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2024年1月の記事

2024年1月28日 (日)

SONY ST-5000F 修理調整記録8

 ・2023年12月、「F」バッジの無いST-5000F故障機が届きました
 ・受信感度がかなり低いそうです
 ・以下、作業記録です

St5000f03_20240128084001

■製品情報-------------------------------------------------

 ・オーディオ懐古録 SONY ST-5000F \98,000(1969年)
 ・オーディオの足跡 SONY ST-5000F \98,000(1971年頃)
 ・Hifi Engine Sony ST-5000F FM Stereo Tuner (1969-77)
 ・SONY ST-5000F 回路図 (国内機)
 ・SONY ST-5000Fカタログ 1974年5月版

St5000f02_20240128084101 St5000f13

■動作確認-------------------------------------------------

 ・フロントパネルと背面の銘板には ST-5000F とありますが、
 ・本体正面右上角に「F」バッジがありません
 ・電源コードを見ると「1974」の印字
 ・1974年5月版カタログにも掲載があるので製造末期の個体です
 ・「F」バッジが無いのは初期の製品かと思っていましたが??
 ・それとも物理的に外れてしまったのか??
 ・それにしても外装がピカピカ、とても綺麗で驚きました
 ・ガラス窓の内側まで既に清掃済みのようです
 ・底面を見ると4本の脚が大型タイプに交換済み

 ・さて、テスト環境に設置して名古屋地区のFM局受信を試みると、
 ・照明窓がちょっと暗い、でも照明電球はすべて点灯している
 ・ご指摘の通りMUTINGオンの状態ではどの局も受信不可
 ・MUTINGオフにするとNHKと民放各局が受信できました
 ・しかしSメーターはほんの少し振れる程度しか動かない
 ・Tメーターの左右の振れ幅も極めて小さい
 ・STEREOランプ点灯しない
 ・受信感度が大幅に落ちているようです

■内部確認-------------------------------------------------

 ・続いてボディを開けて内部確認、これまたビックリ!
 ・シールドカバーもシャーシも隅々までピカピカ光沢です
 ・サビやクスミは一切なく内部もまるで新品みたいに超キレイ!
 ・このレベルで美しい個体は初めて見ました、驚きです
 ・照明電球はすべて点灯しています
 ・電源部の電解コンデンサー交換済み
 ・MPX基板の電解コンデンサも一部交換済み
 ・IF基板、検波基板、MUTING基板はオリジナル状態

St5000f20_20240128084201 St5000f23_20240128084201

■調整記録-------------------------------------------------

 ・過去の調整記録に従って各部再調整しました
 ・フロントエンドの調整によって受信感度が向上しました
 ・ただSメーター調整VRを最大に回してもSメーターの振れが小さい
  →電波強度60dB Sメーター振れゼロ
  →電波強度70dB Sメーター振れ約10%
  →電波強度80dB Sメーター振れ約50%
  →電波強度90dB Sメーター振れ約60% STEREOランプ点灯
 ・やはりフロントエンドかIF回路に問題がありか?

■修理記録:アンテナ線が外れていた!-----------------------

 ・IF基板に並ぶトランジスタの足はすべて真っ黒に変色しています
 ・まずはエレクトロニッククリーナーと歯間ブラシで足の清掃作業
 ・しかし全く効果なし
 ・次はフロントエンドユニットか、でもここは分解したくないな~
 ・そんなことを思いつつ、ふとアンテナ端子の内側を見ると、、
 ・何と、背面アンテナ端子とフロントエンドを接続する芯線が
 ・外れていました!またまたビックリ!
 ・たぶん、内部清掃した際に誤って引っ掛けてしまったのかな?
 ・対策として芯線を2cmほど延長して端子にハンダ付け
 ・この結果、受信感度が大幅に向上、というか元に戻りました
 ・Sメーターが大きく振れてMUTINGも正常に作動します
 ・もう一度最初から受信調整をやり直して復活しました

St5000f34_20240128084201 St5000f40_20240128084201

■調整記録(再)-------------------------------------------

【電源電圧調整】
 ・TP24V,TP12V → DC電圧計セット
 ・電源基板 R601調整 → 24V,12Vそれぞれ確認
【OSC調整】※フロントエンド
 ・76.0MHz受信 → L105調整 → Sメーター最大
 ・90.0MHz受信 → CT105調整 → Sメーター最大
【RF調整】※フロントエンド
 ・76.0MHz受信 → L101,L102,L103,L104調整 → Sメーター最大
 ・90.0MHz受信 → TC101,TC102,TC103,TC104調整 → Sメーター最大
 ・この作業を数回繰り返す
【IFT調整】※フロントエンド
 ・83.0MHz受信 → T101調整 → Sメーター最大
【レシオ検波調整】※検波基板
 ・固定出力端子 → WaveSpectra接続
 ・83.0MHz受信 → 指針をSメーター最大位置へ移動
 ・T301上段コア調整 → Tメーター中点(離調点が左右対称)
 ・T301下段コア調整 → 高調波歪最小点
 ・Tメーターが中点からズレた場合 → R319調整 → 中点
【Sメーター振れ調整】※IF基板
 ・83.0MHz 80dB受信 → R211調整 → Sメーターが90%振れる位置に
【MUTINGレベル調整】※ミューティング基板
 ・フロントパネル MUTINGツマミ → ON、最小状態
 ・83.0MHz 20dB受信 → R403調整 → MUTING作動点を左右対称に
【セパレーション調整】※MPX基板
 ・固定出力端子 → WaveSpectra接続
 ・83.0MHz 80dB受信 → R537調整 → セパレーション最大位置へ

St5000f50_20240128084001

■試聴-----------------------------------------------------

 ・アンテナ線が外れていたとは意外な盲点、
 ・というか最初に確認するべきでした
 ・それにしても50年経ってもこのデザインは古さを感じませんね
 ・さすがに高音質とは言えませんが威風堂々の雰囲気です

St5000f06

■ note 始めました-----------------------------------------

 ・ココログは2006年から利用していますが、いよいよ保存容量が厳しくなってきました
 ・引っ越し先をどうしようかと思案中ですが、、
 ・知人が最近 note を始めたと聞いて私も試しに開設してみました
 ・現在ココログとnoteを併用してテスト運用中です

 ・note BLUESS Laboratory

 

2024年1月21日 (日)

Nakamichi TA-30

 ・2023年12月、ナカミチ製レシーバーの故障品が届きました
 ・以前からデザインがステキだな、、と思っていた機種です
 ・思いがけず実機に触れる機会をいただきました
 ・以下、作業記録です

Ta3003

■製品情報------------------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 Nakamichi TA-30 ¥128,000(1989年頃)
 ・Hifiengine Nakamichi TA-30 High Definition Tuner Amplifier

Ta3002Ta3014

 ※機種名の違いは輸出先の違い、リモコンが2種類付属するのは日本モデルだけ
 ・TA-3A:U.S.A & Canada
 ・TA-3E:Europe
 ・TA-3 :Other & Australia
 ・TA-30:Japan

■動作確認------------------------------------------------------------

<提供者様からの不具合情報>
 ・TA-30のチューナー部でFMを聴いていたところ突然音が出なくなった
 ・周波数やシグナルレベルは正常表示されている
 ・他の入力端子から外部機器を繋ぐと音は正常に出ていた

Ta3005

<当方での確認事項>
 ・本当はアナログチューナー搭載のレシーバーが大好物なのですが、
 ・シンセチューナー搭載でもこのカッコよさは別格ですね
 ・外観に目立つキズも無くフロントパネルの状態は良好です
 ・実験用スピーカー、FM/AMアンテナ、CDプレーヤーを接続して動作確認開始
 ・電源投入直後にRchから「ボスッ」という大きな音、一方のLchは無音
 ・RchだけPOWER MUTEが効いていない?
 ・すぐにフロントパネルのチューナー部に周波数やインジケーターが緑色表示される
 ・FM/AM切換え、オート選局OK、チューナー操作は正常にできる
 ・シグナルインジケーター点灯、STEREOランプ点灯
 ・表示を見ていると受信しているようだが、、スピーカーからは全く音が出ない
 ・外部CDプレーヤーを各入力端子に接続して音出し実験
 ・入力端子CD、Video1、Video2:Lchの音が出ない、Rchは激しく歪む
 ・入力端子Tape1、Tape2:全く音は出ない
 ・プリとパワーを分離し、プリアウトの信号を確認しても状況は同じ
 ・チューナー回路の故障かと思ったら、異常はチューナー部だけでは無いようです
 ・着手前にサービスマニュアルと回路図を読み込んで頭に入れました

■内部確認------------------------------------------------------------

 ・接点復活剤か潤滑剤CRCか? スイッチ周りはベタベタでした
 ・特にSubsonic FilterとトーンON/OFFスイッチ周辺に透明な液体が溢れています
 ・メイン基板は2階建て構造、底板を開けると1階基板のハンダ面が見える
 ・1階の電源回路のトランジスタ周辺に多くの作業痕ありました
 ・作業痕を見るとハンダ付けはかなり雑な感じ?プリント配線が激しく傷んでいます
 ・サービスマニュアル最終頁にトランジスタ修理に関する追加情報がありました
 ・Q208とQ209は故障が多かったようで、修理時には別品に交換するようにとの指示です
  ・Q208:2SA733 → 2SA953
  ・Q209:2SC945 → 2SC2002
 ・基板で確認するとそれぞれ指定された品番に置き換わっていました
 ・Q208とQ209の周辺基板は表面も裏面も高熱で焼け焦げた状態になっています

Ta3020Ta3023Ta3024Ta3027Ta3028

 ・Lchの音が出ない原因はリレー(RY301)が正しく動作していない事でした
  ・リレーRch側:常時ONの状態、OFFにならないのでPower Muteが作動しない
  ・リレーLch側:常時OFFの状態、だから音は出ない
 ・Lch側のリレー接点を直結したところスピーカーから音がでました
 ・リレー(RY301、基板の印字はRL301)を見ると上部蓋をこじ開けた痕跡あります
 ・修理の先人はリレーの接点を磨こうとしたのかも?
 ・ハンダ面でMPX-IC U104(LA3400)の足にICクリップを引掛けて音を確認しました
 ・TUNER部はFM/AMとも受信音が聞こえる → やはり受信動作は正常です
 ・しかしそれ以降のアナログスイッチIC U204(LC7816)に受信音信号が来ていません
 ・その他の入力信号(CD等)はスイッチIC U204,U206(LC7816)まで来ています
 ・U203:NJM4558S チューナー音声が止まっているのはココ
 ・よく見かける8ピン型ではなく9ピンのSIP品です

Ta3000

■修理記録:プリント配線に亀裂発見!-----------------------------------

 ・U203:NJM4558S(SIP形2回路オペアンプ)チューナー音声はココで止まっている
 ・U203に供給される±電圧を調べると何故か両方とも−18v、+18vが来ていない?
 ・U203のすぐ横には焼け焦げたQ208とQ209が並んでいる → 何か関係あるか?
  ・Q206:2SD313
  ・Q207:2SD1408
  ・Q208:2SA953
  ・Q209:2SC2002
  ・Q210:2SB1017
  ・Q211:2SB507
 ・各足の電圧を測定してみると、+18vと−18vが混在?これは何かおかしい??
 ・ハンダ付け不良を疑って既設ハンダを吸い取ってみたら、、何と!基板に亀裂発見!
 ・Q208とQ209の3本の足、計6本が一直線に並んでいる方向に基板が割れていました
 ・この亀裂は部品面からも確認できました
 ・ルーペで観察すると、亀裂の延長線上にあるプリント配線が3箇所で切れていました
 ・内1本はU203:NJM4558S に+18vを供給するラインです
 ・亀裂ができた原因はトランジスタの高熱か? それとも前回部品交換作業時のストレスか?
 ・対策としてプリント配線が切断されている箇所を迂回する配線を追加しました
 ・恐る恐る電源投入すると、、TUNER音声が聞こえてきました!
 ・プリアウト端子の音を聞いてみると左右chとも歪のないキレイな音が聞こえます
 ・TUNER入力以外のCD端子などすべての端子入力もイイ音が聞こえます
 ・±18v系統(CN24)が正常化した事によって後続のトーン回路の動作も正常化したようです
 ・続いてプリとパワーを繋いでスピーカーから音を出してみると
 ・Rchからは正常な音が聞こえてきました! ただLchから音が出ない症状は変わらず、、
 ・次はリレー修理、交換です

Ta3033Ta3040Ta3041Ta3042Ta3043

■修理記録:リレー修理--------------------------------------------------

 ・基板からリレー(RY301、基板の印字はRL301)を取り外して詳細確認
 ・TAKAMISAWA製の24vタイプ
 ・接点を磨いてみようと本体上部の蓋を外して内部確認
 ・不調原因は可動部のヒンジがガイド部に引っ掛かって動けない状態だった事でした
 ・Rch側は常時ONの状態、Lch側は常時OFFの状態で固定されて動けない
 ・セラミックドライバーの細い先端で慎重に引っ掛かりを修正して基板に戻したところ、、
 ・電源投入時に「カチッ」とリレー音が聞こえてPOWER MUTEが作動しました
 ・Rchから発生していた不快な「ボスッ音」もおさまりました
 ・リレーは新品交換かと思いましたが修理できました

Ta3025Ta3050Ta3051Ta3052Ta3053

■調整記録------------------------------------------------------------

【アイドル調整】
 ・入力切換=CD、スピーカー切換=OFF、音量ボリューム=最小
 ・TP7-TP8 ハンダ面で電圧計セット → VR301調整 → 25mV Lch
 ・TP9-TP10 ハンダ面で電圧計セット → VR302調整 → 25mV Rch
【FM VT電圧】
 ・TP11〜GND 電圧計セット
 ・76.0MHz → 3.3v ※確認のみ
 ・90.0MHz → 18.0v ※確認のみ
【FM同調点調整】
 ・TP1〜TP2 → 電圧計セット
 ・Tape Rec出力 → Wavespectra接続
 ・83.0MHz受信 → T104調整 → 0v
 ・83.0MHz受信 → T105調整 → 高調波歪最小
 ・83.0MHz受信 → フロントエンドIFT調整 → 高調波歪最小
【ミューティング調整】
 ・83.0MHz,30dB受信 → VR102調整 → MUTING作動位置
【Sメーター調整】
 ・83.0MHz,60dB受信 → VR105調整 → シグナルインジケーター全点灯
【セパレーション調整】
 ・Tape Rec出力 → Wavespectra接続
 ・83.0MHz受信 → VR103調整 → 漏れ信号最小
【AM VT電圧】
 ・TP5〜TP6 電圧計セット
 ・522kHz → T103調整 → 1.0v
 ・1629kHz → 7.2v ※確認のみ
【AM受信調整】
 ・729kHz(NHK)受信 → T101,T102,L102調整 → Sメーター最大
 ・1332kHz(東海)受信 → TC101調整 → Sメーター最大
 ・1053kHz(CBC)受信 → VR101調整 → Sメーター点灯具合調整

Ta3070

 ★チューナー回路にはシルク印刷だけあって未実装の部品が多数ありました
 ★どうやら部品を満載した上位機があるような気配です
 ★メモリー内容を保持するリチウム電池はまだ生きていました

■試聴----------------------------------------------------------------

 ・基板の亀裂が徐々に拡大してプリント配線を破断した
 ・首の皮一枚で繋がっていた回路が切れた瞬間、チューナーの音が出なくなった
 ・この事件を引き金にしてリレーが異常動作して可動部が動けなくなった、、かも?
 ・それにしても焼け焦げた基板と亀裂を見ると、この先も安全に使えるかちょっと心配
 ・長時間の連続稼働は避けた方が良いです

Ta3007

■ note 始めました----------------------------------------------------

 ・ココログは2006年から利用していますが、いよいよ保存容量が厳しくなってきました
 ・引っ越し先をどうしようかと思案中ですが、、
 ・知人が最近 note を始めたと聞いて私も試しに開設してみました
 ・しばらくはココログとnoteを併用して使い勝手を試してみようと思います

 →note BLUESS Laboratory

2024年1月14日 (日)

PIONEER TX-910 修理調整記録3

 ・2023年2月、格安ジャンクのTX-910を入手しました
 ・優先順位の低い作業だったので随分と後回しになってしまいましたが、
 ・2024年1月の正月休みにようやく作業が進展しました
 ・以下、仮復活までの記録です

Tx91003_20240114083801

■製品情報------------------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 PIONEER TX-910 ¥75,000(1973年頃)
 ・オーディオ懐古録 PIONEER TX-910 ¥70,000(発売時)、¥75,000(1941年)
 ・Hifi Engine Pioneer TX-9100 AM/FM Stereo Tuner (1973-75)

Tx91002_20240114083201Tx91015_20240114083201

■動作確認------------------------------------------------------------

 ・ジャンク理由は何と!選局ツマミがありません(笑)
 ・でも過去に解体処分したTX-710のパーツがあるので何とかなるかな、と思いつつ
 ・全体にホコリを被ってかなり汚れた状態、でもヤニ汚れではないのが幸い
 ・選局ツマミが欠損していることは除いて、
 ・フロントパネルは目立つキズは無く洗浄すればキレイになりそう
 ・さて、FMアンテナを接続して電源オン、通電OKだが、、
 ・固定出力のL端子から「ブーン」という大きなノイズ
 ・でも可変出力端子からはノイズは聴こえない、以降可変端子で確認続行
 ・青色の周波数窓照明点灯、ただ左端が暗いので一部電球切れの模様
 ・二つのメーター照明点灯、オレンジ色の指針照明点灯
 ・FM/AMの切換に応じてポジションランプ点灯
 ・Sメーター最大点とTメーター中点が一致しないが名古屋地区のFM局を受信OK
 ・残念ながらSTEREOインジケーターが点灯しない、実際のステレオ感も無し
 ・MUTINGをONにすると受信できなくなる
 ・背面AMバーアンテナで名古屋地区のAM局を受信OK
 ・ここまで動作確認したところで急に音が出なくなった!
 ・SメーターとTメーターは振れるが音声端子から音が出なくなった
 ・これはどうしたことか??

■内部確認------------------------------------------------------------

 ・ボディを開けてみると通気口に沿って大量のホコリが堆積
 ・ベランダに持ち出してエアー噴射と小さい刷毛でホコリを徹底清掃
 ・ヤニ汚れが無いのが幸いでした
 ・次に基板ごとの黒いシールドカバーを外して内部確認
 ・修理痕や部品交換痕は無くオリジナル状態を保っているようです

■修理記録:電源基板のヒューズ交換------------------------------------

 ・以前の故障事例で電源基板のヒューズが切れていた事がありました
 ・その経験を踏まえてまずは電源部の電圧チェックからスタート
 ・やはりヒューズが1本切れていました
 ・電源基板20番端子ヒューズ 500mA → 0.5A 新品交換
 ・交換によって再び音が出るようになりました
 ・ついでに他のヒューズも新品に交換しておきました

Tx91050_20240114083301Tx91053_20240114083301

■修理記録:固定出力端子補修------------------------------------------

 ・固定出力端子のL側だけ「ブーン」という大きなノイズが出ます
 ・これはアース不良時に聞こえる音かな?
 ・調べてみるとMPX基板からは左右とも正常な音声が出ていました
 ・原因は、、
 ・固定出力端子のL側だけGND端子の「ツメ」が欠損していました
 ・こんな事ってあるでしょうか??
 ・GND端子にリード線をハンダ付けしてボディに落としました
 ・これで正常な音声が聞こえてきました

Tx91030_20240114083401Tx91032_20240114083401

■修理記録:選局ツマミ------------------------------------------------

 ・欠損している選局ツマミはTX-710のバーツを移植すれば楽勝、、
 ・そう思っていたのですが、、何と予想外な事に、取り付け方法が異なっていました
 ・TX-910の選局ツマミはイモネジ固定式、TX-710は単純に手前に引き抜くタイプ
 ・さらにTX-910の軸径(φ6mm)が太くてTX-710の選局ツマミが軸に刺さりません
 ・さて困った、、
 ・対策としてTX-710の選局ツマミの取付穴をφ6㎜ドリルで拡幅してTX-910にセット
 ・ピッタリはまって選局できるようになったのですが、
  →取付穴のセンターと回転軸のセンターが僅かにズレてしまいました
  →このため選局ツマミを回すとき僅かに偏心があります
  →偏心、つまり選局ツマミが微妙に楕円を描くように回ります
 ・TX-710の選局ツマミはもう1個あるのですが、
 ・正確な穴あけには卓上ボール盤が必要ですね、、欲しい、でも置き場所無いし、、

Tx91040_20240114083401Tx91046

■改造記録:FMアンテナ端子交換----------------------------------------

 ・TX-910の弱点は75ΩFMアンテナ端子がバラ線を繋ぐタイプであること
 ・以前から考えていたF端子への交換計画を実行しました
  ・現行のバラ線を接続する端子を強引に撤去
  ・取り付け穴をリーマーで拡幅
  ・F型端子を取り付け
 ・取付けベースがプラスチックなので加工は容易でした
 ・アンテナ接続が圧倒的に楽ちんになりました

Tx91060_20240114083501Tx91066_20240114083501

■調整記録------------------------------------------------------------

【レシオ検波調整】
 ・アンテナ入力なし → T4上段コア調整 → Tメーター中点
 ・83MHz → → T4下段コア調整 → 歪率最小
【OSC調整】(フロントエンド底面から)
 ・IF基板17番端子 → DC電圧計セット(Sメーター電圧)
 ・76MHz → T5調整 → 電圧最大
 ・90MHz → TC5調整 → 電圧最大
【RF調整】(フロントエンド底面から)
 ・IF基板17番端子 → DC電圧計セット(Sメーター電圧)
 ・76MHz → T1,T2,T3,T4調整 → 電圧最大
 ・90MHz → TC1,TC2,TC3,TC4調整 → 電圧最大
 ・83MHz → T6調整 → 電圧最大
【ミューティング調整】
 ・83MHz 70dB → VR3調整 → MUTING作動点をTメーターで左右対称
 ・Muting スイッチ1
 ・83MHz 20dB → VR4調整 → MUTING作動位置
 ・Muting スイッチ2
 ・83MHz 35dB → VR6調整 → MUTING作動位置
 ★リレー不調発覚! Lch正常動作、Rch作動しない
【Sメーター調整】
 ・83MHz → VR5調整 → Sメーター最大振れ
【VCO調整】
 ・MPX基板 2番端子=(PA1310-10pin)→ 周波数カウンタ接続
 ・83MHz ST信号 → VR1調整 → 19kHz
【セパレーション調整】
 ・音声出力 → WaveSpectra接続
 ・83MHz ST信号 → VR2調整 → 反対chへの漏れ信号最小
【AM OSC調整】
 ・IF基板 14番端子 → 電圧計セット(Sメーター電圧)
 ・ 600kHz受信 → T2調整 → 電圧最大
 ・1400kHz受信 → TC3調整 → 電圧最大
【AM RF調整】
 ・IF基板 14番端子 → 電圧計セット(Sメーター電圧)
 ・ 600kHz受信 → T1,バーアンテナ内コイル調整 → 電圧最大
 ・1400kHz受信 → TC1,TC2調整 → 電圧最大
 ※AM VR1:GAIN CONTROL
 ※AM VR2:OUTPUT LEVEL CONTROL

Tx91090_20240114083801

■修理記録:MUTINGリレー交換------------------------------------------

 ・調整の過程でMUTINGリレーの故障が発覚しました
 ・Lch側は正常動作しますが、Rch側だけ局間ノイズがダダ漏れです
 ・S2:ASR004 リードリレー
 ・同じ動作になるよう汎用リレー(941H-2C-24D:2回路C接点)に交換
 ・小さな基板にリレーを取り付け、裏返して両面テープで基板に固定しました
 ・これによって両chともMUTING動作が正常になりました

Tx91072_20240114083701Tx91081_20240114083701

■試聴----------------------------------------------------------------

 ・TX-910/810/710シリーズの周波数窓は青色照明が絶品です
 ・ウッドケースに包まれて優しく浮かび上がる青い照明窓、
 ・オレンジ色の輝く指針と赤いSTEREOランプが絶妙なアクセント
 ・薄暗い部屋でボーっと眺めているだけで幸せな気分に浸れます。
 ・とりあえず「仮復活」、引き続きフィラメント電球のLED化を研究中、、

Tx91007_20240114083801

2024年1月 7日 (日)

ONKYO FR-155A & D-02GX 作業ワゴン製作

 ・2023年10月、古いミニコンの本体部(FR-155A)を寄付していただきました
 ・CDトレイが出てこない、MDを吸い込んだまま吐き出さない、、
 ・もしCDやMDが内部に残っていたら返却希望、とのことでした
 ・実際にMDが装填されたままだったので取り出してお返ししました
 ・修理だけでは面白くないので本体を活用して「作業ワゴン」を製作しました
 ・古いミニコンの活用法として如何でしょうか?

Fr155a55_20240107084501

■製品情報:FR-155A --------------------------------------------------

 ・INTEC155シリーズのCD/MDチューナーアンプ
 ・2000年発売、スピーカー(D-02A)とセットで 90,000円(税別)
 ・Hifiengine ONKYO CD/MD Tuner Amplifier (2000)
● 主な製品仕様 ※取扱説明書より
【アンプ部】
 ・定格出力:25W+25W(4Ω),実用最大出力:30W+30W(JEITA・4Ω)
 ・全高調波歪率:0.4%(1kHz,8Ω,定格出力時)
 ・SN比:100dB(LINE-1,LINE-2,TAPE,CDR)
【チューナー部】
 ・受信周波数 FM:76~108MHz、AM:522~1629kHz
 ・感度(FM):18.8dBf(2.4μV,75Ω,SN50dB)
 ・歪率:0.2%(MONO)、0.3%(STEREO)
【CD部】
 ・ワウフラッター:測定限界以下
【MD部】
 ・全高調波歪率:0.018%(1kHz)
 ・ワウフラッター:測定限界以下
【共通】
 ・入力端子:LINE 入力×1系統、TAPE入力×1系統、CDR入力×1系統、
   デジタル入力×1系統、FM/AMアンテナ×各1系統
 ・出力端子:デジタル出力×1系統、TAPE出力×1系統、CDR出力×1系統、
   スピーカー×1系統
 ・外形寸法:155(W)×216.5(H)×362(D) / 6.0kg

Fr155a50Fr155a67

■動作確認------------------------------------------------------------

 ・永く放置していたそうで全体にホコリを被っている状態
 ・フロント面、特に電源スイッチ周辺に擦り傷や打痕が多い
 ・電源に接続すると内部からリレー動作音が聞こえて表示部に「00:00」点灯
 ・電源スイッチON、表示部点灯、輝度劣化はそれほど感じない
 ・リモコンが無いので本体ボタンを操作しながら試行錯誤で動作確認
【FM/AM】
 ・75ΩF端子にFMアンテナ、適当なAMループアンテナ接続
 ・周波数のアップダウンは本体最下段のCD操作ボタン「<」「>」
 ・FM/AMとも名古屋地区の放送局を受信できました
 ・FMではSTEREOインジケーター点灯、問題なさそうです
 ・信号発生器で確かめたところFMセパレーション値は約20dB程度でした
【CD】
 ・EJECTボタンを押してもトレイが出てこない、モーター音は聞こえる
 ・表示部に「No Disk」と表示され操作はこれ以上進まない
【MD】
 ・挿入口からMDディスクが見えるがEJECTボタンを押しても出てこない
 ・「No Disk」と表示され再生、早送り等どのボタンにも反応しない
【AUX,TAPE】
 ・外部にCDプレーヤーを接続して音だしテスト
 ・ここは正常に音出しOK
【時刻設定】※本体正面最下段の操作ボタンを操作
 ・[TIMER]ボタン押す
 ・[MULTI JOG]つまみを回して曜日を設定
 ・[MULTI JOG]つまみを押して(クリックして)確定
 ・[MULTI JOG]つまみを回して時刻「時:分」を設定
 ・[MULTI JOG]時報に合わせてつまみを押して(クリックして)確定

■修理記録:MDユニット分解修理----------------------------------------

 ・本体の分解方法や部品の交換方法は先人による情報がネット上に多数あります
 ・さらに Hifiengine でサービスマニュアルも入手したので準備万端
 ・貴重な情報に感謝しながら本体の分解に着手
 ・最初にMDユニットが露出、吸い込まれたままのMDディスクの救出作戦からスタート
 ・MDユニットを取り外して分解、MDディスクが見える状態で後部のギアを指で回す
 ・「ガチャ!」MDディスクが出てきました
 ・その後手持ちのMDディスクを挿入して再生を試みましたが、、
 ・残念ながら「No Disk」と表示されMDを認識せず
 ・その後MDディスクを取り出そうとするとまた出てこない、、
 ・もう一度分解してMDを取り出すことに、
 ・どうせMDは使わないのでMDユニットの修理は諦めました

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■修理記録:CDトレイベルト交換----------------------------------------

 ・さらに分解を進めてCDトレイのベルト交換に進みます
 ・基板や配線が入り組んでいて、CDトレイに辿り着くまで面倒な作業でした
 ・CDトレイは空の状態でした
 ・交換用ベルトは CDパーツマン で購入
 ・直径25mm×1.6mm角×1.6mm角 角ゴムベルト 250円
 ・ベルト交換後はスムーズにトレイの開閉ができるようになりました
 ・早速音楽CDを挿入したところ、残念ながら「No Disk」読み取り不可
 ・本機は本体底面を開けるとCDピックアップに直接アクセル出来る親切設計です
 ・底板を開けピックアップ横にあるレーザー出力調整VRを回してみるが、
 ・やはり残念ながらCD読み取り不可、次はピックアップ交換です

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■修理記録:CDピックアップ交換----------------------------------------

 ・実はベルトと同時にピックアップも CDパーツマン で購入しました
 ・KSS-213C 1,480円
 ・本体裏面のカバーを外してピックアップ交換
 ・ピックアップの交換作業はベルト交換に比べると超楽チンです
 ・交換直後も再び「No Disk」と表示されてちょっと焦りましたが、、
 ・ピックアップ横にあるレーザー出力調整VRで微調整を繰り返したところ
 ・CDの認識と再生がスムーズにできるようになりました

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■リモコン------------------------------------------------------------

 ・とりあえずCDとFM/AMが使えるようになったのでリモコンが欲しくなってきました
 ・純正リモコンの型番:RC-434S
 ・近所のHOジャンクコーナーでリモコン満載の青箱を漁ったところ RC-378S を発見
 ・ONKYO製ミニコンの別機種用リモコンのようです
 ・税込み330円で買ってきて試してみると、、無事に操作OKでした!
 ・やはりリモコンがあると操作性が格段に向上します
 ・FM/AM/CD/TAPE/AUXの入力切換OK、FM/AMの選局、CDの再生や停止

■修理調整記録:キャパシタ交換、クロック調整、受信調整----------------

【キャパシタ交換】
 ・バックアップは一般的なキャパシタだったのでこれを手持ち品に交換
 ・C715:0.1F/5.5v → 0.1F/5.5v
【クロック調整】
 ・サービスマニュアルに記載があった隠しコマンドを実践
 ・「CD STOP」ボタンを押しながら電源ボタン「STANDBY/ON」を押す
 ・テストモードに入って表示部のすべてのセグメントが点灯する
 ・テストポイント P702 → 周波数カウンタ接続
 ・トリマコンデンサC711調整 → 5MHz±10Hz(4,999,990~5,000,010Hz)
【FM/AM受信調整】
 ・チューナー部はアンテナ端子とセットになった小さなパッケージでした
 ・パッケージの両サイドのシールドカバーを開けてみました
  ・LA1837 :Single-Chip AM/FM IF and MPX IC
  ・LC72131 :電子同調用PLL周波数シンセサイザ
  ・VR1:FM TUNED → 同調点調整
  ・VR2:FM SEP → セパレーション調整
  ※当初20dB程度だったセパレーション値が40dB程度まで改善しました

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■試聴----------------------------------------------------------------

 ・実は上記リモコンを入手した店でONKYO製スピーカー(D-02GX)に遭遇しました
 ・ジャンク品ではないオーディオ棚に1,650円(税込)の値札で並んでいました
 ・その場でスマホ検索して純正セット品 D-02A との違いなど情報を入手
 ・D-02GX は2003年頃のINTEC155シリーズのセット品のようです
 ・これも何かの縁かな? そう思って確保してきました

■D-02GX 吸音材交換---------------------------------------------------

 ・D-02Aとの相違点:約5mm背が高い、背面ダクトが縦長スリット型
 ・外装にキズは見当たらない、ウーハーとツイーターにもキズなし、エッジも大丈夫
 ・ただちょっと気になることが、、
 ・本体を上向きにすると背面ダクトから何やら黒い粉が落ちてきます
 ・本体グルっと一回転してみるとさらに落ちてくる黒い粉、、何これ??
 ・ウーハーユニットを外して内部を見てみると、正体は劣化した吸音材でした
 ・背面ダクトの側面だけは薄っぺらいウール製吸音材が貼ってありましたが、
 ・他の面はウレタン系のスポンジ吸音材が貼られていました
 ・このスポンジ吸音材が製造から20年を経て加水分解によってボロボロ状態でした
 ・残っているスポンジも軽く触れるだけで形が崩れ粉末になっていきます
 ・これでは吸音材として全くの役立たず状態です
 ・そもそもスカスカのスポンジなんて、元から役立たずだったのでは??
 ・そこでボロボロ吸音材を掃除機ですべて吸い取りました
 ・ウーハーユニットやネットワークに付着した残骸もキレイに除去
 ・代わりにホームセンターで厚さ5cmの吸音ウールを買ってきて詰め込みました
 ・結果は、音が劇的に変わりました、、いい音かどうかは別にして、
 ・低音がクッキリ締まった感じで自己満足です
 ・シンプル過ぎるネットワークも改造すると面白いかもと思いつつ、
 ・でもこのスピーカーでそこまでする気力はないので作業はここまで

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■動作確認用の作業台(ワゴン)製作------------------------------------

 ・さて、発売当時90,000円のミニコンセットの使い道は、、
 ・チューナー等ジャンク機の動作テストをする専用作業台(ワゴン)に仕立てました
 ・ジャンク機や修理依頼機の動作テストをするための一時的な音出しシステムです
 ・自宅にあった端材や100円ショップで集めた材料を使って安価に仕上げました
  →スピーカーキャビネット上面を450mm×300mmの棚板でネジ止め
  →FR-155Aの放熱対策としてスピーカー上部に1cmの空間を確保
  →移動可能なワゴンにするため底面にも板を貼りキャスターを設置
  →作業台として使えるように上の棚板にはシリコーンマットを貼る
 ・スピーカーキャビネットに直接木ネジを打ち込むなんて、、
 ・スピーカーファンの方からお叱りを受けそうですが
 ・動作確認用の音出しセット、コンパクトな作業ワゴンとして重宝しています
 ・古いミニコンの活用方法として自画自賛(笑)

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