KENWOOD L-01T 2号機
・2015年9月初め、L-01T の故障品を研究用に寄贈していただきました。
・漆黒パネルに映えるオレンジ照明がとても美しい機種です。
・これは何としても修理して使える状態にしたい!
・以下、修理作業の記録です。
■製品情報------------------------------------------------------------
・オーディオ懐古録 KENWOOD L-01T ¥160,000(1979年)
・オーディオの足跡 KENWOOD L-01T ¥160,000(1979年頃)
・Hifi engine KENWOOD L-01T 輸出機のサービスマニュアルが入手できます。
・KENWOOD L-01T 1号機の記録
![]() |
![]() |
■故障状況------------------------------------------------------------
・バリコン軸を回転させるプーリーが外れている。
・接続部品(ギア、ワッシャー)も外れている。
・プーリーに巻かれていた糸も当然解けている。
・バリコン軸を手動で回すとTメーターとSメーターは反応しFM放送を受信する。
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
■修理記録:外れた部品の復旧------------------------------------------
・外れた部品(ギア、ワッシャー)が同梱されていたので助かりました。
・まずは外れた部品をバリコン軸に組み付けます。
・次に外れた糸を巻き付ける。
・糸掛けの手順はサービスマニュアルに記載あります。
・多くのバリコンチューナーを分解して糸掛け方法を練習した甲斐がありました。
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
■修理記録:85MHz以上が選局できない-----------------------------------
・不思議なことに指針が85MHzより上の周波数に移動できません。
・チューニングつまみは回りますが、糸がスリップして指針が動かない状態です。
・もう一度糸を解いてバリコン軸の回転具合を確認すると普通に回転できます。
・指針の動きを観察すると、指針を載せている台座が何かに引っ掛かるようです。
・障害物は何も無さそうなのに??
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
・原因がよく分からないまま清掃を兼ねてフロントパネルを外してみました。
・フロント四隅にある丸いプラスチック蓋を外すと隠しネジがあります。
・正面から指針の動きを観察するとやはり何かに引っ掛かります??
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
・照明用豆電球が載っている基板を外したところ、、原因が分かりました!
・電球を覆うように貼り付けてある白いアクリル板が右斜め下方向にずり落ちています。
・これは電球の光を拡散するためのアクリル板だと思います。
・両面テープで基板に貼り付けてありましたが接着力が弱まったのでしょう。
・ずり落ちたアクリル板が指針台座にぶつかる位置が84MHz~85MHz付近だったわけです。
・アクリル板を一旦剥がして再度張り直して復旧しました。
・これで指針がスムーズに移動するようになりました。
■再調整--------------------------------------------------------------
・1号機 に倣って各部再調整しました。
・故障個所は特にありませんでした。
・調整ズレの修正によって良い性能を取り戻したと思います。
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
■FM多重放送によるノイズ問題------------------------------------------
・SCA調整は前回1号機と同じ方法で調整できました。
・新しい VICS WIDE でも L-01T は従前の調整方法でノイズを回避できます。
・KT-9900では SCAスイッチが頻繁に ON/OFF を繰り返す症状がありました。
・L-01TとKT-9900のSCAスイッチ回路を比較してみました。
・L-01T回路図に記された「SCA TUNED」回路でフィルターが一段少ないです。
・コイル型番は同じ。試しに取り替えてみましたが変化なしでした。
【L-01T】
・検波信号 → L10 → L11 → IC9(NJM4559)(1/2) → D36 → IC9(NJM4559)(2/2)
・部品番号 L10=00050-05-081
・部品番号 L11=0050-05-0081
・SCA FILTER
・部品番号 L12,L13,L14,L15=0048-05-081
【KT-9900】
・検波信号 → → L6 → IC2(NJM4559)(1/2) → D4 → IC(NJM4559)(2/2)
・部品番号 L9 =0050-05-871
・SCA FILTER
・部品番号 L1,L2,L3,L4=0048-05-871
■試聴----------------------------------------------------------------
・漆黒のフロントパネルに映えるオレンジ照明が抜群に美しいです。
・フロントに目立つひっかきキズがあるのがちょっと残念、、
・でも中身は再調整によって良い性能を取り戻しました。
・インテリア兼BGM機として大切に使わせていただきます。
« YAMAHA T-1 修理調整記録 | トップページ | TRIO KT-9900 2号機 »
「ピュアオーディオ」カテゴリの記事
- SONY ST-JX8 修理調整記録4(2025.02.09)
- KENWOOD L-02T 修理調整記録4(2025.02.02)
- KENWOOD KT-2020 修理調整記録6(2025.01.26)
- YAMAHA T-7 修理調整記録6(2025.01.19)
- TRIO KT-900 修理調整記録6(2025.01.12)
こちらにも L-01T の修理依頼品が来ているのですが、プーリー部を右横に引くとプーリーが軸ごと外れます。これっておかしい気がするのですが、そちらの L-01T ではどうですか?
何となくプーリー軸のCリングが欠損しているのかなぁ~と思っています。
投稿: ひろくん | 2022年7月29日 (金) 07時29分
「プーリー部を右横に引くと」は「プーリー部を手前に引く」の誤りです。
投稿: ひろくん | 2022年7月29日 (金) 07時35分
ひろくん様
ご指摘の通りプーリーを手前に引くと軸ごと外れてしまいます。
軸には細い溝があるのでたぶんC型がE型のリングがあったはず??
写真の赤色矢印の位置です。
http://bluess.style.coocan.jp/images/L-01T-92.jpg
もしかしたら外れた部品がボディ内部に落ちているかもしれません。
【当時のメモ】
・軸の直径3.5mm
・ホームセンターでE型リング(3.2mm)購入
・作業できるスペースがとても狭くて作業困難、、無理、、断念
リングが無いままずっと使っていますが、今のところ軸が抜け落ちるような事故はありません。でも、外れそうでひやひやしています。
投稿: BLUESS | 2022年7月29日 (金) 20時40分
やはりそうでしたか。L-01Tは初めて触るので、抜けるのが普通なのかどうかわかりませんでした。やはり抜けるのはオカシイですよね。
ちなみに現在修理している KT-7700 のプーリーは引いても抜けないです。
KT-7700 は測定器のような作り、フロント前面の透明パネル、内部の周波数パネルともにガラスで、ともかく作りが素晴らしい。これ今作ったら20万円くらいかかるでしょうね。照明を高輝度 LED 化して凄く綺麗な表示になりました。
投稿: ひろくん | 2022年7月30日 (土) 08時09分
L-01Tのフロントパネルを脱着するために使用する工具(特殊ドライバー?)はどこで入手できますか?工具名など教えて下さい。よろしくお願いします。
投稿: woofie | 2025年1月 3日 (金) 13時05分
フロントパネル四隅にある丸いプラスチック蓋の外し方のことでしょうか?
それなら特殊な工具は不要です。
表面に見える小さな2個の穴に爪楊枝を差し込んで少し回せばポロっと取れます。
蓋の表面にガムテープを軽く貼って引っ張るだけでも取れました。
見当違いの回答でしたらご容赦ください。
投稿: BLUESS | 2025年1月 3日 (金) 14時43分
あけまして おめでとうございます。
昨年度も、沢山のご指南や機材の修理をしていただき
まことにありがとうございました。本年もよろしくお願いいたします。
とうとう私も昨年末に中古のSSGとオシロを買いました。
当然のように私の知識では、使いこなせないのか
はたまた、USEDですので機器の故障なのかわかりませんが
マニュアルを見ながら操作しても、波形が全く出ません。
bluess様の作業風景の写真を参考に何度もトライしましたが
私のことなので何か欠落しているのは間違いないように思え
差し出がましいお願いとは思いますが、
チューナとSSG、オシロの配線(←言い方が正しいかどうかもあいまいですが)
と、不足している機材をお教えいただけないでしょうか?。
お忙しい中申し訳ありませんが、ご検討ください。
ちなみに、現有機材は下記のとおりです。
オシロ:日立製。型番不明 150Mhzまで計測可能らしい。
SSG:KIKUSUI SG-4300 かなり古い機種です。
マルチメータ:無印 若いころはテスターと呼んでいたものです。
投稿: ぽんぽこ | 2025年1月 4日 (土) 10時10分
状況が良く分かりませんが「波形が出ない」とはどのような状態でしょうか?
■SSGとチューナーの接続
・KSG4300の出力端子(BNC)とFMチューナーのアンテナ端子(F)を同軸ケーブルで接続
・端子形状が異なるので BNC-F の変換アダプタが必要です
■SSGの設定
・FM変調=ON
・FM偏移=75kHz
・変調ソース=内蔵400Hz又は1kHz
・出力インピーダンス=75Ω
機種はKIKUSUI KSG-4300でしょうか?
このSGはステレオ変調器を搭載していないのでモノラル信号しか送れません
投稿: BLUESS | 2025年1月 4日 (土) 17時01分
buluess様
こんばんは、早々のご連絡ありがとうございます。
今まで格闘しており返信いただいていたのにご連絡できずにいました。
SSGの機種はご指摘の通り、KSGー4300です。
菊水のサイトからマニュアルを見つけ、モノラル仕様と気づきました…。
しかも、このSSGすでに壊した可能性があります。
もちろん私が…。
投稿: ぽんぽこ | 2025年1月 4日 (土) 22時36分