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2025年1月の記事

2025年1月26日 (日)

KENWOOD KT-2020 修理調整記録6

 ・2024年12月、3年前に修理したKT-2020が出戻ってきました
 ・前回記録 2021年12月5日記事
 ・しばらく使わなかったら受信できなくなっていたそうです

Kt202004_20250126085601

■製品情報--------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 KENWOOD KT-2020 ¥74,800(1984年頃)
 ・オーディオ懐古録 KENWOOD KT-2020 ¥74,800
 ・輸出機 KENWOOD KT-990SD

Kt202011Kt202012_20250126085701

■動作確認--------------------------------------------------

 ・FMアンテナを接続して電源オン
 ・RF=DISTANCE 名古屋地区のFM放送局で受信テスト開始
 ・オート選局上り方向 → すべての放送局を素通りして受信不可
 ・オート選局下り方向 → -0.1MHzの周波数で受信OK
 ・ただしSTEREOインジケーター点灯しない
 ・FM同調点がズレているようです

■調整記録--------------------------------------------------

Kt202000

【VT電圧】
 ・TP1~GND DC電圧計セット
 ・アンテナ入力なし
 ・76MHz → L7調整 → 3.0V±0.1V ※実測 2.7V
 ・90MHz → TC5調整 →25.0V±0.1V ※実測23.6V
【検波調整】
 ・TP3~TP4 DC電圧計セット
 ・83MHz受信 → L13調整 → 0.0V±10mV
 ・TP5~GND DC電圧計セット
 ・83MHz受信 → L15調整 → 0.0V±10mV
【RF調整】
 ・R64右側端子 DC電圧計セット ※Sメーター電圧
 ・76MHz受信 → L1,L2,L3,L6調整 → 電圧最大
 ・90MHz受信 → TC1~TC4調整 → 電圧最大
【IFT調整】
 ・R64右側端子 DC電圧計セット ※Sメーター電圧
 ・83MHz受信 → L5調整 → 電圧最大
【AUTO STOP=MUTING調整】
 ・83MHz,30dB受信 → VR1調整
【TUNING METER調整】
 ・83MHz(1kHz,100%変調,80dB) → 上段基板VR2調整 → ※
  ※中央の縦白セグメント点灯、両側の赤縦セグメントの中点へ
【MPX VCO調整】
 ・TP16 → 周波数カウンタ接続
 ・83MHz受信 → VR12調整 → 76.00kHz±50Hz
【SUB CARRIER調整(38kHz)】
 ・音声出力 → Wavespectraで観察
 ・83MHzSUB信号受信 → L27調整 → Lchレベル最大
【PILOT CANCEL調整】
 ・音声出力 → Wavespectraで観察
 ・83MHzST信号受信 → L25,VR8調整 → 19kHz信号最小
 ・左右chのバランス確認
【歪調整1 DLLD】
 ・83MHzMONO信号受信 → VR2:DET調整 → 高調波歪最小
【歪調整2 MONO】
 ・83MHzMONO信号受信 → VR3:MONO2調整 → 高調波歪最小
【歪調整3 MONO】
 ・83MHzMONO信号受信 → VR6:MONO3調整 → 高調波歪最小
【歪調整4 STEREO】
 ・83MHzL/R信号受信 → VR5調整 → 高調波歪最小
【歪調整5 STEREO】
 ・83MHzSUB信号受信 → VR7調整 → 高調波歪最小
【歪調整6 NARROW】
 ・IF BAND:NARROW
 ・83MHzMAIN信号受信 → VR4調整 →高調波 歪最小
【SEPARATION調整 WIDE】
 ・IF BAND:WIDE
 ・83MHzR信号受信 → VR10調整 → L信号もれ最小
 ・83MHzL信号受信 → VR11調整 → R信号もれ最小
【SEPARATION調整 NARROW】
 ・IF BAND:NARROW
 ・83MHzST信号受信 → VR9調整 → 信号もれ最小
【DEVIATION調整】
 ・83MHz100%変調信号受信 → 上段基板VR1調整 → 100%位置
【AM簡易調整】
 ・ 729kHz NHK第一放送受信 → L22調整 → Sメーター最大
 ・1332kHz 東海ラジオ受信 → TC9調整 → Sメーター最大
 ・1053kHz CBCラジオ受信  → L24調整 → Sメーター最大

Kt202040_20250126085601

■修理記録:キャパシタ交換----------------------------------

 ・作業後の試聴段階でメモリ保持が1日も持たないことに気づきました
 ・もう一度ボディを開けてメモリ保持用コンデンサを交換しました
 ・C200:0.022F/5.5v → 1.0F/5.5v
 ・キャパシタは1階基板にあるので上部からは見えません
 ・前面の金属フレームを外すと2階基板ごと裏返せます
 ・2階基板を取り外そうとするよりも作業はラクです

Kt202031_20250126085701Kt202032_20250126085701

■試聴------------------------------------------------------

 ・長期間保管していると調整箇所がズレていきます
 ・できれば定期的に通電して使ってあげると良いです
 ・私もリスニング用のチューナーは定期的に入れ替えて使っています

Kt202005_20250126085601

note:BLUESS Laboratory

2025年1月19日 (日)

YAMAHA T-7 修理調整記録6

 ・2024年12月、故障したT-7の二台セットが届きました
 ・バリコン機ながらモータードライブによる自動選局ができる名機です
 ・一台は以前修理調整した個体、もう一台は部品取り用の献体です
 ・さて二台とも直せるか、あるいはニコイチ合体か?
 ・以下作業記録です

T703_20250119085801

■製品情報--------------------------------------------------

 ・オーディオ懐古録 YAMAHA T-7 NATURAL SOUND STEREO TUNER ¥69,800円
 ・Hifi Engine Yamaha T-7 Natural Sound AM/FM Stereo Tuner (1980-82)

T702_20250119085901T710_20250119085901

■動作確認--------------------------------------------------

【SN/204709(以前修理した個体)】
 ・指針に内蔵されたTメーターが常時点灯したまま変化しない
 ・Sメーターは少し点灯したまま変化しない
 ・FM/AMとも局間ノイズも無く全くの無音状態
 ・REC CALトーンは聞こえますが、ひどく歪んだ音です
 ・電源部の基準電圧を測定したところすべて異常値でした
 ・これは電源回路が壊れているようです
 ・選局ツマミの回転軸に偏心があり、ツマミが楕円を描いて回転する
 ・指針の移動がぎこちない?糸がスリップしている感じ
【SN/202393(部品取り機)】
 ・TメーターとSメーターが点灯して受信しているようです
 ・STEREOランプも点灯しますが、ただ音が出ません
 ・REC CALトーンは正常音が聞こえました
 ・たぶんMUTINGが作動したまま解除されない状態と思います
 ・電源コンデンサがすべて交換済み、さらに改造痕も多々ありました

■内部確認--------------------------------------------------

【SN/204709(以前修理した個体)】
 ・前回修理では電源回路TR81(2SD400F)の故障でした
 ・メモリ保持用のバッテリーが交換されていました
 ・それ以外は変更点は無さそうです
【SN/202393(部品取り機)】
 ・外観はキズが多く、底板も凹んでいる
 ・すべての電解コンデンサーが交換済みでした
 ・あとフィルムコンデンサもいくつか交換済み
 ・バッテリーも交換済み
 ・多くの部品が交換済みなのでこの個体を活かす方針で進めます

T700

■修理記録【SN/204709(以前修理した個体)】-----------------

 ・まずは電源電圧チェック
  ・基板表示+12 → 規定値+12.5±1v → 実測値+12.1v
  ・基板表示-12 → 規定値-13.5±1v → 実測値-14.8v ★
  ・基板表示+ 9 → 規定値+ 9.5±1v → 実測値+15.8v ★
  ・基板表示 9B → 規定値+10.5±1v → 実測値+15.2v ★
 ・電源回路を調べたところ、D131ツェナーダイオードの故障でした
 ・D131(RD10EB2):基板には「10v」とあるので10v新品に交換しました
 ・交換後は電圧値が正常化し、受信できるようになりました
 ・メモリー登録、自動選局も動きますが、、
 ・指針の移動がぎこちないのは選局つまみの偏心が原因でした
 ・フライホイール回転時、自動選局モーターの軸に接触するからです
 ・これを改善するため軸の偏心を力技で修正しました
 ・完全ではありませんが、モーター軸との干渉は解消できました
 ・これで自動選局時も指針移動がスムーズになりました
 ・TR81(2SD400F)は放熱板が付いたトランジスタです
 ・この機にTR81周辺の電解コンデンサ9個を交換しておきました
 ・熱の影響を避けるため意図的に斜めに固定しました

T721T723T725T728T729

■修理記録【SN/202393(部品取り機)】---------------------

 ・過去の事例を思い出しながら IC120(LC7200)-23pinをGNDに落とす
 ・すると予想通り受信音が聞こえてきました
 ・やはり何らかの理由でMUTINGが解除できない状態です
 ・この原因を探してオート選局回路の電圧測定を始めたところ
 ・FM/AM切換ボタンを押した瞬間にFM受信音が聞こえてきました
 ・これは、、ひょっとして、プッシュスイッチの接触不良か??
 ・前面に並んだプッシュスイッチを各100回操作
 ・これ以降は音が出なくなる現象は発生しなくなった、と思いましたが
 ・ランニングテスト中にまた再発、原因は別にあるようです
 ・そして更なる不具合を確認、強制DX(Narrow)にすると音が酷く歪みます
 ・Local(Wide)では正常な音声なので気づきませんでした

■調整記録--------------------------------------------------

【本体スイッチ設定】
 ・FUNCTION = FM
 ・RX MODE = AUTO DX
 ・MUTE/OTS = OFF
 ・BLEND = OFF
 ・REC CAL = OFF
 ・AM調整を先に行います
【AM OSC調整】
 ・ 600kHz受信 → T110調整 → シグナルメーター最大
 ・1400kHz受信 → AMOSC調整 → シグナルメーター最大
【AM RF調整】
 ・ 600kHz受信 → T109調整 → シグナルメーター最大
 ・1400kHz受信 → AMANT調整 → シグナルメーター最大
【FM同調点調整】
 ・IC111 20pin(またはR282)-GND → 電圧計セット
 ・SSG10.7MHzをCF101に注入 → T103調整 → 電圧ゼロ
【FM OSC調整】
 ・IC102 (LA1231) 13pin → 電圧計セット
 ・83MHz受信 → フロントエンドTC4調整 → 電圧最大
 ※OSCコイルL4の調整が難しいため83MHzのみで調整
【FM RF部調整】
 ・IC102 (LA1231) 13pin → 電圧計セット
 ・83MHz受信 → フロントエンドTC1,TC2,TC3調整 → 電圧最大
 ※RFコイルL1~L3の調整が難しいため83MHzのみで調整
【Mono歪調整】
 ・音声出力 → WaveSpectra接続
 ・83MHz → TC101調整 → 高調波歪最小
【VCO調整】
 ・R263右足 → 周波数カウンタ接続
 ・83MHz → VR108調整 → 19kHz±10Hz
【ST SUB調整】
 ・音声出力 → WaveSpectra接続
 ・83MHz SUB → T112調整 → Lchレベル最大
【Stereo歪調整】
 ・音声出力 → WaveSpectra接続
 ・83MHz ST → VR101 VR102 VR103,T102調整 → 高調波最小
【Pilot Cancel調整】
 ・音声出力 → WaveSpectra接続
 ・83MHz ST → T113,VR109調整 → 19kHz漏れ信号最小
【セパレーション調整】
 ・音声出力 → WaveSpectra接続
 ・83MHz ST → VR105調整 → Lch漏れ信号最小
 ・83MHz ST → VR106調整 → Rch漏れ信号最小
【シグナルインジケーター点灯調整】
 ・83MHz 100dB → VR112調整 LED全点灯
 ・83MHz 0dB → VR111調整 LED全消灯
【プリセットチューニング上限位置調整】
 ・自動選局時に指針がスケールを振り切らないように制限する設定
 ・90.5MHz受信 → プリセット5に登録
 ・83MHz付近でプリセット5を押し指針移動開始
 ・このとき90.2MHz付近で自動停止するようにVR113を調整する
【プリセットチューニング下限位置調整】
 ・75.5MHz受信 → プリセット1に登録
 ・83MHz付近でプリセット1を押し指針移動開始
 ・このとき75.8MHz付近で自動停止するようにVR114を調整する

T743_20250119085801

■試聴------------------------------------------------------

 ・当初は電解コンデンサ総交換の部品取り機の復旧を試みましたが、
 ・改造跡が多くプリント配線が剥がれるなど随分傷んでいました
 ・依頼者様と相談の上、前回修理機をお返しすることになりました
 ・ボディや底板、選局ツマミなど程度の良い部品はすべて移植しました
 ・音が出ない部品取り機は研究材料として故障原因の調査を続けます

T704_20250119085801

note:BLUESS Laboratory

2025年1月12日 (日)

TRIO KT-900 修理調整記録6

 ・2024年11月、HOジャンクコーナーでKT-900ジャンク品に遭遇しました
 ・プライスタグに「FM受信不可」と書かれていますが
 ・まあ、故障個所は大体想像できるかな、、
 ・AMループアンテナ付属、それだけで元が取れるお値段でした

Kt90003_20250112085801

■製品情報--------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 TRIO KT-900 ¥49,800(1980年頃)
 ・<>a href="http://knisi2001.web.fc2.com/kt-900.html"オーディオ懐古録 TRIO AM-FM STEREO TUNER ¥49,800円(1980)
 ・Hifi Engine Kenwood KT-900 AM/FM Stereo Tuner (1980-82)

Kt90002_20250112085201Kt90016_20250112085201

■動作確認--------------------------------------------------

 ・天板に擦り傷多いが、縦置きされていなかったので側板はほぼ無傷
 ・強化ガラス製のフロントパネルも無傷、しかもパネルの前傾なし
 ・電源オン、周波数窓の照明点灯、ダイヤル指針の照明点灯
 ・機能切換状態を示す緑色インジケーターもすべて点灯
 ・さて、名古屋地区のFM放送局を受信しようとすると、、
 ・76MHz~90MHz全区間で局間ノイズしか聞こえない、
 ・シグナルインジケーター点灯しない、全く受信不可
 ・REC CAL トーンに切り換えても基準音が聞こえない、無音です
 ・AMループアンテナを接続してAM放送も受信確認
 ・プライスタグの情報は本当でした、、

■内部確認+修理記録:バリコン軸の洗浄----------------------

 ・底板を確認、KENWOODサービスによる修理歴シールは見当たらない
 ・内部を見ても部品を交換した痕跡は見当たらない
 ・フロントエンドのバリコン軸を見ると緑青サビが盛大に湧いている
 ・たぶん相当長期間使われずに放置されていた個体かな?
 ・最近はバリコン軸の清掃に100均で買える歯間ブラシを愛用しています
 ・これである程度こそぎ落としてからエレクトロニッククリーナー洗浄
 ・最後にコンタクトグリースを薄く塗布して何度も往復させる
 ・洗浄完了ですが、受信確認するも変化なく全く受信不可

Kt90000
Kt90021_20250112085301Kt90022_20250112085301

■修理記録:OSCトリマ交換-----------------------------------

 ・フロントエンド内OSCトリマコンデンサー(TC4)を回しても変化なし
 ・これを撤去し、ユニット外側に新トリマー(10pF)を直付けしました
 ・直径3mm穴の開いた小さな圧着端子に新トリマを固定
 ・仮調整したところFM放送が受信できるようになりました
 ・ただTメーターの点灯具合がおかしい
 ・右側の三角が常時点灯したままFM同調点を示さない
 ・FM同調点を調整するL4を回しても反応しない

Kt90031_20250112085301Kt90034_20250112085301

■修理記録:L4(L30-0320-05)修理-----------------------------

 ・L4を回しても反応しない原因はたぶん内蔵コンデンサの容量抜けか?
 ・L4を取り外して裏側を見ると真っ黒に変色した状態でした
 ・内蔵コンデンサを除去して新コンデンサを外付けしました
 ・試行錯誤の結果、コンデンサの容量は82pFがちょうど良いです
 ・下記の調整作業を経て正常に受信できるようになりました

Kt90040_20250112085401Kt90041_20250112085401Kt90042_20250112085401Kt90043_20250112085401

■調整記録--------------------------------------------------

【FM OSC調整】
 ・TR7020-2Pin → 電圧計セット(Sメーター電圧)
 ・83MHz 受信 → 新TC4調整 → 電圧最大
【FM RF調整】
 ・TR7020-2Pin → 電圧計セット(Sメーター電圧)
 ・83MHz 受信 → TC1,TC2,TC3調整 → 電圧最大
 ・83MHz 受信 → T1調整 → 電圧最大
【クアドラチュア検波調整】
 ・83MHz 受信 → 電圧最大状態
 ・TR7020-3Pin-11Pin → 電圧計セット(Tメーター)
 ・83MHz 受信 → L4調整 → 電圧ゼロ(Tメーター中点)
【WIDE GAIN調整】
 ・TR7020-2Pin → 電圧計セット(Sメーター電圧)
 ・83MHz Narrow受信 → Sメーター電圧記録
 ・83MHz Wide受信 → VR1調整 → 上記電圧と同じ
【高調波歪調整】
 ・音声出力端子 → WaveSpectra接続
 ・83MHz → T1(フロントエンド内)調整 → 高調波歪最小
【パルスカウント検波調整】
 ・TR4011-1Pin → 周波数カウンタセット
 ・83MHz受信 → L5調整 → 1.965MHz
【VCO調整】
 ・R56左足 → 周波数カウンタ接続
 ・SSG 83MHz 無変調 → VR5調整 → 76kHz
【セパレーション Narrow調整】※Narrow調整を先に行なうこと
 ・音声出力端子 → WaveSpectra接続
 ・83MHz Narrow → VR4調整 → 反対chへの漏れ信号最小
【セパレーション Wide調整】
 ・音声出力端子 → WaveSpectra接続
 ・83MHz Wide → VR3調整 → 反対chへの漏れ信号最小
【REC CAL調整】
 ・83MHz受信 → 出力レベル記録
 ・83MHz受信 → VR2調整 → -6dB設定 ※430Hz
 ★VR2を回したところ基準音が聞こえるようになりました
【AM受信調整】
 ・AMループアンテナ → 接続端子注意 [AM]~[GND]
 ・600kHz → L11,L12調整 → Sメーター最大点灯
 ・1400kHz → TC1,TC2調整 → Sメーター最大点灯

Kt90060

■修理記録:L5(0252-05-081)修理-----------------------------

 ・受信調整が完了して「これで直った」と思ったら、あれ?
 ・ランニングテスト開始30分で突然受信音が消失
 ・「ザー」という局間ノイズしか聞こえなくなりました
 ・この時TメーターとSメーターは正常に反応します
 ・ということは問題はパルスカウント検波回路か?
 ・これまでの経験で怪しいのは以下のフィルターです
  ・L5(0252-05-081) 2nd OSC同調コイル
  ・L6(L79-0120-05) 2nd IF BPF
  ・L8(0109-05-081) PC検波後LPF
 ・手初めにL5の金属部分にハンダごてを当てて温度試験をしてみたら
 ・わずか数秒で同じ症状が発生しました
 ・ハンダごてを外しエアダスターでL5を数秒冷却するとFM受信が復活
 ・L5を取り外して裏側を確認すると予想通り内蔵コンデンサが真っ黒!
 ・これを除去して新品82pFで外付けで追加しました
  ・83MHz受信 → L5調整 → 1.965MHz
 ・再調整して受信動作が復活しました
 ・1週間のランニングテストでも不具合は再発しません
 ・どうやらL6とL8はまだ生きているようです

Kt90073Kt90074Kt90075Kt90076

■改造記録:フィラメント電球LED化---------------------------

 ・KT-900/KT-990のガラス製フロントパネルはとても素敵です
 ・分解してガラスの裏側まで磨くとその美しさが復活します
 ・分解清掃のついでに電球をLED化しました
【LED電源】
 ・オリジナル電球はAC仕様なのでDC電源を取れる場所を探す
 ・電源回路の未使用端子27番 → +21.7V ※これを借用します
 ・制限抵抗を配置するため背面パネルに小さな基板を増設
【指針照明】
 ・指針裏側の透明プラスチック内にφ4mm電球が仕込まれている
 ・ここは直径3mmのLED(warm white)に拡散キャップを被せて元に戻す
 ・実験用電源で明るさを確認しながら電流約4mA、制限抵抗2.2kΩで接続
 ・発光部に耐熱ポリイミドテープを貼って電球色っぽく仕上げました
【フロント照明】
 ・選局ツマミ内側に埋め込まれたφ4mm電球×2個直列配置
 ・ここにφ5mm電球色LED×2個を直列に仕込んで配線変更
 ・拡散キャップを被せオリジナル電球ホルダーに埋め込んで元に戻す
 ・実験用電源で明るさを確認しながら制限抵抗680Ωでよさそう
 ・実測電流は19mAでした

Kt90080Kt90084Kt90091Kt90095Kt90098

■試聴------------------------------------------------------

 ・KT-990/900のガラス製フロントパネルはとっても素敵です
 ・LED化するといろいろな色味を試したくなりますが
 ・私はできるだけオリジナルに近づけることを目指します
 ・たぶんLED化してあるとは気付かれない出来映えです

Kt900104

note:BLUESS Laboratory

2025年1月 5日 (日)

Technics ST-9030T 修理調整記録10

 ・2024年11月、30Tの故障機が届きました。
 ・ガンメタフェイスとオレンジ照明の組み合わせがステキな機種です
 ・以下、作業記録です

30t03

■製品情報--------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 Technics ST-9030T ¥80,000(1977年頃)
 ・hifiengine Technics ST-9030 FM Stereo Tuner (1977-81)

30t02_2025010508510130t11

■動作確認--------------------------------------------------

【依頼者様からの事前情報】
 ・stereoランプが点灯しない、実際のステレオ感も無い
 ・IF band切換ランプも点灯しない
 ・周波数目盛りと指針に若干のズレ
【当方での確認事項】
 ・外観に目立つキズは無く保存状態は今まで見た中で最上クラス
 ・ただSメーターとTメーターがパネルの正常位置に収まっていません
 ・フロントパネルを分解した先人は組立て方法を間違えています
 ・さて、FMアンテナを接続して名古屋のFM局の受信テスト開始
 ・周波数目盛りと指針は約-0.2MHzの軽微なズレ
 ・Sメーターは大きく振れるがTメーターの動き方が少しおかしい
 ・名古屋地区のFM局はすべて受信OK
 ・ご指摘通りSTEREOインジケーター点灯しない、実際のステレオ感も無い
 ・IF band切換ボタンに連動するインジケーターも点灯しない
 ・3個のプッシュSWのうち、左側2個が押し込んだ位置でロックできない
 ・プッシュSW内部のロック機構が破損しているようです
 ・この影響でmuting offとhi-blend on機能が動作しない

■内部確認--------------------------------------------------

 ・前回修理時にフロントパネルを分解したようですが組立方法が不良でした
 ・フロントパネルが正常位置で固定されていなかったです
 ・二つのメーターがパネル窓に収まっておらず浮いた状態でした
 ・この状態でフロントパネルを強引に固定してありました
 ・メーター前面の透明プラスチックが割れなかったのは不幸中の幸いでしょう
 ・stereoランプの麦球がすでに交換済みでした
 ・試しにVCO調整用VR602を少し回したところ麦球は点灯しました
 ・しかし wideランプの麦球は点灯しません
 ・電球交換以外の修理痕は無かったです

30t2030t_00_20250105085001

■修理記録:プッシュSWがロックできない件--------------------

 ・Hi-blend切換、Muting切換の両SWが押し込んだ位置でロックできない
 ・スイッチ内部ののロック機構が壊れているかと思いましたが、
 ・フロントパネルを外してスイッチ本体を指で直接押したところ、
 ・何と! 押し込んだ位置でロックできました!壊れていません!
 ・原因はプッシュボタンの最深部がロック作動位置に届かない事でした
 ・ボタン裏側とスイッチ頭部の間に隙間があって最深部まで押し切れない
 ・対策としてボタン頭部に厚さ1mmのシリコンゴムを挟みました。
 ・本来はボタンとスイッチの隙間を埋める部品があったかもしれません?
 ・前回修理でフロントパネルを外した時にその部品が外れたかも?
 ・フロントパネルの分解経験は何度もありますが今まで気づかなかった、
 ・次に30Tを見る機会があれば確かめてみます

30t2230t23

■修理記録:wideランプとstereoランプをLED化-----------------

 ・STEREO用麦球は生きていましたが、この機に2個ともLED化しました
 ・色合いや明るさを合わせるためです
  →オリジナル麦球:φ4mm/6.3v/40mA
  →交換用LED:φ3mm/ウォームホワイト
【stereoランプ】
 ・33端子=アノード側、34端子=カソード側
 ・R618:330Ω/1w → 10kΩ/0.5w ※制限抵抗交換
 ・33端子~34端子間 → 1kΩ/0.5w ※追加(常時点灯防止のため)
【wideランプ】
 ・42端子=アノード側、32端子=カソード側
 ・R327:390Ω/1w → 10kΩ/0.5w 制限抵抗交換

30t30_2025010508530130t32

■調整記録--------------------------------------------------

【本体設定】
 ・MPX hi-blend=off
 ・Servo tuning=off
 ・IF selector=auto
 ・TP302とTP303を短絡すると強制narrowとなる
【レシオ検波調整1】
 ・入力信号なし
 ・TP201~GND DC電圧計セット → T201(narrow緑)調整 → 電圧ゼロ
 ・TP101~GND DC電圧計セット → T102(wide緑)調整 → 電圧ゼロ
【OSC調整】
 ・TP302~TP303短絡(強制narrowモード)
 ・SSG76MHz → L8調整 → Sメーター最大
 ・SSG90MHz → CT8調整 → Sメーター最大
【RF調整】
 ・TP302~TP303短絡(強制narrowモード)
 ・SSG76MHz → L1,L2,L3,L4,L5,L6,L7調整 → Sメーター最大
 ・SSG90MHz → CT1,CT2,CT3,CT4,CT5,CT6,CT7調整 → Sメーター最大
 ・SSG83MHz → T1調整 → Sメーター最大
【レシオ検波調整2】
 ・入力信号なし
 ・TP101~GND DC電圧計セット → T102(wide緑)調整 → 電圧ゼロ
 ・TP201~GND DC電圧計セット → T201(narrow緑)調整 → 電圧ゼロ
【出力レベル調整】wide
 ・IF selector=wide
 ・音声出力端子にAC電圧計セット
 ・SSG83MHz 400Hz 100% → VR504調整 → 1.4v
【モノラル歪調整】
 ・音声出力をWaveSpectraで観測
 ・IF selector=wide
 ・SSG83MHz 1kHz 100% → T102(wide赤)調整 → 歪最小
 ・TP302~TP303短絡(強制narrowモード)
 ・SSG83MHz 1kHz 100%変調 → T201(wide赤)調整 → 歪最小
【出力レベル調整】narrow
 ・TP302~TP303短絡(強制narrowモード)
 ・音声出力端子にAC電圧計セット
 ・SSG83MHz 400Hz 100% → VR503調整 → 1.4v
【ミューティング調整】
 ・Servo tuning=auto
 ・TP102~GND DC電圧計セット
 ・SSG83MHz 1kHz → T202,T203調整 → 電圧最大
 ・SSG83MHz 1kHz 60dB → VR402調整 → 局間ノイズが消える位置へ
 ・SSG83MHz 1kHz 20dB → VR401調整 → ミューティング作動位置へ
【Sメーター調整】
 ・SSG83MHz 1kHz 100% → VR501調整 → Sメーター指針
【VCO調整】
 ・TP601 周波数カウンタ接続
 ・SSG83MHz無変調 → VR602調整 → 19kHz±30Hz
【左右レベル調整】
 ・SSG83MHz 1kHz ST変調 → VR702調整 → 左右chのレベルを同じ
【パイロットキャンセル調整】
 ・音声出力をWaveSpectraで観測
 ・SSG83MHz 1kHz ST変調 → VR601,L601,L602調整 → 19kHz最小
【サブキャリアキャンセル調整】
 ・SSG83MHz 1kHz ST変調 → CT701調整 → 38kHz最小
【セパレーション調整】
 ・音声出力をWaveSpectraで観測
 ・SSG83MHz 1kHz L/R信号 → VR701調整 → 漏れ信号最小
 ・TP302~TP303短絡(強制narrowモード)
 ・SSG83MHz 1kHz L/R信号 → VR703調整 → 漏れ信号最小
【ハイブレンド調整】
 ・音声出力端子にAC電圧計セット
 ・SSG83MHz 1kHz L/R信号 → VR502調整 → 左右レベルを確認
 ・MPX high-blend=on
 ・SSG83MHz 1kHz L/R信号 → VR502調整 → 左右レベル同一
【Auto IF セレクター調整】
 ・TP101 200kHz正弦波注入
 ・TP301 オシロスコープ接続 → T302調整 → 200kHz波形最大
 ・TP101 300kHz正弦波注入
 ・TP301 オシロスコープ接続 → T301調整 → 300kHz波形最大
 ・上記作業を数回繰り返す

30t40

■試聴------------------------------------------------------

 ・30T、見た目のかっこよさは別格ですね
 ・フロントパネルが傷だらけの中古品はよく見かけますが、
 ・傷の少ない個体は貴重品です

30t06

■謹賀新年2025----------------------------------------------

 ・定年退職したはずの職場で今もフルタイムで仕事しています
 ・趣味に没頭できる生活はまだ先のようです
 ・今年もマイペースで趣味と仕事をがんばっていきます

note:BLUESS Laboratory

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