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2024年10月20日 (日)

TRIO KT-8300 修理調整記録9

 ・2024年9月、KT-8300の故障機が届きました
 ・全区間でバリバリノイズ、まともに音が聞こえません
 ・久しぶりの本格ジャンク機でした

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■製品情報--------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 TRIO KT-8300 ¥63,000(1978年発売)
 ・Hifi engine Kenwood KT-815 AM/FM Stereo Tuner (1979-80)

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■動作確認--------------------------------------------------

 ・ボディに多少の擦り傷あるもののフロントパネルはまずまずの状態
 ・FMアンテナを接続して電源オン
 ・周波数窓と二つのメーターが照明に浮かび上がる、電球切れは無い
 ・名古屋地区のFM局で受信テスト開始するも
 ・76~90MHz全区間で激しいバリバリノイズしか聞こえない
 ・Sメーターは放送局周波数付近で大きく振れるが
 ・Tメーターは中点から右側だけで変な振れ方をする
 ・しかし出てくる音は激しいノイズだけ
 ・局間ノイズとは違ったバリバリという音です
 ・固定/可変出力端子、マルチパスH端子も同じ状態
 ・STEREOインジケーター点灯しない
 ・LOCKEDインジケーターは淡く点灯したまま
 ・プッシュボタンのロック機構が壊れたスイッチ2個
 ・IF BAND → 常時WIDEの状態、NARROWへの切換不可
 ・LOCK → 常時ONの状態、OFFへの切換不可

■内部確認--------------------------------------------------

 ・KENWOODサービスによる修理歴シールはありませんが、
 ・LA1222、HA1137W、HA11223Wの足は既に磨いた痕跡ありました
 ・Tメーターの振れ方がおかしいのでFM同調点を仮調整してみました
 ・HA1137W-13pin:Sメーター電圧は正常に反応している
 ・83.0MHzを受信しながらSメーター最大点でT2調整 → 調整OK
 ・HA1137W-6pin:クアドラチュア検波の受信音がキレイに聞こえました
 ・つまりフロントエンド~IF回路~HA1137Wまでは生きています
 ・やはり故障個所はパルスカウント検波回路ですね

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■修理記録:パルスカウント検波回路FL3修理-------------------

 ・IF回路までは正常、でも出てくる音が酷いノイズだらけ
 ・パルスカウント検波機で頻繁に遭遇したフィルター故障が怪しそうです
 ・試しにFL3(L79-0080-05)を外して前後の回路を直結してみたところ、、
 ・期待通り音声端子からFM受信音が聞こえてきました
 ・FL3をバイパスしたので高調波が多い音ですがそれでも一歩前進
 ・FL3裏面に埋め込まれた内蔵コンデンサ3個のうち2個が真っ黒に変色
 ・対策としてこの真っ黒コンデンサを除去してハンダ面に外付け
 ・細い配線を切断にはデザイン用の先の細いカッターナーフを使用
 ・代わりにハンダ面にコンデンサ2個(68pF,68pF)を追加
 ・これで固定/可変端子からパルスカウント検波音が聞こえてきました

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■修理記録:HA11223W交換-----------------------------------

 ・さてバリバリノイズが解消してFM音声が聞こえるようになりましたが、
 ・次なる不具合はSTEREOランプが常時点灯、Lchの音量が小さいこと
 ・HA11223W 5pin(Lch)と6pin(Rch)で既にレベル差がありました
 ・またVCO調整でVR5を回しても76kHzが観測できません
 ・IC自体の故障を疑って手持ちの新品HA11223Wに交換しました
 ・交換によって左右のレベル差は解消しましたがVCO調整不可

■修理記録:C58 1000pF 交換---------------------------------

 ・VCO調整で76kHzが観測できないので周囲のコンデンサを調べたところ
 ・C58スチコン(1000pF)が7.6Ωの抵抗と化していました
 ・これを積層セラミックコンデンサ(102)に交換すると
 ・VCO調整OK、ステレオ分離が復旧しました。
 ・STEREOランプの点灯具合も正常化
 ・セパレーション調整まで完了できました

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■調整記録------------------------------------------------------------

【FM OSC調整】
 ・マルチパスV端子 → 電圧計セット(Sメーター電圧)
 ・83MHz 受信 → TCo調整 → 電圧最大
【FM RF調整】
 ・マルチパスV端子 → 電圧計セット(Sメーター電圧)
 ・83MHz 受信 → TCA1,TCA2,TCR1,TCR2調整 → 電圧最大
【Tメーター調整1】
 ・SSG 83MHz 1kHz 60dB
 ・83MHz M0NO → T2調整 → Tメーター中点
【Tメーター調整2】
 ・SSG 83MHz 1kHz 60dB
 ・83MHz M0NO サーボロックON → VR10調整 → Tメーター中点
【Sメーター調整】
 ・SSG 83MHz 1kHz 60dB
 ・83MHz MONO → VR4調整 → Sメーター「目盛り4.8」
【WIDE GAIN調整】
 ・SSG 83MHz 1kHz 60dB
 ・83MHz MONO NARROW受信 → Sメーター目盛り位置を確認
 ・83MHz MONO WIDE受信 → VR1調整 → SメーターNARROWと同じ位置
【DISTORTION調整】
 ・固定出力端子 → WaveSpectra接続
 ・SSG 83MHz 1kHz 60dB
 ・83MHz MONO → L8(フロントエンド内)調整 → 歪最小
【パルスカウント検波調整】
 ・R91左足 → 周波数カウンタセット
 ・SSG 83MHz 無変調 60dB
 ・83MHz受信 → T6調整 → 1.96MHz
【MUTING調整】
 ・SSG 83MHz 1kHz 30dB
 ・83MHz MONO → VR2調整 → MUTING開始位置確認
【VCO調整】
 ・R97後足 → 周波数カウンタ接続
 ・SSG 83MHz 無変調 60dB
 ・83MHz受信 → VR5調整 → 76kHz
【パイロットキャンセル調整】
 ・固定出力端子 → WaveSpectra接続
 ・SSG 83MHz 60dB Pilot信号
 ・83MHz ST受信 → VR6調整 → 19kHz信号最小
【WIDE セパレーション調整】
 ・固定出力端子 → WaveSpectra接続
 ・83MHz WIDE Rch → VR7調整 → 反対chへの漏れ信号最小
 ・83MHz WIDE Lch → VR8調整 → 反対chへの漏れ信号最小
【NARROW セパレーション調整】
 ・固定出力端子 → WaveSpectra接続
 ・83MHz NARROW L/R → VR9調整 → 反対chへの漏れ信号最小

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■試聴---------------------------------------------------------------

 ・本機にはFL3以外にも内蔵コンデンサを持ったフィルターが多数あります
 ・過去にはこれらのフィルター故障の事例がありました
 ・またいつか、別のノイズ問題が起きそうな予感がします
 ・古い機種を使い続けるとき避けられない問題です
 ・なお、ロックできないボタンは実害がないのでこのままとしました

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note:BLUESS Laboratory

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ピュアオーディオ」カテゴリの記事

コメント

こんばんは。

このチューナ、近くのHOで見かけ気になっていますが、
タグの記事を見ると同様の事象が結構起きているような感じですね、
アキレス腱なんでしょうか?。

PIONEERのF-500でアナログチューナに目覚め、にDENON TU-355と
SONY ST-A6Bを買いしました。
チューニングダイヤル指針が、周波数スケールとわずかにずれますが、
アナログチューナは私のシステムとの相性が良いのか、
いずれも、ひずみ感やステレオ感に問題はなく耳当たりの良いサウンドなので、
次はこれを狙っていたのですが…。

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