・2013年9月末、TX-810 に続いて弟機 TX-710 がやって来ました。
・「右側の音がかなり歪む」という故障機を寄付していただいたものです。
・思いがけず1970年代前半のパイオニア製チューナーが3機種揃いました。
■製品情報------------------------------------------------------------
・オーディオの足跡 PIONEER TX-710 ¥54,000円(1973年頃)
・パイオニア アンプチューナーカタログ(1974年1月発行、PDF形式、約21MB)
・TX-910:75,000円:FM5連バリコン→広帯域レシオ検波 →PLL+差動復調回路
・TX-810:53,000円:FM4連バリコン→クオドラチュア検波→差動復調回路
・TX-710:43,000円:FM4連バリコン→クオドラチュア検波→差動復調回路
■輸出機情報----------------------------------------------------------
・Tuner Information Center
・TX-910 → TX-9100 (1973, $350)※回路図あり
・TX-810 → TX-8100 (1973, $250)
・TX-710 → TX-7100 (1973, $200)
・Hifi Engine
・TX-8100、TX-7100 ※サービスマニュアルあり

■動作確認-----------------------------------------------------------
・フロントパネルはほぼ無傷、ウッドボディも状態は良い。
・電源OK、周波数窓照明点灯、二つのメーターランプ点灯、指針も橙色に光る。
・FM/AMインジケーターランプ点灯、FM/AMとも受信OK。STEREOランプ点灯。
・ミューティング切替OK、テストトーンOK、可変レベル調整OK、ガリもない。
【不具合状況】
・FM受信時、右側の音が歪んだ感じ。
・モノラル受信に切り替えても右側だけ歪む。
・マルチパス(H)端子の出力も同様に歪む。なぜ?
・AM受信時は歪感なし。
■内部確認-------------------------------------------------------------
【TX-810との違い】
・メイン基板を覆うシールドケースが違う。でも外してみると基板は同じもの。
・FM部HA1137、HA1142、AM部HA1138 TX-810と同じ。
・フロントエンドは同型に見えるが、TX-810のAM3連に対してTX-710はAM2連。
・ミューティングスイッチのリレー回路がない。
・ヘッドホン回路がない。
・FM-IF部 → HA1137(クアドラチュア検波)
・FM-MPX部 → HA1142 (MPX-IC)
・AM部 → HA1138
・調整箇所はTX-810シールドケース上部の印字参照
・マルチパス(H)端子は固定出力(R)端子から抵抗を挟んだだけの直結配線でした。
・検波回路のコンポジット信号を直接出しているわけではない、、さすが入門機。
・TX-810 を調べ直したら、、同じく直結配線でした、、
■HA1142が怪しい、、---------------------------------------------------
・TX-7100サービスマニュアル中にMPX部の回路解説がありました。

・HA1142は復調用スイッチング回路をIC化したものです。
・HA1142-4ピン コンポジット信号入力
・HA1142-10ピン Lch出力
・HA1142-11ピン Rch出力
【ICの足から信号を直接取り出して確認】
・HA1137-6ピン 検波出力を直接取り出して聴いてみる → 異常なし

・HA1142-4ピン 入力信号を直接取り出して聴いてみる → 異常なし
・HA1142-10ピン L左出力を直接取り出して聴いてみる → 異常なし

・HA1142-11ピン R右出力を直接取り出して聴いてみる → 異常あり!

・R側にひどい高調波が出ています。
・SSGからステレオ信号を送ってもモノラル信号を送っても症状は同じ。
・TX-710側でステレオ・モノラルを切り替えても症状は同じ。
・19kHzコイルを回しても改善しない。
・原因は HA1142の故障か?
【TX-810からHA1142移植】
・試しに TX-810の HA1142 を TX-710 に移植。
・結果は、、治りました。
・不調原因は HA1142 の故障でした。
・完全修理には HA1142 が必要。
・もう一台ジャンク機を探しましょうか、、
■参考:測定器が無い場合のテキトー調整法------------------------------
T1:FM RF COIL1
T2:FM RF COIL2
T3:FM RF COIL3
T4:FM OSC COIL
T5:FM IF TRANS
CT1:FM RF1
CT2:FM RF2
CT3:FM RF3
CT4:FM OSC
CT5:AM OSC
CT6:AM RF
T6:FM DISCRIMINATOR TRANS
T8:FM 19kHz COIL
T9:AM OSC COIL
VR1:FM SEPARATION CONTROL
VR2:AM GAIN CONTROL
VR3:AM OUTPUT LEVEL CONTROL
VR4:FM METER CONTROL
【FM部調整】
・居住地で受信できるFM局のうち、最も低い周波数位置に指針を合わせる。
・フロントエンド内T4を左右に少し回し、Sメーターが最大に振れる位置に探す。
・続いてT1、T2、T3も同様に少し回して、Sメーターが最大に振れる位置を探す。
・居住地で受信できるFM局のうち、最も高い周波数位置に指針を合わせる。
・フロントエンド内CT4を左右に少し回し、Sメーターが最大に振れる位置に探す。
・続いてCT1、CT2、CT3も同様に少し回して、Sメーターが最大に振れる位置を探す。
※金属製ドライバーは使用不可。
※セラミック製ドライバーが無ければ割り箸を削ってドライバー自作。
※上記作業を数回繰り返す。
・居住地で受信できるFM局のうち、ちょうど中間付近のFM局を受信する。
・Sメーターが最大に振れるときダイヤル指針が周波数位置にあることを確認する。
・フロントエンド内T5を左右に少し回し、Sメーターがさらに最大に振れる位置を探す。
・放送局を全く受信しない位置にダイヤル指針を移動する。
・T6下段コアを左右に回してTメーターが中央になるように調整する。
※検波コイルT6は内部で上段コアと下段コアに分かれているので注意。
※底板を外して基板裏側からコアを回すとよい。
※コアドライバーも割り箸を削って自作可能。
・T6上段コアは高調波歪調整用なので測定器が無い場合は放置。
・T8(19kHzコイル)、VR1(セパレーション調整)の現在位置をマジックでマーク。
・T8を左右に少し回してステレオ感が改善するか確認。分からなければ元に戻す。
・VR1を左右に少し回してステレオ感が改善するか確認。分からなければ元に戻す。
※回す角度はほんの少し、±45度くらいの範囲。
※測定器がなければ触らないほうが無難。
・VR4を左右に少し回してSメーターの最大振れ位置を調整。

【AM部調整】
・居住地で受信できるAM局のうち、最も低い周波数位置に指針を合わせる。
・T9を左右に少し回し、Sメーターが最大に振れる位置に探す。
・本体背面のAMバーアンテナ先端のコイルを回し最大に振れる位置を探す。
・居住地で受信できるAM局のうち、最も高い周波数位置に指針を合わせる。
・フロントエンド内CT5、CT6を左右に少し回し、Sメーターが最大に振れる位置に探す。
※上記作業を数回繰り返す。
■試聴----------------------------------------------------------------
・AM用バリコンが一枚少ないとか、ヘッドホン端子が無いとか、
・そんな微妙な差を除けば、TX-710 と TX-810 はほとんど同じものでした。
・でも上位機の TX-910 はちょっと別格です。
・当時の資料によれば TX-910は「日本初、MPX部にPLL-ICを採用したFMチューナー」
・TX-910 に使われたMPX-ICは PA1310(MC1310)、詳細はこちらで→
・上からTX-910、TX-810、TX-710。豪華3段重ねの記念写真です。
・美しい照明窓はどれも同じデザインなので、安いジャンク品があれば即確保!(笑)
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