑)
投稿: BLUESS | 2011年1月 2日 (日) 10時39分
Bluess様
PA1001A=KB4437についてのTIC情報有難うございます。既に調べている方がいるんですね。KB4437は旭化成東光パワーデバイス株式会社のWebPageでは保守廃品種でした...なんて、当たり前ですよね(笑)
http://www.asahi-kasei.co.jp/akpd/japan/corporate/index.html
投稿: exjf3eqs | 2011年1月 2日 (日) 13時29分
exjf3eqsさま
東光は半導体事業を旭化成グループに譲渡していたのですか、、
教えていただいて初めて知りました。ありがとうございます。
日本の半導体業界は大変そうですね。
投稿: BLUESS | 2011年1月 2日 (日) 18時53分
興味深い記事ありがとうございます。
ここに書かれているかなりの古いICは現在ヤフーオークションに出ていますね
投稿: 納豆菌凍る | 2018年5月21日 (月) 07時46分
LA3350ですが、サンヨー技報の1975年8号に記事があるとの事。未見ですのでLA3380なのかもしれませんが。SanyoはOnsemi、NationalはNuvotonに。時代はFE+DSP万能ですのである意味致し方ないのかもしれませんが。
投稿: sakai | 2022年7月 4日 (月) 18時21分