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2024年12月の記事

2024年12月29日 (日)

TRIO KT-60

 ・2024年10月、研究材料としてTRIO KT-60をいただきました
 ・HOジャンクコーナーで何度か見かけたような気がします
 ・でも音声ケーブル直出し機だったので入手を見送ってきました
 ・今回初めて内部を見る機会をいただきました

Kt6003

■製品情報--------------------------------------------------

 ・1981年版のオーディオ雑誌に記事が載っていました
 ・TRIO KT-60 定価26,800円
 ・TRIO製アンプ KA-60 とセットになる製品のようです
 ・背面パネルがKT-900に似ているので1980年頃の製品かなと推定します
 ・ネット検索してもこれ以上の情報は分かりません

Kt60100
Kt6002Kt6011

■動作確認--------------------------------------------------

 ・ミニコンではなく標準サイズの薄型ボディ、持ち上げると重量感あり
 ・側面に擦り傷あるが、全体としては保存状態は良い
 ・背面パネルのアンテナ端子形状は KT-900 によく似ている
 ・さて、FMアンテナを接続して電源オン、F端子が無いのが残念
 ・透明プラ製の電源スイッチが電球色に点灯、ただ周波数窓照明は無い
 ・多少の周波数ズレあるが名古屋地区のFM局をすべて受信できました
 ・シグナルインジケーター点灯、STEREOランプ点灯、MUTING動作OK
 ・続いて適当なAMループアンテナを繋いでAM局の受信テスト
 ・AM局も受信OKでした
 ・FM/AMとも深刻な動作不良は無さそうです

Kt6005Kt6006Kt6008Kt6012Kt6013

■内部確認--------------------------------------------------

 ・ひろくんのサイトで兄弟機 KT-80 の詳細記事があります
 ・もしかして KT-60 もパルスカウント検波機か?と期待しましたが
 ・HA1137Wによるクアドラチュア検波、調整用VR1個だけの入門機でした
 ・FM3連AM2連バリコン搭載フロントエンド
 ・IF BAND切換機能なし
  ・IC1:AN217P  AM Tuner
  ・IC2:HA1137W FM IF System ※QD検波、MUTING、Sメーター
  ・IC3:HA12016 FM PLL MPX
  ・IC4:M51903L LED Driver
  ・VR1:VCO(76kHz)調整
 ・基板には部品未実装の穴が多数あります
 ・これらの穴に部品を満載した別機種があるかも?
 ・未調整のままでFM/AMとも受信できています
 ・これはシンプルな回路構成のおかげかもしれません

Kt6000
Kt6021Kt6022Kt6023Kt6012Kt6013

■調整記録--------------------------------------------------

【FM同調点調整】
 ・音声出力 → Wavespectra接続
 ・83.0MHz受信 → Sメーター最大位置を探す
 ・83.0MHz受信 → L2調整 → Wavespectraで信号レベル最大位置へ
 ・83.0MHz受信 → L3調整 → Wavespectraで高調波歪最小位置へ
【FM OSC調整】
 ・HA1137W-13pin(R28後足)→ 電圧計セット ※Sメーター電圧
 ・83.0MHz受信 → TC103調整 → 電圧最大位置へ
 ※L103調整不可のため83MHzのみで調整
【FM RF調整】
 ・HA1137W-13pin(R28後足)→ 電圧計セット ※Sメーター電圧
 ・83.0MHz受信 → TC101,TC102調整 → 電圧最大位置へ
 ※L101,L102 中空コイルの調整は難しいので83MHzのみで調整
【QD検波調整】
 ・音声出力 → Wavespectra接続
 ・83.0MHz受信 → L2調整 → 信号レベル最大位置へ ※再確認
 ・83.0MHz受信 → L3調整 → 高調波歪最小位置へ
【VCO調整】
 ・HA12016-16pin(R76左足)→ 周波数カウンタ接続
 ・83.0MHzST信号受信 → VR1調整 → 76.0kHz
【AM調整】
 ・ 600kHz受信 → L6,L10調整 → Sメーター最大
 ・1400kHz受信 → TC105,TC104調整 → Sメーター最大

Kt6030

■試聴------------------------------------------------------

 ・超シンプルな回路構成でセパレーション調整できません
 ・それでも実測のセパレーション値は左右とも45dB前後でした
 ・窓照明が無いので見映えはしませんがBGM目的なら十分使えます

Kt6009

note:BLUESS Laboratory

2024年12月22日 (日)

SANSUI TU-α707R 修理調整記録2

 ・2024年10月、3年ほど前に調整した707Rが不調で戻ってきました
 ・前回調整記録 2021年7月4日記事
 ・前回は再調整だけで復活しましたが、最近受信中に雑音が発生するとか
 ・さて故障原因は何か??

707r09_20241222090201

■製品情報--------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 SANSUI TU-α707R ¥53,800(1991年頃)
 ・Hifi engine SANSUI TU-X711 Digital Synthesizer Tuner (1989-90)
【国内機】
 ※TU-α707   ¥59,800(1986年頃)
 ※TU-α707i   ¥59,800(1987年頃)
 ※TU-α707EXTRA ¥54,700(1989年頃)
 ※TU-α707R   ¥53,800(1991年頃)
【輸出機】
 ※TU-X701:TU-α707/707i
 ※TU-X711:TU-α707EXTRA/TU-α707R

707r02_20241222090301707r13_20241222090301

■動作確認--------------------------------------------------

 ・電源オン、周波数など表示部点灯。文字痩せは無さそう
 ・オート受信で名古屋地区のFM放送局を受信できました
 ・上り方向、下り方向ともに周波数ズレなし
 ・シグナルメーターフル点灯、STEREOランプ点灯。
 ・IF BAND切換OK、RF切換OK、MUTING動作OK、REC CALトーンOK
 ・あれ?特に問題ないけど、、
 ・と思っていたら、1時間ほど経ったころから雑音発生
 ・「ザザッ、ザザザザッ」という不定期なノイズが発生
 ・ノイズ発生と連動してSTEREOインジケーターが明滅する
 ・このときシグナルインジケーターの点灯具合に変化なし
 ・ノイズ発生時もオート選局は正常動作する
 ・AM受信時はノイズ発生しない
 ・問題はFM、PLL検波回路からMPX回路を中心に調べてみます

■内部確認--------------------------------------------------

 ・TU-α707i、TU-α707EXTRA、TU-α707、TU-α707R の中身は同じ
 ・ボディサイドの飾り部品、サンスイロゴが違うだけ
 ・SLDD - (Super Linear Digital Decorder)
 ・α707シリーズは【PLL検波 + LA3450】というシンセ機の完成形です
 ・当時定価5万円前後で買える機種では最高スペックだったと思います

Tu707extra_20241222090201

■修理記録:PLL検波回路 TC1(10pF) 交換----------------------

 ・まずは調整手順に従って各部再調整してみました
 ・その過程でPLL検波回路のTC1に触れると雑音が再現することを発見
 ・原因はトリマコンデンサTC1(10pF)の劣化です
 ・このタイプのトリマコンデンサの劣化故障事例は多数あります
 ・対策としてTC1を新品10pFに交換しました
 ・交換後はTC1に触れても回してもノイズは再発しません

A707r31A707r33

■調整記録--------------------------------------------------

 ・FM MODE → MONO
 ・IF BAND → WIDE
【基準周波数調整】
 ・IC1(LC7217)-1ピン~GND → 周波数カウンタ接続
 ・TC1調整 → 7.200000MHz±100Hz
【FM同調点調整】QD検波
 ・TP1~TP2 → 電圧計セット
 ・83MHz受信 → T4調整 → 0V±10mV
【FM VT電圧調整】
 ・JW3~GND → 電圧計セット
 ・90MHz(電波無し)→ 22.9V ※確認のみ
 ・76MHz(電波無し)→ 3.2V ※確認のみ
 ※OSCコイルは調整が難しいのでノータッチ
【FM RF調整】
 ・IC3-13ピン、またはVR5端子 → 電圧計セット(Sメーター電圧)
 ・83MHz受信 フロントエンド内RFコイル調整 → 電圧最大
 ※RFコイルの調整は難しいのでノータッチ
【WIDE/NARROW GAIN調整】
 ・IC3-13ピン、またはVR5端子 → 電圧計セット(Sメーター電圧)
 ・VR2,VR3 → 時計回り一杯に回す
 ・IF BAND → NARROW
 ・83MHz,30dB受信 → T2調整 → 電圧最大(電圧を記録)
 ・IF BAND → WIDE
 ・83MHz,30dB受信 → T1調整 → NARROW時と同じ電圧に
【PLL検波調整】
 ・TP3~TP4 → 電圧計セット
 ・電波入力なし → T5 調整 → 0V
 ・電波入力なし → TC1調整 → 0V ※微調整
 ・音声出力端子 → WaveSpectra接続
 ・83MHz,30dB受信 → T6調整 → 0V
 ・83MHz,70dB受信 → VR6調整 → 高調波歪最小
【Sメーター調整】
 ・83MHz,15dB受信 → VR5調整 → Sメーター最下段点灯位置へ
【REC LEVEL調整】
 ・83MHz,60dB受信 → VR9調整 → 信号レベル-6dBに設定
【PILOT CANCEL調整】
 ・音声出力端子 → WaveSpectra接続
 ・83MHz,60dB,ST受信 → T8,VR10調整 → 19kHz成分最小
【WIDE セパレーション調整】
 ・音声出力端子 → WaveSpectra接続
 ・83MHz,60dB,Lch受信 → VR7L調整 → Rch漏れ信号最小
 ・83MHz,60dB,Rch受信 → VR7R調整 → Lch漏れ信号最小
【NARROW セパレーション調整】
 ・音声出力端子 → WaveSpectra接続
 ・83MHz,60dB,L/R受信 → VR8調整 → 反対ch漏れ信号最小
【AUTO STOPレベル調整】
 ・83MHz,30dB,ST受信 → VR1調整 → オート選局で停止する位置
【MUTING レベル調整】
 ・83MHz,20dB,ST受信 → VR4調整 → STEREO点灯、音声が出る位置
【AM VT電圧調整】
 ・R1~GND → 電圧計セット
 ・ 531kHz(電波無し)→ T1調整 → 1.5V±10mV
 ・1629kHz(電波無し)→ TC1調整 → 20V±10mV
【AM RF調整】
 ・ 603kHz受信 → T3 調整 → Sメーター最大
 ・1404kHz受信 → TC2調整 → Sメーター最大
【AM Sメーター調整】
 ・VR1
【AM AUTO STOP調整】
 ・VR2

A707r40

■試聴------------------------------------------------------

 ・修理後1週間のランニングテストでもノイズは再発しませんでした
 ・これでまた数年はFM放送を楽しめると思います
 ・TU-α707シリーズはどれもお勧めできる機種です

707r03_20241222090201

note:BLUESS Laboratory

2024年12月15日 (日)

Victor FX-711 修理調整記録9

 ・2024年10月、FX-711の修理調整作業を承りました
 ・以下、作業記録です

Fx71104_20241215091301

■製品情報--------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 VICTOR FX-711 ¥49,800(1987年頃)
 ・オーディオ懐古録 Victor FX-711 ¥49,800
 ・Hifi Engine JVC FX-1100 FM/AM Computer Controlled Tuner
 ・FX-711 取扱説明書 PDF形式

Fx71102_20241215091201Fx71108

■動作確認--------------------------------------------------

【提供者様からの事前情報】
 ・発売当時に新品購入したワンオーナー品
 ・長期間保管してあったものを最近使おうとしたら不具合あり
 ・-0.1MHzの周波数ズレ、受信感度低下、オート選局不可
【当方での確認事項】
 ・オート選局ではすべてのFM局を素通りして受信不可
 ・手動選局で確認すると-0.1MHの周波数で受信OK
 ・ズレた周波数でSTEREOランプ点灯、IF BAND切換OK、RF切換OK
 ・REC CALトーンもOK
 ・AMはオート選局で受信OKでした
 ・AMの周波数ズレなし
 ・オリジナルのAMループアンテナが同梱されていました
 ・初めて見ましたが、スリムな形状のループアンテナです

Fx71111

■内部確認--------------------------------------------------

 ・ボディを開けた瞬間強いたばこ臭、基板全体が黄色く変色してる
 ・部品とホコリがヤニでコーティングされている状態
 ・部品面、配線面とも修理痕は見当たらない
 ・まずは所定の電圧チェック → 異常なし
   ・Q801-E(+30V)→ +29.3V
   ・Q803-E(+12V)→ +11.8V
   ・Q808-E(-12V)→ -12.1V
   ・Q805-E( +5V)→ + 5.2V
   ・J705-3pin(+5.6V)→ +5.7V ※電源基板
   ・J705-5pin(-35V) →-34.3.V ※電源基板

Fx71100_20241215091301

■調整記録--------------------------------------------------

●FM部
【VT電圧】
 ・TP101 DC電圧計セット
 ・受信周波数 76MHz → L151調整 → 7.5V±0.1V
 ・受信周波数 90MHz → TC105調整 → 22.0V±0.1V
 ・上記作業を数回繰り返す
【RFトラッキング調整】
 ・VR602 → 電圧計セット ※Sメーター電圧測定
 ・76MHz 40dB → L103,L104,L105,L106調整 → 電圧最大
 ・90MHz 40dB → TC101,TC102,TC103,TC104調整 → 電圧最大
 ★TC101~104調整で最大電圧が定まらない
【IFT調整】
 ・83MHz 1kHz 100%変調 40dB → T101調整 → 電圧最大
【PLL検波 VCO調整】
 ・TP104 周波数カウンタ接続
 ・受信バンド切替 → AM
 ・何も受信しない状態 → T208粗調整 → 10.7MHz±0.01MHz
 ・何も受信しない状態 → T208微調整 → 10.7MHz±0.01MHz
 ・受信バンド切替 → FMに戻す
【FM dB表示調整】
 ・83MHz 70dB → VR602調整 → 表示70dB
 ・83MHz 30dB → VR601調整 → 表示30dB
 ・上記作業を数回繰り返す
【モノラル歪調整:WIDE】
 ・IF BAND=WIDE
 ・音声出力をWaveSpectra接続
 ・83MHz 70dB → T204(黒)調整 → モノラル歪最小
【ステレオ歪調整:WIDE】
 ・IF BAND=WIDE
 ・音声出力をWaveSpectra接続
 ・83MHz 70dB → T202(黒)調整 → ステレオ歪最小
 ・QSCインジケーターが点灯していないことを確認
【ステレオ歪調整:NARROW】
 ・IF BAND=NARROW
 ・音声出力をWaveSpectra接続
 ・83MHz 70dB → T201(黒)調整 → ステレオ歪最小
 ・QSCインジケーターが点灯していないことを確認
【FM同調点調整】
 ・IF BAND=NARROW
 ・TP103 DC電圧計セット
 ・83MHz 70dB → T206調整 → 0V±1.5mV
【MUTINGレベル調整】
 ・MUTING=ON
 ・83MHz 20dB → VR604調整 → MUTING作動確認
【セパレーション調整】
 ・IF BAND=WIDE
 ・音声出力をWaveSpectra接続
 ・83MHz 70dB → VR401調整 → Lchもれ最小
 ・83MHz 70dB → VR402調整 → Rchもれ最小
 ・QSCインジケーターが点灯していないことを確認
【パイロット信号キャンセル調整】
 ・音声出力をWaveSpectra接続
 ・83MHz 70dB → VR403調整 → 19kHzもれ最小
 ・左右chのバランスに注意
【REC CAL調整】
 ・83MHz 70dB → 通常受信で出力レベル記録
 ・83MHz 70dB → VR404調整 → 上記記録-6dBに設定
 ・TONE 430Hz
●AM部
【VT電圧】
 ・TP102 DC電圧計セット
 ・受信周波数 522kHz → L302調整 → 1.8V±0.1V 実測1.8V
 ・受信周波数1629kHz → TC302調整 → 22.0V±0.1V 実測19.9V
 ・上記作業を数回繰り返す
【トラッキング調整】
 ・VR603 → 電圧計セット ※Sメーター電圧測定
 ・ 729kHz(NHK第一)受信 → L301調整 → 電圧最大
 ・1332kHz(東海ラジオ)受信 → TC301調整 → 電圧最大
 ・上記作業を数回繰り返す
【AM dB表示調整】
 ・999kHz 90dB送信 → VR603調整 → ※AMのdB値は適当です

Fx71130_20241215091301

■修理記録:トリマコンデンサ交換----------------------------

 ・フロントエンドのトリマコンデンサTC101~104が劣化してるようです
  ・TC101~TC105 → 新品(10pF)5個交換
 ・VT電圧調整、RF調整をやり直したところ感度が大幅アップしました
 ・交換後にその他調整項目もすべてやり直しました
 ・同様にAM回路のトリマコンデンサ2個も予防交換しておきました
  ・TC301~TC302 → 新品(20pF)2個交換

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■試聴------------------------------------------------------

 ・本機のシグナルメーターはdB数値はなかなか正確な値を示します
 ・上下2点調整するので30dB~70dBの範囲内は数値をほぼ信用できます
 ・ちなみに、40dB程度でもSTEREOインジケーターは点灯しますが、
 ・良い音を望むなら60dB以上、できれば70dB以上の電波が欲しいところ
 ・そのためにアンテナの向きを変えたり増強したり、
 ・アンテナ環境の整備に努力が必要です

Fx71103_20241215091301

note:BLUESS Laboratory

2024年12月 8日 (日)

ONKYO T-417 修理調整記録3

 ・2024年10月、T-417の故障品が届きました
 ・最初はひどい雑音しか聞こえない状態でしたが、
 ・試行錯誤の末、切換スイッチの分解洗浄で復活しました

T41703_20241208090701

■製品情報--------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 ONKYO Integra T-417 ¥65,000(1979年発売)
 ・オーディオ懐古録 ONKYO Integra T-417 ¥65,000

T41702_20241208090801T41713

■動作確認--------------------------------------------------

 ・ボディに多少の擦り傷あるが、フロントパネルはまずまずの状態
 ・電源オン、周波数窓の照明点灯
 ・しかし左側2個のメーター照明が点灯しない
 ・指針の移動に伴って「バリバリ」という激しいノイズ発生
 ・このノイズと連動してSメーターとTメーターが左右に不規則に振れる
 ・メーターの振れ具合が安定しないので同調点が分からない
 ・FM放送を受信しているようだが、バリバリ雑音にかき消される
 ・WIDE/NARROW切換インジケータ点灯しない
 ・3個のインジケータ(TUNED、LOCKED、STEREO)がすべて点灯しない
 ・インジケーター類がすべて点灯しないのは球切れ?それとも故障?
 ・あれこれ弄っているうちに周波数窓の照明電球も切れました
 ・まずはバリコン軸の洗浄、照明電球交換からはじめます

■修理記録:指針移動に伴うバリバリノイズ--------------------

 ・この現象はバリコン軸回転部のグリス劣化が原因です
 ・バリコン回転軸と軸受け部の固化したグリスを歯間ブラシで清掃
 ・爪楊枝よりもL字型の歯間ブラシが便利です
 ・エレクトロニッククリーナーを少量吹きかけて何度も回す
 ・その後コンタクトグリスを薄く塗布して完了
 ・76~90MHz区間を何度も往復させてグリスを馴染ませる
 ・これで指針移動に伴う不快なノイズは解消しました
 ・周波数ズレはあるもののFM局を受信できるようになりました
 ・気になるのはTメーター中点に引き込まれるサーボロックが効かない

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■修理記録:照明電球、インジケーター電球交換-----------------

 ・本機に使われている電球はすべてフィラメント電球です
 ・LEDのような見栄えのインジケーターも全部フィラメント電球
 ・各端子に電球を仮付けしてみるとすべて点灯、原因は球切れです
  ・周波数窓照明×1本、メータ照明用×2本 ※ヒューズ型電球の管だけ
  ・インジケーター(TUNED,LOCKED,STEREO)×3本 ※直径4mm麦球
  ・インジケーター(Narrow/Wide)×3本 ※直径4mm麦球
  ・上記3種類の電球のマウント方法がそれぞれ異なる
 ・周波数窓照明は本体左側だけに配置されたフィラメント電球1本です
 ・直径4mmの麦球をホルダーを収め、光が漏れないように工夫しています
 ・特に(TUNED,LOCKED,STEREO)ではこのゴム製ホルダーがひどく劣化
 ・当初は柔らかい素材だったと思いますが石膏のように硬化している
 ・少し触れるだけでボロボロ崩れるのでこれを外すのに苦労しました
 ・交換用電球はまだ在庫があるのでサクッと交換
 ・このあと検波回路を仮調整したところ
 ・3つのインジケーター(TUNED,LOCKED,STEREO)とも点灯しました
 ・WIDE/NARROWインジケーターは試行錯誤の末に直径3mmのLEDに変更
 ・明るさを合わせるため2.2kΩを直列に2個並べて制限抵抗としました
 ・これですべてのインジケーターが点灯するようになりました
 ・ただ残るフィラメント電球もいずれ寿命が来そうです

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■修理記録:WIDE/NARROW切換スイッチ分解洗浄-----------------

 ・IF BAND切換は SELECTIVITY(AUTO/NARROW)スイッチで操作します
 ・AUTOにしておけば電波状態に応じてWIDE/NARROWを自動切換するはず
 ・ところが
  ・IF BAND切換=NARROW → 正常動作
  ・IF BAND切換=AUTO  → ※動作不良??
 ・WIDEインジケーターが点灯すると同時にSメーターの振れ具合が低下し
 ・受信音が明らかに歪っぽい音に変わる、
 ・NARROW時は正常動作なのにWIDE時に受信感度が低下する??
 ・この不思議な症状の原因を探していくつか部品交換するも効果なし
 ・残った可能性として SELECTIVITYスイッチ自体に辿り着きました
 ・スイッチの前後で電圧が低下する、これはスイッチ内部の接触不良か?
 ・スイッチを取り外して分解したところ、予想通り内部は真っ黒状態
 ・丹念に清掃してから組み立て直し基板に再セット
 ・これで不具合症状が解消しました
 ・ついでに隣のMUTINGスイッチも分解洗浄しておきました
 ・スイッチの分解、洗浄、組立ても得意作業になってきました

T41760_20241208091101T41761T41763T41764T41765

■調整記録--------------------------------------------------

T41700_20241208090701

【クリスタルロック基板調整】
 ・MUTING OFF、タッチセンサー OFF
 ・クリスタルロック基板 X~S → DC電圧計セット
 ・SSG 10.7MHz 90dB 無変調 → メイン基板 R101 に注入
 ・L751調整 → 電圧ゼロ
 ・R715調整 → Tメーター中点調整
【OSC調整】
 ・SSG76MHz → L008調整 → Sメーター最大
 ・SSG90MHz → TC007調整 → Sメーター最大
【RF調整】
 ・SSG76MHz → L001~L006調整 → Sメーター最大
 ・SSG90MHz → TC001~TC006調整 → Sメーター最大
 ・SSG83MHz → L007調整 → Sメーター最大
【IF調整】
 ・SSG83MHz → L101,L102調整 → Sメーター最大
【レシオ検波調整】
 ・R125両端 DC電圧計セット
 ・SSG83MHz → L106(左側)調整 → 電圧ゼロ
 ・SSG83MHz → L106(右側)調整 → 高調波歪最小
【IFレベル、MUTING調整】
 ・NOISE DEDUCTION OFF
 ・SSG 83MHz,30dB(弱い電波を受信することで低S/N比状態を想定)
 ・SELECTIVITYスイッチ → AUTO
 ・R154調整 → IF BAND WIDE点灯位置に
 ・SELECTIVITYスイッチ → NARROW
 ・R177調整 → MUTING作動位置に
【VCO調整】
 ・TP-2 → 周波数カウンタ接続
 ・SSG83MHz無変調 → R213調整 → 76kHz
【パイロットキャンセル調整】
 ・音声出力をWaveSpectraで観測
 ・SSG83MHz 1kHz ST信号 → R223調整 → 19kHz信号最小
【セパレーション調整】
 ・音声出力をWaveSpectraで観測
 ・SSG83MHz 1kHz L/R信号 → R240調整 → 漏れ信号最小
【DEVIATION調整】
 ・SSG83MHz 1kHz 100%変調 → R804調整 → DEVメーター指針100%
【REC CAL調整】
 ・固定音声出力をWaveSpectraで観測
 ・SSG83MHz 1kHz ST信号 → 音声レベル記録
 ・REC CAL オン → R858調整 → 基準音-6dB

T41770

■試聴------------------------------------------------------

 ・NOISE REDUCTION をONにすると高音域が低減し分離度が低下します
 ・いわゆる「AUTO BLEND」とか「MPX FILTER」と言われる機能です
 ・作動するとセパレーション値が悪化するので通常はOFFを推奨します
 ・FM専用7連バリコン、クォーツロック、3連メーター、レシオ検波、
 ・なかなかマニアックな機種です

T41705_20241208090701

note:BLUESS Lavoratory/

2024年12月 1日 (日)

KENWOOD L-03T 修理調整記録3

 ・2024年10月、L-03Tのメンテナンス調整を承りました
 ・中古品を入手したものの受信感度がかなり低い状態だそうです
 ・以下、作業記録です

L03t03_20241201090401

■製品情報--------------------------------------------------

 ・オーディオ懐古録 KENWOOD L-03T ¥120,000
 ・オーディオの足跡 KENWOOD L-03T ¥120,000 (1983年発売)

L03t02_20241201090301L03t08_20241201090301

■動作確認--------------------------------------------------

 ・ブラックボディに艶があって外観の状態は比較的良好
 ・フロントパネルも目立つキズはない
 ・FMアンテナ端子がF端子に交換済みでした
 ・電源オン、赤い指針点灯、二つのメーター照明も点灯
 ・名古屋地区のFM局を受信すると
 ・MUTING ON、RF=DIRECT → 名古屋地区のどのFM局も受信不可
 ・MUTING ON、RF=DISTANCE → すべてのFM局を受信できました
 ・STEREOランプ点灯するがSERVO LOCKランプ点灯しない
 ・指針と目盛りのズレはほとんどありませんが
 ・Tメーターの振れ方がちょっと変、、中点から左側だけで動いている
 ・またSメーターが半分も触れない状態です
 ・ご指摘のように受信感度が大幅に落ちている感じです
 ・あと80MHz以下では指針の移動に伴って盛大なバリバリノイズ発生

■内部確認--------------------------------------------------

 ・FMアンテナ端子が交換済、という事は内部を弄った先人がいる
 ・念のため、他に修理箇所の有無を念入りにチェックしました
 ・ハンダ面を見ると再ハンダの痕跡は見られません
 ・ただコイルの中央コアが最深部までねじ込まれている部品多数あり
 ・さらに仮調整したところ、PLL検波のL26コアが割れていることを発見
 ・コアの頭が割れているので回せない → 調整不可でした
 ・受信感度低下の原因は大幅な調整ズレのようです

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■修理記録:L26コア修理-------------------------------------

 ・L26のコアが回せないのでは話が始まりません
 ・修理のためL26を取り外して底面側からコアを確認
 ・内蔵コンデンサは無く、裏側からコアの底面が見えました
 ・底面側の凹みは生きていたので底面側から慎重に回してコアを抜き取り
 ・コアの上下を逆にして再セットしました
 ・L26を再び基板に戻して以下の調整手順を実行
 ・Tメーターの動きが正常化しました
 ・コアを回すときはサイズの合った専用コアドライバーを使いましょう
 ・金属製ドライバー厳禁、コアはとても脆いので簡単に割れてしまいます

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■修理記録:バリバリノイズ対策------------------------------

 ・この現象はバリコン軸と軸受け部間のグリス劣化が原因です
 ・バリコン羽根の下に細かい緑青カスがたくさん落ちています
 ・軸受け部の緑青色に変色した古いグリスを歯間ブラシで清掃
 ・その後エレクトロニッククリーナーを少量吹きかけて何度も回す
 ・最後にコンタクトグリスを薄く塗布して完了
 ・76~90MHz区間を何度も往復させてグリスを馴染ませる
 ・これで指針移動に伴う不快なノイズは解消しました

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■調整記録--------------------------------------------------

【機器の設定】
 ・RF=DISTANCE
 ・サーボロック OFF
【IF VCO6.2MHz調整】
 ・TP=IC2 JRC1496 8ピン(R16左足)周波数カウンタ接続
 ・83MHz 90dB Sメーター最大位置で受信 → L20調整 → 6.2MHz
【検波調整1】
 ・IF BAND=NARROW
 ・83MHz 90dB Sメーター最大位置で受信 → L26調整 → Tメーター中点
【OSC調整】
 ・IF BAND=NARROW
 ・83MHz 90dB 受信 → OSCトリマ調整 → ダイヤル指針83MHz
  ※コイル調整は難度高いのでノータッチ
【RF調整】
 ・IF BAND=NARROW
 ・83MHz 50dB 受信 → RFトリマ3個調整 → Sメーター最大
 ・83MHz 50dB 受信 → T1調整 → Sメーター最大
  ※コイル調整は難度高いのでノータッチ
【検波調整2】
 ・IF BAND=WIDE
 ・83MHz 1kHz 60dB受信 → Tメーター中点確認
 ・83MHz 1kHz 60dB受信 → L25調整 → 高調波歪最小
 ・83MHz 1kHz 60dB受信 → VR2調整 → 高調波歪最小
【IF WIDE調整】
 ・IF BAND=WIDE
 ・オーディオ出力 → Wavespectra接続
 ・83MHz 1kHz 60dB受信 → L4,L5,L6,L7,L8,L9,L10,L11,L12調整
    → Sメーター最大 かつ高調波歪最小
【IF WIDE調整】
 ・IF BAND=WIDE
 ・オーディオ出力 → Wavespectra接続
 ・83MHz ST 1kHz 60dB受信 → L16,L17,L18調整 → 高調波歪最小
【IF NARROW調整】
 ・IF BAND=NARROW
 ・オーディオ出力 → Wavespectra接続
 ・83MHz 1kHz 60dB受信 → L14,L15調整 → 高調波歪最小
【NARROW GAIN調整】
 ・IF BAND=WIDE
 ・83MHz 40dB受信 → Sメーター目盛り記録
 ・IF BAND=NARROW
 ・83MHz 40dB受信 → VR1調整→ Sメーター目盛りWIDE時と同じ
【VCO調整】
 ・IF BAND=WIDE
 ・83MHz ST 1kHz 60dB受信 → VR6調整
 ※VR6を左右一杯に回してSTEREOランプが点灯する範囲を特定する
 ※その範囲の中央位置にVR6をセットする
【パイロット信号キャンセル調整】
 ・IF BAND=WIDE
 ・オーディオ出力をWavespectraで観測
 ・83MHz ST 60dB受信 → VR5調整 → 19kHz最小
 ・83MHz ST 60dB受信 → L37調整 → 19kHz最小
 ・左右バランスに注意
【セパレーションWIDE調整】
 ・IF BAND=WIDE
 ・83MHz ST 1kHz 80dB受信 → VR7調整 → Lch漏れ最小
 ・83MHz ST 1kHz 80dB受信 → VR8調整 → Rch漏れ最小
【セパレーションNARROW調整】
 ・IF BAND=NARROW
 ・83MHz ST 1kHz 80dB受信 → VR9調整 → L/Rch漏れ最小
【Sメーター調整】
 ・IF BAND=WIDE
 ・83MHz 60dB 受信 → VR3調整 → Sメーター目盛り4.25
【DEVIATION調整】
 ・IF BAND=WIDE
 ・83MHz 1kHz 60dB 受信 → VR4調整 → Dメーター目盛り100%
【REC CAL】
 ・445kHz -5.6dB ※確認のみ

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■試聴------------------------------------------------------

 ・どうやらテキトーに弄ってから放出された中古品だったようです
 ・L26を始め、ほとんどの調整箇所が大幅にズレていました
 ・再調整によって良い音で受信出るようになりました

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note:BLUESS Laboratory

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