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2024年12月22日 (日)

SANSUI TU-α707R 修理調整記録2

 ・2024年10月、3年ほど前に調整した707Rが不調で戻ってきました
 ・前回調整記録 2021年7月4日記事
 ・前回は再調整だけで復活しましたが、最近受信中に雑音が発生するとか
 ・さて故障原因は何か??

707r09_20241222090201

■製品情報--------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 SANSUI TU-α707R ¥53,800(1991年頃)
 ・Hifi engine SANSUI TU-X711 Digital Synthesizer Tuner (1989-90)
【国内機】
 ※TU-α707   ¥59,800(1986年頃)
 ※TU-α707i   ¥59,800(1987年頃)
 ※TU-α707EXTRA ¥54,700(1989年頃)
 ※TU-α707R   ¥53,800(1991年頃)
【輸出機】
 ※TU-X701:TU-α707/707i
 ※TU-X711:TU-α707EXTRA/TU-α707R

707r02_20241222090301707r13_20241222090301

■動作確認--------------------------------------------------

 ・電源オン、周波数など表示部点灯。文字痩せは無さそう
 ・オート受信で名古屋地区のFM放送局を受信できました
 ・上り方向、下り方向ともに周波数ズレなし
 ・シグナルメーターフル点灯、STEREOランプ点灯。
 ・IF BAND切換OK、RF切換OK、MUTING動作OK、REC CALトーンOK
 ・あれ?特に問題ないけど、、
 ・と思っていたら、1時間ほど経ったころから雑音発生
 ・「ザザッ、ザザザザッ」という不定期なノイズが発生
 ・ノイズ発生と連動してSTEREOインジケーターが明滅する
 ・このときシグナルインジケーターの点灯具合に変化なし
 ・ノイズ発生時もオート選局は正常動作する
 ・AM受信時はノイズ発生しない
 ・問題はFM、PLL検波回路からMPX回路を中心に調べてみます

■内部確認--------------------------------------------------

 ・TU-α707i、TU-α707EXTRA、TU-α707、TU-α707R の中身は同じ
 ・ボディサイドの飾り部品、サンスイロゴが違うだけ
 ・SLDD - (Super Linear Digital Decorder)
 ・α707シリーズは【PLL検波 + LA3450】というシンセ機の完成形です
 ・当時定価5万円前後で買える機種では最高スペックだったと思います

Tu707extra_20241222090201

■修理記録:PLL検波回路 TC1(10pF) 交換----------------------

 ・まずは調整手順に従って各部再調整してみました
 ・その過程でPLL検波回路のTC1に触れると雑音が再現することを発見
 ・原因はトリマコンデンサTC1(10pF)の劣化です
 ・このタイプのトリマコンデンサの劣化故障事例は多数あります
 ・対策としてTC1を新品10pFに交換しました
 ・交換後はTC1に触れても回してもノイズは再発しません

A707r31A707r33

■調整記録--------------------------------------------------

 ・FM MODE → MONO
 ・IF BAND → WIDE
【基準周波数調整】
 ・IC1(LC7217)-1ピン~GND → 周波数カウンタ接続
 ・TC1調整 → 7.200000MHz±100Hz
【FM同調点調整】QD検波
 ・TP1~TP2 → 電圧計セット
 ・83MHz受信 → T4調整 → 0V±10mV
【FM VT電圧調整】
 ・JW3~GND → 電圧計セット
 ・90MHz(電波無し)→ 22.9V ※確認のみ
 ・76MHz(電波無し)→ 3.2V ※確認のみ
 ※OSCコイルは調整が難しいのでノータッチ
【FM RF調整】
 ・IC3-13ピン、またはVR5端子 → 電圧計セット(Sメーター電圧)
 ・83MHz受信 フロントエンド内RFコイル調整 → 電圧最大
 ※RFコイルの調整は難しいのでノータッチ
【WIDE/NARROW GAIN調整】
 ・IC3-13ピン、またはVR5端子 → 電圧計セット(Sメーター電圧)
 ・VR2,VR3 → 時計回り一杯に回す
 ・IF BAND → NARROW
 ・83MHz,30dB受信 → T2調整 → 電圧最大(電圧を記録)
 ・IF BAND → WIDE
 ・83MHz,30dB受信 → T1調整 → NARROW時と同じ電圧に
【PLL検波調整】
 ・TP3~TP4 → 電圧計セット
 ・電波入力なし → T5 調整 → 0V
 ・電波入力なし → TC1調整 → 0V ※微調整
 ・音声出力端子 → WaveSpectra接続
 ・83MHz,30dB受信 → T6調整 → 0V
 ・83MHz,70dB受信 → VR6調整 → 高調波歪最小
【Sメーター調整】
 ・83MHz,15dB受信 → VR5調整 → Sメーター最下段点灯位置へ
【REC LEVEL調整】
 ・83MHz,60dB受信 → VR9調整 → 信号レベル-6dBに設定
【PILOT CANCEL調整】
 ・音声出力端子 → WaveSpectra接続
 ・83MHz,60dB,ST受信 → T8,VR10調整 → 19kHz成分最小
【WIDE セパレーション調整】
 ・音声出力端子 → WaveSpectra接続
 ・83MHz,60dB,Lch受信 → VR7L調整 → Rch漏れ信号最小
 ・83MHz,60dB,Rch受信 → VR7R調整 → Lch漏れ信号最小
【NARROW セパレーション調整】
 ・音声出力端子 → WaveSpectra接続
 ・83MHz,60dB,L/R受信 → VR8調整 → 反対ch漏れ信号最小
【AUTO STOPレベル調整】
 ・83MHz,30dB,ST受信 → VR1調整 → オート選局で停止する位置
【MUTING レベル調整】
 ・83MHz,20dB,ST受信 → VR4調整 → STEREO点灯、音声が出る位置
【AM VT電圧調整】
 ・R1~GND → 電圧計セット
 ・ 531kHz(電波無し)→ T1調整 → 1.5V±10mV
 ・1629kHz(電波無し)→ TC1調整 → 20V±10mV
【AM RF調整】
 ・ 603kHz受信 → T3 調整 → Sメーター最大
 ・1404kHz受信 → TC2調整 → Sメーター最大
【AM Sメーター調整】
 ・VR1
【AM AUTO STOP調整】
 ・VR2

A707r40

■試聴------------------------------------------------------

 ・修理後1週間のランニングテストでもノイズは再発しませんでした
 ・これでまた数年はFM放送を楽しめると思います
 ・TU-α707シリーズはどれもお勧めできる機種です

707r03_20241222090201

note:BLUESS Laboratory

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