SANSUI TU-α707R 修理調整記録2
・2024年10月、3年ほど前に調整した707Rが不調で戻ってきました
・前回調整記録 2021年7月4日記事
・前回は再調整だけで復活しましたが、最近受信中に雑音が発生するとか
・さて故障原因は何か??

■製品情報--------------------------------------------------
・オーディオの足跡 SANSUI TU-α707R ¥53,800(1991年頃)
・Hifi engine SANSUI TU-X711 Digital Synthesizer Tuner (1989-90)
【国内機】
※TU-α707 ¥59,800(1986年頃)
※TU-α707i ¥59,800(1987年頃)
※TU-α707EXTRA ¥54,700(1989年頃)
※TU-α707R ¥53,800(1991年頃)
【輸出機】
※TU-X701:TU-α707/707i
※TU-X711:TU-α707EXTRA/TU-α707R
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■動作確認--------------------------------------------------
・電源オン、周波数など表示部点灯。文字痩せは無さそう
・オート受信で名古屋地区のFM放送局を受信できました
・上り方向、下り方向ともに周波数ズレなし
・シグナルメーターフル点灯、STEREOランプ点灯。
・IF BAND切換OK、RF切換OK、MUTING動作OK、REC CALトーンOK
・あれ?特に問題ないけど、、
・と思っていたら、1時間ほど経ったころから雑音発生
・「ザザッ、ザザザザッ」という不定期なノイズが発生
・ノイズ発生と連動してSTEREOインジケーターが明滅する
・このときシグナルインジケーターの点灯具合に変化なし
・ノイズ発生時もオート選局は正常動作する
・AM受信時はノイズ発生しない
・問題はFM、PLL検波回路からMPX回路を中心に調べてみます
■内部確認--------------------------------------------------
・TU-α707i、TU-α707EXTRA、TU-α707、TU-α707R の中身は同じ
・ボディサイドの飾り部品、サンスイロゴが違うだけ
・SLDD - (Super Linear Digital Decorder)
・α707シリーズは【PLL検波 + LA3450】というシンセ機の完成形です
・当時定価5万円前後で買える機種では最高スペックだったと思います

■修理記録:PLL検波回路 TC1(10pF) 交換----------------------
・まずは調整手順に従って各部再調整してみました
・その過程でPLL検波回路のTC1に触れると雑音が再現することを発見
・原因はトリマコンデンサTC1(10pF)の劣化です
・このタイプのトリマコンデンサの劣化故障事例は多数あります
・対策としてTC1を新品10pFに交換しました
・交換後はTC1に触れても回してもノイズは再発しません
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■調整記録--------------------------------------------------
・FM MODE → MONO
・IF BAND → WIDE
【基準周波数調整】
・IC1(LC7217)-1ピン~GND → 周波数カウンタ接続
・TC1調整 → 7.200000MHz±100Hz
【FM同調点調整】QD検波
・TP1~TP2 → 電圧計セット
・83MHz受信 → T4調整 → 0V±10mV
【FM VT電圧調整】
・JW3~GND → 電圧計セット
・90MHz(電波無し)→ 22.9V ※確認のみ
・76MHz(電波無し)→ 3.2V ※確認のみ
※OSCコイルは調整が難しいのでノータッチ
【FM RF調整】
・IC3-13ピン、またはVR5端子 → 電圧計セット(Sメーター電圧)
・83MHz受信 フロントエンド内RFコイル調整 → 電圧最大
※RFコイルの調整は難しいのでノータッチ
【WIDE/NARROW GAIN調整】
・IC3-13ピン、またはVR5端子 → 電圧計セット(Sメーター電圧)
・VR2,VR3 → 時計回り一杯に回す
・IF BAND → NARROW
・83MHz,30dB受信 → T2調整 → 電圧最大(電圧を記録)
・IF BAND → WIDE
・83MHz,30dB受信 → T1調整 → NARROW時と同じ電圧に
【PLL検波調整】
・TP3~TP4 → 電圧計セット
・電波入力なし → T5 調整 → 0V
・電波入力なし → TC1調整 → 0V ※微調整
・音声出力端子 → WaveSpectra接続
・83MHz,30dB受信 → T6調整 → 0V
・83MHz,70dB受信 → VR6調整 → 高調波歪最小
【Sメーター調整】
・83MHz,15dB受信 → VR5調整 → Sメーター最下段点灯位置へ
【REC LEVEL調整】
・83MHz,60dB受信 → VR9調整 → 信号レベル-6dBに設定
【PILOT CANCEL調整】
・音声出力端子 → WaveSpectra接続
・83MHz,60dB,ST受信 → T8,VR10調整 → 19kHz成分最小
【WIDE セパレーション調整】
・音声出力端子 → WaveSpectra接続
・83MHz,60dB,Lch受信 → VR7L調整 → Rch漏れ信号最小
・83MHz,60dB,Rch受信 → VR7R調整 → Lch漏れ信号最小
【NARROW セパレーション調整】
・音声出力端子 → WaveSpectra接続
・83MHz,60dB,L/R受信 → VR8調整 → 反対ch漏れ信号最小
【AUTO STOPレベル調整】
・83MHz,30dB,ST受信 → VR1調整 → オート選局で停止する位置
【MUTING レベル調整】
・83MHz,20dB,ST受信 → VR4調整 → STEREO点灯、音声が出る位置
【AM VT電圧調整】
・R1~GND → 電圧計セット
・ 531kHz(電波無し)→ T1調整 → 1.5V±10mV
・1629kHz(電波無し)→ TC1調整 → 20V±10mV
【AM RF調整】
・ 603kHz受信 → T3 調整 → Sメーター最大
・1404kHz受信 → TC2調整 → Sメーター最大
【AM Sメーター調整】
・VR1
【AM AUTO STOP調整】
・VR2

■試聴------------------------------------------------------
・修理後1週間のランニングテストでもノイズは再発しませんでした
・これでまた数年はFM放送を楽しめると思います
・TU-α707シリーズはどれもお勧めできる機種です

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