KENWOOD KT-1100D 修理調整記録9
・2019年11月、KT-1100Dの修理調整作業を承りました。
・以下、作業記録です。

■製品情報------------------------------------------------------------
・オーディオの足跡 KENWOOD KT-1100D ¥74,800(1987年頃)
・KENWOOD チューナーカタログ 1986年11月版
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■動作確認------------------------------------------------------------
・FMアンテナを接続して電源オン。
・表示管点灯。文字欠けや輝度劣化は見られない。
・オート選局で名古屋地区のFM放送局を受信しようとすると、、
・上り方向、下り方向ともに放送周波数を通過して受信できない。
・通過するときにTメーター、Sメーターのセグメントは点灯する。
・しかし中点から右に二本ズレた位置の赤いバーがフル点灯。
・マニュアル選局では放送周波数±0.2MHz範囲でモノラル受信できる。
・ステレオ受信不可。STEREOインジケータ点灯せず。
・RF切替(DISTANVCE/DIRECT)OK。WIDE/NARROW切替OK。REC CAL OK。
・AM放送はオート選局、マニュアル選局とも正常に受信。
■修理記録------------------------------------------------------------
・当初は 修理調整記録8 と同じ検波回路のL9故障を予想しました。
・でも調べてみたところL9は生きていました。
・再調整によって規定値に設定したところ不具合が解消しました。

■調整記録------------------------------------------------------------
【VT電圧】
・TP6~TP7 DC電圧計セット
・アンテナ入力なし
・76MHz → L14調整 → 3.0V±0.1V
・90MHz → TC1調整 →25.0V±0.1V
【検波調整】
・TP10~TP11 DC電圧計セット
・83MHz(無変調,80dB)受信 → L9調整 → 0.0V±10mV
・TP12~TP13 DC電圧計セット
・83MHz(無変調,80dB)受信 → L12調整 → 0.0V±10mV
【RF調整】
・R67左側 DC電圧計セット=Sメーター電圧
・83MHz(1kHz,100%変調,40dB)→ L1,L4,L7,L18調整 → 電圧最大
【IFT調整】
・R64右側端子 DC電圧計セット=Sメーター電圧
・83MHz(1kHz,100%変調,30dB)→ L10調整 → 電圧最大
【AUTO STOP=MUTING調整】
・83MHz(1kHz,100%変調,30dB)→ VR1調整
【TUNING METER調整】
・SELECTOR:MONO
・83MHz(1kHz,100%変調,80dB) → 本体左側小基板VR2調整 → ※
※中央の縦白セグメント点灯、両側の赤縦セグメントの中点へ
【SIGNAL METER調整】
・SELECTOR:MONO
・83MHz(1kHz,100%変調,80dB) → 本体左側小基板VR3調整 → ※
※バーグラフの点灯レベル調整
【MPX VCO調整】
・TP14に周波数カウンタ接続
・83MHz(無変調,80dB) → VR4調整 → 19.00kHz±50Hz
【SUB CARRIER調整(38kHz)】
・音声出力をWavespectraで観察
・83MHz(SUB信号,1kHz,80dB)→ L25調整 → Lchレベル最大
【歪調整1 DLLD】
・83MHz(MONO信号,1kHz,80dB)→ VR3:DET調整 → 歪最小
【歪調整2 MONO】
・83MHz(MONO信号,1kHz,80dB)→ VR4:MONO2調整 → 二次歪最小
【歪調整3 MONO】
・83MHz(MONO信号,1kHz,80dB)→ VR6:MONO3調整 → 三次歪最小
【歪調整4 STEREO】
・83MHz(L/R信号,1kHz,80dB)→ VR5調整 → 歪最小
【歪調整5 STEREO】
・83MHz(SUB信号,1kHz,80dB)→ VR7調整 → 歪率最小
【歪調整6 NARROW】
・83MHz(MAIN信号,1kHz.80dB)→ VR2調整 → 歪率最小
【SEPARATION調整 WIDE】
・IF BAND:WIDE
・83MHz(R信号,1kHz,80dB)→ VR2調整 → L信号もれ最小
・83MHz(L信号,1kHz,80dB)→ VR3調整 → R信号もれ最小
【SEPARATION調整 NARROW】
・IF BAND:NARROW
・83MHz(1kHz,80dB)→ VR1調整 → 信号もれ最小
【DEVIATION調整】
・83MHz(mono信号,1kHz,100%変調)→ 本体左側小基板VR4調整 → 100%位置
【AM簡易調整】
・TP6~TP7 DC電圧計セット
・アンテナ入力なし
・522kHz → L20調整 → 実測 1.5V 確認のみ
・1629kHz→ TC2調整 → 実測 8.0V 確認のみ
・ 729kHz NHK第一放送受信 → L21調整 → Sメーター最大
・1332kHz 東海ラジオ受信 → TC3調整 → Sメーター最大
・1053kHz CBCラジオ受信 → L22調整 → Sメーター最大

■試聴----------------------------------------------------------------
・特に故障個所は無かったです。
・再調整によって良い性能を取り戻したと思います。

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こんにちは、私も同じチューナがありますが、
チューニングできずノイズしか再生できません。
テスターしかなくスキルもないので、とりあえず簡易的に調整するとしたら
どこをメインに行えばよいでしょうか
よろしければお教えください。
投稿: | 2020年2月22日 (土) 10時10分
テスターだけでできるのは検波調整でしょうか。
地元FM局の周波数に合わせた状態で以下の検波調整を試してください。
【検波調整】
・TP10~TP11 DC電圧計セット
・83MHz(無変調,80dB)受信 → L9調整 → 0.0V±10mV
・TP12~TP13 DC電圧計セット
・83MHz(無変調,80dB)受信 → L12調整 → 0.0V±10mV
83MHzは地元FM局の周波数に読み替えてください。
L9とL12は垂直に立った小さな基板にあります。
この調整で0Vにできないときはどこかの部品故障と思います。
投稿: BLUESS | 2020年2月23日 (日) 08時36分