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2019年6月23日 (日)

Aurex ST-510

 ・2019年5月、オーレックスのチューナーを寄付していただきました。
 ・オールドチューナーの寄付は大歓迎です。
 ・以下、一通り整備した記録です。

Aurex_st51007

■製品情報------------------------------------------------------------

Aurex_st51002Aurex_st51010

 ・オーディオ懐古録 Aurex ST-910 ※カタログ中にST-510の情報あり

 <上記カタログより引用>
 ・Aurex ST-510 AM/FMステレオチューナー 66,000円
 ・FM独立5連バリコン、PCC-IC使用の最高級仕様チューナー
 ・オールFET構成、独立5連バリコン使用のフロントエンド
 ・セラミックフィルター(8素子)使用の中間周波数増幅段
 ・AFCをかけたままでも細かい選局ができるナローバンドAFC付
 ・連続可変ミューティングレベル
 ・マルチパス検出端子付
 ・ディスクリート4ch放送に備えてアダプター接続用MPX-OUT付
 ・実測データシート付

■動作確認------------------------------------------------------------

 ・前面パネルに多少のキズがあるがそんなに目立たない。
 ・F型端子にアンテナを接続して電源オン。
 ・二つのメーターと周波数目盛りが青い照明に浮かび上がる。
 ・オレンジ色の指針照明も点灯。FM/AMポジションランプ点灯。
 ・照明の雰囲気的は同時期のパイオニア製品に似ている。
 ・名古屋地区のFM局を受信して動作確認。
 ・Sメーターは大きく振れるがTメーターは右側に振れたままでほとんど動かない。
 ・Sメーター最大位置でSTEREOランプ点灯。
 ・ミューティング動作OK。動作レベル調整用VRも動作している。
 ・FM/AM切替ボタンが外れやすい。
 ・背面バーアンテナで名古屋地区のAM放送受信
 ・Sメーターが大きく振れて受信OK。
 ・Tメーターの動作がおかしいです。

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■内部確認------------------------------------------------------------

 ・FM5連、AM3連独立フロントエンド
 ・MURATA製セラミックフィルター → レシオ検波
 ・PLL-MPX IC:MC1310P
 ・PIONEER TX-910で PA1310Pを見ましたが、ようやくMC1310Pに巡り会えました。

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■調整記録------------------------------------------------------------

【レシオ検波調整】
 ・アンテナ入力なし → T1上段コア調整 → Tメーター中点
 ・83MHz → → T1下段コア調整 → 歪率最小
【OSC調整】
 ・76MHz → L05調整 → Sメーター最大
 ・90MHz → TC5調整 → Sメーター最大
【RF調整】
 ・76MHz → L01,L02,L03,L04調整 → Sメーター最大
 ・90MHz → TC1,TC2,TC3,TC4調整 → Sメーター最大
 ・83MHz → L06調整 → Sメーター最大
【Sメーター調整】
 ・83MHz → T2調整 → Sメーター最大
【ミューティング調整】
 ・IF基板 D13 → 電圧計セット
 ・83MHz 70dB → T3調整 → 電圧最大
 ・83MHz 70dB → VR01調整 → MUTING作動点をTメーターで左右対称
【VCO調整】
 ・MPX基板 MC1310-10pin → 周波数カウンタ接続
 ・83MHz ST信号 → VR02調整 → 19kHz
【セパレーション調整】
 ・音声出力 → WaveSpectra接続
 ・83MHz ST信号 → VR01調整 → 反対chへの漏れ信号最小
【AM OSC調整】
 ・ 600kHz受信 → T6調整 → Sメーター最大
 ・1400kHz受信 → TC8調整 → Sメーター最大
【AM RF調整】
 ・ 600kHz受信 → T4,T5調整 → Sメーター最大
 ・1400kHz受信 → TC6,TC7調整 → 電圧最大

Aurex_st51000

 ※T1とVR01調整によってTメーターの動作が正常になりました。

■試聴----------------------------------------------------------------

 ・Tメーターの故障かと思ったら、再調整によって正常動作になりました。
 ・PIONEER機に似た印象の青い照明がなかなかイイですね。
 ・MC1310Pを発見したことが大きな収穫でした。

Aurex_st51008

 

■<追記>2020年12月27日 電解コンデンサー全数交換---------------------

 ・実はこのST-510、入手以来仕事部屋のBGM用に愛用してます。
 ・2020年末、再調整を機に電解コンデンサーを全数交換しました。
 ・特に不具合があったわけではないですが、精神的な安心材料です。
 ・まさに「隠れた名機」と呼ぶべき優秀機と思います。

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コメント

Bluess様

今晩は。
いつも色々な製品の内部の詳細を楽しく拝見しています。
この頃の製品は本当に見ていて楽しいです。

MC1310PはPLL方式MPXICの原型ですよね!現物は初めて見ました。
MPXICを東芝で内製されるのはもう少し後でしょうか。

写真のものは今では何という事もない樹脂封止パッケージですが、
70年代はセラミック製の気密封止から、安価な樹脂封止が普及し
た時代で、樹脂封止パッケージの実現には気密性の確保や、
樹脂によるワイヤ流れ防止など、相当なハードルがあった、と聞い
ています。

これ以外のRFのFET、IFのIC、その他TRはオール東芝製のようで、
3SK35?40?、TA7060、2SC735、2SC1000、2SD235等当時の定番で
すね!TRの頭のランク分け標記(O、Y、BL、GR等)が懐かしいです。

FMとAMのフロントエンドが独立して、なかなか楽しいセットですね。
アルプスのバリコン、東光のコイル、村田のセラフィル、スミダのLPF、、、

プリント配線板のパターンもCADではなく手張りアートワークですね!

自分が前の会社に入った1980年代後半は既にミニコンでのCADが
普及していましたが、対話型の端末は高額なため、一旦5倍や10倍で
方眼紙に色鉛筆でパターンを描いて、座標をデジタイザーでCADに
読み込んでいました。

露光マスクはその後の標準となるガーバー社のフォトプロッタでの
作成が普及する一方、まだ一部はカッティングプロッタで5倍等の遮光
パターンを作成し、一部は手張りで修正する、、、という世界でした。

それより10年遡る70年代は、全て手張りテープによるアートワークで
露光フィルムを作成されていたと思います。

当時の事をご存知の方に一度お話を伺いたいものです。。。

exjf3eqsさま

いつもご示唆に溢れるコメントをいただき、誠にありがとうございます。

MC1310Pを見たときはちょっと驚きましたが、互換品のTA7156Pが登場する以前の製品のようです。フロントエンドのFETは 3SK22 でした。側面に赤文字で「Toshiba」のロゴマークが印字されています。

珍しい機種に出会うこともあってまだまだ興味は尽きません。

Bluess様

MC1310Pの東芝の互換品はTA7156Pなんですね!
その前にはパイロットを2逓倍して38kHzのキャリア信号を作る方式も
IC化されていましたが、PLLICの出現で一気に世代交代しましたね。

PLLICによるステレオ復調は、消費者向けには性能向上と長期安定性
をうたっていますが、メーカーにとっては部品点数と調整箇所が減り、
製造コストが削減できるからこそ、こぞって採用されたものと考えます。

この頃を境にほぼ全チューナーがMC1310Pかその互換品を採用し、
その方式がその後のスタンダードとなったことを考えると、本当に
エポックメイキングなICであったんだなー、と実感します。

自分がアナログIC開発に携わっていた80年代も、下記のような内容で
各社凌ぎを削ってました。。。
 ・性能はライバル社以上!、原価はライバル社以下!!
 ・外付け部品を減らす、高額な外付け部品を用いない方式に変える
 ・調整箇所を減らす。究極は無調整化!
 ・チップサイズは小さく、周辺回路、周辺ICも取込み1チップ化する
 ・消費電力は少なく、動作電圧範囲は広く、電源電圧変動には強く

フロントエンドは3SK22でしたか!赤字のToshibaロゴが懐かしいです。
3SK22は二つゲートがあるものの、接合型FETですね。
後にFMのフロントエンドや、VHFのTVチューナに良く使われるように
なったデュアルゲートMOSFETが普及する前の世代の素子で、
3SK22はこの後フロントエンドには使われなくなっていきますね。

セットの蓋を開けると、その時代の技術動向、メーカーの姿勢や市場の
情報が詰まっていて、本当に興味がつきませんね!

以前、Accuphase T-101で面白い発見がありました。

https://bluess.cocolog-nifty.com/labo/2017/10/accuphase-t-101.html

T-101回路図には LM1310N又はLM1310P、パーツリストには MC1310P と記載があるにもかかわらず、実際には TA7156P が搭載されていました。さらに別のT-101 では HA1156W や LM1310N を搭載した個体もありました。T-101はまるで「福箱」のようで、ボディを開けるのが楽しみな機種です。

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