LUXMAN T-300V
・2012年1月末、ヤフオクで LUXMAN T-300V を入手しました。
・外観はまさに オールドファッションデザイン。
・こういった昭和の香り漂うオールドチューナーが大好きです。
・30年以上前に出品者様が秋葉原で購入されたワンオーナー品だそうです。
・ウッドケース天面に擦り傷が1か所あるだけで他はほとんど無傷。
・大切に扱われていた事がよく分かる逸品でした。
■製品情報-----------------------------------------------------------
・T-300 1974年 79,500円 → オーディオの足跡
・T-300V 1976年 83,500円

【海外機の情報捜索】TIC
・TIC には T-300の情報ありません。
・T-300 にドルビーFM機能を追加した T-310 (1976, $595) というモデルがありました。
・型番でGoogle画像検索すると T-300 と T-310 が並んだパンフレットが見つかります。
・T-300/T-310 を見比べると、フロントパネルのスイッチ配置が異なります。
■1970年代 LUXMAN製チューナーの系譜------------------------------------------
・オーディオの足跡に掲載された情報に手持ち資料を加えて発売順に並べてみました。
・本体サイズはペアとなるアンプに合わせてあるようですが、
・型番を見ただけでは進化系統や価格体系がよく分からないです。
| 年式 | 型番 | 定価 | 本体サイズ mm | 重量 | 検波 | MPX | 参考 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1971 | WL500 | 69,500円 | W450×H160×D268 | 7.8kg | レシオ | ディスクリート | ※1 |
| 1972 | WL550 | 49,500円 | W450×H160×D268 | 7.5kg | レシオ | ディスクリート | ※2 |
| 1973 | T-550 | 54,500円 | W450×H160×D268 | 7.5kg | - | - | - |
| 1974 | T-300 | 79,500円 | W485×H165×D281 | 9.3kg | - | - | - |
| 1974 | T-660 | 49,800円 | W443×H153×D273 | 6.7kg | - | - | - |
| 1974 | WL700G | 47,000円 | W400×H130×D245 | 4.4kg | - | - | - |
| 1975 | T-88V | 54,500円 | W450×H160×D300 | 7.0kg | レシオ | HA1156 | ※1 |
| 1975 | T-110 | 96,000円 | W483×H114×D243 | 7.6kg | レシオ | LA3350 | ※3 |
| 1976 | T-300V | 83,500円 | W485×H165×D281 | 9.3kg | レシオ | ディスクリート | ※3 |
| 1976 | T-550V | 57,500円 | W450×H160×D268 | 7.5kg | レシオ | uPC554C | ※2 |
| 1977 | T-90 | 69,000円 | W450×H160×D300 | 7.0kg | - | - | - |
※1 回路図で確認
※2 トラブルシューター様のブログ
※3 実機で確認
・Google画像検索で T-300/T-300V の外観写真と見比べてみました。
・フロントパネルは全く同じ。本体サイズも同じ。
・T-300 :電源コードインレット形式、背面パネルにヒューズ交換口あり
・T-300V:電源コード直出し、背面パネルにヒューズ交換口なし
■T-300(海外機) サービスマニュアル購入----------------------------
・久しぶりに Manuals-In-Pdf.com でサービスマニュアルを購入しました。
・支払はPayPalで $7.99USD=\621JPY。1ドル77.722円の計算でした。(2012/1/22時点)
・ダウンロードで入手したのはきれいな状態のPDFファイル全20ページでした。
・回路説明、調整手順、回路図、ブロック図、パーツリスト、必要なものは揃っています。
■【T-300(海外機)回路図】 vs 【T-300V(国内機)実機】 ------------
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・T-300(海外機)= T-300V(国内機) 全く同じでした。
■作業記録1:動作確認----------------------------------------------
・ウッドボディ全体にワックスが掛かっているような、しっとりした艶。
・幅485mm、高165mm、重量9.3kg、まさにクラシカルビッグボディ。
・電源コードに 1976 の印字あり。
・モード切替スイッチが空回りする。
・スイッチ内側のプラスチック部分が割れていたので接着剤で補修しました。
・FM受信OK。照明のランプ切れ無し。
・受信周波数が少しズレている。
・Sメーター最大点とTメーター中央が少しズレている。
・ステレオランプ点灯OK。
・モード切替 FM-mono にすると歪感が大きくなる。
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・AMは外部アンテナを接続しなくても受信可能 → 本体内部にバーアンテナ内蔵でした
・ダイヤル指針の照明色が FM受信時→赤、AM受信時→オレンジ に変化する。
【前面パネル】
・AM hi-cut 【strong】【normal】【medium】
・FM hi-blend【maximum】【normal】【moderate】
・Muting 【variable】【normal】【off】
・FM/AMとも Mutingをvariableにすると背面VRでミューティング調整可能。
・AM放送でもミューティングが効くのは珍しい。
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【背面パネル】
・アンテナ端子、音声出力端子以外に VRツマミや切替スイッチなど機能豊富。
・マルチパス出力(V,H)、4ch出力端子、
・FM/AMそれぞれにミューティングレベル調整用VR
・照明の明るさ切換えSW
・アンテナ入力アッテネータSW
■作業記録2:内部確認-----------------------------------------------
・フロントエンド FM4連、AM3連バリコン。
・ブロックフィルタ → レシオ検波 → ディスクリートMPX
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・1976年製のチューナーですから ICを多用して合理化されていると思ったら、、、
・見慣れた IC は一つも無くディスクリート構成でした。
・だから価格が高いんですね。
・内部にAM用バーアンテナを持っていました。
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■作業記録3:受信調整-----------------------------------------------
・MODE→FM mono、muting→off、high-blend→normal、antenna attenator→out、power→off
・FM mono PB328 21番端子に電圧計セット(Sメータ)
【OSC調整】
・90MHz TCO調整→最大電圧へ
・76MHz LO調整 →最大電圧へ
【RF調整】
・90MHz TCA,TCR1,TCR2→最大電圧へ
・76MHz LA,LR1,LR2→最大電圧へ
・83MHz IF調整→高調波最小に
【IF調整】
・PB328-5番又は6番端子に電圧計セット→VR202→12V±0.2
・TP4電圧計セット→T201,T202調整→電圧最大へ
・TP5電圧計セット→T204調整→電圧最大へ
【レシオ検波調整】
・SSG83MHz 指針位置83MHz確認
・T203 上部コア調整→Tメータ中央へ
・T203 下部コア調整→高調波歪み最小へ
・左右に少し離調して、Tメーターの左右振れ幅が対象を確認
【ミューティング調整】
・83MHZ,20dB
・VR201 Sメーターの振れを目盛1へ
・VR203 信号が出現する位置へ
【セパレーション調整】
・FMstereoポジション
・VR302 L信号とR信号のレベルと同一に
・VR301,T304:セパレーション調整
【AM】※最近は実放送を受信しながら調整しています。
・東海ラジオ1332kHzを受信しながらフロントエンド AM3,AM2,AM1
・NHK707kHz バーアンテナのコイルをスライド,T401,T402
・T403,T404,T405 歪み感が最小になる位置に
・VR401 AMミューティング
■ノイズ問題発生 ---------------------------------------------
・中古測定器を使った調整ではまずまずの性能を発揮していると思いました。
※50kHz以降に現れる盛り上がり部分は EDIROL UA-101 の固有ノイズ
・ところが、、実際に NHK-FM (82.5MHz) を受信して聴いてみたところ、、全然ダメです。
・可聴域全体に「ザー」というノイズが乗っている感じです。
・音楽のメゾピアノ以下やトーク部分ではっきり分かります。
・放送局を変えて 民放FM-Aichi (80.7MHz)を聴いても全く同じ症状でした。
・ところが、民放Zip-FM (77.8MHz)ではこの症状は発生しません。
・曲の変わり目や番組とCMが切り替わる瞬間など、僅かな無音部を観察しました。
・WaveSpectraで観察した波形を合成したところ、耳で感じる違いがはっきり現れました。
・原因として思い当たることといえば、、、FM多重放送の有無かな??
・MPX回路で 76kHz を再確認してみます。
・次回につづく、、、
【追記:2012年2月29日】-----------------------------------------------
■T-300V MPX回路(PB121)の研究----------------------------------------
【PARTS LIST】
・Q301 : 2SC1000GR : Pilot Separator
・Q302 : 2SK-30-0 : FM Muting
・Q303 : 2SC372Y : Pilot Amp
・Q304 : 2SC1000GR : Composit Stereo Signal Driver
・Q305 : 2SC372Y : 38kHz Sub Carrier Amp
・Q306,307,308,309 : 2SC1000GR : Audio Amp
・Q310,311 : 2SC372Y : Audio Amp
---------------------------------------------
・T301 : SCA Filter
・T302 : 19kHz(Pilot)Trans
・T303 : 19kHz(Frequency Doubler)Trans
・T304 : 38kHz(Switching)Trans
・LF301 : 16kHz Low-Pass Filter
---------------------------------------------
・D301,D302 : Frequency Doubler
・D303,D304 : Buffer Fpr Discharge
・D305,D306,D307 : MPX Switching
・D308 : Rectifier For Stereo Beacon
【回路概要】※サービスマニュアルの上記英文を超簡略和訳しました。
・レシオ検波器で得られた信号 → T301(SCAフィルター)→ Q301(B)信号分離
・Q301(C) → 19kHz信号
・Q301(E) → コンポジットステレオ信号
・T302 19kHz信号分離 → Q303 19kHz信号増幅
・Q303 → バランス型全波整流器(D301,D302,T303)→ 38kHz生成
・Q305 38kHz信号増幅 → T304
・コンポジットステレオ信号 Q301(E)→ Q302(Muting)→ Q304 → T304
・T304 で サブキャリア信号38kHzと混合
・復調回路はブリッジ型に配置された4本のダイオード(D304,305,306,307)構成
・コンポジット信号からL信号とR信号を分離生成
・L信号とR信号はLPFにマッチングするようにバッファアンプ(Q306、Q307)で増幅
・16kHz以上の成分はLPF(LF301)で除去され、サブキャリア残留成分は66dB以下
・L信号とR信号はノイズフィルターとディエンファシス回路へ
・Q305(E)とQ308(E)が接続されたLchとRchの負帰還回路を構成
・VR301 セパレーション調整、VR302 左右レベル調整
・Q305 38kHz信号→C314→D308→ステレオランプ
【基板上のピンの接続確認】
・1番ピン:レシオ検波器からの入力信号
・2番ピン:Q303B T302で抽出されたパイロット信号19kHz
・3番ピン:Q305B 増幅前38kHz
・4番ピン:Q305C 増幅後38kHz → ステレオランプ電圧
・TP:T304出力
■MPX部再調整-------------------------------------------------------
・サービスマニュアルによる調整方法
・T302、T303、T304調整 → TPで観測できるレベルを最大
※試行錯誤の結果、以下の方法がいいかも?
・2番ピンにWS接続 → T302調整で19kHz最大へ
・3番ピンにWS接続 → 4番ピンにDC電圧計
・T303調整 → 38kHz最大かつ電圧計最大
・TPにWS接続。T304調整 → レベル最大
・VR302 左右レベル調整、VR301 セパレーション調整
・セパレーション=約45dB
■詳細確認-------------------------------------------------------
・念には念を入れて再調整、特にMPX部を上記方法で慎重に調整しました。
・でも、、やっぱり NHK-FM と FM-Aichi で歪みが発生します。
・無音時の音を聴くと、確かに「セミの声」みたいに聴こえます。
・本体背面にある 4ch DECODER 端子の音を聴くと問題ありません。
・やはり MPX回路の問題です。
・4ch DECODER 端子に出ている信号が MPX回路(PB121)-1番端子(上図A)に入ります。
・回路内(A~K)部分の信号を WaveSpectra で確認しています。
・僅かな無音時を狙って観察しているので、ちょと時間がかかってます。
A:1番ピン 検波回路から(SCAフィルター前)
A1:Q301B 検波信号(SCAフィルター後)
B:1番ピン T302出力 19kHz
C:2番ピン Q305B 38kHz(増幅前)
D:3番ピン Q305C 38kHz(増幅後)
E:4番ピン Q301E コンポジット信号
F:Q304E コンポジット信号
G:T304出力 38kHz混合後
H:D305左 復調信号
I :Q306E 音声出力(LPF前)
J:10番ピン 音声出力(LPF後)
K:6番ピン オーディオ出力
【追記:2012年3月4日】-----------------------------------------
■念のため確認
【FM受信環境】
・FM送信所(東山タワー)は3局とも同じ。出力10kWも同じ。
・東山タワーから自宅まで直線距離約8km。FM用4素子外部アンテナで受信。
・マルチパスの影響があったとしても条件は同じはず。
【他のチューナでは?】
・今までノイズが気になったことはなかったですが、念のため聴き直しました。
・MPX部がディスクリート構成チューナー:SONY ST-5000F STR-7065
・MPX部にPLL-ICが搭載されたチューナー:LUXMAN T-110、PIONEER TX-910
・やはりノイズは気になりません。
■波形比較---------------------------------------------------------
・NHK-FM(ノイズあり)とZIP-FM(ノイズなし)を受信、MPX基板各部の波形を観察。
・詳細はホームページにまとめました。 詳細はココ→
■【追記:2012年03月08日】-----------------------------------
■上記ホームページに追記しました
・測定箇所を増やして無音部の波形比較を続けていました。
・結果は cooltune様のご指摘通りでした。
・スイッチング信号生成過程で57kHz、76kHzの発生を確認しました。
・テストポイントでの観察では波形が見えていなかったです。
・お詫びして訂正いたします。
■古い機種で再確認------------------------------------
・ノイズ問題、今まで気が付かなかっただけか??
・古いバリコンチューナーを何台か出してきて 「そのつもり」 で聴き直しました。
【ディスクリートMPX】
・SONY ST-5000F(1972)、ST-5130(1971)、STR-7065(1974:レシーバー)
・YAMAHA CT-800(1974)
【PLL-IC利用のMPX】
・LUXMAN T-110(1975)
・PIONEER TX-910(1972)、F-007(1978)、F-700(1980)、F-26(1977)
・TRIO KT-9007(1974)、KT-7700(1977)、KT-2200(1982)、KT-1100(1981)
・SONY ST-5950(1975?)
・YAMAHA T-9(1979)、T-7(1979)
・VICTOR T-2020(1977)
・SANSUI TU-707(1977)
・Technics ST-8600(1975)
・どの機種も T-300V(1976) で感じたノイズは確認できませんでした。
・1975年以降のMPX部がIC化されたチューナーならまず大丈夫かな思います。
・FM多重に関係したノイズ問題、今回は本当に良い勉強になりました。
■【追記:2012年03月10日】----------------------------
・続編はこちら→ LUXMAN T-300V (2)


































































































































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