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2023年11月の記事

2023年11月26日 (日)

OTTO/SANYO FMT-650

 ・2023年9月、ヤフオクで終了間際のオールド機を見かけました
 ・OTTO(オットー)と言えば懐かしい旧SANYOのオーディオブランドです
 ・昭和の香り漂う旧機が大好物なのでまたまた入手してしまいました
 ・以下、復活までの整備記録です


Fmt65013

■製品情報------------------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 OTTO/SANYO FMT-650 ¥49,800(1973年頃)
 ・オーディオ懐古録 OTTO FMT-650 AM/FM STEREO TUNER 49,800円
 ・Hifiengine Sanyo FMT-450 AM/FM Stereo Tuner (1975-76) ※弟機

Fmt65002Fmt65020

 ・OTTO:Orthophonic Transistorised Technical Operation
    →「トランジスタ技術を駆使し,真の音を追求した音響装置」
    → 機種情報を捜索する過程で「オットー」の語源を初めて知りました
    →「音:OTO」のダジャレじゃなかったのね、、失礼しました

■動作確認------------------------------------------------------------

 ・フロントパネルは経年の汚れが目立つが目立つキズは見当たらない
 ・ただ、縦置きされていたような擦り傷が左サイドウッドに残る
 ・天板にも薄汚れた感じで擦り傷や打ち傷多数
 ・放熱口から内部を覗くと大量のホコリが堆積している様子が見える
 ・背面パネルには固定/可変出力以外にマルチパス端子とFM MONO端子
 ・早速FMアンテナを接続して電源オン
 ・周波数目盛りと数字が白色照明に浮かび上がる、左端は電球切れみたい
 ・二つのメーター照明は電球色、目盛りの白色と並ぶとちょっと違和感あり
 ・FUNCTION切換ボタン上のインジケーターはオレンジ色の電球?LED?
 ・そういえば指針が見えない、、指針の内蔵電球が切れている
 ・指針の位置が見難い状態で名古屋地区のFM局を受信テスト開始
 ・放送局周波数付近でTメーターが振れるがSメーターはほとんど動かない
 ・MUTING作動レベルはフロントパネルのツマミで調整可能
 ・MUTINGオンでは受信不可、しかしMUTINGオフにすると受信できた、が、
 ・出てくる音はバリバリノイズ満載の酷い状態でSTEREOランプ点灯しない
 ・固定/可変端子とも同じ状態、マルチパスH端子からも同じノイズが聞こえる
 ・一方のAM放送は背面バーアンテナで良好に受信OK
 ・AM受信OK、FM受信は重症の予感、、

Fmt65003Fmt65004Fmt65005Fmt65007Fmt65012

■内部確認------------------------------------------------------------

 ・ネット上で探しましたがFMT-650の回路図等資料は見つかりません
 ・当時提携していた Fisherブランドでも探しましたが該当機は無さそう
 ・代わりに Hifiengine で弟機FMT-450の回路図を入手、参考資料に使えそうです
 ・本体の基板を見渡したところ部品番号の印字がありません
 ・そこで弟機FMT-450の回路図に基づいて独自番号を付けました

Fmt65000

  ・アルプス社製FM4連AM3連バリコンユニット
  ・IFT201~203:銀色のシールドケースに収まった3個の「リニアフェイズフィルター」
  ・IC201~206:SANYO LA1221 ※4本足の高周波増幅回路×6個
  ・IFバンド切換なし、レシオ検波
  ・IC401:SN71115N:FM STEREO DEMODULATOR ※FMT-450は旧式のスイッチング方式
  ・AM回路:ディスクリート構成
  ・火星人型のトランジスター多数:2SK44、2SC536、2SC674、2SC693、2SC694、2SC930

Fmt65040Fmt65041Fmt65042Fmt65043Fmt65044

 ・周波数窓の照明にヒューズ型電球(6.3v/0.25A)×5個、メーター照明に各1個
 ・オレンジ色のインジケーターはLEDではなくフィラメント電球でした
 ・液漏れや粉噴き電解コンデンサーは見当たらない
 ・ICや多くのトランジスタの足が真っ黒に変色している
 ・真っ黒対策として硬めの歯ブラシ+L字型歯間ブラシで清掃 → 症状に変化なし

Fmt65022Fmt65024Fmt65032Fmt65033Fmt65030

■修理記録:電球交換--------------------------------------------------

 ・周波数窓の照明電球を確認したところヒューズ型電球(6.3v/0.25A)でした
 ・8v/0.3A 仕様の電球なら大量に保管しているのですが 6.3v/0.25A は手持ち無し
 ・とりあえず全数を 8v/0.3A の電球に交換
 ・若干暗くなった気もしますが、そんなに違和感はありません
 ・次に切れていた指針照明電球を交換
 ・ここも暫定措置として手持ちの適当なフィラメント電球に交換
 ・直径5mmの電球にオリジナルの赤色フィルムを被せて横向きにセット
 ・これで先端が赤く輝くダイヤル指針が復活しました
 ・本体修理が完了したら全部LED化してみます

Fmt65050Fmt65051Fmt65052Fmt65056Fmt65057

■修理記録:フロントエンド----------------------------------------

 ・マルチパスH端子からも酷いノイズが聞こえる
 ・ということはノイズ発生源はフロントエンドかIF基板のどちらか
 ・ノイズ発生源を特定するためIF基板入口に10.7MHz信号を直接注入してみると
 ・何と、ノイズの無いきれいな音声が聞こえてきました
 ・つまりノイズ源はフロントエンドユニットで確定
 ・このタイプのフロントエンドユニットの修理は面倒ですが、
 ・ただ幸いな事にユニットの裏蓋を外した状態で作業スペースが確保できる
 ・さらに弟機FMT-450の回路図にフロントエンド内部の記載あり
 ・まずは裏蓋を固定しているハンダをニッパーで切断して裏蓋を取り外す
 ・隙間から見える範囲でFMT-450のフロントエンド回路図と照合

 ・FMT-650 フロントエンドユニット番号:4-1259-203100(FM4連AM3連)
 ・FMT-450 フロントエンドユニット番号:4-1259-202800(FM4連AM3連)
  →Q101:3SK30  ※実機で確認
  →Q102:2SC535 ※台形型TRが見えるが型番は判読不能
  →Q103:SE3001 ※他の部品に隠れて見えない
  →その他抵抗やコンデンサ(特に円盤型)の配置は一致
 ・よくある故障事例は円盤型コンデンサーの劣化なので順番に交換してみる
  →5番端子(+B)C113,C107(5000pF)→ (4700pF/472)新品交換
  →8番端子(AGC)C104(5000pF)→ (4700pF/472)新品交換
 ・この作業で雑音は解消しました

Fmt65060Fmt65061Fmt65063Fmt65065Fmt65068

■調整記録------------------------------------------------------------

【Tメーターオフセット調整】
 ・アンテナ入力なし → T101上部コア調整 → Tメーター指針中点へ
【OSC調整】
 ・76MHz受信 → Lo調整 → Sメーター最大
 ・90MHz受信 → TCo調整 → Sメーター最大
【RF調整】
 ・76MHz受信 → LA,LR1,LR2調整 → Sメーター最大
 ・90MHz受信 → TCA,TCR1,TCR2調整 → Sメーター最大
 ・この調整作業を数回繰り返す
【IFTコア調整】
 ・83MHz受信 → IF調整 → Sメーター最大
【検波調整】
 ・音声出力 → WaveSpectra接続
 ・83MHz受信 → T101上部コア調整 → Tメーター中点確認
 ・83MHz受信 → T101下部コア調整 → 高調波歪最小
【MUTING回路調整】
 ・R132横のTP → 電圧計セット
 ・83MHz受信 → T102,T103調整 → Sメーター最大
 ・83MHz20dB受信 → R132調整 → MUTING作動位置
【Sメーター振れ調整】
 ・83MHz受信 → T104調整 → Sメーター最大
 ・83MH80dB受信 → R241調整 → Sメーター振れ具合調整
【VCO調整】
 ・IC301上のTP3 → 周波数カウンタ接続
 ・83MHz無変調 → R302調整 → 19kHz
【セパレーション調整】
 ・音声出力端子 → WaveSpectra接続
 ・83MHz L/R信号 → R319調整 → 反対ch漏れ最小
【テストトーン調整】
 ・83MHz受信 → 固定音声出力のレベル記録
 ・テストトーンON → R440調整 → -6dBに設定
【AM調整】
 ・ 600kHz受信 → T202.T201,バーアンテナ内コイル調整 → Sメーター最大
 ・1400kHz受信 → TCAM3,TCAM2,TCAM1調整 → Sメーター最大
 ・1000kHz受信 → T203,T204,T205,T206,T207調整 → Sメーター最大

Fmt65070

■試聴----------------------------------------------------------------

 ・OTTOブランドのオーディオ機器はちょっとマイナーな存在でしたが、
 ・でも、SANYO製のICやTRは他メーカーの多くの機種に搭載されていました
 ・MPX-ICの代表格 LA3450 はSONYの333シリーズやSANSUIのα707シリーズで活躍中
 ・そういえば当時購入した「おしゃれなテレコ」U4シリーズのラジカセを今でも持ってます
 ・そう思うと三洋製半導体と会社の歴史がちょっと悲しい、、

Fmt65014

2023年11月19日 (日)

KENWOOD D-3300T 修理調整記録9

 ・2023年10月、D-3300Tのメンテナンスをお引き受けしました
 ・固定出力は正常、ところが可変出力のR側だけ音が出ないそうです
 ・原因は意外な所に、、という作業記録です

D3300t03_20231119083401

■製品情報------------------------------------------------------------

 ・オーディオ懐古録 KENWOOD D-3300T ¥140,000円(1986年)
 ・オーディオの足跡 KENWOOD D-3300T ¥140,000円(1986年発売)
 ・KENWOOD D-3300T 取扱説明書 日本語版PDF

D3300t02_20231119083401D3300t08_20231119083401

■動作確認------------------------------------------------------------

 ・本機の特徴である黒いサイドウッドはありませんが、
 ・外観に目立つキズは無くフロントパネルは美品と言える状態
 ・さてFMアンテナを接続して電源オン、同時に周波数などの表示部が点灯
 ・文字痩せ、文字欠け、輝度劣化などは見受けられない
 ・オート選局(上り下り方向とも)で名古屋地区のFM局をすべて受信OK
 ・周波数ズレなし、STEREOインジケーター点灯
 ・RF切換(DIRECT/DISTAMCE)、IF BAND切換(WIDE/NARROW)OK
 ・アンテナ切換(A/B)OK、ただ繋いでいないアンテナ側でも受信可能
 ・ここまでは固定出力端子からの音声で確認、動作に異常なし
 ・続いて問題の可変出力端子の音声を確認すると、
 ・事前情報の通りR側の音が出ていない、全くの無音状態で雑音すらない
 ・一方Lch側からは正常に音が出ていて正面パネルにある調整VRで音量が変化する
 ・端子に少し力を加えて「グリグリ」してみても変化なし、接触不良ではなさそう
 ・原因は、、実はちょっと思い当たる節があります、、

■内部確認------------------------------------------------------------

 ・サイドウッドが無くボディは短いタップネジ×4本で固定されていました
 ・底板を確認 → 修理履歴を記録したKENWOODシールなし
 ・基板の部品面とハンダ面を詳しく確認しましたが部品交換歴は無さそう

  →固定出力L端子 → 〇正常
  →固定出力R端子 → 〇正常

  →可変出力L端子 → 〇正常
  →可変出力R端子 → ×無音

 ・可変出力端子のハンダ面を確認 → ハンダ不良ハンダ割れなし
 ・プリント配線を辿って各部導通チェックしてみました
 ・固定出力端子 → 音量調整VR →× 可変出力端子
 ・フロント側にある音量調整VRに流れて行った音声信号が可変出力R端子に戻っていない
 ・問題は音量調整VRが載った基板にありそうです

■修理記録:側板を固定するネジがプリント配線を破壊していた------------

 ・フロントパネルを分解し、電源スイッチや音量調整VRが載った基板を取り外す
 ・音量調整VR(5kΩ:B)に繋がるコネクタやプリント配線の導通チェック
 ・すると可変出力R側のプリント配線に導通がありません
 ・原因は、、
 ・ボディ側面を固定するネジの先端がプリント配線を破壊していた事でした
 ・ネジの先端がピンポイントでVRのR側配線に当り、その痕跡が丸く残っていました
 ・例えば、サイドウッド固定用の長いネジをサイドウッド無しの状態で締め込んだとか
 ・過去にそんな不慮の事故があったようです
 ・現在使われているネジでは基板まで届かないので大丈夫ですが
 ・でもタップネジの尖った先端が基板の数ミリ手前で止まっているのはちょっと、、
 ・対策として切断個所の前後の端子をジュンフロン線で直結しました
 ・これで可変出力R端子の出力が復活しました
 ・不用意に長いネジを使うと内部の基板や部品に干渉するので気を付けましょう!

D3300t20D3300t22D3300t25D3300t29_20231119083101D3300t34_20231119083101
D3300t35

■修理記録:フロントエンド トリマコンデンサ総交換---------------------

 ・受信調整を始めたところ、特にTC3が過敏に反応して一定値に定まらないことが判明
 ・その他TC1~TC5も微妙に不安定だったのでこの機に全数新品に交換しました
 ・TC1~TC5:サービスマニュアルのパーツリストで仕様を確認 → 11pF
 ・新品(10pF)に交換しながら再調整を繰り返す
 ・交換後は気持ちよく最大電圧に調整できました。
 ・他機でも同様ですが、この時期のトリマコンデンサは全数交換が正解です
 ・TC1は点検口からでは手が届かないので右側シャーシを分解する必要があります
 ・この時に基板のハンダ面全面を確認しましたが、過去の修理痕は無かったです

D3300t40_20231119083201D3300t41_20231119083201D3300t45D3300t46_20231119083201D3300t50

■調整記録------------------------------------------------------------

【本体設定】
 ・IF BAND:WIDE
 ・RF SELECTOR:DISTANCE
 ・QUIETING CONTROL:NORMAL
 ※(X86),(X05),(X13):基板番号
【VT電圧】
 ・TP6~TP7 DC電圧計セット
 ・アンテナ入力なし
 ・76MHz → L5(X05-)調整 → 3.0V±0.1V ※実測 3.1V
 ・90MHz → TC5(X05-)調整 →25.0V±0.1V ※実測25.2V
【検波調整】
 ・TP10~TP11 DC電圧計セット
 ・83MHz(無変調,80dBu)受信 → L12(X86-)調整 → 0.0V±10mV ※実測-40mV
 ・TP16~TP17 DC電圧計セット
 ・83MHz(無変調,80dBu)受信 → L9 (X86-)調整 → 0.0V±10mV ※実測+167mV
【RF調整】
 ・Multipath V端子 DC電圧計セット
 ・76MHz(1kHz,100%変調,40dBu)→ L1~4 (X05-)調整 → 電圧最大
 ・90MHz(1kHz,100%変調,40dBu)→ TC1~4(X05-)調整 → 電圧最大
【IFT調整】
 ・Multipath V端子 DC電圧計セット
 ・83MHz(1kHz,100%変調,30dBu)→ L10,L11,L22(X05-)調整 → 電圧最大
 ・83MHz(1kHz,100%変調,30dBu)→ L11(X86-)調整 → 電圧最大
【AUTO STOP調整】
 ・83MHz(19kHz信号,10%変調,14dBu)→ VR1(X86-)調整 → STEREOインジケータ点灯
【SIGNAL METER調整】
 ・(X13-)電源スイッチ後方の小さな基板
 ・83MHz(無変調,43dBu)→ VR3(X13)調整 → 7番目のドット(最上段)点灯
【TUNING METER調整】
 ・SELECTOR:MONO
 ・83MHz(10Hz,100%変調,80dBf) → VR2(X13)調整 → ※
  ※中央の縦白セグメント点灯、両側の赤縦セグメントの中点へ
【MPX VCO調整】
 ・TP15に周波数カウンタ接続
 ・83MHz(無変調,80dBf) → VR5(X05-)調整 → 76.00kHz±50Hz
【PILOT CANCEL調整1】
 ・音声出力をWavespectraで観察
 ・83MHz(19kHz信号,10%変調,80dBu)→ VR1(X05-)調整 → 19kHz信号最小
 ・左右chのバランス確認
【PILOT CANCEL調整2】
 ・83MHz(19kHz信号,10%変調,80dBu)→ L20(X05-)調整 → 19kHz信号最小
 ・左右chのバランス確認
【SUB CARRIER調整(38kHz)】
 ・音声出力をWavespectraで観察
 ・83MHz(SUB信号,1kHz,90%変調+19kHz信号,10%変調,80dBu)→
   → L19(X05-)調整 → Lchレベル最大
【歪調整1 DLLD】
 ・83MHz(MONO信号,1kHz,100%変調,80dBu)→ VR3(X86-)調整 → 歪率最小
【歪調整2 MONO】
 ・83MHz(MONO信号,1kHz,100%変調,80dBu)→ VR4(X86-)調整 → 歪率最小
【歪調整3 MONO】
 ・83MHz(MONO信号,1kHz,100%変調,80dBu)→ VR6(X86-)調整 → 歪率最小
【歪調整4 STEREO】
 ・83MHz(L信号,1kHz,90%変調+19kHz信号10%変調,80dBu)→ VR5(X86-)調整 → 歪率最小
【歪調整5 STEREO】
 ・83MHz(SUB信号,1kHz,90%変調+19kHz信号10%変調,80dBu)→ VR7(X86-)調整 → 歪率最小
【歪調整6】
 ・83MHz(MAIN信号,1kHz,90%変調+19kHz信号10%変調,80dBu)→ VR8(X86-)調整 → 歪率最小
【歪調整7】
 ・83MHz(L信号,1kHz,90%変調+19kHz信号10%変調,80dBu)→ VR9(X86-)調整 → 歪率最小
【歪調整8 NARROW】
 ・83MHz(MAIN信号,1kHz,90%変調+19kHz信号10%変調,80dBu)→ VR2(X86-)調整 → 歪率最小
【SEPARATION調整1 L】
 ・83MHz(R信号,1kHz,90%変調+19kHz信号10%変調,80dBu)→ VR4(X05-)調整 → Lchもれ最小
【SEPARATION調整2 R】
 ・83MHz(L信号,1kHz,90%変調+19kHz信号10%変調,80dBu)→ VR3(X05-)調整 → Rchもれ最小
【SEPARATION調整3 NARROW】
 ・IF BAND:NARROW
 ・83MHz(R信号,1kHz,90%変調+19kHz信号10%変調,80dBu)→ VR2(X05-)調整 → もれ最小
【DEVIATION調整】
 ・REC CAL オン → VR4(X13)調整 → 左から4番目のドットが点灯する位置

D3300t60

■試聴----------------------------------------------------------------

 ・再調整によってよい性能を取り戻したと思います
 ・不用意に長いネジを使うと内部の基板や部品に干渉するので気を付けましょう!

D3300t04_20231119083401

2023年11月12日 (日)

SONY ST-5130後期型 修理調整記録4

 ・2023年8月、ヤフオクで格安ジャンク機を入手しました
 ・調べてみるとFM受信に不具合あり、さらに修理痕や改造痕が多数ある逸品でした
 ・当初は部品取り目的でしたが、前任者の想いを引き継いで作業を進めました
 ・製造からほぼ50年なので今回の修理機は「50周年記念モデル」と勝手に命名します
 ・以下、修理と改造の記録です

St513082_20231112083701

■製品情報------------------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 SONY ST-5130 ¥69,800(1972年頃)
 ・製品カタログ 1971版
 ・Hifi Engine SONY ST-5130 AM/FM Stereo Tuner (1971-74)

St513002_20231112084001St513012

■動作確認------------------------------------------------------------

 ・フロントパネル、操作ノブ、ボディに目立つ傷なし
 ・周波数窓枠の銀色フレームがとてもキレイな状態、これはパーツとして貴重
 ・おや?固定/可変出力端子とマルチパス端子が「金メッキ端子」だ!
 ・オク写真では分からなかったのですがこれは交換済みという事ですね
 ・さらに可変出力の調整用VRに「ツマミ」が付いている、これも見落とした、
 ・電源コードはSONY機のオリジナル感あるが、コードの印字をみるとなぜか「1980」
 ・ST-5130が1980製のはずはないので電源コードも交換済みのようです
 ・この時期のSONY機でよくある「ベタベタ、ネバネバ」対策で交換したのかも?
 ・どうやら既に手が加わった個体のようです、、
 ・さて、FMアンテナを接続して電源オン
 ・周波数窓と二つのメーターが緑色照明に浮かび上がる、電球切れは無い
 ・TメーターとSメーターは正常に振れてFM放送を受信しているが、、
 ・Tメーター中点とSメーター最大点が一致しない、大きくズレる
 ・STEREOインジケーターは点灯しない、実際のステレオ感も無い
 ・出てくる音は左右chとも酷い雑音が混入している
 ・MUTINGオンにすると無音になる、つまり受信感度が大幅に低下している
 ・試しにマルチパスH端子の音を聞いてみるとこちらも不安定感は同じ
 ・一方AMは背面バーアンテナで感度良く受信OK
 ・問題はFM受信系統ですね

■内部確認------------------------------------------------------------

 ・ボディを開けてみると予想通り修理痕、改造痕が多数ありました
 ・背面出力端子とマルチパス端子が金メッキ端子に交換済み
 ・INS基板を含めてすべての電解コンデンサー交換済み
 ・可変抵抗も全数交換済み、可変出力用VRも交換済み
 ・2SK23A以外のトランジスタはほとんど交換済み
 ・気になるのは電解コンデンサーのメーカーやグレードがバラバラな事
 ・特にMPX基板では左右の特性を揃えるため同じ部品を使って欲しいところ
 ・ハンダ面を見ると配線のビニール被膜に半田鏝が触れて溶けた痕跡多数
 ・IF基板のT202コアが割れていて調整できない
 ・修理にチャレンジ、でも故障個所を特定できず断念して放出したのかな?
 ・せっかく多くの部品が交換済みなので方針転換して修理作業を引き継ぎました

St513009_20231112084101St513021_20231112084101St513022_20231112084101St513023_20231112084101St513024_20231112084101

■修理記録:機能切換スイッチの接点洗浄--------------------------------

 ・まずは以下の接点をエレクトロニッククリーナーとL字型歯間ブラシで洗浄
  →機能切換(AM/FM/FM AUTO)ローターリー接点
  →INS(ON/OFF)接点
  →MUTING(ON/OFF)接点
  →AFC(ON/OFF)接点
 ・洗浄前後で特に顕著な変化なし、でも何らかの効果はあったと期待したい

■修理記録:IF基板---------------------------------------------------

 ・MUTING調整で使用するT202のコアが割れており調整不能状態
 ・保管していたST-5140のIF基板の同型T202をST-5130に移植
 ・さらに未交換だった2SK23Aを交換
  →T202(1-405-299)→ T202(ST-5140から移植)
  →Q207:2SK23A → 2SK107 新品交換
  →Q208:2SK23A → 2SK107 新品交換
 ・T202交換によってMUTING調整が最適化できました

St5130124

■修理記録:MPX基板--------------------------------------------------

  →Q401:2SK23A → 2SK107 新品交換 → 激しいノイズ解消
 ・次はSTEREOインジケーター点灯しない、ステレオ分離できない
 ・調べてみるとMPX基板のスイッチング回路で19kHzと38kHzが観測できない
 ・MU401(MPX UNIT:基板上の赤い箱)から19kHz信号が出ていない
 ・MU401はST-5140でも使われているので部品取りした予備品を移植
  →MU401 → MU401(ST-5140から移植) → STEREOインジケーター点灯
  →C414:4700pF → フィルムコンデンサ(472)予防交換
 ・ここまでの作業でSTEREOインジケーター点灯し実際のステレオ分離も復活
 ・スイッチング回路以降の電解コンデンサを再交換して左右同じ物に揃えました

St513030_20231112084301St513031_20231112084301St513037St513038St5130105

■修理記録:INS回路を外す--------------------------------------------

 ・ここまでの作業によってFM受信とステレオ分離は正常化しましたが、
 ・ただ不定期に発生する「ザザッ、ザザザッ」というノイズが解消しません
 ・WaveSpectraで波形を見ているとベースラインが大きく上下する変化です
 ・マルチパスH端子の音を確認するとこちらは正常な状態
 ・ということは雑音源はMPX回路かINS回路か、
 ・試しにINS回路の配線を外してIF回路→MPX回路を直結したところ、、
 ・何と、不定期な雑音は発生しなくなりました
 ・1週間のランニングテストでも不定期ノイズは確認できません
 ・不良個所はINS回路にあるということがはっきりしました
 ・INS回路の電解コンデンサは前任者が全交換済みですがトランジスタは未交換
 ・トランジスタのどれかがノイズ源になっている気がしますが、
 ・ただINS回路の故障箇所を詳しく探す気になれないので修理は断念
 ・INS基板自体は本体に残したまま基板に繋がる配線をすべて外しました
 ・こうなると機能的には弟機ST-5140と同等機になってしまいますが、
 ・ST-5130にはヘッドホン回路があるので、とりあえず優位性は保っています

St5130101

【INS(Impulse Noise Suppressor)】
 ・クルマのイグニッションノイズをカットする機能
 ・50年前のクルマは「走るノイズ源」だったのでこの機能が有効でしたが
 ・今はそんな有害なクルマは走っていないのでINS回路を外しても問題ないはず
 ・むしろ信号が余計な回路(INS回路)を通ることの方がデメリットに思えます

■調整記録-----------------------------------------------------------

【FMフロントエンド調整】
 ・OSC調整 → CT105,L105
 ・トラッキング調整 → CT101,CT102,CT103,CT104 / L101,L102,L103,L104
 ・IFT調整 → IFT101
【レシオ検波調整】
 ・T201上段コア → 検波調整
 ・T201下段コア → 高調波歪調整
【MUTING調整】
 ・T202 → D209電圧最大
 ・RT202 → MUTINGレベル調整
【Sメーター調整】
 ・RT201 → FM Sメーター調整
【MPX調整】
 ・T401 → スイッチング信号調整(※SUB信号注入 → Lch出力最大)
 ・RT401 → セパレーション調整
【AM調整】
 ・OSC調整 → CT302,T301
 ・トラッキング調整 → CT301,L801(バーアンテナ内コイル)
 ・RT301 → AM Sメーター調整

St513070

■改造記録------------------------------------------------------------

 ・せっかく良い状態に仕上がったので 前回と同じ方法 で全球LED化とその他プチ改造
 ・製造から50年も経っているとは思えない出来栄えに自画自賛です(笑)

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■改造記録:Sメーター、Tメーター移植----------------------------------

 ・ST-5130/5140のメーターは照明透過タイプではないのでちょっと物足りない
 ・これに対して同時期のST-5150/5150Dでは照明透過タイプが使われている
 ・サイズと取り付け方法は同じなのでST-5150のメーターを移植

■改造記録:全球LED化-------------------------------------------------

【オリジナル電球の仕様】
 ・PL5,PL6:周波数窓両端の照明電球:8v/300mA T6.3×30mm
 ・PL1,PL4:Tメーター、Sメーター照明電球:8v/150mA E10
 ・PL2,PL3,PL7:インジケータ(FM,AM,STEREO)電球:4.5v/40mA,φ4mm
【整流回路の製作】
 ・電源トランスから照明電球に繋がる青色線(AC8v)を流用して電源回路製作
 ・ダイオードブリッジと電解コンデンサーで整流回路作成(AC7.8v → DC10.4v)
【周波数窓照明LED】
 ・TORIBIO 10個セット T6.3×30mm LED 3SMD 5050 12V 28mm~30mm
 ・12v用ですが周波数目盛、数値が鮮やかな緑色の発色になりました
【メーター照明LED】
 ・uxcell E10スクリューベースLED電球(白) DC 12V 0.25W フラットヘッド
 ・極性に合わせて電球ソケットの配線を付け替える必要あり
 ・定格12v用ですがちょうどよい明るさになりました
【(FM,AM)インジケーター用LED】
 ・3mmウォームホワイトLED 70° OSM5YK3Z72A(100個入)1300円、秋月電子で購入
 ・制限抵抗交換:R801,R802 75Ω → 2.2kΩ 交換
【(STEREO)インジケーター用LED】
 ・FM/AM用に使ったLEDと同じ、ラグ板に制限抵抗 2.2kΩを直列追加
 ・さらに並列に2.2kΩ抵抗追加(離調時も薄く点灯してしまうため)

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■改造記録:FMアンテナ端子--------------------------------------------

 ・FMアンテナ端子はF型ですが、端子サイズが微妙に小さいのが難点
 ・そこで端子を通常サイズ品に交換、同軸ケーブルの接続安定度が大幅アップします

■試聴----------------------------------------------------------------

 ・別に入手したウッドケース(TAC-1)に納めてみました
 ・緑色照明に映える周波数窓、透過式のメーター照明がいい雰囲気です
 ・製造から半世紀を経て「50周年記念モデル」が完成しました

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2023年11月 5日 (日)

SONY ST-J75 修理調整記録4

 ・2023年6月、FM放送を受信できないというST-J75が届きました
 ・MUTING調整用RT101を回したところ調子が悪くなったそうです
 ・さて、どんな具合になっているのでしょうか?

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■製品情報------------------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 SONY ST-J75 ¥67,000(1980年頃)
 ・オーディオ懐古録 SONY ST-J75 ¥67,000(1980年頃)
 ・Hifi Engine SONY ST-J75 FM Stereo Synthesizer Tuner (1980-82)

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■動作確認------------------------------------------------------------

 ・フロントパネルと天板は傷も無くきれいな状態
 ・さて、FMアンテナを接続して名古屋地区のFM局受信テスト開始
 ・オート選局で名古屋地区のFM局を受信しようとしたところ
 ・上り方向、下り方向とも放送局周波数を素通りして受信不可
 ・手動選局を試みるとシグナルインジケーターが僅かに点灯して受信
 ・しかしSTEREOランプ点灯しない
 ・MUTINGレベルを変更(OFF/LOW/HIGH)しても受信不可
 ・一方のAM放送は背面バーアンテナで感度良く受信OK
 ・FMだけの問題、これは調整ズレ?それともどこか故障あり?

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■内部確認------------------------------------------------------------

 ・ボディを開けて内部点検と仮調整を行いました
 ・333シリーズではヒューズ抵抗の劣化事例が多いですが
 ・ST-Jシリーズも多くのヒューズ抵抗(緑色ベース)が実装されています
 ・まずは全ヒューズ抵抗の抵抗値を確認 → 異常値なし
 ・次に黒く変色したICやTRの足を硬めの歯ブラシで清掃
 ・続いて下記調整手順に従って各部仮調整
 ・フロントエンド、FM同調点などに大幅な調整ズレがありました
 ・仮調整の結果、受信感度が大幅アップしシグナルインジケーターが全灯
 ・不調の原因は経年による各部の調整ズレだったと思います
 ・ギリギリ受信できる状態のRT101を回したため受信不能レベルになってしまった?
 ・以下の手順で再々調整を行って正常動作に戻りました

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■ヒューズ抵抗一覧----------------------------------------------------

【IF回路】
 ・R104:39Ω
 ・R129:10Ω
 ・R128:120Ω
【MPX回路】
 ・R208:100Ω
 ・R209:100Ω
 ・R219:120Ω
 ・R229:100Ω
 ・R233:100Ω
 ・R234:39Ω
【AM回路】
 ・R318:100Ω
【電源回路】
 ・R601:4.7Ω
 ・R607:10Ω
 ・R610:10Ω
 ・R613:10Ω
 ・R617:10Ω

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■調整記録-----------------------------------------------------------

【PLL調整】
 ・TP GATE → 電圧計セット ※TP(GATE)=Q401(2SK30A-G)
 ・RT401調整 → +1.8v
【VT電圧確認】
 ・アンテナ入力なし
 ・フロントエンド TP → 電圧計セット
 ・76MHz → L05調整 → 3.0v  ※実測 2.9v
 ・90MHz → CT05調整 → 19.0v ※実測18.6v
【FM同調点調整】LA1231Nクアドラチュア検波
 ・R122両端(IC101:LA1231N横)→ 電圧計セット
 ・83MHz受信 → IFT101調整 → 電圧0V±10mV ※実測-920mVv
【レシオ検波調整】
 ・TP-NULL~GND 電圧計セット
 ・音声出力 → WaveSpectra接続
 ・83MHz受信 → IFT102(黒:左)調整 → 電圧0V±10mV ※実測+0.5v
 ・83MHz受信 → IFT102(赤:右)調整 → 歪率最小
【フロントエンド調整】
 ・IC101:LA1231N-13ピン → 電圧計セット ※Sメーター電圧
 ・83MHz受信 → CT01,CT02,CT03,CT04調整 → 電圧最大
  ※L01~L05は中空コイルで調整が難しいため83MHzのみで調整
【ミューティング調整】
 ・83MHz 20dB受信 → RT101調整 → 受信できる位置
【Sメータレベル調整】
 ・83MHz 80dB受信 → RT102調整 → Sメーター全点灯位置
【VCO調整】
 ・TP-76KHz → 周波数カウンタセット
 ・83MHz(無変調)→ RT203調整 → 76kHz
【パイロットキャンセル調整】
 ・音声出力 WaveSpectra接続
 ・83MHz(ST)→ RT202調整 → 19kHz漏れ信号最小
【OUTPUTレベル調整】
 ・音声出力端子 TP62 AC電圧計セット
 ・83MHz(60dB)Mono受信 → RT205調整 → Lch 0.775V
 ・音声出力端子 TP64 AC電圧計セット
 ・83MHz(60dB)Mono受信 → RT206調整 → Rch 0.775V
【セパレーション調整】
 ・83MHz(ST)→ RT205調整 → 反対chへの漏れ信号最小
【REC CAL調整】
 ・音声出力レベル測定
 ・REC CALオン → RT201調整 → 音声出力レベル-6dB ※350Hz
【AM VT電圧調整】
 ・TP AM → 電圧計セット
 ・ 522kHz → T301調整 → 1.6v ※確認のみ
 ・1602kHz → CT302調整 → 21.2v ※確認のみ
【AM 受信調整】
 ・ 729kHz NHKラジオ受信 → バーアンテナ内蔵コイル調整 → Sメーター最大
 ・1332kHz 東海ラジオ受信 → CT301調整 → Sメーター最大
 ・ 909kHz NHKラジオ受信 → IFT301,305,303調整 → Sメーター最大
【AM その他調整】
 ・RT701調整 → AMミューティング調整
 ・RT702調整 → AMシグナルインディケーター調整

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■試聴----------------------------------------------------------------

 ・幸いにも部品故障は無く調整作業だけで復活しました
 ・ST-J75は1980年頃の製品ですから製造から既に40年超ですね
 ・プリセットメモリボタンを見ると民放FMが4局しかなかった時代
 ・1980年製のテレビや冷蔵庫を使っている人はまずいないと思いますが、

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 ・ところで最近は旧車ブームだそうですね
 ・当時乗っていたクルマが破格の値段で取引されているのを最近知って驚きました
 ・クルマもオーディオも長く愛用するにはメンテナンスが欠かせません
 ・私はクルマの本格メンテは出来ませんが、
 ・チューナー分野でお手伝いできれば、と思っています


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