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2024年11月の記事

2024年11月24日 (日)

Marantz ST-55

 ・2024年9月、研究用にマランツ機 ST-55を寄付していただきました
 ・調べたところ特に不具合の無いきれいな個体でした
 ・故障品、不動品でも研究用の寄付は歓迎します

St5507_20241124085801

■製品情報-------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 Marantz ST-55 ¥39,800(1981年頃)
 ・Hifiengine Marantz ST-520 AM/FM Stereophonic Tuner (1982)
 ・海外サイトで同じ型番のST-55という機種が見つかりますが別物でした

St5502_20241124085901St5512_20241124085901

■動作確認-------------------------------------------------

 ・1981年製ということはシンセ式チューナー初期の製品です
 ・当時のマランツ製アナログ機に似たフロントパネルデザインがステキ
 ・さらにシャンパンゴールドのボディが高級感を醸し出しています
 ・フロントパネルに目立つキズは無い、ボタンに緑青色のメッキ錆び
 ・FMアンテナ端子にF型端子が無いのがちょっと残念
 ・300Ω~75Ω変換プラグを介しFMアンテナを接続して受信テスト開始
 ・表示部にFM周波数が浮かび上がる、文字欠けや文字痩せはない
 ・オート選局機能がない、周波数UP/DOWNボタンを押し続けて選局
 ・とりあえず名古屋地区のFM局を受信できました
 ・シグナルインジケーター全点灯、STEREOインジケーター点灯
 ・メモリー登録OK、IF BAND切換機能なし、REC CAL機能なし
 ・続いて適当なAMループアンテナを接続してAM受信テスト開始
 ・名古屋地区のAM放送をすべて受信できました
 ・FM受信範囲:76.1MHz~89.9MHz ※76.0MHzは受信できません
 ・AM受信範囲:522kHz~1611kHz
 ・FM/AMとも深刻な問題点は無さそうです

■内部確認--------------------------------------------------

 ・FMフロントエンドはミツミ製パッケージ ※調整用トリマなし
 ・Q202:HA11225 FM IF System ※QD検波、Sメーター、Muting
 ・Q305:KB4437 PLL FM MPX   ※PIONEER PA1001Aと同じ
 ・QA01:LA1245 AFM Tuner System
 ・R220:MUTING調整
 ・R303:VCO調整
 ・R305:PILOT CANCEL調整
 ・R323:SEPARATION調整
 ※久しぶりにKB4437に遭遇、何だか懐かしい気分です

St5521_20241124090001St5522St5523_20241124090001St5524St5525
St5500

■調整記録--------------------------------------------------

【VT電圧調整】
 ・J501 → 電圧計セット
 ・89.9MHz → 21.1v ※確認のみ
 ・76.1MHz → 3.0v ※確認のみ
 ※フロントエンド内にトリマコンデンサなし、L104の調整は難しい
【FM-RF,IF調整】
 ・R218後足 → 電圧計セット ※Sメーター電圧
 ・83.0MHz受信 → T101調整 → 電圧最大
 ※L101~L103の調整は難しい
【クアドラチュア検波調整】
 ・J201~J202 → 電圧計セット
 ・音声出力 → Wavespectra接続
 ・83.0MHz受信 → L201右コア調整 → 0v
 ・83.0MHz受信 → L201左コア調整 → 高調波歪最小
【MUTING調整】
 ・83.0MHz20dB受信 → R220調整 → MUTING作動位置へ
【VCO調整】
 ・R301後足 → 周波数カウンタ接続
 ・83.0MHzST受信 → R303調整 → 76kHz
 ※テストポイントJ301(VCO)では上手く測定できなかった
【PILOT信号キャンセル調整】
 ・音声出力 → Wavespectra接続
 ・83.0MHzST受信 → R305調整 → 19kHz成分最小
【セパレーション調整】
 ・音声出力 → Wavespectra接続
 ・83.0MHzST受信 → R303 → L/R 漏れ信号最小

【AM-VT調整】
 ・J501 → 電圧計セット
 ・1611kHz → 8.5v ※確認のみ
 ・ 522kHz → 0.6v ※確認のみ
【AM-RF,IF調整】
 ・ 603kHz受信 → LA01調整 → 電圧最大
 ・1404kHz受信 → CA04調整 → 電圧最大
 ・ 999kHz受信 → LA03,04調整 → 電圧最大

St5530_20241124085701

■試聴------------------------------------------------------

 ・少し前にメンテした同価格帯の Matantz ST-50 と比較すると
 ・デザイン的にはST-55が好みですが、性能ではST-50の圧勝でした
  ・ST-55:1981年製、定価39,800円
  ・ST-50:1991年製、定価38,000円
 ・この差は1981年~1991年の10年間に渡る技術進化の賜物ですね
 ・マランツ製品にはあまり縁が無かったので興味深い気付きでした
 ・今さら、ですけどね

St5503_20241124085701

note:BLUESS Laboratory >

2024年11月17日 (日)

TRIO L-07TII 修理調整記録3

 ・2024年9月初め、具合が悪いというL-07TIIが届きました
 ・FM受信中にノイズが気になるそうです
 ・以下、作業記録です

L07t03

■製品情報--------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 TRIO L-07TII ¥130,000(1979年頃)
 ・オーディオ懐古録 TRIO L-07TII FM STEREO TUNER ¥130,000
 ・Hifi Engine Kenwood L-07T FM Stereo Tuner (1977-81) USD625

L07t02L07t10

■動作確認--------------------------------------------------

 ・フロントパネル左下角が潰れて変形しているので落下歴があるかも
 ・選局ツマミに目立つひっかき傷、外観には経年の歴史を感じます
 ・さて電源オン、周波数窓と二つのメーター照明点灯
 ・FM同軸ケーブルを接続して名古屋地区のFM局を受信すると、
 ・局周波数付近でSメーターが大きく振れ、Tメーターが中点を示す
 ・周波数ズレなし、Sメーター最大点とTメーター中点が一致する
 ・STEREOランプが点灯しFM音声が聞こえてきました
 ・背面の「PASSED」シールが破れているので調整歴があるかも?
 ・IF BAND切換、MUTING切換、MPX FILTER切換など操作OK
 ・特に問題なし、、と思っていたら
 ・ときどき「プツプツ、ブチブッ」と不定期に雑音の混入を確認
 ・マルチパスH端子からの音声にも同じ雑音が混入している
 ・雑音発生時もFM音声はちゃんと聞こえている
 ・雑音が発生するタイミングは不定期で規則性はなさそう

■内部記録--------------------------------------------------

 ・電源基板の電解コンデンサーがオーディオクラス品に交換済み
 ・背面の「PASSED」シール位置にフロントエンドの調整口がありますが
 ・このシールが破れている、つまり再調整歴がありそう
 ・主要なICやトランジスタの足に最近磨いた痕跡あり
 ・たぶん過去にメンテナンスを受けた個体のようです
 ・しかし基準音を受信してWavespectraで波形を見ると様子がおかしい?
 ・まずノイズフロアが異常に高い、それに音声出力レベルが低い
 ・つまりS/N比が大幅に悪化している状態です
 ・これは電源系統に問題あるのか?
 ・でも電解コンデンサーは交換済みだし、、?

L07t00

■修理記録;パルスカウント検波基板FL1(LPF)----------------

 ・メーター動作正常、マルチパスH端子から同じ雑音が聞こえる
 ・こうなると雑音の発生源はパルスカウント検波基板が怪しいです
 ・電源トランス横の金属箱に収まったパルスカウント検波基板を確認
 ・パルスカウント検波基板は底板を外して底面側からアクセスできます
 ・過去のトラブル事例から考えて不調原因は次のどちらか
  ・FL1(LPF)内蔵コンデンサーの黒化劣化
  ・IC3(HA1457)足の腐食
 ・まず手始めにIC3(HA1457)を取り外して確認したところ
 ・既に HA1457W に交換済みでした。足にマイグレーションありません
 ・となると次に怪しいのはFL1(ローパスフィルター)
 ・これを取り外して内蔵コンデンサを確認
 ・3本の内2本が黒く変色していました
 ・対策として3本とも除去し、68pF×2個と39pFを基板に外付けしました
 ・作業後、今のところ雑音は発生していません
 ・意外な改善効果としてノイズフロアが大幅に低下し出力レベル上昇
 ・FL1の不調が不規則ノイズ以外にも影響していたようです

L07t22L07t23L07t24L07t25L07t29
L07t3022

■調整記録--------------------------------------------------

 ・MUTING オフ
 ・IF BAND wide
【FM OSC調整】
 ・76MHz → OSCコイル調整 → Sメーター最大
 ・90MHz → OSCトリマ調整 → Sメーター最大
 ※OSC調整孔がユニット背面側にあるのでアクセスが難しい。
 ※背面パネルの「PASSED」シールを剥がすと丸穴がある。
 ※柄の長いセラミックドライバーがあれば調整可能。
【RF調整】
 ・76MHz → L1,L3,L4,L5,L7,L8調整 → Sメーター最大
 ・90MHz → TC1~TC6調整 → Sメーター最大
 ・83MHz → L10調整 → Sメーター最大
【Sメーター調整】
 ・83MHz → T3調整 → Sメーター最大
 ・VR1 → MAX回しきる
 ・83MHz,100dB → VR2調整 → Sメーター目盛10
 ・83MHz, 10dB → VR1調整 → Sメーター目盛 1
【Tメーター調整】
 ・音声出力 → WaveSpectra接続
 ・83MHz → 高調波歪が最小になる位置で受信
 ・83MHz → T2調整 → Tメーター中点
【ノイズアンプ調整】
 ・Q14-G 電圧計セット
 ・離調時 → VR4調整 → 7.0~7.5V
 ・同調時 → 0V 確認のみ
【2nd IF調整】
 ・TP16 → 周波数カウンタ接続
 ・T4調整 → 1.96MHz
【MUTING調整】
 ・83MHz 20dB → VR3調整 → Muting作動位置
【パイロット信号キャンセル調整】
 ・83MHz ST変調 → VR6調整 → 19kHz漏れ信号最小
【VCO調整】
 ・R107左足 → 周波数カウンタ接続
 ・83MHz受信 無変調 → VR5調整 → 76kHz
【セパレーション調整】
 ・wide
 ・83MHz ST信号 → VR7調整 → 漏れ信号最小
 ・83MHz ST信号 → VR8調整 → 漏れ信号最小
 ・narrow
 ・83MHz ST信号 → VR9調整 → 漏れ信号最小

■試聴------------------------------------------------------

 ・FL1の修理でノイズフロアが落ち着いたのは意外な効果でした
 ・それにしてもパルスカウント検波回路のLPFは鬼門ですね

L07t04

note:BLUESS Laboratory

2024年11月10日 (日)

SONY ST-A35 修理調整記録

 ・2024年9月、ST-A35の故障品が届きました
 ・HOジャンクコーナーで何度か見かけた事があるような気がします
 ・今回初めて内部を見る機会をいただきました

Sta3503

■製品情報--------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 SONY ST-A35 ¥35,000(1980年頃)
 ・Hifi Engine SONY ST-A35 AM/FM Stereo Tuner (1980-81)

Sta3502 Sta3515

■動作確認--------------------------------------------------

 ・経年の汚れはあるものの外観に目立つキズはない
 ・フロントパネルはほぼ無傷、既に清掃済みのようです
 ・FMアンテナ用にF端子が無いのが入門機の残念なところ、、
 ・さて75Ω~300Ωの変換アダプタを介してFMアンテナを接続
 ・電源オン、緑色の優しい照明が周波数窓をライトアップ
 ・指針は鮮やかな赤色照明点灯、照明窓の雰囲気は想像以上に良い
 ・Sメーターは5連灯の緑色LEDインジケーター式
 ・TメーターもLED式で中点では緑色、左右に離調すると赤色で点灯
 ・Tメーターの針の動きをLEDの点灯具合で再現するタイプです

Sta3504

 ・肝心のFM受信ですが、-2.5MHzの大幅な周波数ズレで受信
 ・例えばNHK-FM(名古屋)82.5MHzを80.0MHz付近で受信
 ・でもズレた位置でACCUTE SERVO LOCK点灯(Tメーター中点)
 ・STEREOインジケーター点灯、MUTING動作OK、REC CALトーンOK
 ・正常な音声が聞こえてきました
 ・気になるのはSメーターが下から2灯しか点灯しないこと
 ・一方AMは背面バーアンテナで名古屋地区のAM局を受信OK
 ・AM受信に問題は無さそうです

■内部確認--------------------------------------------------

 ・ICの型番は異なるものの、内部構成は ST-A40 によく似ています
 ・FM4連、AM2連フロントエンドユニット → CF3段
 ・IC201:HA11225:クアドラチュア検波
 ・IC301:HA12016:PLL MPX
 ・IC401:LA1240 :AM TUNER
 ・このフロントエンドユニットは、はっきり見覚えがあります
 ・そう、TRIO KT-900/KT-990に搭載されたユニットと同じタイプです
 ・このユニットでは±2MHz前後も周波数がズレる故障が多発しています
 ・試しに局発トリマコンデンサCT-104を回してみると、全く変化なし
 ・周波数ズレの原因は局発トリマの容量抜けで間違いなさそうです

Sta3500

■修理記録:トリマコンデンサ交換----------------------------

 ・局発トリマの交換はTRIO KT-900/KT-990で修理経験を重ねました
 ・まずユニットの金属フレームに新トリマ(10pF)を外付けします
 ・材料はM3サイズの小ネジ、座金ワッシャー、丸型圧着端子
 ・ユニット外側の穴に丸形圧着端子とワッシャーとともにネジ止め
 ・圧着端子にトリマGND足をはめ込んでハンダ付け
 ・圧着端子を折り曲げるとトリマの活栓側が端子と重なります
 ・後述のOSC調整で周波数ズレは解消できました

Sta3521 Sta3540 Sta3541 Sta3542 Sta3543

■調整記録--------------------------------------------------

【SERVO LOCK停止】
 ・IC601 JRC4558C-5ピン → GNDに落とす
 ・これによってSERVO LOCK(AF)機能停止
【FM同調点調整】
 ・音声出力をWaveSpectraで観測
 ・TP1-NULL 電圧計セット
 ・83.0MHz受信 → 歪率が最小になる位置を探す
 ・IFT201(奥)調整 → TP電圧ゼロ
 ・IFT201(前)調整 → 高調波歪最小
【FM OSC調整】
 ・調整はCT104のみ
 ・RT201 → Sメーター調整VRに電圧計セット(Sメーター代用)
 ・83.0MHz → 指針を83MHzにセット → CT104調整 → 電圧最大

【FM RF調整】
 ・L101、L102、L103はコイル間隔を調整するタイプ
 ・これは上手く調整できないの今回はノータッチ
 ・RT201 → Sメーター調整VRに電圧計セット(Sメーター代用)
 ・83.0MHz受信 → CT101,102,103調整 → 電圧最大
 ・83.0MHz受信 → T101調整 → 電圧最大
【FM高調波歪調整】
 ・音声出力をWaveSpectraで観測
 ・83.0MHz受信 → IFT201(前)調整 → 高調波歪最小
【SERVO LOCK停止解除】
 ・IC601 JRC4558C-5ピン → 解除
【Sメーター点灯調整】
 ・RT201
【MUTING動作点調整】
 ・RT202
【VCO調整】
 ・TP VCO に周波数カウンター接続
 ・83.0MHz(無変調)受信 → RT302調整 → 76.0kHz
【セパレーション調整】
 ・音声出力 → WaveSpectra観測
 ・83.0MHz(ST)受信 → RT301調整 → 左右の漏れ信号最小
★トラブル発生、RT301を回してもセパレーション値が変化しない?
 
【REC CAL調整】
 ・音声出力レベルを記録
 ・RT601調整 → -6dB設定 ※404Hz
【AM OSC調整】
 ・AM 600kHz → 指針 600kHz位置にセット → T401調整
 ・AM1400kHz → 指針1400kHz位置にセット → CT402調整
【AM RF調整】
 ・AM 600kHz → バーアンテナ内コイル調整
 ・AM1400kHz → CT401調整

Sta3560

■修理記録:セパレーション調整RT301交換---------------------

 ・調整作業時に気が付いたのですが、RT301を回しても値が変化しない
 ・セパレーション値20dB程度で左右とも変化しない
 ・STEREOインジケーターは点灯して左右分離は出来ています
 ・試しにRT301(104)を外して抵抗値を確認すると何と無限大、、
 ・これを同型品100kΩに交換して解決できました
 ・この後セパレーション調整が完了できました

Sta3550 Sta3551

■試聴------------------------------------------------------

 ・特に緑色に浮かび上がる周波数窓がイイ雰囲気を醸し出します
 ・見た目に関してはST-A40よりも美しくて癒されます
 ・入門機らしくシンプルな構成ですがFM/AMとも不満無く使えます
 ・BGM用途やインテリアとしてお勧めします

Sta3508

note BLUESS Laboratory

2024年11月 3日 (日)

Marantz ST-50

 ・2024年9月、ST-50のゴールドモデルが届きました
 ・FM/AMとも全く受信しないそうです
 ・以下、作業記録です

St5003

■製品情報-------------------------------------------------
 ・オーディオの足跡 Marantz ST-50 ¥38,000(1991年頃)※ゴールドモデル
 ・オーディオの足跡 Marantz ST-50BL ¥35,000(1989年頃)※ブラックモデル
 ・Hifiengine Marantz ST-50 Synthesized FM/AM Stereo Tuner (1989-93)

St5012St5013

■動作確認-------------------------------------------------
 ・持ち上げるとズッシリ重くて、ちょっと驚きます
 ・外観に目立つキズは無くとてもキレイな状態
 ・フロントパネルのデザインは飾り気が無くてとてもシンプルです
 ・FMアンテナはF端子がA/B 2系統リレー切換式の本格タイプです
 ・とりあえずA端子に同軸ケーブルを接続して受信テスト開始
 ・表示部にFM周波数が浮かび上がる、文字欠けや文字痩せはない
 ・IF BAND切換(WIDE/NARROW)OKだが、
 ・オート選局では上り、下り方向とも周波数は変化するが、
 ・すべてのFM局を素通りして受信不可
 ・マニュアル受信に切り換えてもすべてのFM局を受信できません
 ・シグナルインジケーターは全く点灯しない
 ・そもそも局間ノイズも聞こえない、完全な無音状態です
 ・続いて適当なAMループアンテナを接続してAM受信テスト開始
 ・AM放送も全く受信不可でした
 ・周波数はアップダウンしますが、局間ノイズも聞こえません
 ・FM/AMとも受信不可なので電源系統の問題か?

St5008

■内部確認--------------------------------------------------
 ・まずボディ両側の「サイドウッド」を外して驚いたことは、
 ・「木製のサイドウッド」ではなく「金属製サイドウェイト」でした
 ・両側2個で合計約3kgの重量があります、そりゃ重いわけだ、、
 ・オーディオの足跡では「ダイキャストサイドパネル」との記述あり
 ・ブラックモデルの定価より3,000円高いのはこの重さのせいですね
 ・側面に見える丸いゴムキャップを外すと取り付けネジが見えます
 ・サイドウェイトを外すと片手で持てるほどの軽量ボディでした
 ・基板はボディ後方半分ほどの面積に収まって内部はスカスカ
 ・底面に点検口が無いので部品交換は基板を取り外す必要あり
 ・FMフロントエンドはミツミ製パッケージ
 ・Q201:LA1266 AM/FM Tuner System
 ・Q301:LA3450 PLL FM MPX Stereo Demodulator
 ・さらによく見るとL202のレシオ検波回路があります
 ・LA1266のクアドラチュア検波は使っていません
 ・FM/AMともに受信不能なのでまず電源系統のチェックからスタート

St5000

■修理記録:C314(100uF/16v)交換----------------------------
 ・Q801 +12v → 12.1v ※OK
 ・Q802 +5.6v → 5.6v ※OK
 ・電源回路に異常なし
 ・続いて各ICのVccをチェックしたところQ301で異常値に遭遇
  ・Q301(LA3450)-28pin → 12v ※正常
  ・Q301(LA3450)-27pin → 0v ★異常 (規定値5.5v)
 ・原因はQ301(LA3450)-27pin に繋がるC314(100uF/16v)短絡でした
 ・C314(100uF/16v) → (100uF/50v) 新品交換
 ・この交換によってQ301が動き出し、FM音声が出るようになりましたが
 ・ただし音声が出るのはMutingオフ時のみ
 ・シグナルインジケーター点灯せず、ひどい音が聞こえます
 ・受信感度が極めて弱い状態で受信しているようです
 ・そしてAM受信に関しては改善効果なし

St5040

■修理記録:Q214:(2SA1309A)交換-----------------------------
 ・さらに調査続行したところFM/AM切換信号が出ていないことが判明
 ・この原因を辿ったところQ501(LC7218)の横にあるTR故障でした
  ・Q214(2SA1309A) → 2SA1015GR交換
 ・これによってAM受信が復旧しました
 ・ただシグナルインジケーターがFM/AMとも全く点灯しません
 ・それにFM受信音も酷い音のまま改善効果なし

St5030

■修理記録:Q201(LA1266)交換--------------------------------
 ・シグナルインジケーターが点灯しない原因を探して調査続行
 ・Q201(LA1266)周辺の電解コンデンサをいくつか交換するも改善効果なし
 ・これはQ201(LA1266)自体の故障かも?
 ・ジャンク箱を探したところ KENWOOD KT-5020の基板にLA1266を発見
 ・試しにこれを取り外してST-50に移植してみました
 ・結果は、、大正解!!
 ・FM/AMともシグナルインジケーターがフル点灯、
 ・まともな受信音が聞こえてきます、、よかった、、ホッ、
 ・後述の受信調整を経て動作動作が正常化しました

St5050

■調整記録--------------------------------------------------
【VT電圧調整】
 ・フロントエンド右側面 TP-VT → 電圧計セット
 ・90.0MHz → L104調整 → 11.0v ※実測11.2v
 ・76.0MHz → 2.6v ※確認のみ
【FM-RF,IF調整】
 ・ジャンパ線U233 → 電圧計セット ※Sメーター電圧
 ・83.0MHz受信 → L101,102,103調整 → 電圧最大
 ・83.0MHz受信 → T101調整 → 電圧最大
 ※トリマコンデンサなし、中空コイルのみで調整は難しい
【Narrow Gain調整】
 ・ジャンパ線U233 → 電圧計セット ※Sメーター電圧
 ・83.0MHz受信 → L201調整 → 電圧最大
 ・83.0MHz受信 → R218調整 → Wide/Narrowで同電圧に
【レシオ検波調整】
 ・TP J201 → 電圧計セット
 ・音声出力 → Wavespectra接続
 ・83.0MHz受信 → L202前コア調整 → 0v
 ・83.0MHz受信 → L202後コア調整 → 高調波歪最小
【MUTING調整】
 ・83.0MHz20dB受信 → R235調整 → MUTING作動位置へ
 ※20dB以下でMUTINGが作動するように設定しました
 ※シグナルインジケーターの点灯具合とも連動します
【PILOT信号キャンセル調整】
 ・音声出力 → Wavespectra接続
 ・83.0MHzST受信 → R302調整 → 19kHz成分最小
 ※左右chのバランス注意
【ステレオ歪(Wide)調整】
 ・音声出力 → Wavespectra接続
 ・83.0MHzST受信 → T101調整 → 高調波歪最小
【セパレーション(Wide)調整】
 ・音声出力 → Wavespectra接続
 ・83.0MHzST受信 → R303 → L/R 漏れ信号最小
【ステレオ歪(Narrow)調整】
 ・音声出力 → Wavespectra接続
 ・83.0MHzST受信 → L201調整 → 高調波歪最小
【セパレーション(Narrow)調整】
 ・音声出力 → Wavespectra接続
 ・83.0MHzST受信 → R304 → L/R 漏れ信号最小
【AM-VT調整】
 ・フロントエンド右側面 TP-VT → 電圧計セット
 ・1602kHz → LA02調整 → 7.2v ※実測7.5v
 ・ 531kHz → 1.2v ※確認のみ
【AM-RF,IF調整】
 ・ジャンパ線U233 → 電圧計セット ※Sメーター電圧
 ・ 603kHz受信 → LA01調整 → 電圧最大
 ・1404kHz受信 → CA01調整 → 電圧最大
 ・ 999kHz受信 → FA01調整 → 電圧最大

St5061

■試聴------------------------------------------------------

 ・故障原因を探すのに時間がかかりましたが直ってよかったです
 ・3個の部品が同時に壊れたのか、どれかが引き金になったのか、
 ・原因はよく分かりませんがとにかく復活できて良かったです
 ・重いサイドウェイトのおかげで外観は高級感があります
 ・入手するならゴールドモデルをお勧めします

St5002

note:BLUESS Lavoratory

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