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2022年9月の記事

2022年9月25日 (日)

KENWOOD KT-2020 修理調整記録4

 ・2022年8月初め、KT-2020の故障機が届きました。。
 ・以下、作業内容のご報告です。

Kt202004_20220925085701

■製品情報------------------------------------------------------------

 ・オーディオ懐古録 KENWOOD KT-2020 AM/FM STEREO TUNER ¥74,800
 ・オーディオの足跡 KENWOOD KT-2020 ¥74,800(1984年頃)
 ・輸出機 KENWOOD KT-990SD

Kt202002_20220925085801Kt202009

■動作確認------------------------------------------------------------

 ・外観は経年の汚れがあるものの目立った外傷はない。
 ・FMアンテナを接続して名古屋地区のFM局を受信テスト。
 ・オート選局(上り方向)→ +0.1MHzの周波数で受信
 ・Tメーターは右へ1本ズレた位置で赤色インジケーター点灯
 ・オート選局(下りり方向)→ +0.1MHzの周波数で受信
 ・Tメーターは中央で白色インジケーター点灯
 ・どうやらFM同調点がズレているようです。
 ・STEREOランプの点灯が不安定なのも同調点ズレが原因ですね。
 ・表示管の文字欠けが気になります。「8」→「d」
 ・たぶん表示管のハンダ付け部分に接触不良がありそうです。

Kt202031_20220925085701

■修理記録:表示管の文字欠け------------------------------------------

 ・表示管のハンダ付け部分を指で触ってみると欠けていた部分が点灯します。
 ・その部分をよく見るとハンダが薄くて割れているように見えます。
 ・表示管が載っている基板を取り外すためフロントパネルを分解。
 ・前面の金属フレームを外すと2階基板ごと裏返せます。
 ・2階基板だけを取り外そうとするよりも作業は簡単でした。
 ・表示管に繋がるハンダ付け部分をすべて盛り直しました。
 ・これで大丈夫。

Kt202020Kt202023_20220925085901Kt202032_20220925085901Kt202033Kt202035

■調整記録------------------------------------------------------------

【VT電圧】
 ・TP1~GND DC電圧計セット
 ・アンテナ入力なし
 ・76MHz → L7調整 → 3.0V±0.1V ※実測 2.9V
 ・90MHz → TC5調整 →25.0V±0.1V ※実測24.6V
【検波調整】
 ・TP3~TP4 DC電圧計セット
 ・83MHz(無変調,80dB)受信 → L13調整 → 0.0V±10mV
 ・TP5~GND DC電圧計セット
 ・83MHz(無変調,80dB)受信 → L15調整 → 0.0V±10mV
【RF調整】
 ・R64右側端子 DC電圧計セット=Sメーター電圧
 ・76MHz(1kHz,100%変調,40dB)→ L1,L2,L3,L6調整 → 電圧最大
 ・90MHz(1kHz,100%変調,40dB)→ TC1~TC4調整 → 電圧最大
【IFT調整】
 ・R64右側端子 DC電圧計セット=Sメーター電圧
 ・83MHz(1kHz,100%変調,30dB)→ L5調整 → 電圧最大
【AUTO STOP=MUTING調整】
 ・83MHz(1kHz,100%変調,30dB)→ VR1調整
【TUNING METER調整】
 ・SELECTOR:MONO
 ・83MHz(1kHz,100%変調,80dB) → 上段基板VR2調整 → ※
  ※中央の縦白セグメント点灯、両側の赤縦セグメントの中点へ
【MPX VCO調整】
 ・TP16に周波数カウンタ接続
 ・83MHz(無変調,80dBf) → VR12調整 → 76.00kHz±50Hz
【SUB CARRIER調整(38kHz)】
 ・音声出力をWavespectraで観察
 ・83MHz(SUB信号,1kHz90%変調+19kHz10%変調,80dB)→ L27調整 → Lchレベル最大
【PILOT CANCEL調整】
 ・音声出力をWavespectraで観察
 ・83MHz(19kHz信号,10%変調,80dB)→ VR8調整 → 19kHz信号最小
 ・83MHz(19kHz信号,10%変調,80dB)→ L25調整 → 19kHz信号最小
 ・左右chのバランス確認
【歪調整1 DLLD】
 ・83MHz(MONO信号,1kHz,100%変調,80dB)→ VR2:DET調整 → 歪最小
【歪調整2 MONO】
 ・83MHz(MONO信号,1kHz,100%変調,80dB)→ VR3:MONO2調整 → 二次歪最小
【歪調整3 MONO】
 ・83MHz(MONO信号,1kHz,100%変調,80dB)→ VR6:MONO3調整 → 三次歪最小
【歪調整4 STEREO】
 ・83MHz(L/R信号,1kHz,90%変調+19kHz信号10%変調,80dB)→ VR5調整 → 歪最小
【歪調整5 STEREO】
 ・83MHz(SUB信号,1kHz,90%変調+19kHz信号10%変調,80dB)→ VR7調整 → 歪率最小
【歪調整6 NARROW】
 ・83MHz(MAIN信号,1kHz,90%変調+19kHz信号10%変調,80dB)→ VR4調整 → 歪率最小
【SEPARATION調整 WIDE】
 ・IF BAND:WIDE
 ・83MHz(R信号,1kHz,90%変調+19kHz信号10%変調,80dB)→ VR10調整 → L信号もれ最小
 ・83MHz(L信号,1kHz,90%変調+19kHz信号10%変調,80dB)→ VR11調整 → R信号もれ最小
【SEPARATION調整 NARROW】
 ・IF BAND:NARROW
 ・83MHz(1kHz,90%変調+19kHz信号10%変調,80dB)→ VR9調整 → 信号もれ最小
【DEVIATION調整】
 ・83MHz(mono信号,1kHz,100%変調,80dB)→ 上段基板VR1調整 → 100%位置
【AM簡易調整】
 ・ 729kHz NHK第一放送受信 → L22調整 → Sメーター最大
 ・1332kHz 東海ラジオ受信 → TC9調整 → Sメーター最大
 ・1053kHz CBCラジオ受信  → L24調整 → Sメーター最大

Kt202040_20220925085701

■試聴----------------------------------------------------------------

 ・オート選局での周波数ズレは解消し、正しい周波数で停止します。
 ・STEREOインジケーター点灯し安定して受信できています。
 ・周波数の文字欠けも解消しました。


Kt202003_20220925085701

2022年9月18日 (日)

YAMAHA T-7 修理調整記録5

 ・2022年7月、久しぶりにT-7がやって来ました。
 ・精悍なブラックモデルです。

T703_20220918131401

■製品情報-----------------------------------------------------------

 ・オーディオ懐古録 YAMAHA T-7 NATURAL SOUND AM/FM STEREO TUNER ¥69,800円
 ・Hifi Engine Yamaha T-7 Natural Sound AM/FM Stereo Tuner (1980-82)

T702_20220918131301T707_20220918131301

■動作確認------------------------------------------------------------

 ・純正AMループアンテナ付属。
 ・PAL-F変換プラグを介してFMアンテナを接続して電源オン。
 ・名古屋地区のFM局付近に合わせるとSメーターインジケーター点灯。
 ・赤い指針点灯、指針両側の黄色いチューニングインジケーターも点灯。
 ・選局ツマミに触れるとチューニングインジケーターが少し暗くなる。
 ・同調して指を離すと再び明るく点灯、OTSも動作OK。
 ・およそ+0.2MHzの位置でFM放送を受信。STEREOランプ点灯。
 ・メモリ登録と自動選局も一応動作しますが、、
 ・ただ意図しない動き方もするのでちょっと不安定?
 ・付属のAMループアンテナで名古屋地区のAM局を受信。
 ・Sメーターは全く点灯しないので受信不能かと思ったら、、
 ・小さな音量で受信できていました。感度低下か?

■内部確認-------------------------------------------------------------

 ・底面の固定ネジにロック剤が残っていました。
 ・「ピキッ」と音を立ててネジが緩みます。
 ・これは久しぶりの未開封の逸品です。
 ・基板には足元から粉を噴いている電解コンデンサが数個
 ・電源部のトランジスターを指で触れるとグラグラ状態
 ・足が黒化したICも、、

■修理記録:電源部-----------------------------------------------------

 ・電源部の放熱板付きトランジスタTR75(2SB544)がグラグラ状態でした。
 ・TR75を含む電源部トランジスタのハンダを盛り直し。
 ・放熱板付きTR81(2SD400)周辺の電解コンデンサが弱っています。
 ・熱に炙られてスリーブが後退している状態です。
 ・交換すると同時に熱の影響を避けるように傾けて配置しました。
 ・C232,C233,C235,C237,C251:10uF/25v → 10uF/50v

T740_20220918130901T741_20220918130901T742_20220918130901T743_20220918130901T744

■修理記録:AM受信-----------------------------------------------------

 ・信号発生器から120dBのAM電波を送信するとSメーター振れて受信できる
 ・AM OSC調整もできる、ということはRF部の故障か? 
 ・まずLA1240周辺で粉を噴いている電解コンデンサを交換
  ・C165:0.22uF/50v → 0.22uF/50v
  ・C163:1uF/50v → 1uF/50v
  ・C160,C164,C253:10uF/25v → 10uF/50v
  ・C167:100uF/16v → 100uF/50v
  ・しかし不具合は解消しない
 ・次はアンテナコイルT109を同等品に交換するも変化なし
 ・LA1240の足をエレクトロニッククリーナーで磨くも変化なし
 ・こうなると残る可能性はLA1240自体の故障のみ
 ・ジャンク箱にあったT-6の基板からLA1240を移植 → 正解!
 ・シグナルインジケーターがフル点灯してAM放送を受信するようになりました
 ・不調原因は LA1240の故障でした
 ・最後に他のICやトランジスタの足もクリーナーで洗浄しておきました。

T750_20220918130901T751T755_20220918130901T756T757_20220918130901

■調整記録--------------------------------------------------

【本体スイッチ設定】
 ・FUNCTION = FM
 ・RX MODE = AUTO DX
 ・MUTE/OTS = OFF
 ・BLEND = OFF
 ・REC CAL = OFF
【検波調整】
 ・IC111 20pin(またはR282)-GND → 電圧計セット
 ・ダイヤル指針83MHz付近にセット → T103調整 → 電圧ゼロ
【FM OSC調整】
 ・IC102 (LA1231) 13pin → 電圧計セット
 ・83MHz受信 → フロントエンドTC1調整 → 電圧最大
 ※OSCコイルL7の調整が難しいため83MHzのみで調整
【FM RF部調整】
 ・IC102 (LA1231) 13pin → 電圧計セット
 ・83MHz受信 → フロントエンドTCA,TCR1,TCR2調整 → 電圧最大
 ※RFコイルL1~L5の調整が難しいため83MHzのみで調整
【Mono歪調整】
 ・音声出力 → WaveSpectra接続
 ・83MHz → TC101調整 → 高調波歪最小
【VCO調整】
 ・IC113 1pin-14pin → 2.2MΩを介して直結
 ・これにより強制ステレオモードになり本体ステレオランプ点灯
 ・R226(19kHz TP)→ 周波数カウンタ接続
 ・83MHz → VR108調整 → 19kHz±10Hzに。
【ST SUB調整】
 ・音声出力 → WaveSpectra接続
 ・83MHz SUB → T112調整 → Lchレベル最大
【Stereo歪調整】
 ・音声出力 → WaveSpectra接続
 ・83MHz ST → VR101 VR102 VR103,T102調整 → 高調波最小
【Pilot Cancel調整】
 ・音声出力 → WaveSpectra接続
 ・83MHz ST → T113,VR109調整 → 19jHz漏れ信号最小
【セパレーション調整】
 ・音声出力 → WaveSpectra接続
 ・83MHz ST → VR105調整 → Lch漏れ信号最小
 ・83MHz ST → VR106調整 → Rch漏れ信号最小
【シグナルインジケーター点灯調整】
 ・83MHz 100dB → VR112調整 LED全点灯
 ・83MHz 0dB → VR111調整 LED全消灯
【AM OSC調整】
 ・ 600kHz受信 → T110調整 → シグナルメーター最大
 ・1400kHz受信 → AMOSC調整 → シグナルメーター最大
【AM RF調整】
 ・ 600kHz受信 → T109調整 → シグナルメーター最大
 ・1400kHz受信 → AMANT調整 → シグナルメーター最大
【プリセットチューニング上限位置調整】
 ・90.5MHz受信 → プリセット5に登録
 ・80MHz付近でプリセット5を押し指針移動開始
 ・このとき90.2MHz付近で自動停止するようにVR113を調整する
【プリセットチューニング下限位置調整】
 ・75.5MHz受信 → プリセット1に登録
 ・80MHz付近でプリセット1を押し指針移動開始
 ・このとき75.8MHz付近で自動停止するようにVR114を調整する

T770

■試聴-----------------------------------------------------------------

 ・FM/AMとも気持ちよく受信できるようになりました。
 ・ただ、モータードライブによる自動選局機能はちょっと不安定。
 ・この件はご容赦ください。

T705_20220918131401

2022年9月11日 (日)

SONY ST-5000F 修理調整記録5

 ・2022年7月、ST-5000Fのメンテナンス依頼をお引き受けしました。
 ・以下、作業記録です。

St5000f05

■製品情報------------------------------------------------------------

 ・オーディオ懐古録 SONY ST-5000F \98,000(1969年)
 ・オーディオの足跡 SONY ST-5000F \98,000(1971年頃)
 ・Hifi Engine Sony ST-5000F FM Stereo Tuner (1969-77)
 ・SONY ST-5000F 回路図 (国内機)
 ・SONY ST-5000F 掲載カタログ 1974年5月版

St5000f02St5000f10

■動作確認------------------------------------------------------------

 ・フロントパネルの角に小さな打ち傷があるものの全体的には奇麗な状態です。
 ・FMアンテナを接続して電源オン。
 ・周波数窓の照明電球は切れているのか? ちょっと暗い感じ?
 ・わずかに周波数ズレあるものの各FM放送局を受信OK。
 ・Sメーター最大点でTメーターが中点を示す。
 ・STEREOランプ点灯、実際のステレオ感もあり。
 ・大きな故障個所はなさそうです。

■内部確認------------------------------------------------------------

 ・ボディ内部、シールドケース上に大量の埃が堆積していました。
 ・ブラシとエアーで丹念に清掃しておきました。
 ・たばこのヤニ汚れが無いのは幸いです。
 ・各シールドケースを開けたところ、基板はとても綺麗な状態でした。
 ・裏面の電源基板やMPX基板も艶があってとても綺麗です。
 ・内部を弄られた痕跡はないようです。
 ・今まで見てきたST-5000Fの中で保存状態が最も良い個体です。
 ・背面パネルのサビついたネジだけ見栄えが悪いので交換しておきました。

St5000f20St5000f22St5000f23St5000f26St5000f30

■修理記録:電球交換--------------------------------------------------

 ・清掃を兼ねてフロントパネルを分解。
 ・電球切れを疑いましたが、ヒューズ型電球は左右とも点灯していました。
 ・Tメーター、Sメーター用の電球も点灯していました。
 ・ただ電球が黒ずんでいたので新しい電球に交換しました。
 ・周波数を刻んだガラスパネルを取り外して裏側まで磨きました。
 ・煤で曇っていたガラスパネルの透明感がグッと増しました。
 ・フロントパネルやツマミ類も洗浄しておきました。
 ・それでも明るい部屋では照明に気付かないかもしれません、、
 ・部屋を少しく暗くすると美しい緑色照明が浮かび上がります。

St5000f41

■調整記録------------------------------------------------------------

【電源電圧調整】
 ・TP24V,TP12V DC電圧計セット
 ・電源基板 VR001調整 → 24V,12Vそれぞれ確認
【OSC調整】※フロントエンド
 ・76.0MHz受信 → L105調整 → Sメーター最大
 ・90.0MHz受信 → CT105調整 → Sメーター最大
【RF調整】※フロントエンド
 ・76.0MHz受信 → L101,L102,L103,L104調整 → Sメーター最大
 ・90.0MHz受信 → TC101,TC102,TC103,TC104調整 → Sメーター最大
 ・この作業を数回繰り返す。
【IFT調整】※フロントエンド
 ・83.0MHz受信 → IFT101調整 → Sメーター最大
【レシオ検波調整】※検波基板
 ・83.0MHz受信 → 指針をSメーター最大位置へ移動
 ・IFT301調整 → Tメーター中点へ(離調点が左右対称)
 ・Tメーターが中点からズレた場合 → IFT301横のR319調整 → 中点に
【Sメーター振れ調整】※IF基板
 ・83.0MHz 80dB受信 → RT211調整 → Sメーターが90%振れる位置に。
【ミューティング調整】※ミューティング基板
 ・83.0MHz受信 → RT103調整 → MUTING作動位置へ
【セパレーション調整】※MPX基板
 ・83.0MHz 80dB受信 → RT537調整 → セパレーション最大位置へ

St5000f40

■試聴----------------------------------------------------------------

 ・アルミパネルの質感やデザイン性は50年近く前の製品とは思えない!
 ・歪率0.1%(STEREO)、セパレーション左右とも約45dB
 ・出てくる音は当時の最高音質、でも今となってはごく普通の音です。
 ・電解コンデンサやトランジスタを交換すれば性能・音質アップしそうですが、、
 ・せっかくオリジナル状態を留めているので現状維持します。

St5000f03

2022年9月 9日 (金)

ブルーナイト・ブルー / 泰葉

・久しぶりの音楽ネタです。
・チューナー修理をしながらFMを聴いていたら泰葉さんのカバー曲が流れてきました。
・アレンジが違っていたので思い出すまでちょっと時間がかかりました。
・流れてきたのは「フライディ・チャイナタウン」
・懐かしくなってLPレコードを引っ張り出してきて3枚連続で聴きました。
・YouTobeで見つけた「ブルーナイト・ブルー」1982年放送レッツゴーヤング
・歌唱力もさることながら、バックバンドのクオリティが超ハイレベル!
・ヘッドホンで聴いてみてください。
・LPレコード3枚の詳細情報はこちら → 2007年11月15日記事

 

 

2022年9月 4日 (日)

KENWOOD L-02T 修理調整記録3

 ・2022年6月、KENWOOD L-02Tの故障機が届きました。
 ・外観はジャンク級、動作もいろいろ不具合があるそうです。
 ・かなり時間がかかった修理記録です。

L02t03_20220904085701

■製品情報-----------------------------------------------------------

 ・オーディオ懐古録 KENWOOD L-02T FM STEREO TUNER \300,000
 ・オーディオの足跡 KENWOOD L-02T \300,000(1982年頃)
 ・Hifi Engine Kenwood L-02T FM Stereo Tuner (1982-83)
 ・KENWOOD L-02T 取扱説明書 (日本語版、PDF形式)
 ・1号機の記事 に詳細な記録があります。

L02t02_20220904085201L02t13

■動作確認-----------------------------------------------------------

 ・外観はスリ傷、打ち傷多数あり。おまけにヤニ汚れがこびり付いている感じ。
 ・ボディ上面後方にある放熱口(スリット)もゴミと汚れで塞がりそう。
 ・4個の脚のうち1個が破損、外観はかなり難ありの状態です。
 ・さて、アンテナA端子に75Ω同軸ケーブルを接続して電源オン。
 ・三つのメーターの照明点灯。指針が赤く浮かび上がる。
 ・各種機能の動作状態を示す赤いインジケータ点灯。
 ・SERVO LOCK ON の状態で名古屋地区のFM局を受信しようとすると、
 ・Tメーターは中点を示すがSメーターの振れ具合がかなり小さい。
 ・MONO音声での受信は可能だがSTEREOインジケーターが点灯しない
 ・試しに信号発生器から基準信号(83.0MHz ST信号)を120dBで送信すると、、
 ・Sメーターの振れ具合はあまり変わらない。
 ・アンテナ切換(A/B)不可。Aのまま、Bを選択できない。
 ・RF切換(DIRECT/NORMAL)不可。DIRECTのまま、NORMALを選択できない
 ・メーター切換(MULTIPATH/DEVIATION)不可。MULTIPATHのまま
 ・IFバンド切換(WIDE/NARROW)不可。WIDEのまま、NARROWを選択できない
 ・外観はジャンク級、動作も不具合が多々ありそうです。

■内部確認-----------------------------------------------------------

 ・天板は背面3本のネジを外してから後方にスライドして外すのですが、
 ・強引に外そうとした先人がいたようです。
  ・後方にある通気口接続部品が破損 → ホットボンドで補修しました
  ・天板を固定する金具も無残に変形 → ペンチで力業で修正しました
 ・天板を開けると、ホコリとともに「木くず」が堆積していました。
 ・のこぎりで木材を切断したときに出る「木くず」みたいです。
 ・さらにタバコのヤニ汚れが加わってネットリ状態でした。
 ・基板上のICやトランジスタの足が錆びたり黒ずんだりしているもの多数。
 ・まずはボディをバラバラに分解して汚れやホコリの除去。
 ・天板、側板、フロントパネルは中性洗剤で丸洗いました。
 ・でも残念ながらそれほど綺麗にはならなかったです。
 ・分解して分かった事は底板右前足付近の陥没と左側面のフレーム変形
 ・どうやら落下破損歴もありそうです。

L02t24L02t27L02t20L02t22L02t21

■動作確認2---------------------------------------------------------

 ・再度組み立てて仮調整したところSTEREOランプ点灯しました。
 ・しかし、、
  ・メーター切換、RF切換、アンテナ切換、IFバンドの切換できません。
  ・受信感度がかなり低いまま。これはRF切換がDIRECT固定状態だから?
  ・ノイズフロアが不定期に上下するので電源系統の不具合もありそう?
  ・テストトーンの音量が爆音レベルでVR5を回しても調整不可。

■国内機と海外機の比較------------------------------------------------

 ・切換スイッチが反応しない原因は通常はタクトスイッチの故障を疑いますが、
 ・これだけ複数のスイッチ不良が同時に生じるという事は回路に問題があるかも?
 ・切換スイッチ不良の原因を探るため海外版回路図と実機を比較点検しました。
 ・その過程でスイッチに割り当てられた機能がかなり異なることに気付きました。
 ・今さらですが、、海外機との違いがいろいろあって新発見でした。

L02t04_20220904084101L02t05L02t06L02t09_20220904084101L02t08

【海外機】
 ・アンテナ入力1系統(A)のみ
 ・背面パネルのアンテナ端子横に DE-EMPHASIS切換スイッチ(75us-50us)あり
 ・正面にはDE-EMPHASIS切換スイッチ(NORMAL-25us)あり
 ・DEVIATIONメーターの位置に周波数デジタル表示あり
 ・このためSIGNAL/MUNTIPATHを切り換えるスイッチあり
 ・海外機の回路図を読むときはスイッチ名を読み替えて追う必要ありです。
 ・MPX基板にDEVIATION検出回路はあるがメーターが無いので信号は使われていない

L02t_switch3

■修理記録:切換スイッチ不動------------------------------------------

 ・METER切換:MULTIPATH点灯、DEVIATIONへ切換不能
 ・RF SELECTOR:DIRECT点灯、NORMALへ切換不能
 ・ANTENNA切換:A点灯、Bへ切換不能
 ・IF BAND切換:WIDE点灯、NARROWへ切換不能

L02t91

 ・これら4系統のスイッチ回路を輸出機の回路図で確認
 ・すると4系統の信号が共通して通過する IC12(TC4044BP)が怪しい?
  →TC4044BP:Quad 3-State R/S Latch (Quad NAND R/S latch)
 ・これをネット検索したところ若松通商に在庫ありました。
 ・早速入手して交換して動作確認すると、結果は4回路中3勝1敗。
 ・RF切換、アンテナ切換、IFバンド切換は正常動作するようになりました。
 ・特にRF切換でNORMALを選択したところSメーターが大きく振れました。
 ・ただ、メーター切換(DEVIATION / MULTIPATH)が依然として不動。
 ・正確にはインジケーターLEDの点灯は切り換わるがメーター針が不動です。
 ・つまり IC12(TC4044BP)交換によってLEDの切換回路は復旧したようです。
 ・続いてメーター切換信号が単独で通過する経路を辿ると、、
 ・IC7(TC4007UBP)これが怪しそう??
  →TC4007UBP:Dual Complementary Pair Plus Inverter
 ・ネット捜索でモトローラ社MC14007UBをヤフオクで発見
 ・これを入手して交換したところ、、結果はストライク!
 ・メーター切換(DEVIATION / MULTIPATH)できるようになりました
 ・DEVIATION選択時にMPX基板VR12で変調度100%に設定できました。

L02t29L02t31L02t36L02t39L02t41

■修理記録:コイン型電池交換------------------------------------------

 ・コントロール基板にコイン型電池(+3v)が実装されています。
 ・この電池は IC11(TC9130P-16pin)に繋がっています。
  →TC9130P:4CH INDEPENDENT CYCLIC TYPE TOUCH SWITCH
 ・アンテナ切換やIFバンド切換の選択状態を保持する役目です。
 ・ただ実際には電源オフ時に選択状態を保持できていません。
 ・そこでラグ付き電池を外し、リード付きホルダにCR2032を装着。
 ・チャック袋に入れた状態で本体フレームに結束バンドで固定しました。

■動作確認3----------------------------------------------------------

 ・切換スイッチが正常動作するようになったので動作確認をもう一度。
 ・ほとんど振れなかったSメーターが大きく振れるようになった。
 ・RF切換=NORMALにするとさらに大きく振れる、RFアンプが効いています。
 ・アンテナ(A/B)切換OK
 ・IFバンド(WIDE/NARROW)切換OK
 ・フロントエンド、IF基板、MPX基板を一通り調整
 ・STEREOランプ点灯OK、セパレーション値も良好です
 ・WaveSpectraで観察する基準音の波形もきれいです。
 ・あとの不具合はREC CAL信号の爆音問題。
 ・REC CALスイッチオンにするとテストトーンの音量が爆音レベル
 ・調整用VR5を回しても音量が変化しない

■修理記録:REC CAL回路-----------------------------------------

 ・REC CAL調整用VR5を回しても音量が変化しない
  ・IC32(NJM4558)→ 4558DD
  ・IC 2(MB84006B)→ TC4006BP
  ・C60(1uF/50v)→ 1uF/50v
  ・C69,C70(10uF/35v) → 10uF/50v
  ・Q29(2SK301)→ 2SK107★
  ・Q30(2SC945)2SC1845
 ・OSC発振回路で怪しそうな部品交換するも爆音は解消しない??
 ・抵抗、ダイオードも外して点検し問題なし、、
 ・消去法で残ったのは レベル調整用VR5(10kΩ/103)
 ・VR5を交換したところ、、当り!、爆音が収まりました
 ・VR5は見た目も操作感も問題ないのに、回したも抵抗ゼロΩでした、、
 ・無駄な部品交換をしてしまいました。
  ★備忘録:2SK301の代替品
  ・2SK23の代用品として 2SK301が使えるというネット情報がありました。
  ・2SK107も2SK23の代用実績(ST-5130)があります。
  ・2SK301を2SK107に交換。これでも使えています。

L02t50L02t51L02t53L02t54L02t57

■修理記録:基板洗浄-------------------------------------------------

 ・基板上も多くのICやトランジスタの足が錆びたり黒ずんだりしている。
 ・本当は全数部品交換したいところですが、膨大な作業になりそう、、
 ・そこで今回はエレクトロニッククリーナーで簡易洗浄するに止めました。
 ・基板上の部品にエレクトロニッククリーナーを少量噴射し硬めの歯ブラシで磨く
 ・綿棒で拭き取ったあとエアダスターを噴射して強制乾燥させる
 ・電源基板、IF基板、MPX基板、コントロール基板でこの作業を繰り返しました
 ・効果の程は分かりません??

L02t65_

■調整記録-----------------------------------------------------------

【セッティング】
 ・QUIETING:AUTO
 ・IF BAND:WIDE
 ・REC CAL:OFF
 ・LPF:OFF
 ・MUTING:OFF
【Sメーター調整 (1)】
 ・83MHz,60dBu,Dev0 → IF基板 L15調整 → Sメーター最大
【Tメーター調整 (1)】
 ・83MHz,60dBu,Dev0 → IF基板 L12調整 → Tメーター中点
【トラッキング調整】
 ・76kHz,40dBu,Dev0 → FE基板 L1,L2,L3,L4,L5,L6,L13調整 → Sメーター最大
 ・90kHz,40dBu,Dev0 → FE基板 TC1,TC2,TC3,TC4,TC5,TC6調整 → Sメーター最大
 ・数回繰り返す
【Tメーター調整 (2)】
 ・IF BAND:NARROW
 ・電波無し、指針83MHz位置 → IF基板 L7調整 → Tメーター中点
【Sメーター調整 (2),(3)】
 ・IF BAND:NARROW
 ・RF SELECTOR:DIRECT
 ・83MHz,45dBu,Dev0 → IF基板 VR2調整 → Sメーター 50dBf
 ・83MHz,65dBu,Dev0 → IF基板 VR4調整 → Sメーター 70dBf
 ・数回繰り返す
【Sメーター調整 (4)】
 ・83MHz,65dBu,Dev0 → IF基板 VR3調整 → Sメーター 70dBf
 ・数回繰り返す
【REC CAL調整】
 ・REC CAL:ON
 ・固定出力端子にAC電圧計セット → MPX基板 VR5調整 → -6dB
 ・430Hz
【VCO調整】
 ・MPX基板 IC1:TR7040 2pin~18pin間 → 周波数カウンタ接続
 ・83MHz,80dBu,Dev0,Pilot → MPX基板 VR1調整 → 19kHz
【Pilotキャンセル調整】
・固定出力端子にSpaceSpectra接続
 ・83MHz,80dBu,Dev0,Pilot → MPX基板 VR2,L1調整 → 19kHz成分最小
【オフセット(OFS)調整】
・IC10-7pin ~ GND DC電圧計セット
 ・83MHz,60dBu,Dev0,Pilot → MPX基板 VR3 調整(Lch) → 0v ※実測+325mV
・IC19-7pin ~ GND DC電圧計セット
 ・83MHz,60dBu,Dev0,Pilot → MPX基板 VR4 調整(Rch) → 0v ※実測-258mV
【マルチパスメーター調整】
 ・38kHz AM変調10%
 ・83MHz,60dBu,38kHz AM Dev10% → MPX基板 L16,L17,L18 調整 → マルチパスメーター最大
【歪調整(MONO)】
 ・83MHz,80dBu,1kHz±75kHz → IF基板 L1,L2,L3,L4,L5 → 高調波歪最小
【歪調整(STEREO WIDE)】
 ・83MHz,80dBu,1kHz±68.25kHz,SUB信号 → IF基板 L32(色なし) → 高調波歪最小
【歪調整(STEREO NARROW)】
 ・IF BAND:NARROW
 ・83MHz,80dBu,1kHz±68.25kHz,SUB信号 → IF基板 L34(色なし) → 高調波歪最小
【セパレーション調整(WIDE)】
 ・IF BAND:WIDE
 ・83MHz,80dBu,1kHz±75kHz,R信号 → MPX基板 VR8 → Lch 最小
 ・83MHz,80dBu,1kHz±75kHz,L信号 → MPX基板 VR10 → Rch 最小
【セパレーション調整(NARROW)】
 ・IF BAND:NARROW
 ・83MHz,80dBu,1kHz±75kHz,R信号 → MPX基板 VR9 → Lch 最小
 ・83MHz,80dBu,1kHz±75kHz,L信号 → MPX基板 VR11 → Rch 最小
【SCA調整】
 ・DARC信号を入れて音声出力波形を確認 → 影響なし
 ・MPX基板 VR6(Lch),VR7(Rch)ノータッチ

L02t70

■試聴---------------------------------------------------------------

 ・ジャンク級のL-02Tが一応使えるレベルまで復活しました。
 ・最近は切換スイッチの内部故障やロジックICの故障に頻繁に遭遇します。
 ・超高級機といえどもさすがに40年も経てば不具合は出ますよね。


L02t07

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