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2024年4月 7日 (日)

TRIO KT-8300 修理調整記録8

 ・2024年2月、KT-8300の故障機が届きました
 ・照明電球が点灯するだけで全く受信できないそうです
 ・さて、直せるか?

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■製品情報--------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 TRIO KT-8300 ¥63,000(1978年発売)
 ・Hifi engine Kenwood KT-815 AM/FM Stereo Tuner (1979-80)

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■動作確認--------------------------------------------------

<提供者様からの事前情報>
 ・FMは受信できていたが、時々ザザザとノイズが入るようになった
 ・IFバンドスイッチを弄ったところ受信反応がなくなった
<当方での確認事項>
 ・フロントパネルやボディに目立つ傷なし
 ・外観はすでに清掃済みのようで背面端子はどれもピカピカです
 ・さて、FMアンテナを接続して電源オン
 ・周波数窓のオレンジ色照明点灯、電球切れは無さそう
 ・名古屋地区のFM局で受信テスト開始、、しかし
 ・事前情報通り76MHz~90MHz全区間で何も受信しない
 ・Tメーター、Sメーターともまったく振れない
 ・固定/可変端子とも無音、局間ノイズも聞こえない
 ・各機能切換スイッチを操作してもまったく反応なし
 ・ただIF BAND切換スイッチのロック機構にちょっと違和感あり
 ・スイッチを押してロックする時と解除する時に引っ掛かりがある
 ・この引っ掛かるタイミングで照明電球がわずかに明滅する
 ・他のスイッチ操作時はこの明滅現象は発生しない
 ・スイッチのロック機構の故障はよくある事例ですが、
 ・さらに電源回路に不具合がありそうです

■内部確認--------------------------------------------------

 ・バリコンが回転する軸受け部に緑青色のサビが浮き出ている
 ・LA1222、HA1137W、HA11223WやいくつかのTRの足は既に磨かれている
 ・機能切換スイッチの長い足もピカピカでした
 ・ハンダ面を見るとIF BANDスイッチだけ再ハンダの痕跡あり
 ・ハンダ割れなど目視で分かるような劣化部品は見当たりません

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■修理記録:電源回路のツェナーダイオード故障-----------------

 ・受信しない原因を探して電源回路の点検スタート
 ・輸出機KT-815の回路図を見ながら電圧値を確認したところ、
  ・+14v → +14.2v ◎OK
  ・-13.5v → 0v ★NG
 ・-13.5vが出ていないことを発見
 ・この原因は D19(KT-815回路図ではD27)ツェナーダイオード故障でした
 ・D19(YZ-140)が0.2Ωの抵抗と化していました
 ・14v品が無いので手持ちの新品15v品に交換 → 電圧確認 ー14.1v ◎OK
 ・-14vが復活したことによってFM受信動作が回復しました
 ・SメーターとTメーターが大きく振れてFM放送受信OK
 ・STEREOランプ点灯、LOCKランプ点灯
 ・わずかに周波数ズレありますがこれはOSC調整で修正可能
 ・これで直った! と思って調整作業に取り掛ったのですが、、

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■再び故障発生!--------------------------------------------

 ・ところが、各部の受信調整作業をしていた時に再び同じ故障発生!
 ・IF BAND切換スイッチを押し込んで引っ掛かりを感じたとき
 ・照明が一瞬明滅したと思ったら受信動作が失われました
 ・何と最初の状態に戻ってしまいました、、あれれ??
 ・原因はいま交換したばかりのD19ツェナーダイオードでした
 ・もう一度新品の15v品に交換して受信動作を回復させました
 ・再々調整して正常動作に戻ったのですが、、
 ・実はこの後もう一度同じ経緯を繰り返してD19を再々交換しました
 ・これは一体どういうことだ??

■故障原因の考察--------------------------------------------

 ・IF BAND切換スイッチを押し込んだ時
  →引っ掛かりナシ → WIDE/NARROWが正常に切り換わる
  →引っ掛かりアリ → D19がショートする
 ・輸出機KT-815の回路図を見ながら考えました

 ・IF BAND切換スイッチは4回路構成のスライドスイッチです
 ・スイッチ内で±14vが入れ替わることでWIDE/NARROW切換を実現している
 ・もしかしてスイッチ内部の接点で±14vが交錯するのでは?
 ・±14vが交錯したとき安全回路のD19がショートモードになるのかも?
 ・同様のスイッチを分解清掃した過去事例は多々ありますが、
 ・接点を跨ぐ小さな導通素子が真っ黒に変色している姿が想像できます
 ・操作時に引っ掛かりがあるといういう事はロック機構の不具合か?
 ・今はIF BAND=WIDEの状態で正常動作しています
 ・IF BANDスイッチを操作しなければこのまま正常だと思います

■修理するなら----------------------------------------------

 ・KT-8300又はKT-8100のジャンク機を調達してスイッチだけ移植する
 ・あるいはスイッチを取り外して分解し内部洗浄する
 ・ただロックスイッチを分解すると元に戻せなくなる可能性が高い、、
 ・さて、どうしましょう、、

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■修理記録:IF BAND切換スイッチ交換-------------------------

 ・ジャンク箱を捜索したところ KT-8100 の基板が出てきました
 ・過去に解体処分して部品取り用に保管していた残骸です
 ・これにIF BAND切換と同じ4回路スイッチが載っていました
 ・KT-8100ではFM/AM切換スイッチですが、取付方法、サイズなど同じです
 ・早速切換スイッチを移植しました
 ・交換後は切換時の引っ掛かりはなくD19が切れることもありません
 ・修理としてはこれで完了ですが、引っ掛かりの原因が気になる、、

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 ・そこで取り外したスイッチを分解して内部を調べてみました
 ・分解方法は意外に簡単、前面のバネを少しズラして上蓋を開けるだけ
 ・4回路の一つが±14vを切り換える機能を担っていますが、
 ・何と、ここの導通部品だけ一部溶けて破損していました!
 ・周囲のプラスチック部品もここだけ黒く煤けた感じになっています
 ・やはりここで±14vが交錯したようです
 ・破損した導通部品がスイッチ操作時の引っ掛かり原因になっていた
 ・スイッチのロック機構自体は正常でした
 ・それにしてもそもそもの原因は何だったのでしょう?

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■修理記録:バリコン軸の洗浄--------------------------------

 ・バリコンが回転する軸受け部に緑青色のサビが浮き出ている
 ・軸部にエレクトロニッククリーナーを少量噴射して回転させる
 ・SSサイズの歯間ブラシで軸受け部を磨く
 ・エアダスターを吹きかけて乾燥させる
 ・軸受け部にCRC-556を極少量噴射して回転させる

■調整記録--------------------------------------------------

【FM OSC調整】
 ・マルチパスV端子 → 電圧計セット(Sメーター電圧)
 ・83MHz 受信 → TCo調整 → 電圧最大
【FM RF調整】
 ・マルチパスV端子 → 電圧計セット(Sメーター電圧)
 ・83MHz 受信 → TCA1,TCA2,TCR1,TCR2調整 → 電圧最大
【Tメーター調整1】
 ・SSG 83MHz 1kHz 60dB
 ・83MHz M0NO → T2調整 → Tメーター中点
【Tメーター調整2】
 ・SSG 83MHz 1kHz 60dB
 ・83MHz M0NO サーボロックON → VR10調整 → Tメーター中点
【Sメーター調整】
 ・SSG 83MHz 1kHz 60dB
 ・83MHz MONO → VR4調整 → Sメーター「目盛り4.8」
【WIDE GAIN調整】
 ・SSG 83MHz 1kHz 60dB
 ・83MHz MONO NARROW受信 → Sメーター目盛り位置を確認
 ・83MHz MONO WIDE受信 → VR1調整 → SメーターNARROWと同じ位置
【DISTORTION調整】
 ・固定出力端子 → WaveSpectra接続
 ・SSG 83MHz 1kHz 60dB
 ・83MHz MONO → L8(フロントエンド内)調整 → 歪最小
【パルスカウント検波調整】
 ・R91右足 → 周波数カウンタセット
 ・SSG 83MHz 無変調 60dB
 ・83MHz受信 → T6調整 → 1.96MHz
【MUTING調整】
 ・SSG 83MHz 1kHz 30dB
 ・83MHz MONO → VR2調整 → MUTING開始位置確認
【VCO調整】
 ・R97後足 → 周波数カウンタ接続
 ・SSG 83MHz 無変調 60dB
 ・83MHz受信 → VR5調整 → 76kHz
【パイロットキャンセル調整】
 ・固定出力端子 → WaveSpectra接続
 ・SSG 83MHz 60dB Pilot信号
 ・83MHz ST受信 → VR6調整 → 19kHz信号最小
【WIDE セパレーション調整】
 ・固定出力端子 → WaveSpectra接続
 ・83MHz WIDE Rch → VR7調整 → 反対chへの漏れ信号最小
 ・83MHz WIDE Lch → VR8調整 → 反対chへの漏れ信号最小
【NARROW セパレーション調整】
 ・固定出力端子 → WaveSpectra接続
 ・83MHz NARROW L/R → VR9調整 → 反対chへの漏れ信号最小

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■動作確認(再)--------------------------------------------

 ・上記調整作業は正常に完了できましたが、ちょっと気になることが、、
 ・WaveSpectraで波形観察しているとノイズフロアが微妙に上下します
 ・振れが大きいときには「チリッ、ザザッ」という雑音として聞こえます
 ・左右chとも同じ雑音が聞こえます
 ・過去の経験から検波回路のフィルターが怪しい感じです

■修理記録:検波回路フィルター------------------------------

 ・パルスカウント検波回路のフィルターではトラブルが頻発しています
 ・原因はフィルター内蔵コンデンサーが真っ黒に変色する現象です
 ・この現象が「チリッ、ザザッ」雑音の原因になる事例は多くありました
 ・そこで順番に基板から取り外して裏面チェック実施

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  ・FL3 (L79-0080-05) 2連 → 42pF,86pF,86pF
  ・FL6(L79-0094-05)青色 → 113pF,174pF
  ・FL1(L79-0095-05)黄色 → 188pF
  ・FL7(L79-0096-05)緑色 → 63pF,410pF
  ・FL2(L79-0097-05)白色 → 1145pF,425pF

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 ・FL3の裏面を見るとコンデンサは意外にキレイな状態でした
 ・次にFL6,FL1,FL7,FL2を外して裏面確認、ここは黒化が酷い状態でした
 ・各内蔵コンデンサの実測値を写真に書き込んでおきました
 ・対策としてエレクトロニッククリーナーに浸した刷毛でそっと清掃
 ・目に見える部分だけですがそれでも暗黒物質がキレイに取れました
 ・清掃後に容量チェックしましたが清掃前と有意な差は無かったです
 ・すべての処置を終えてフィルターを基板に再セットし動作確認
 ・結果、WaveSpectraで見える波形のノイズフロアが落ち着きました
 ・ヘッドホンで聞いても「チリッ、ザザッ」という雑音は感じません
 ・雑音問題は解決できたと思います

■試聴------------------------------------------------------

 ・作業を終えてもう一度最初から調整し直しました
 ・それにしてもスイッチが故障した原因は何だったのでしょうか?
 ・IF BANDスイッチは常時WIDEで使用することをお勧めします

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 → note BLUESS Laboratory

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コメント

内部で大きな漏電歴が有ったのでしょうか?
何気に怖いですね。
そこまで溶かすとはかなりの電力ですよね。
確かにIF BANDはよほど触る事が無いですよね。
自分もワイド固定が常です。

-13.5Vを切り替えているスイッチのコモンが反対側のコモンと半田ブリッジ
していたのかもしれないです。

IF BANDスイッチだけ再ハンダの痕跡があったので、その可能性ありますね。
スイッチ交換時によく確認すればよかったと反省しています。

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