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2024年6月の記事

2024年6月30日 (日)

SONY ST-3950

 ・2024年2月、市内のHOジャンクコーナーで入手しました
 ・外観はボロボロですが周波数窓内側のガラス板は無傷みたい
 ・欲しかったのは周波数や目盛りを刻んだガラス板だけでしたが、
 ・でも初体験機種だったので解体前に一通り整備してみました
 ・以下、作業記録です

St395003

■製品情報-------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 SONY ST-3950 ¥49,800(1976年頃)
 ・オーディオ懐古録 SONY ST-3950 ¥49,800
 ・Hifi Engine SONY ST-3950 AM/FM Stereo Tuner (1976-78)

St395002St395011

■動作確認-------------------------------------------------

 ・電源コードの印字 → 1976
 ・フロントパネルに目立つ傷は無いが、全体にかなり汚れた状態
 ・3個並んだプッシュボタンは緑青サビが酷い状態
 ・背面パネルの錆び付いた端子類が長年放置されていた歴史を物語ります
 ・さて電源を接続してスイッチオン、緑色の周波数窓が浮かび上がる
 ・ガラス板に印字された周波数目盛りや数字にダメージなし、期待通り!
 ・TメーターとSメーターの照明電球も点灯、電球切れは無さそう
 ・75Ω端子にFMアンテナを接続して名古屋地区のFM局を受信テスト
 ・選局ツマミを回すと指針の移動に伴って激しいバリバリノイズ発生
 ・このときTメーターとSメーターはノイズに反応して激しく振れる
 ・この影響でTメーター中点とSメーター最大点が判然としない
 ・何とかFM放送は受信できるがSTEREOランプ点灯しない
 ・AM放送は背面バーアンテナで名古屋地区のAM局を受信OK
 ・まずはバリコン軸の洗浄から始めます

■内部確認-------------------------------------------------

 ・FM4連、AM2連バリコン → HA1137
 ・IFバンド Narrow/Wide切り替えなし
 ・IC201:HA1137(クアドラチュア検波)
 ・IC301:HA1156
 ・RT201:OUTPUT LEVEL調整
 ・RT202:Sメーター調整
 ・RT203:MUTING調整
 ・RT301:VCO調整(19kHz)
 ・RT501:セパレーション調整

St395000

 ・本機はHA1137によるクアドラチュア検波でした
 ・上位機ST-5950とST-4950はレシオ検波でしたがコストダウンですね
 ・ガラス板サイズと取付方法は上位機 ST-5950,ST-4950 と同じ
 ・電球仕様:STANLEY 12v/5w、端子電圧 AC10.8v(実測)×3個

St395022St395023St395024St395025St395026

■修理記録:バリコン軸洗浄---------------------------------

 ・選局ツマミを回すと指針の移動に伴って激しいバリバリノイズ発生
 ・このときTメーターとSメーターはノイズに反応して激しく振れる
 ・この原因はバリコン軸と軸受け部に塗布されたグリスの劣化です
 ・青緑色に変色し、接触不良を起こしてノイズ源になっています
 ・まず爪楊枝の先端で青緑色の劣化グリスを剥ぎ取る
 ・エレクトロニッククリーナーを噴射して劣化グリスを溶かす
 ・軸を回転させながら歯間ブラシで残りかすを掃きだす
 ・最後に軸受け部にCRC-556を少量噴射して馴染ませる
 ・バリバリノイズは解消してFM放送受信を確認できました
 ・ただ依然としてSTEREOランプは点灯しない

■調整記録-------------------------------------------------

 【Tメーター調整】
 ・アンテナ入力なし
 ・IFT201(青)調整 → Tメーター中点へ
 【FM OSC調整】
 ・ダイヤル指針 → 周波数目盛り90位置にセット
 ・90MHz受信 → CT104調整 → Sメーター最大
 ・ダイヤル指針 → 周波数目盛り76位置にセット
 ・76MHz受信 → L104調整 → Sメーター最大
 【FMトラッキング調整】
 ・76MHz受信 → L101,L102,L103調整 → Sメーター最大
 ・90MHz受信 → CT101,CT102,CT103調整 → Sメーター最大
 ・83MHz受信 → IFT101調整 → Sメーター最大
 【検波調整】
 ・音声出力 → WaveSpectraで観測
 ・83MHz受信 → IFT201(青)調整 → Tメーター中点 ※確認のみ
 ・83MHz受信 → IFT201(黒)調整 → 高調波歪最小
 【Sメーター振れ調整】
 ・83MHz受信 → RT202調整 → Sメーター最大振れ調整
 【ミューティング調整】
 ・83MHz受信 → RT203調整 → ミューティング調整※
 【VCO調整】
 ・TP(19kHz) → 周波数カウンタ接続
 ・アンテナ入力なし → RT301調整 → 19kHz
 【セパレーション調整】
 ・音声出力 → WaveSpectraで観測
 ・83MHz受信 → RT501調整 → 左右chの漏れ信号最小
 【オーディオレベル調整】
 ・固定出力端子 → AC電圧計セット
 ・83MHz60dB受信 → RT201調整 → 1.6v(6dB)
【AM調整】
 ・ダイヤル指針→ 600kHz位置にセット
 ・600kHz受信 → L402調整 → Sメーター最大
 ・600kHz受信 → バーアンテナ内L801調整 → Sメーター最大
 ・ダイヤル指針を1400kHz位置にセット
 ・1400kHz受信 → CT402調整 → Sメーター最大
 ・1400kHz受信 → CT401調整 → Sメーター最大

St395032

■試聴-----------------------------------------------------

 ・本体カバーを外して丸ごと洗浄、錆びた端子も研磨しました
 ・緑青サビが出ていたフロントのプッシュボタンは錆び落とし
 ・上位機と同様に緑色照明に浮かび上がる周波数窓が美しい、、
 ・外観ボロボロのジャンク機だったとは思えない仕上がりです

St395006

■周波数や目盛りを刻んだガラス板の件-----------------------

 ・実はガラス板を ST-4950 に移植することでしたが入手目的でした
 ・ところが比べてみると ST-5950/ST-4950 のガラス板とは別物でした
 ・正確にはガラス板のサイズと取り付け方法は同じなのですが、
 ・残念ながらFMの目盛間隔、AM周波数の数字が異なりました
 ・そうか、バリコンユニットが異なるので目盛間隔も違うのか、、
 ・あと、白い文字の印字が丈夫で剥がれ難い造りになっていました
 ・ウエットティッシュで拭いた程度ではビクともしません
 ・残念、、移植計画は断念しました
  <上段>:ST-4950  <下段>ST-3950

St395040St395041

 → note:BLUESS Laboratory

2024年6月23日 (日)

SONY ST-S333ESXII 修理調整記録13

 ・2024年4月、サイドウッド無しの故障機を寄付していただきました
 ・もし復旧できなくても部品取り機として活用できます
 ・以下、作業記録です。

Esx208

■製品情報--------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 SONY ST-S333ESXII ¥49,800(1987年発売)
 ・SONY ES テクノロジーカタログ 1987年10月発行
 ・Hifi Engine ST-S730ES 海外版サービスマニュアル

Esx202_20240623083701Esx215

■動作確認--------------------------------------------------

 ・電源とアンテナを接続して動作確認開始
 ・オート選局では名古屋地区のFM局を-0.1MHzズレた周波数で受信OK
 ・ズレた周波数でシグナルインジケーターが半分ほど点灯する
 ・ただSTEREOインジケーター点灯しない
 ・IF BAND切換OK、REC CALトーンOK、メモリ登録動作OK
 ・適当なAMループアンテナでAM放送の受信確認OK
 ・問題点はFM同調点のズレですね

■調整記録--------------------------------------------------

【FM同調点調整】
 ・IFT205調整 LA1235-7pin~10pin間電圧ゼロ
【VT電圧調整】
 ・IC803-5pin電圧測定
 ・90MHz L104調整 21.0V±0.2V ※調整前実測19.8V
 ・76MHz 確認のみ 8.0V±1.0V ※調整前実測 7.5V
【SST回路調整】
 ・SST調整はVT電圧調整後、かつトラッキング調整前に行うこと
 ・76MHz受信 RT801調整 IC802-11pin電圧 → 0V 実測1.0mV
 ・90MHz受信 IC802-9pin電圧 → 14V確認 ※調整前実測14.0V
【トラッキング調整】
 ・IC203(LA1235)-13pin(又はRT204)電圧最大
 ・76MHz L101,L102,L103
 ・90MHz CT101,CT102,CT103
 ★CT101~CT103が過敏に反応して最大値が定まらない
 ★シグナルインジケーター電圧が+3v程度と通常よりかなり低い
【PLL検波調整】
 ・TP201をGNDに落とす
 ・IFT207調整 TP202 DC電圧ゼロ ※調整前実測-45mV
 ・CT201調整 歪最小
 ★CT201を回すと「ザザッ」というノイズが発生する
【IF歪調整】
 ・Wide受信、MUTINGオフ
 ・IC203(LA1235)-13pin電圧計セット
 ・RT202、RT203 時計回り一杯に回す
 ・SSG出力20dBモノラル信号送信
  ・IFT201調整 電圧最大へ
  ・IFT101調整 電圧最大へ
 ・SSG出力80dBにセット
  ・IFT203、RT202を交互に調整 歪最小へ
 ・SSG出力20dBにセット、Mutingオン
  ・IFT202調整 電圧計最大へ
 ・SSG出力80dBステレオ信号送信
  ・IFT204、RT203を交互に調整 歪最小へ
【STEREOインジケータ調整】
 ・RT206 SSG出力20dBでステレオインジケータ点灯
【パイロットキャンセル】
 ・RT303、L301 19kHz信号漏れ最小 左右バランス確認
【セパレーション調整】
 ・RT301 R→L ※調整後実測65dB
 ・RT302 L→R ※調整後実測63dB
【Sメーター調整】
 ・RT204
【MUTINGレベル調整】
 ・RT205
【CAL TONE】
 ・Peak Level-5.2dB ※334Hzの波形が出ていました。
【AM調整】
 ・RT401 Sメーター調整
 ・RT402 AUTOSTOP調整
★WaveSpectraで観測する波形のノイズフロアがやけに乱れる
★電源周波数60Hzの逓倍に目立つピークが現れる

Esx270

■修理記録:アースバーのハンダ割れ修正----------------------

 ・アースバーのハンダ箇所を総点検したところ複数の割れ箇所確認
 ・特にフロントエンド~OSC部のハンダ割れが酷い
 ・ここを再ハンダして修正しました

Esx220Esx221_20240623083801

■修理記録:フロントエンドのトリマコンデンサ総交換----------

 ・CT101~CT103が劣化しているようです
 ・これを10pFの新品に交換
 ・これによってシグナルインジケーター電圧が+5v程度まで上昇
 ・最大値もピタリと決まるようになりました

Esx230_20240623083801Esx232_20240623083801

■修理記録:PLL検波回路のトリマコンデンサ交換---------------

 ・CT201を回すと「ザザッ」というノイズが発生する
 ・繰り返しグリグリ回してもノイズは解消しないので交換しました
 ・パーツリストを見ても容量不明ですが 20pF で良さそうです

Esx241Esx242

■修理記録:電源回路のヒューズ抵抗交換----------------------

 ・333シリーズのヒューズ抵抗は劣化事例が多いです
  ・R902: 22Ω(1/4w)→ 35Ω ★新品交換
  ・R905:220Ω(1/4w)→ 338Ω ★新品交換
  ・R902:100Ω(1/2w)→ 105Ω
 ・交換後はノイズフロアの波形がキレイに落ち着きました

Esx250Esx256

■修理記録:キャパシタ交換、タンタル交換--------------------

 ・メモリ内容を保持するキャパシタと近くにあるタンタルコンデンサを交換
  ・C605:39mF/5.5v → 0.1F/5.5v
  ・C604:10uF/6.3v → 10uF/50v
 ・交換後のキャパシタは小型サイズで体積比では僅か1/24に
 ・でも容量は約2.6倍と頼もしい限りです

Esx261Esx262

■試聴------------------------------------------------------

 ・上記修理作業後にもう一度調整作業をやり直しました
 ・FM/AMとも気持ちよく受信できています
 ・最後に別に保管していたサイドウッドを取り付けて再生完了
 ・やはりサイドウッドがあると高級感が増幅されますね

Esx203_20240623083501

note:BLUESS Laboratory

2024年6月16日 (日)

SANSUI TU-7900

 ・2024年4月、以前から気になっていた機種をヤフオクで入手しました
 ・もちろん動作保証なしのジャンク品です
 ・もし直せなくても内部を確認するだけでいいと割り切っていました
 ・以下、作業記録です

Tu790003

■製品情報--------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 SANSUI TU-7900 ¥60,000(1976年頃)
 ・HifiEngine Sansui TU-7900 Stereo AM/FM Receiver (1976-77)

Tu790002Tu790016

■動作確認--------------------------------------------------

 ・たぶん TU-9900、TU-7900、TU-5900 のシリーズ構成と思います
 ・以前 TU-5900 の修理調整をしたときに素性の良さを感じました
 ・いつか上位機を見てみたいと思って今日に至っています

 ・正面から見ると普通のコンポサイズ、でも奥行きが約25cmでコンパクト
 ・小型ボディながら重量6.6kg、持ち上げるとズッシリ感あり
 ・見た目はTU-5900と同じだがフロントパネルの操作スイッチが一つ多い
 ・Sメーターをシグナル/マルチパスに切り換えるスイッチが増えている
 ・さて、FMアンテナを接続して電源オン、
 ・優しい電球色照明が周波数窓に点灯、何となくTU-707に似た雰囲気です
 ・FMアンテナを接続して名古屋地区のFM局を受信してみると
 ・SメーターとTメーターが大きく振れて主なFM局の受信OK
 ・ただSメーター最大点とTメーター中点が一致しない
 ・Sメーター最大点の周波数は-0.2MHzほどズレている
 ・残念ながらSTEREOランプ点灯が点灯しない
 ・MUTING機能OK
 ・続いて名古屋地区のAM局の受信テスト
 ・背面バーアンテナは引き出し式で5cmほど後方に飛び出す構造
 ・AMは特に問題なさそうです

Tu790005Tu790006Tu790011Tu790013Tu790014

■内部確認--------------------------------------------------

 ・FM4連、AM2連バリコン搭載フロントエンド
 ・シールドカバーを外そうとしたらユニット本体ごと外れて焦りました
 ・IF BAND切換なし セラミックフィルタ×2段
・レシオ検波
 ・HA1196:PLL MPX IC
 ・HA1151:AM TUNER

Tu790000

 ・VR01:Tメーター中点調整
 ・VR02:FM Sメーター調整
 ・VR03:Mutingレベル調整
 ・VR04:VCO調整76kHz
 ・VR05:セパレーション調整
 ・VR06:AM Sメーター調整
 ・VR01:Nois Canceller調整 ※縦置き基板(F2550)

Tu790022Tu790024Tu790026Tu790027Tu790029

【備忘録】予想通り特殊形状の照明電球を発見!
 ・TRIO KT-9007、KT-7007、SANSUI TU-707、TU-5900、TU-7900

Tu790040Tu790041Tu790042

■調整記録------------------------------------------------------------

 ・海外版サービスマニュアルを参考にしました。
 ・FM Antenna Attenuator : out
 ・MPX Noise Canceller : out
 ・FM Muting : off
 ・Output Level : max
 ・Output出力をWaveSpectraで観察

Tu790050

【IF調整】
 ・TP01 → オシロスコープ接続
 ・IF基板入口に10.7MHz注入 → T01調整 → 波形最大
【レシオ検波調整】
 ・TP02 → 電圧計セット
 ・IF基板入口に10.7MHz注入 → T02調整 → 電圧ゼロ
 ・→ T03調整 → 高調波歪最小
【Tメーター中点調整】
 ・最適受信位置 → VR01調整 → Tメーター中点
【FM OSC調整】
 ・指針76MHz位置にセット
 ・76MHz受信 → L06調整 → Tメーター中点
 ・指針90MHz位置にセット
 ・90MHz受信 → TC04調整 → Tメーター中点
【FM RF調整】
 ・76MHz受信 → L01,L02,L03調整 → Sメーター最大
 ・90MHz送信 → TC01,TC02,TC03調整 → Sメーター最大
 ・83MHz送信 → L05調整 → Sメーター電圧
【ミューティング調整】
 ・TP03 → 電圧計セット
 ・83MHz 20dB → T04調整 → 電圧最大
 ・83MHz 20dB → VR03調整 → MUTING作動位置
【FM Sメーター調整】
 ・83MHz 80dB → VR02調整 → Sメーター振れ調整
【VCO調整】
 ・TP04 → 周波数カウンタ接続
 ・83MHz 無変調 → VR04調整 → 76kHz
【セパレーション調整】
 ・83MHz ST信号 → VR05調整 → Lch/Rch 漏れ信号最小
【STEREO歪調整】
 ・WaveSpedtraで観察
 ・83MHz送信 → T01調整 → 歪率最小
【Noise Canceller調整】縦置き基板F2550
 ・83MHz Rch信号受信 → VR01反時計回りに回し切る
 ・Noise Cancellerスイッチ ON
 ・VR01を戻しながらセパレーション-20dB付近に合わせる
【AM OSC調整】
 ・600kHz → T05調整
 ・1400kHz → TC05調整
【AM RF調整】
 ・600kHz → バーアンテナ内蔵コイル,T06調整
 ・1332kHz → TC6調整
【Sメーター調整】
 ・VR06調整 → Sメーター振れ調整

■試聴----------------------------------------------------------------

 ・通常はFM Antenna Attenuator : out、MPX Noise Canceller : out、
 ・FM Antenna Attenuator : 電波が強くて歪む場合のみin
 ・MPX Noise Canceller : 微弱FM局をSTEREO受信時のみin
 ・特殊形状の電球も発見できて満足

Tu790009

note:BLUESS Laboratory

2024年6月 9日 (日)

YAMAHA T-2000W 修理調整記録3

 ・2024年4月、T-2000WとT-2000の故障機2台セットが届きました
 ・どちらも難ありですがニコイチ合体でT-2000Wを復活させる目論見ですが、
 ・以下、復活までの作業記録です

T2000w104

■製品情報--------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 YAMAHA T-2000W ¥85,000(1987年頃)
 ・オーディオ懐古録 YAMAHA T-2000W AM/FM DIGITAL TUNER ¥85,000(1987年頃)
 ・Hifi Engine YAMAHA T-80 Natural Sound Stereo FM/AM Tuner (1984-85)

T2000w102T2000w107

<T-2000WとT-2000の違い>
 ・サイドウッドの有無
 ・本体サイズ「高さ」の違い
 ・T-2000Wでは嵩上げのため底面にゲタをはいている
 ・本体の足:T-2000Wは大型タイプ、T-2000は普通のプラ足
 ・内部構造、回路構成は全く同一

■動作確認--------------------------------------------------

<上段:T-2000>
 ・フロントパネルの操作ボタンがいくつか欠損していて外観は残念な状態
 ・でも目立つキズはなくパネル自体やボディの状態は比較的良好
 ・電源スイッチON、表示部に周波数やシグナルインジケーター点灯
 ・オート選局で名古屋地区のFM局を受信できました
 ・周波数ズレなし、STEREOランプ点灯、各操作ボタン反応OK
 ・適当なAMアンテナで名古屋地区のAM局の受信確認OK
 ・見た目はかなり残念ですが、でも動作は問題なさそうです

<下段:T-2000W>
 ・ツルピカ光沢のあるサイドウッドがとても美しい
 ・電源ボタン欠損、代わりにサイドウッドに似た木片が貼り付けてある
 ・フロントパネルに目立つ傷なし、ただボディ上面に拭き取れない汚れ
 ・電源スイッチON、周波数表示や機能切換インジケーター点灯
 ・オート選局で名古屋地区のFM局を受信できました
 ・周波数ズレなし、STEREOランプ点灯、各操作ボタン反応OK
 ・ただシグナルインジケーターの点灯レベルがかなり低い
 ・上段T-2000で受信できた微弱電波局がT-2000Wでは受信できない
 ・適当なAMアンテナで名古屋地区のAM局の受信確認OK
 ・問題はFM受信感度の低下、調整だけで復活するか?

■調整記録--------------------------------------------------

Tt2000w00

・FINE TUNINGモード
【VT電圧調整】
・フロントエンド基板とのコネクタVT端子 → 電圧計セット
・76MHz → 2.6V ※確認のみ
・90MHz → 20.2V
【FMレシオ検波調整】
・基板上 NVcc~TM → 電圧計セット
・83MHz受信 → T203調整 → 0v
・83MHz受信 → VC202,VR203調整 → 高調波歪最小
【フロントエンド調整】
・VR210 → 電圧計セット ※Sメーター電圧
・76MHz受信 → T101,T102,T103,T104調整 → 電圧最大
・90MHz受信 → VC101,VC102,VC103,VC104調整 → 電圧最大
【FMレシオ検波調整】
※上記手順をもう一度実施
【シグナルメーター調整】
・83MHz受信 → VR210調整 → シグナルインジケーター点灯レベル
【MPX VCO調整】
・TP 19kHz → 周波数カウンタ接続
・83MHz stereo 受信 → VR207調整 → 76kHz
【PILOT CANCEL調整】
・83MHz stereo 受信 → T212,VR208調整 → 19kHz成分最小
【SUB調整】
・83MHz SUB 受信 → T211調整 → Lch信号最大
【STEREO歪調整】
・LOCALモード
・83MHz受信 → T201,T202,VR201,VR202調整 → 高調波歪最小
・DXモード
・83MHz受信 → VC201調整 → 高調波歪最小
【セパレーション調整】
・83MHz stereo 受信 → VR205調整 → Rch信号最小
・83MHz stereo 受信 → VR206調整 → Lch信号最小
【FM CSL調整】
・基板上 TP(K4)~TP(T6) 短絡
・83.0MHz受信 → VR209調整 → 表示部「3.00」
【AM調整】
・フロントエンド基板とのコネクタVT端子 → 電圧計セット
・513kHz → 3.0V 
・1620kHz → AM OSC調整 → 25V
・VR204端子 → 電圧計セット※Sメーター電圧
・729kHz受信 → AM RF(コイル)調整 → 電圧最大
・1332kHz受信 → AM RF(トリマ)調整 → 電圧最大
・VR204調整 → シグナルインジケーター点灯調整

T2000w50

■修理記録:トリマコンデンサ交換----------------------------

<上段:T-2000>
 ・故障個所なし、上記再調整によって受信性能が復活しました

<下段:T-2000W>
 ・FMの受信感度が低い現象は再調整後も改善しない
 ・VR210で測定するシグナルインジケーター電圧がT-2000よりかなり低い
 ・対策としてまずフロントエンドのトリマコンデンサを交換してみました
 ・VC101,VC102,VC103,VC104(T-80回路図では11pF)→ 新品10pFに交換
 ・受信感度が大幅に改善しシグナルインジケーターはフル点灯しました
 ・やはりトリマコンデンサの劣化が原因でした

T2000w21_20240609081501T2000w24_20240609081501

■修理記録:メモリ保持用キャパシタ交換----------------------

 ・C310 0.047F/5.5v → 1F/5.5v

T2000w30_20240609081501T2000w31_20240609081501

■試聴------------------------------------------------------

 ・サイドウッドが美しいT-2000Wが復活しました
 ・T-2000からは電源ボタンとメモリプレート取り外しました
 ・外観がより残念になったT-2000は部品取り用に保管しておきます

T2000w105

note:BLUESS Laboratory

2024年6月 2日 (日)

Accuphase T-100

 ・2024年4月、Kensonic Accuphase T-100 が届きました
 ・ケンソニック株式会社、ブランド名 Accuphase のチューナー1号機です
 ・T-101は何台か見た経験ありますが、T-100を見るのは初めて!
 ・以前から興味があった機種なので修理調整をお引き受けしました

T10003

■製品情報--------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 Kensonic Accuphase T-100 ¥135,000(1973年9月)
 ・オーディオ懐古録 Accuphase T-100 ¥155,000(1976年カタログによる)
 ・Hifi Engine Accuphase T-100 Stereo FM/AM Tuner (1975-77)

T10002T10020

■動作確認--------------------------------------------------

 ・実機が届いたときの第一印象は「とても重い」
 ・重量はカタログ値で14kg、チューナーとは思えないズッシリ感です
 ・フロントパネルはまずまずのコンディションですが、
 ・残念ながら天板や側板は経年のスリ傷、打ち傷が目立ちます
 ・電源オン、周波数窓と二つのメーターが青色照明に浮かび上がる
 ・さて、FMアンテナを接続して名古屋地区のFM局受信テスト開始
 ・FM放送は受信できるがSメーター最大点とTメーター中点が一致しない
 ・Tメーターは中点から右側の範囲でしか振れない
 ・Sメーター最大点は放送局周波数から約+0.2MHzズレている
 ・STEREOランプ点灯しない、実際のステレオ感もない
 ・それでもモノラル音声としてはなかなか良い音が聞こえてくる
 ・電源スイッチ周辺の黒いパネルはプッシュ扉になっている
 ・扉を開けるとMUTINGなど機能切換スイッチが並んでいるが、
 ・ただ操作ツマミがとても小さいので操作はやりにくい
 ・背面バーアンテナで名古屋地区のAM放送の受信テスト
 ・AMは特に問題なさそうです

T10004T10006T10007T10012T10010

■内部確認--------------------------------------------------

 ・天板を外すと黒い金属製カバーと大型電源トランスが出現する
 ・金属製カバーの内側は縦置き配置された基板がコネクタに刺さっている
 ・調整VRは上部からアクセス可能、側板を外せばコイル等にもアクセス可能
 ・基板ごと引き抜けるので部品交換等のメンテナンス性はとても良好
 ・底板を外すと電源回路にアクセス可能
 ・天板、側板、底板を外すと頑丈なフレーム構造が分かります
 ・このままラックに収まりそうな本格的な業務用機器の雰囲気です
 ・依頼者様によって多くの電解コンデンサと照明電球が交換済みとのこと

T10000
T10021T10022T10023T10028T10034

 ・フロントエンドFM5連、AM3連バリコン搭載
 ・フロントエンドのシールドケースの上蓋を開けたところ、ビックリ!
 ・RFコイル×4個のコア頭部が全部割れていました
 ・依頼者様が入手する以前に調整にチャレンジした先人がいたようです
 ・コアドライバーで回そうとするとコアの割れが広がる不気味な音が、、
 ・割れたコアを何とかしないと受信調整できないじゃないか、、

T10061

 ・輸出機用の回路図と実機を照合したところMPX基板に微妙な違いを発見!
 ・LM1310によるPLL-MPX回路であることは同じですが、
 ・AMP修理工房様 に掲載されたMPX基板は輸出機回路図と同じ(706-0001-00)
 ・でも本機に搭載されたMPX基板は(706-0003-00)で部品配置も異なる
 ・さらに(706-0001-00)回路図には記載がない VR3 が追加されています
 ・製品情報を調べてみると販売時期によって価格が違うようです
 ・発売後に仕様変更があって価格が改定されたのかもしれません
 ・もしそうなら本機は後期型に該当するのかも?

T10044

 ・703-0001-00:FM-IF基板
 ・704-0001-00:AM-IF基板
 ・706-0003-00:MPX基板 ★回路図(706-0001-00)
 ・714-0003-00:AF基板×2枚
 ・716-0005-00:電源基板
 ・719-0003-00:電源基板

T10040T10042T10046T10031T100035

■修理記録:RFコイルの割れたコア----------------------------

 ・L11,L12,L13,L14のコアが割れている
 ・特にL11とL12はコアドライバーがセットできないので調整不能です
 ・ただ幸いなことにL11とL12は底面からコアにアクセス可能でした
 ・底面からコアを慎重に回して抜き取りました
 ・抜き取ったコアを上下逆向きにして元に戻しました
 ・これでL11とL12の調整が出来るようになりました
 ・L13とL14はコアドライバーがセットできたので上面から慎重抜き取り
 ・回転に伴って「メリメリッ」をコアが割れるが心臓に悪い、、
 ・何とか抜き取りに成功、同様に上下逆にセットして戻しました
 ・サイズに合ったコアドライバーを使わないとコアは簡単に割れます

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■調整記録--------------------------------------------------

【IF調整】
 ・FM-IF基板 TP2(マルチパスV端子) →電圧計セット
 ・SSG 10.7MHz 無変調信号 → TP1(Q14-G1)に注入
 ・フロントエンドT11上下コア調整 → 電圧最大
【Tメーター調整】
 ・83.0MHz 無変調受信
 ・FM-IF基板 L9上段コア調整 → Tメーター中点
【FM Sメーター調整】
 ・83.0MHz受信 → FM-IF基板VR2調整 → Sメーター振れ調整
【FM検波調整】
 ・固定出力端子 → WaveSpectra接続
 ・83.0MHz 400Hz受信
 ・FM-IF基板 L9下段コア調整 → 高調波歪最小
【FM出力レベル調整】
 ・固定出力端子 → AC電圧計セット
 ・MPX基板VR1調整 → 2.0v
【OSC調整】
 ・76.0MHz受信 → フロントエンドL15調整 → Tメーター中点
 ・90.0MHz受信 → フロントエンドTCF5調整 → Tメーター中点
【RF調整】
 ・マルチパス V端子 → 電圧計セット
 ・76.0MHz受信 → フロントエンドL11~L14調整 → 電圧最大
 ・90.0MHz受信 → フロントエンドTCF1~TCF4調整 → 電圧最大
【MUTING調整】
 ・83.0MHz受信 → FM-IF基板VR1調整 → MUTING作動レベル調整
【VCO調整】
 ・MPX基板R6(IC2:LM1310N-14pin) → 周波数カウンタ接続
 ・83.0MHz無変調受信 → MPX基板VR2調整 → 76kHz
 ・MPX基板VR3調整 → 受信音が出る範囲の中間位置へ
【セパレーション調整】
 ・固定出力端子 → WaveSpectra接続
 ・83.0MHzST受信 → 2枚のAF基板間のシャーシにあるVR調整 →
 ・左右chの漏れ信号最小
【AM IF調整】
 ・455kHz フロントエンドTP51(Q51-D)に注入 →
 ・TP52(AM-IF基板5pin=R18) → オシロスコープ接続
 ・フロントエンドT53、AM-IF基板T1、T2調整 → 波形最大
 ・TP53(AM-IF基板9pin=R26)→ 電圧計セット
 ・1000kHz受信 → T3調整 → 電圧最大
【AM OSC調整】
 ・ 600kHz受信 → T52調整 → Sメーター最大
 ・1400kHz受信 → TCA3調整 → Sメーター最大
【AM RF調整】
 ・ 600kHz受信 → T51,バーアンテナ調整 → Sメーター最大
 ・1400kHz受信 → TCA1,TCA2調整 → Sメーター最大
【AM出力レベル調整】
 ・固定出力端子 → AC電圧計セット
 ・AM-IF基板VR1調整 → 0.6v
【AM Sメーター調整】
 ・600Hz受信 → AM-IF基板VR2調整 → Sメーター振れ調整

T10080

■試聴------------------------------------------------------

 ・FMは低音が締まっていい感じの音が聞こえます
 ・これは自分用に一台欲しくなってきました

T10005

note:BLUESS Laboratory

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