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2024年11月 3日 (日)

Marantz ST-50

 ・2024年9月、ST-50のゴールドモデルが届きました
 ・FM/AMとも全く受信しないそうです
 ・以下、作業記録です

St5003

■製品情報-------------------------------------------------
 ・オーディオの足跡 Marantz ST-50 ¥38,000(1991年頃)※ゴールドモデル
 ・オーディオの足跡 Marantz ST-50BL ¥35,000(1989年頃)※ブラックモデル
 ・Hifiengine Marantz ST-50 Synthesized FM/AM Stereo Tuner (1989-93)

St5012St5013

■動作確認-------------------------------------------------
 ・持ち上げるとズッシリ重くて、ちょっと驚きます
 ・外観に目立つキズは無くとてもキレイな状態
 ・フロントパネルのデザインは飾り気が無くてとてもシンプルです
 ・FMアンテナはF端子がA/B 2系統リレー切換式の本格タイプです
 ・とりあえずA端子に同軸ケーブルを接続して受信テスト開始
 ・表示部にFM周波数が浮かび上がる、文字欠けや文字痩せはない
 ・IF BAND切換(WIDE/NARROW)OKだが、
 ・オート選局では上り、下り方向とも周波数は変化するが、
 ・すべてのFM局を素通りして受信不可
 ・マニュアル受信に切り換えてもすべてのFM局を受信できません
 ・シグナルインジケーターは全く点灯しない
 ・そもそも局間ノイズも聞こえない、完全な無音状態です
 ・続いて適当なAMループアンテナを接続してAM受信テスト開始
 ・AM放送も全く受信不可でした
 ・周波数はアップダウンしますが、局間ノイズも聞こえません
 ・FM/AMとも受信不可なので電源系統の問題か?

St5008

■内部確認--------------------------------------------------
 ・まずボディ両側の「サイドウッド」を外して驚いたことは、
 ・「木製のサイドウッド」ではなく「金属製サイドウェイト」でした
 ・両側2個で合計約3kgの重量があります、そりゃ重いわけだ、、
 ・オーディオの足跡では「ダイキャストサイドパネル」との記述あり
 ・ブラックモデルの定価より3,000円高いのはこの重さのせいですね
 ・側面に見える丸いゴムキャップを外すと取り付けネジが見えます
 ・サイドウェイトを外すと片手で持てるほどの軽量ボディでした
 ・基板はボディ後方半分ほどの面積に収まって内部はスカスカ
 ・底面に点検口が無いので部品交換は基板を取り外す必要あり
 ・FMフロントエンドはミツミ製パッケージ
 ・Q201:LA1266 AM/FM Tuner System
 ・Q301:LA3450 PLL FM MPX Stereo Demodulator
 ・さらによく見るとL202のレシオ検波回路があります
 ・LA1266のクアドラチュア検波は使っていません
 ・FM/AMともに受信不能なのでまず電源系統のチェックからスタート

St5000

■修理記録:C314(100uF/16v)交換----------------------------
 ・Q801 +12v → 12.1v ※OK
 ・Q802 +5.6v → 5.6v ※OK
 ・電源回路に異常なし
 ・続いて各ICのVccをチェックしたところQ301で異常値に遭遇
  ・Q301(LA3450)-28pin → 12v ※正常
  ・Q301(LA3450)-27pin → 0v ★異常 (規定値5.5v)
 ・原因はQ301(LA3450)-27pin に繋がるC314(100uF/16v)短絡でした
 ・C314(100uF/16v) → (100uF/50v) 新品交換
 ・この交換によってQ301が動き出し、FM音声が出るようになりましたが
 ・ただし音声が出るのはMutingオフ時のみ
 ・シグナルインジケーター点灯せず、ひどい音が聞こえます
 ・受信感度が極めて弱い状態で受信しているようです
 ・そしてAM受信に関しては改善効果なし

St5040

■修理記録:Q214:(2SA1309A)交換-----------------------------
 ・さらに調査続行したところFM/AM切換信号が出ていないことが判明
 ・この原因を辿ったところQ501(LC7218)の横にあるTR故障でした
  ・Q214(2SA1309A) → 2SA1015GR交換
 ・これによってAM受信が復旧しました
 ・ただシグナルインジケーターがFM/AMとも全く点灯しません
 ・それにFM受信音も酷い音のまま改善効果なし

St5030

■修理記録:Q201(LA1266)交換--------------------------------
 ・シグナルインジケーターが点灯しない原因を探して調査続行
 ・Q201(LA1266)周辺の電解コンデンサをいくつか交換するも改善効果なし
 ・これはQ201(LA1266)自体の故障かも?
 ・ジャンク箱を探したところ KENWOOD KT-5020の基板にLA1266を発見
 ・試しにこれを取り外してST-50に移植してみました
 ・結果は、、大正解!!
 ・FM/AMともシグナルインジケーターがフル点灯、
 ・まともな受信音が聞こえてきます、、よかった、、ホッ、
 ・後述の受信調整を経て動作動作が正常化しました

St5050

■調整記録--------------------------------------------------
【VT電圧調整】
 ・フロントエンド右側面 TP-VT → 電圧計セット
 ・90.0MHz → L104調整 → 11.0v ※実測11.2v
 ・76.0MHz → 2.6v ※確認のみ
【FM-RF,IF調整】
 ・ジャンパ線U233 → 電圧計セット ※Sメーター電圧
 ・83.0MHz受信 → L101,102,103調整 → 電圧最大
 ・83.0MHz受信 → T101調整 → 電圧最大
 ※トリマコンデンサなし、中空コイルのみで調整は難しい
【Narrow Gain調整】
 ・ジャンパ線U233 → 電圧計セット ※Sメーター電圧
 ・83.0MHz受信 → L201調整 → 電圧最大
 ・83.0MHz受信 → R218調整 → Wide/Narrowで同電圧に
【レシオ検波調整】
 ・TP J201 → 電圧計セット
 ・音声出力 → Wavespectra接続
 ・83.0MHz受信 → L202前コア調整 → 0v
 ・83.0MHz受信 → L202後コア調整 → 高調波歪最小
【MUTING調整】
 ・83.0MHz20dB受信 → R235調整 → MUTING作動位置へ
 ※20dB以下でMUTINGが作動するように設定しました
 ※シグナルインジケーターの点灯具合とも連動します
【PILOT信号キャンセル調整】
 ・音声出力 → Wavespectra接続
 ・83.0MHzST受信 → R302調整 → 19kHz成分最小
 ※左右chのバランス注意
【ステレオ歪(Wide)調整】
 ・音声出力 → Wavespectra接続
 ・83.0MHzST受信 → T101調整 → 高調波歪最小
【セパレーション(Wide)調整】
 ・音声出力 → Wavespectra接続
 ・83.0MHzST受信 → R303 → L/R 漏れ信号最小
【ステレオ歪(Narrow)調整】
 ・音声出力 → Wavespectra接続
 ・83.0MHzST受信 → L201調整 → 高調波歪最小
【セパレーション(Narrow)調整】
 ・音声出力 → Wavespectra接続
 ・83.0MHzST受信 → R304 → L/R 漏れ信号最小
【AM-VT調整】
 ・フロントエンド右側面 TP-VT → 電圧計セット
 ・1602kHz → LA02調整 → 7.2v ※実測7.5v
 ・ 531kHz → 1.2v ※確認のみ
【AM-RF,IF調整】
 ・ジャンパ線U233 → 電圧計セット ※Sメーター電圧
 ・ 603kHz受信 → LA01調整 → 電圧最大
 ・1404kHz受信 → CA01調整 → 電圧最大
 ・ 999kHz受信 → FA01調整 → 電圧最大

St5061

■試聴------------------------------------------------------

 ・故障原因を探すのに時間がかかりましたが直ってよかったです
 ・3個の部品が同時に壊れたのか、どれかが引き金になったのか、
 ・原因はよく分かりませんがとにかく復活できて良かったです
 ・重いサイドウェイトのおかげで外観は高級感があります
 ・入手するならゴールドモデルをお勧めします

St5002

note:BLUESS Lavoratory

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