フォト
2024年12月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        

チューナー関連リンク

« 2024年6月 | トップページ | 2024年8月 »

2024年7月の記事

2024年7月28日 (日)

SONY ST-S333ESXII 修理調整記録14

 ・2024年5月、2015年に修理調整した個体 の再修理を承りました
 ・オート選局では全く受信できなくなったそうです
 ・前回から9年も経っているので再調整は必須ですが、どこか故障かも?
 ・以下、作業記録です

Esx205_20240728082301

■製品情報--------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 SONY ST-S333ESXII ¥49,800(1987年発売)
 ・SONY ES テクノロジーカタログ 1987年10月発行
 ・Hifi Engine ST-S730ES 海外版サービスマニュアル

Esx202_20240728082401Esx208_20240728082401

■内部確認--------------------------------------------------

 ・前回記録によれば2012年に専門業者によって修理調整済みであること
 ・フロントエンドのトリマコンデンサ、数個の電解コンデンサ交換済み
 ・メモリ保持用コンデンサも交換済み、アースバーのハンダ補修済み
 ・その上で2015年に再調整だけ行ったことになっています
 ・今回も再調整から着手したところ、最初から問題ありでした

 【FM同調点調整】
 ・IFT205調整 LA1235-7pin~10pin間電圧ゼロ
 ★ところがIFT205を回しても端子間電圧約+5vで全く変化しない

■修理記録:IFT205外付けコンデンサ追加----------------------

 ・同調できない原因はIFT205に内蔵されたコンデンサーの容量抜けです
 ・対策として内蔵コンデンサーを除去して外付けで100pFを追加しました
 ・IFT205の二次側、R245に並列にセラミックコンデンサ(101)追加
 ・これで同調点調整ができるようになりました

Esx220_20240728082401Esx221_20240728082401Esx222_20240728082401Esx224_20240728082401Esx225

■調整記録--------------------------------------------------

【FM同調点調整】
 ・IFT205調整 LA1235-7pin~10pin間電圧ゼロ ★外付けコンデンサ追加
 【VT電圧調整】
 ・IC803-5pin電圧測定
 ・90MHz L104調整 21.0V±0.2V ※21.3V
 ・76MHz 確認のみ 8.0V±1.0V ※7.9V
【SST回路調整】
 ・SST調整はVT電圧調整後、かつトラッキング調整前に行うこと
 ・76MHz受信 RT801調整 IC802-11pin電圧 → 0V
 ・90MHz受信 IC802-9pin電圧 → 14V確認 ※13.9V
【トラッキング調整】
 ・IC203(LA1235)-13pin(又はRT204)電圧max
 ・76MHz L101,L102,L103
 ・90MHz CT101,CT102,CT103
【PLL検波調整】
 ・TP201をGNDに落とす
 ・IFT207調整 TP202 DC電圧ゼロ
 ・CT201調整 歪最小
【IF歪調整】
 ・Wide受信、MUTINGオフ
 ・IC203(LA1235)-13pin電圧計セット
 ・RT202、RT203 時計回り一杯に回す
 ・SSG出力20dBモノラル信号送信
  ・IFT201調整 電圧最大へ   ※コア割れのため調整不能
  ・IFT101調整 電圧最大へ
 ・SSG出力80dBにセット
  ・IFT203、RT202を交互に調整 歪最小へ
 ・SSG出力20dBにセット、Mutingオン
  ・IFT202調整 電圧計最大へ
 ・SSG出力80dBステレオ信号送信
  ・IFT204、RT203を交互に調整 歪最小へ
【STEREOインジケータ調整】
 ・RT206 SSG出力20dBでステレオインジケータ点灯
【パイロットキャンセル】
 ・RT303、L301 19kHz信号漏れ最小 左右バランス確認
【セパレーション調整】
 ・RT301 R→L
 ・RT302 L→R
 ※60dB
【Sメーター調整】
 ・RT204
【MUTINGレベル調整】
 ・RT205
【CAL TONE】
 ・Peak Level-5.8dB 344Hzの波形が出ていました。
【AM調整】
 ・RT401 Sメーター調整
 ・RT402 AUTOSTOP調整

Esx230_20240728082301

■試聴------------------------------------------------------

 ・修理調整後は名古屋地区のFM局を周波数ズレなく受信しています
 ・AMは適当なループアンテナで確認しました
 ・これでまたFM放送を楽しめると思います

Esx203_20240728082301

 →note:BLUESS Laboratory

2024年7月21日 (日)

TRIO KT-8000 修理調整記録10

 ・2024年4月、不要になったKT-8000を研究材料に譲り受けました
 ・不具合がいろいろあって実用にならないそうです
 ・実験材料として不用品、故障品の寄付は大歓迎です
 ・不具合箇所の確認、修理調整、電解コンデンサ総交換、照明LED化
 ・時間がかかりましたが今後も長く安心して使える一台に仕上がりました

Kt800003_20240721081901

■製品情報--------------------------------------------------

 ・TRIO KT-8000 製品カタログ 1979年2月版抜粋
 ・TRIO KT-8000 取扱説明書 日本語版PDF形式
 ・1976年 KT-9700 \150,000円 初のパルスカウント検波搭載機
 ・1977年 KT-9900 \200,000円 パルスカウント検波機の最高峰
 ・1977年 KT-8000 \ 69,800円 中級機で初のパルスカウント検波
 ・1978年 KT-8300 \ 63,000円 KT-8000の後継機。

Kt800002_20240721081501Kt800013

■動作確認--------------------------------------------------

 ・フロントパネル上面に打痕、ボディに擦り傷、外観はそれなりの状態
 ・さて、FMアンテナを接続して電源オン
 ・窓照明と二つのメーター照明点灯、球切れは無さそう
 ・選局ツマミを回すと放送局周波数付近でTメーターとSメーターが反応
 ・ただSメーターの振れ方が過敏で最大点が判別できない
 ・76~82MHz区間で指針移動すると激しいバリバリ音が発生
 ・バリバリ音に合わせてSメーターが激しく振れる
 ・STEREOランプは放送局がない位置でも頻繁に明滅する
 ・受信しているようだが固定/可変出力とも酷い雑音しか出ない
 ・wide/narrowとも同じ雑音が聞こえる
 ・一方でマルチパスH端子からは正常な音声が聞こえる
 ・まずはバリコン軸の清掃から始めます

■内部確認--------------------------------------------------

 ・FM専用7連バリコン → HA1137W → MC1496 → PC検波 → HA11223
 ・マルチパスH端子から正常音声が聴こえる。
 ・TP1.96MHz周波数カウンタ接続 → L16調整可能 → 正常
 ・HA11223-2ピン(検波信号入力)→ 正常
 ・HA11223-5ピン(Rch)、6ピン(Lch)→ ノイズ混りの酷い音×
 ・不調原因はHA11223の真っ黒に変色した足か?
 ・あと、バリコン軸の受け部に緑青色に変色した古いグリス

Kt800000_20240721081901

■修理記録:バリバリノイズ対策------------------------------

 ・76MHz~82MHz間で指針を移動すると激しいバリバリノイズ発生する
 ・ノイズに合わせてSメーターが大きく振れる
 ・この症状は経験的にバリコン回転軸の接触不良が怪しいです
 ・爪楊枝の先端で注意深く回転軸を清掃、仕上げに導通グリスを軽く塗布
 ・この措置でノイズは解消しました。
 ・ときには指針を76~90MHz間を往復させてやると良いです。

Kt800061_20240721081901

■修理記録:HA11223洗浄 → 交換------------------------------

 ・真っ黒に変色した HA11223 の足を歯間ブラシで磨いてみました
 ・これだけで酷い雑音は解消してキレイなFM音声が流れてきました
 ・さらに念のためHA11223を取り外して足の裏側まで磨きましたが
 ・せっかく取り外したのでソケット化し新品のHA11223Wをセット
 ・取り外したHA11223は使える中古パーツとして保管しておきます

Kt800028_20240721081501Kt800041_20240721081501

■修理記録:電解コンデンサとタンタル総交換、一部IC交換-----

 ・電源基板で目視で劣化が分かる電解コンデンサーを新品交換
 ・将来の照明電球のLED化を踏まえて全数交換しました
 ・続いてメイン基板の電解コンデンサとタンタルコンデンサも全数交換
 ・さらに主なICもソケット化して新品に交換しました
 ・IC表面の印字が消えかけていたので、これですっきり蘇りました
  ・IC3:LA1222 → LA1222(ソケット化)
  ・IC4:HA1137W→ HA1137W(ソケット化)
  ・IC8:HA1457 → HA1457W
  ・IC9:HA11223→ HA11223W(ソケット化)
  ・IC10:4558DB→ 4558DD(ソケット化)

Kt800051_20240721081701Kt800054Kt800056Kt800057Kt800042_20240721081701
Kt800062

■調整記録--------------------------------------------------

【FM OSC調整】
 ・90MHz → TC7調整 → Sメーター最大
 ・76MHz → L7間隔調整 → Sメーター最大
 ※L7調整は難しいので83MHzの一点調整実施
【RF調整】
 ・90MHz → TC1~6調整 → Sメーター最大
 ・76MHz → L1~6調整 → Sメーター最大
 ・83MHz → L11,L12,L13調整 → Sメーター最大
【FM同調点(HA1137W)調整】
 ・83MHz → L14調整 → Tメーター中点
【IF調整】
 ・IF BAND=Wide
 ・83MHz → L12調整 → Sメーター最大
 ・IF BAND=Narrow
 ・83MHz → L13調整 → Sメーター最大
【2nd IF調整】
 ・L16調整 → TPにて1.96MHz確認
【Wide Gain調整】
 ・IF BAND=Narrow
 ・VR2中央位置に設定 → Sメーター記録
 ・IF BAND=Wide
 ・VR1調整 → 記録したNarrow Sメーターと同値に
【Sメーター調整】
 ・83MHz受信 → VR3調整 → Sメーター振れ調整
【MPX部調整】
 ・VR7:パイロットキャンセル調整
 ・VR6:VCO調整 TP(R133前足)にて76kHz確認
 ・VR4、VR5:セパレーション調整

Kt800092

 ※数多くの部品を交換したので馴染むまでの時間を考慮し
 ※上記調整後、約1カ月に渡って通常運転しました
 ※6月下旬にもう一度調整をやり直しました

■試聴------------------------------------------------------

 ・最後に指針を蛍光オレンジ塗料で再塗装しました
 ・Wavespectraで観察する波形のベースラインが落ち着いています
 ・電球色に映える周波数窓とアルミパネルのコントラストがいい感じ
 ・、、ですが、次は照明のLED化にチャレンジ

Kt800007

■改造記録:照明電球のLED化----------------------------------

 ・オリジナル電源:AC7.6v
 ・オリジナル電球:8v/0.3A ×5個(並列)※灰色ゴム製ソケット付
 ・電球をフレームに固定するにはオリジナルのゴム製ソケットが必要
 ・本機は灰色ゴム製ソケットに長円形の電球がセットされています
 ・電球高さを合わせるためジャンク箱から茶色ゴム製ソケットを調達
 ・ゴムを一部切除して高さが干渉しないように加工
 注意)天板をセットしたとき、窓照明電球3個が天板に干渉します


Kt800073_20240721082501Kt800074Kt800075Kt800077Kt800078

 ・アマゾンで調達した自動車用12v仕様のT10ウエッジLEDを利用
 ・BORDAN T10 LED 爆光 ホワイト 10SMD 12V 1.2W 色温度6000
 ・オリジナル電球ソケットに納めるためLEDの端子部を分解除去
 ・端子根元に+と-の表示がありました +→赤、-→黒
 ・赤黒電線をハンダ付け、ゴム製ソケットにLED上部だけを納める
 ・純正フィラメント電球×5個を特製LED球にすべて交換

■改造記録:LED駆動電源の確保--------------------------------

 ・電源基板の電解コンデンサを容量アップしたのでこのまま使えるか?
 ・と思いましたが、断念して独立した専用電源回路を製作しました
 ・経緯は以下の通り

Kt800071

【電源基板11番端子(+13v)を借用した場合】
 ・LED点灯、二つのメーター動作正常、FM音声も聞こえる
 ・STEREOランプ点灯、受信動作に影響無し! と思いましたが、
 ・しかしWavespectraで波形を見ると60Hzの倍数に酷いピークが出現
 ・安価な中華製LEDがノイズ源になっていました
 ・もっと高級なLED球を使えば問題ないのかも?
【電源基板13番端子(-13v)を借用した場合】
 ・LED点灯、二つのメーター動作正常、FM音声も聞こえるが、
 ・ただSTEREOランプが点灯しなくなった
 ・-13vを借用するとHA11223W駆動に必要な電流が不足するようです
 ・電解コンデンサーをさらに容量アップすれば回避できるかも?
【専用電源基板製作】
 ・上記経緯から電源基板から借用する方法は諦めました
 ・電源トランスから出ている青色線(AC8v)を流用して電源回路製作
 ・小基板にダイオードブリッジと電解コンデンサーを並べただけです
 ・これで AC7.6v → DC11.3v
 ・電源オフ時の残光時間もなく明るさもちょうどいい感じです

Kt800082_20240721082901

■作業を終えて----------------------------------------------

Kt800087

 ・正面パネルが銀色アルミ製なので白色LED照明も慣ればいいかも?
 ・ただ橙色インジケーターがちょっと寝ぼけた感じになりました
 ・インジケーターは赤色に変えた方が良いかも?と思いつつ
 ・でも良い出来栄えに自画自賛!!

Kt800084Kt800088

note : BLUESS Laboratory

2024年7月14日 (日)

Victor FX-711 修理調整記録7

 ・2024年5月、FX-711の修理調整作業を承りました
 ・以下、作業記録です。

Fx71104_20240714083101

■製品情報--------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 VICTOR FX-711 ¥49,800(1987年頃)
 ・オーディオ懐古録 Victor FX-711 ¥49,800
 ・Hifi Engine JVC FX-1100 FM/AM Computer Controlled Tuner
 ・FX-711 取扱説明書 PDF形式

Fx71102_20240714083201Fx71113

■動作確認--------------------------------------------------

【提供者様からの事前情報】
 ・一応受信はする個体なのですが入力が40dBぐらいしかない
 ・ノイズが5秒おきぐらいに乗る
【当方での確認事項】
 ・フロントパネルは綺麗な状態、ボディにはちょっと目立つキズがある
 ・FMアンテナを接続して電源オン
 ・表示部が明るく点灯。輝度劣化や文字欠けは見当たらない
 ・オート受信で名古屋地区のFM局を受信OK、STEREOランプ点灯
 ・上り方向、下り方向ともにオート受信OK
 ・ただし受信感度がかなり低い
 ・REC CALトーンOK
 ・AM オートサーチで名古屋地区のAM局受信OK

■内部確認--------------------------------------------------

 ・修理歴、部品交換歴はなくオリジナル状態だと思います
 ・まずは下記調整手順に従って一通り調整してみました

Fx71100

■調整記録--------------------------------------------------

●FM部
【VT電圧】
 ・TP101 DC電圧計セット
 ・受信周波数 76MHz → L151調整 → 7.5V±0.1V
 ・受信周波数 90MHz → TC105調整 → 22.0V±0.1V
 ・上記作業を数回繰り返す
【RFトラッキング調整】
 ・VR602 → 電圧計セット ※Sメーター電圧測定
 ・76MHz 40dB → L103,L104,L105,L106調整 → 電圧最大
 ・90MHz 40dB → TC101,TC102,TC103,TC104調整 → 電圧最大
 ★TC101~TC104の反応が過敏で最大電圧値がピタッと決まらない
【IFT調整】
 ・83MHz 1kHz 100%変調 40dB → T101調整 → 電圧最大
【PLL検波 VCO調整】
 ・TP104 周波数カウンタ接続
 ・受信バンド切替 → AM
 ・何も受信しない状態 → T208粗調整 → 10.7MHz±0.01MHz
 ・何も受信しない状態 → T208微調整 → 10.7MHz±0.01MHz
 ・受信バンド切替 → FMに戻す
【FM dB表示調整】
 ・83MHz 70dB → VR602調整 → 表示70dB
 ・83MHz 30dB → VR601調整 → 表示30dB
 ・上記作業を数回繰り返す
【モノラル歪調整:WIDE】
 ・IF BAND=WIDE
 ・音声出力をWaveSpectra接続
 ・83MHz 70dB → T204(黒)調整 → モノラル歪最小
【ステレオ歪調整:WIDE】
 ・IF BAND=WIDE
 ・音声出力をWaveSpectra接続
 ・83MHz 70dB → T202(黒)調整 → ステレオ歪最小
 ・QSCインジケーターが点灯していないことを確認
【ステレオ歪調整:NARROW】
 ・IF BAND=NARROW
 ・音声出力をWaveSpectra接続
 ・83MHz 70dB → T201(黒)調整 → ステレオ歪最小
 ・QSCインジケーターが点灯していないことを確認
【FM同調点調整】
 ・IF BAND=NARROW
 ・TP103 DC電圧計セット
 ・83MHz 70dB → T206調整 → 0V±1.5mV
【MUTINGレベル調整】
 ・MUTING=ON
 ・83MHz 20dB → VR604調整 → MUTING作動確認
【セパレーション調整】
 ・IF BAND=WIDE
 ・音声出力をWaveSpectra接続
 ・83MHz 70dB → VR401調整 → Lchもれ最小
 ・83MHz 70dB → VR402調整 → Rchもれ最小
 ・QSCインジケーターが点灯していないことを確認
【パイロット信号キャンセル調整】
 ・音声出力をWaveSpectra接続
 ・83MHz 70dB → VR403調整 → 19kHzもれ最小
 ・左右chのバランスに注意
【REC CAL調整】
 ・83MHz 70dB → 通常受信で出力レベル記録
 ・83MHz 70dB → VR404調整 → 上記記録-6dBに設定
 ・TONE 460Hz
●AM部
【VT電圧】
 ・TP102 DC電圧計セット
 ・受信周波数 522kHz → L302調整 → 1.8V±0.1V 実測1.7V
 ・受信周波数1629kHz → TC302調整 → 22.0V±0.1V 実測18.5V
 ・上記作業を数回繰り返す
【トラッキング調整】
 ・VR603 → 電圧計セット ※Sメーター電圧測定
 ・ 729kHz(NHK第一)受信 → L301調整 → 電圧最大
 ・1332kHz(東海ラジオ)受信 → TC301調整 → 電圧最大
 ・上記作業を数回繰り返す
【AM dB表示調整】
 ・999kHz 90dB送信 → VR603調整 → ※AMのdB値は適当

Fx71140

■修理記録:トリマコンデンサ交換----------------------------

 ・フロントエンドのトリマコンデンサTC101~104が劣化してるようです
 ・TC101~TC105 → 新品(10pF)5個交換
 ・VT電圧調整、RF調整をやり直したところ感度が大幅アップしました
 ・その他調整項目もすべてやり直しました
 ・部品交換と再調整によって当初の不具合症状はすべて解消しました

Fx71121_20240714083201Fx71134_20240714083201
Fx71138

■試聴----------------------------------------------------------------

 ・同梱いただいたAMループアンテナで再調整しました
 ・FM/AMともいい音で受信できています

Fx71103_20240714083101

 
 →note:BLUESS Laboratory

2024年7月 7日 (日)

SONY ST-S333ESA 修理調整記録6

 ・2024年5月連休明け、333ESAの故障機が届きました
 ・本来の性能を発揮していないようだ、との事でしたが、、
 ・調べたところ、確かに「重症の難あり品」でした

333esa07_20240707080701

■製品情報--------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 SONY ST-S333ESA ¥55,000(1991年発売)
 ・Hifi engine SONY ST-770ES FM Stereo / FM-AM Tuner (1991-92)

333esa02_20240707080801333esa13_20240707080801

■動作確認--------------------------------------------------

【提供者様からの不具合情報】
 ・電波状況は良いのにシグナルインジケーターがフル点灯しない
 ・RF:DIRECT のポジションではほとんど点灯しなくなる
 ・IF:WIDE に切換えると全く点灯しなくなる
【当方での確認事項】
 ・外観は目立つキズも無く状態は良さそう
 ・外装の汚れは洗浄すれば綺麗になりそうです
 ・電源オン、周波数窓の表示も輝度劣化なく問題なさそう
 ・アンテナ線を接続して名古屋地区のFM局で受信テスト

●RF=DIRECT
【IF:WIDE、MUTING:ON】
 ・オート選局上り下り方向とも受信不可
 ・シグナルインジケーター全く点灯しない
【IF:NARROW、MUTING:ON】
 ・オート選局上り方向:周波数ズレなく放送局周波数で自動停止
 ・オート選局下り方向;+0.1MHzの位置で自動停止
 ・シグナルインジケーターは1/3レベルまで点灯する
 ・STEREOランプ点灯、実際のステレオ感あり

●RF=NORMAL
【IF:WIDE、MUTING:OFF】
 ・オート選局上り下り方向とも受信不可
 ・シグナルインジケーター全く点灯しない
【IF:NARROW、MUTING:OFF】
 ・オート選局上り下り方向とも:放送局周波数で自動停止
 ・シグナルインジケーターは半分程度まで点灯する
 ・STEREOランプ点灯する、実際のステレオ感あり

●検討
 ・IF BAND=NARROW時はそこそこ受信できるようですが、
 ・IF BAND=WIDE時はほとんど受信不能
 ・WIDE/NARROWでこれほど違いがあるのは調整ズレ?それとも故障?
 ・一方AM放送は純正ループアンテナで名古屋地区のAM局受信OK
 ・AMはオート選局でシグナルインジケーターがフル点灯します

■内部点検--------------------------------------------------

 ・底面や背面にメーカー修理の記録シールは見当たりません
 ・内部を見ると交換済みの部品なし、すべてオリジナル状態です
 ・しかし内部を詳しく見ると、いろいろビックリな状態でした
 ・まず調整用VRがすべて右一杯または左一杯に回されていた
 ・さらにフロントエンドのRFコイルのコアが割れていた
 ・WOIS回路のコイルコアもすべて最深部までネジ込まれた状態でした
 ・調整箇所を適当に弄った先人がいたようです
 ・続いてヒューズ抵抗を測定してみると、、何とほぼ全滅状態でした


333esa100

 ・R119 (100Ω) → 103Ω
 ・R203 ( 10Ω) → 26Ω
 ・R207 ( 10Ω) → 42Ω
 ・R211 ( 10Ω) → 35Ω
 ・R227 ( 10Ω) → 29Ω
 ・R259 (100Ω) → 122Ω
 ・R274 ( 10Ω) → 23Ω
 ・R279 (220Ω) → 434Ω
 ・R292 (100Ω) → 145Ω
 ・R301 ( 10Ω) → 16Ω
 ・R327 ( 47Ω) → 94Ω
 ・R403 (220Ω) → 411Ω
 ・R410 (150Ω) → 291Ω
 ・R511 (220Ω) → 330Ω
 ・R516 (180Ω) → 289Ω
 ・R626 ( 47Ω) → 93Ω
 ・R910 ( 22Ω) → 57Ω
 ・R921 (220Ω) → 389Ω
 ・R931 (220Ω) → 468Ω(1w)
 ・R-JW ( 10Ω) → 14Ω

333esa36_20240707081701333esa37_20240707081701333esa35_20240707081701333esa38_20240707081701333esa32_20240707081801

 ・ヒューズ抵抗がここまで劣化している事例は初めてです。
 ・たぶんアンプの上に載せられた状態で長期間稼働していたか、
 ・あるいは放熱口を塞ぐように上に何か機器を載せていたか、、
 ・もし熱の影響なら電解コンデンサーも劣化が進んでいそう、、
 ・まずはヒューズ抵抗を交換してから仮調整してみます

■修理記録:ヒューズ抵抗交換--------------------------------

 ・フロントエンドのR119以外は全数交換
 ・今回はすべてカーボン抵抗(1/4wサイズで1/2wタイプのもの)に交換
 ・R931(220Ω)のみ1wタイプに交換
 ・これまで多くの見てきた333シリーズを見てきましたが、
 ・ヒューズ抵抗ではなく普通のカーボン抵抗が使われた個体もありました

■修理記録:フロントエンド----------------------------------

 ・RFコイル L102 のコアが割れていて回すことが回せません
 ・コアだけ抜き取って交換すればよいのですがそもそも回せないので
 ・L102を基板から取り外した状態でコアを粉々に割って除去
 ・代わりにジャンクパーツから取り出したコアを挿入しました

 ・続いて最大電圧がビシッと決まらないトリマコンデンサを3個とも交換
 ・トリマコンデンサCT101,CT102,CT103(10pF)交換

 ・次にIFT101の対策
 ・IFT101のコアが最深部までねじ込まれていたが、
 ・ところがコアネジがバカになっているようで回しても上がってきません
 ・これはIFT101(4046-6611-1380)を丸ごと交換するしかないですね
 ・333ESXIIジャンク機の基板にあった同型IFT101(4046-6611-849M)を移植
 ・これで調整可能になりました

333esa22_20240707081301333esa23_20240707081301333esa25_20240707081301333esa60_20240707081301333esa61_20240707081301

■修理記録:ハンダクラック修正------------------------------

 ・アースバーがあちこちでグラグラ状態です
 ・すべてのアースバーのハンダ付けをやり直し
 ・続いて音声端子とアンテナ端子のハンダ割れも修正
 ・背面パネルを取り外すと補修作業や容易になります

333esa80_20240707081001333esa81

■修理記録:PLL検波回路のトリマコンデンサ交換---------------

 ・CT271に触れるだけでガサガサノイズが発生する
 ・繰り返しグリグリ回してもノイズは解消しない
 ・新しいトリマコンデンサ(20pF)に交換
 ・ガサガサノイズは解消して気持ちよく調整できました
 ・パーツリストを見ても容量不明ですが 20pF で良さそうです

333esa90_20240707081001333esa91

■修理記録:キャパシタ交換----------------------------------

 ・放送局をメモリー登録しても翌日には消失している
 ・キャパシタ:C605(0.1F/5.5V) → 1F/5.5V 交換 
 ・タンタルC604(10uF/6.3v)→ 電解コンデンサ(10uF/50v)交換

333esa70_20240707080901333esa71_20240707080901

■調整記録--------------------------------------------------

【FM同調点調整】
 ・IF BAND = WIDE
 ・IC251(LA1235)7pin~10pin間電圧計セット
 ・83MHz受信 → IFT251調整 → 電圧ゼロ
【VT電圧調整】
 ・フロントエンド内JW8 電圧計セット
 ・アンテナ入力なし
 ・90MHz → L104調整 → 21.0V±0.2V ※調整前実測21.3V
 ・76MHz → 確認のみ → 8.0V±1.0V ※調整前実測 8.2V
【トラッキング調整】
 ・IF BAND = NARROW
 ・IC251(LA1235) 13pin(又はR261右足)電圧計セット
 ・90MHz受信 → CT101,CT102,CT103 → 電圧最大
 ・76MHz受信 → L101,L102,L103 → 電圧最大
【PLL検波調整】
 ・IF BAND = WIDE
 ・TP201を短絡 ※これによってIF回路をパス
 ・TP271 電圧計セット
 ・IFT272調整 → 電圧ゼロ ※調整前実測+4.2V
 ・CT271調整 → 歪最小 ※Wavespectraにて波形確認
 ・TP201を開放
【IF歪調整】
 ・IF BAND = WIDE
 ・MUTING = OFF
 ・IC251(LA1235) 13pin(又はR261右足)電圧計セット
 ・RV201、RV202 時計回り一杯に回す
 ・SSG出力40dBモノラル信号送信
  ・IFT201調整 → 電圧最大
 ・SSG出力40dBステレオ信号送信
  ・IFT202調整 → 電圧最大
  ・IFT101調整 → 電圧最大 ※IFT101フロントエンド内
 ・RV201、RV202 回転範囲の中央位置に回す
 ・SSG出力80dBモノラル信号送信
  ・IFT203調整 → 歪最小へ
 ・SSG出力80dBステレオ信号送信
  ・IFT204調整 → 歪最小へ
【STEREOインジケータ調整】
 ・IF BAND = WIDE
 ・MUTING = OFF
 ・SSG83MHz 出力20dB
 ・RV251調整 → ステレオインジケータ点灯
【MUTINGレベル調整】
 ・IF BAND = WIDE
  ・MUTING = ON
  ・SSG83MHz 出力25dB
  ・RV252調整 → MUTING調整
【IF NARROWゲイン調整】
 ・IF BAND = NARROW
  ・RV203調整 → NARROWゲイン調整
【Sメーター調整】
 ・RV241調整
【パイロットキャンセル】
 ・RV303、L301 19kHz信号漏れ最小 左右バランス確認
【セパレーション調整】
 ・RV301 R→L ※調整後実測65dB
 ・RV302 L→R ※調整後実測63dB
【CAL TONE】
 ・Peak Level-5.8dB 401Hzの波形が出ていました。
【AM調整】
 ・RV401 Sメーター調整
 ・RV402 AUTOSTOP調整

333esa95

■試聴------------------------------------------------------

 ・当初の不具合はすべて解消しました
 ・シグナルインジケーターがフル点灯、STEREOインジケータの点灯
 ・FM/AMとも気持ちよく受信できています
 ・当時のカタログ写真ではチューナーの定位置はアンプの上でしたね
 ・さぞかし熱かったことでしょう、、
 ・電解コンデンサの劣化も気になるところですが、今のところセーフ、、

333esa03_20240707080701

note BLUESS Laboratory

« 2024年6月 | トップページ | 2024年8月 »