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2022年12月の記事

2022年12月25日 (日)

PIONEER F-780 修理調整記録2

 ・2022年7月、F-780の故障機を寄付していただきました。
 ・何と言ってもPIONEER製パルスカウント検波を搭載したシンセ機です。
 ・以下、作業記録です。

F78003

■製品情報------------------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 PIONEER F-780 ¥49,800(1981年発売)
 ・オーディオ懐古録 PIONEER F-780 ¥49,800
 ・Hifi Engine PIONEER F-9 (1981-82)
 ・PIONEER アンプ・チューナー総合カタログ 1981年4月版

F78002F78014

■動作確認------------------------------------------------------------

 ・外観はかなり汚れた状態、加えて打ち傷多数
 ・プッシュボタンにプラ錆び、特にFM/AM切換スイッチが無残な状態
<提供者様からの事前情報>
 ・周波数UPボタンが反応しない
 ・受信中に不定期にノイズ発生
<確認事項>
 ・周波数DOWNボタンで76.0MHzまで選局できる。
 ・しかし周波数UPボタンが反応しないのでが90MHzに向かって上昇しない
 ・現状ではメモリボタンに登録された83.0MHzから下方向へのみ選局可能な状態
 ・それでも名古屋地区のFM局は受信できました
 ・IFバンド(WIDE/NARROW)切換OK、STEREOインジケーター点灯
 ・REC LEVELトーンOK
 ・不定期なノイズは確認できません

■内部確認------------------------------------------------------------

 ・FMフロントエンド:4連バリキャップ
 ・PA3007:FM IF AMP & DET
 ・PA5001:2ND OSC & MIXER
 ・PA5002:DIGITAL DET
 ・PA4006:FM MPX & MUTING
 ・HA1138:AM TUNER IC

■修理記録:周波数アップボタンが反応しない-----------------------------

 ・不調原因はタクトスイッチの故障か?
 ・フロントパネルを分解してスイッチ基板を取り外す
 ・スイッチ基板のハンダ面を見ると周波数アップボタンだけ腐食状態でした
 ・試しに腐食したハンダを除去してハンダを盛り直す
 ・結果は、、周波数アップボタンが復活しました
 ・タクトスイッチ自体は壊れていなかったです
 ・これで周波数 UP/DOWN が自在に操れるようになりました

F78005F78041F78043F78047F78049

■修理記録 不定期にノイズ発生----------------------------------------

 ・この機種の記録を読み直すと切換スイッチの接触不良がありました
 ・ノイズ原因はスイッチ接点の劣化が原因かも?
 ・フロントパネルを分解したついでにプッシュスイッチも洗浄しました
 ・と言っても隙間からエレクトロニッククリーナーを注入しON/OFFを繰り返しただけ

■調整記録------------------------------------------------------------

F780

【VT電圧調整】
 ・TP21電圧測定(VT電圧)
 ・90MHz TC4調整 → TP21電圧 25V ※調整前実測 25.0V
 ・76MHz L2 調整 → TP21電圧 7.0V ※調整前実測 6.9V
【トラッキング調整】
 ・TP22電圧測定(Sメーター電圧)
 ・76MHz受信 → T2,T3,L1調整 → 電圧最大
 ・90MHz受信 → TC1,TC2,TC3調整 → 電圧最大
 ・83MHz受信 → T5調整 → 電圧最大
【NARROW GAIN調整】
 ・TP22電圧測定(Sメーター電圧)
 ・83MHz受信 → VR1調整 → WIDE/NARROWで同じ電圧に
【FM同調点調整】
 ・TP23~TP24 電圧計セット
 ・83MHz受信 → T7調整 → 電圧ゼロ
【パルスカウント検波調整】
・83MHz受信 → T9調整 → TP11周波数 1.26MHz
・83MHz受信 → VR3調整 → TP8~TP9電圧ゼロ
【ミューティング調整】
・83MHz受信 → VR2調整 → ミューティング作動ポイント設定
【VCO調整】
 ・TP14 周波数カウンタ
 ・83MHz変調OFF → VR6調整 → 76kHz
【パイロットキャンセル調整】
 ・83MHz変調ON → VR7調整 → 19kHz信号最小
【セパレーション調整】
 ・83MHz変調ON → VR5調整 → 左右ch漏れ信号最小
【REC CAL調整】
・83MHz受信 → オーディオ出力レベル測定
・REC LEVEL CHECK オン → VR8調整 → -6dB
【AM RF調整】
 ・TP22 電圧計セット(Sメーター電圧)
 ・ 522kHz受信 → バーアンテナ,T10,T11調整 → 電圧最大
 ・1602kHz受信 → TC5,TC6,TC7調整 → 電圧最大

F78000

■試聴----------------------------------------------------------------

 ・外観が残念な状態ですが受信機能は動作するようになりました
 ・使い道はありませんがこのまま保管しておきます

F78009

2022年12月18日 (日)

VICTOR JT-V7

 ・2022年10月、初めて見る機種が届きました。
 ・昭和の香り漂うオールドチューナー(ワンオーナー品)です。
 ・久しぶりに通電したところ酷い雑音しか出ないそうです。
 ・以下、作業記録です。

Jtv703

■製品情報------------------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 VICTOR JT-V7 ¥44,000(1973年頃)
 ・上記サイトの記述に「MPX部にはPLL回路を採用している」とあります
 ・もしかして1973年製でPLL回路を内蔵したMPX-IC搭載機か??
 ・本機に関してネット上で見つかる情報は少ないです

Jtv702Jtv711

 ・オーディオの足跡 VICTOR MCT-V7 ¥44,000(1973年頃)
 ・JT-V7とよく似た型番、発売時期がほぼ同じ、定価も同じ
 ・調べてみるとこちらの復調回路は古典的なスイッチング方式のようです

■動作確認------------------------------------------------------------

 ・背面端子を見ると固定/可変端子以外にDET出力端子あり
 ・FMアンテナにF端子が無いのが残念
 ・まずは75Ω~300Ω変換器を挟んでFMアンテナを接続
 ・電源オン、周波数窓と二つのメーターが緑色照明に浮かび上がる
 ・オレンジ色の指針がステキなアクセントです
 ・MUTINGオフ、選局ツマミを回すと激しい雑音しか聞こえない
 ・局間ノイズにさらに別の激しい雑音が加わっている感じです
 ・雑音に連動してTメーターとSメーターが激しく振れる
 ・FM放送は局周波数付近で受信できているのか?雑音に紛れて判別不能
 ・Tメーター中点とSメーター最大点が判定できない
 ・STEREOランプは至る所で点灯したり消灯したり明滅する
 ・一方のAM放送は背面バーアンテナで良好に受信OK
 ・問題はFM、しかもこれは重症ですね

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■内部確認------------------------------------------------------------

 ・Alps社製フロントエンド(FM4連AM2連バリコン搭載)
 ・IFバンド切換なし
 ・レシオ検波
 ・HA1156(PLL-MPX-IC)
 ・AMはディスクリート構成
 ・ボディ内部はブロック図が貼り付けてありました

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 ・PIONEER TX-910 が日本初(1972年10月)MPXにPLL-IC(MC1310)を採用したチューナーです
 ・JT-V7の発売は翌年の1973年、つまり翌年には早くも互換品のHA1156が登場していた
 ・今回も興味深い気付きがありました

■修理記録:接点洗浄--------------------------------------------------

 ・まずは激しい雑音を何とかしなければ始まらない
  ・過去に故障事例の多いバリコン軸の接点洗浄
  ・次にMUTINGとHi-BLENDの切換スイッチの接点も洗浄
  ・しかし雑音の状況はほとんど変わらない。
 ・次の確認として IF回路入口に10.7MHz信号を直接注入してみると、、
 ・何と雑音なくきれいな受信音が聞こえてきました。
 ・Sメーターが大きく振れ、STEREOランプが赤く点灯します。
 ・つまり酷い雑音の発生源はフロントエンド内部という事
 ・これは面倒な作業になりそう、、、

■修理記録:フロントエンド-------------------------------------------

 ・実はちょうど同じタイミングで LUXMAN T-88V という機種が手元にありました
 ・ニコイチ合体後に残った部品取り用の材料です
 ・T-88Vにも同じタイプのAlps製フロントエンドユニットが搭載されています
 ・ユニットの型番は微妙に異なりますが、サイズ、端子数、バリコン枚数は同じ
 ・加えて T-88Vにはフロントエンド内部の回路図もある、これは使える!!
 ・壊れても構わない、そんな割り切りがあると度胸と技術は磨かれます(笑)

【事前準備】
 ・ユニットの裏蓋を外した状態で通電しながら動作確認することは難しいのですが、
 ・幸いな事に JT-V7はフロントエンドユニット後方に十分な空間があります
 ・この空間を作業スペースとするべく邪魔になる部品をいくつかハンダ面に移設
 ・C101,C132(223)、C110(1uF/50v) → メイン基板のハンダ面に移設
 ・2SC535と2SC1342を取り外してhfeチェック→問題なし→ハンダ面に移設
 ・これでフロントエンド裏蓋を外したまま部品交換の実験ができます

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【修理記録】
 ・まずT-88V回路図とJT-V7フロントエンドを比較して部品配置を確認
 ・基板上に多数見える直径10mmほどの円盤形部品がセラミックコンデンサーです
 ・T-88V 修理調整記録に寄せられたexjf3eqs 様のアドバイスを実践してみました
  ・フロントエンドユニット3番端子に繋がる円盤型セラミックコンデンサを交換
  ・C121( 5000pF) 手持ちがないので4700pF(472)で代替  → 効果なし
  ・その他の円盤型コンデンサ(5000pF)も同様に4700pFに交換 → 効果なし
 ・T-88Vフロントエンド回路図とJT-V7を比較しながら部品交換を進める
  ・OSC発振回路の円盤型コンデンサ C120(15pF)→ 温度補償型コンデンサに交換
  ・何とこれが当たりでした!
  ・それまでの激しい雑音が嘘のように消え本来のFM放送が受信できました
 ・不具合の原因は C120(15pF)の劣化だったようです
 ・コンデンサの容量誤差や温度特性に問題があるかも、と心配しましたが、
 ・それでも作業後1週間の連続テストで雑音は再発しなかったです。
 ・指針と目盛りのズレ、同調点ズレも発生しないのでとりあえずOKとしました。

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Luxmant88v

■調整記録------------------------------------------------------------

Jtv700

【OSC調整】
 ・90MHz受信 → TCo調整 → Sメーター最大
 ・76MHz受信 → Lo 調整 → Sメーター最大
【RF調整】
 ・90MHz受信 → TCA,TCR1,TCR2 調整 → Sメーター最大
 ・76MHz受信 → LA,LR1,LR2 調整 → Sメーター最大
 ・83MHz受信 → IF調整 → Sメーター最大
【レシオ検波調整】
 ・音声出力 → WaveSpectra
 ・83MHz受信 → T101 上部コア調整 → Tメータ中点確認
 ・83MHz受信 → T101 下部コア調整 → 高調波歪最小
【FM Sメーター調整】
 ・83MHz70dB受信 → VR101 調整 → Sメーター振れ最大
【MPX調整】
 ・音声出力 → WaveSpectra
 ・TP(R189)→ 周波数カウンタ接続
 ・83MHz,無変調信号受信 → VR103 調整 → 76kHz
 ・83MHz,L/R信号受信 → VR102 調整 → 反対chへの漏れ信号最小
【AM調整】
 ・ 600kHz受信 → T102,T103 調整 → Sメーター最大
 ・1400kHz受信 → AM1,AM2 調整 → Sメーター最大

Jtv751

■試聴----------------------------------------------------------------

 ・落ち着いた緑色照明に浮かぶ二つのメーターと周波数を刻んだ目盛り
 ・その前で鮮やかに浮き上がるオレンジ色の指針
 ・そしてSTEREO インジケーターが赤く点灯すると絶妙のバランス感が生まれます
 ・この独特の雰囲気がアナログチューナーの魅力です
 ・ウッドケースがあればさらに高級感がアップしそう
 ・約50年前の製品と思うと感慨深いものがあります

Jtv704

2022年12月 4日 (日)

SONY ST-5000F 修理調整記録6

 ・2022年9月、ST-5000Fのメンテナンス依頼をお引き受けしました。
 ・以下、作業記録です。

St5000f03_20221204085801

■製品情報------------------------------------------------------------

 ・オーディオ懐古録 SONY ST-5000F \98,000(1969年)
 ・オーディオの足跡 SONY ST-5000F \98,000(1971年頃)
 ・Hifi Engine Sony ST-5000F FM Stereo Tuner (1969-77)
 ・SONY ST-5000F 回路図 (国内機)
 ・SONY ST-5000F 掲載カタログ 1974年5月版

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■動作確認------------------------------------------------------------

 ・電源コードの印字「1974」
 ・フロントパネルに小さな打ち傷があるものの全体的には奇麗な状態。
 ・FMアンテナを接続して電源オン。
 ・わずかに周波数ズレあるものの各FM放送局を受信OK。
 ・Sメーター最大点でTメーターが中点を示す。
 ・STEREOランプ点灯、実際のステレオ感もあり。
 ・大きな故障個所はなさそうです。

■内部確認------------------------------------------------------------

 ・ボディ内部は既に清掃済みのようでホコリもなくきれいな状態でした。
 ・各シールドケースを開けたところ基板もきれいな状態でした。
 ・裏面の電源基板やMPX基板も艶があってとても綺麗です。
 ・調整用の半固定抵抗の白いネジロック剤が割れていいました。
 ・つまり清掃済み、再調整済みの個体だと思います。
 ・照明窓が暗いように感じますが電球切れはありません。

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■調整記録------------------------------------------------------------

【電源電圧調整】
 ・TP24V,TP12V DC電圧計セット
 ・電源基板 VR001調整 → 24V,12Vそれぞれ確認
【OSC調整】※フロントエンド
 ・76.0MHz受信 → L105調整 → Sメーター最大
 ・90.0MHz受信 → CT105調整 → Sメーター最大
【RF調整】※フロントエンド
 ・76.0MHz受信 → L101,L102,L103,L104調整 → Sメーター最大
 ・90.0MHz受信 → TC101,TC102,TC103,TC104調整 → Sメーター最大
 ・この作業を数回繰り返す。
【IFT調整】※フロントエンド
 ・83.0MHz受信 → IFT101調整 → Sメーター最大
【レシオ検波調整】※検波基板
 ・83.0MHz受信 → 指針をSメーター最大位置へ移動
 ・IFT301調整 → Tメーター中点へ(離調点が左右対称)
 ・Tメーターが中点からズレた場合 → IFT301横のR319調整 → 中点に
【Sメーター振れ調整】※IF基板
 ・83.0MHz 80dB受信 → RT211調整 → Sメーターが90%振れる位置に。
【ミューティング調整】※ミューティング基板
 ・83.0MHz受信 → RT103調整 → MUTING作動位置へ
【セパレーション調整】※MPX基板
 ・83.0MHz 80dB受信 → RT537調整 → セパレーション最大位置へ

St5000f32

■試聴----------------------------------------------------------------

 ・実際に調整ズレはほとんどなかったです。
 ・オリジナルの状態で残っている個体はもはや貴重品ですね。
 ・大切に使っていきたい逸品です。

St5000f04

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