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2025年1月 5日 (日)

Technics ST-9030T 修理調整記録10

 ・2024年11月、30Tの故障機が届きました。
 ・ガンメタフェイスとオレンジ照明の組み合わせがステキな機種です
 ・以下、作業記録です

30t03

■製品情報--------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 Technics ST-9030T ¥80,000(1977年頃)
 ・hifiengine Technics ST-9030 FM Stereo Tuner (1977-81)

30t02_2025010508510130t11

■動作確認--------------------------------------------------

【依頼者様からの事前情報】
 ・stereoランプが点灯しない、実際のステレオ感も無い
 ・IF band切換ランプも点灯しない
 ・周波数目盛りと指針に若干のズレ
【当方での確認事項】
 ・外観に目立つキズは無く保存状態は今まで見た中で最上クラス
 ・ただSメーターとTメーターがパネルの正常位置に収まっていません
 ・フロントパネルを分解した先人は組立て方法を間違えています
 ・さて、FMアンテナを接続して名古屋のFM局の受信テスト開始
 ・周波数目盛りと指針は約-0.2MHzの軽微なズレ
 ・Sメーターは大きく振れるがTメーターの動き方が少しおかしい
 ・名古屋地区のFM局はすべて受信OK
 ・ご指摘通りSTEREOインジケーター点灯しない、実際のステレオ感も無い
 ・IF band切換ボタンに連動するインジケーターも点灯しない
 ・3個のプッシュSWのうち、左側2個が押し込んだ位置でロックできない
 ・プッシュSW内部のロック機構が破損しているようです
 ・この影響でmuting offとhi-blend on機能が動作しない

■内部確認--------------------------------------------------

 ・前回修理時にフロントパネルを分解したようですが組立方法が不良でした
 ・フロントパネルが正常位置で固定されていなかったです
 ・二つのメーターがパネル窓に収まっておらず浮いた状態でした
 ・この状態でフロントパネルを強引に固定してありました
 ・メーター前面の透明プラスチックが割れなかったのは不幸中の幸いでしょう
 ・stereoランプの麦球がすでに交換済みでした
 ・試しにVCO調整用VR602を少し回したところ麦球は点灯しました
 ・しかし wideランプの麦球は点灯しません
 ・電球交換以外の修理痕は無かったです

30t2030t_00_20250105085001

■修理記録:プッシュSWがロックできない件--------------------

 ・Hi-blend切換、Muting切換の両SWが押し込んだ位置でロックできない
 ・スイッチ内部ののロック機構が壊れているかと思いましたが、
 ・フロントパネルを外してスイッチ本体を指で直接押したところ、
 ・何と! 押し込んだ位置でロックできました!壊れていません!
 ・原因はプッシュボタンの最深部がロック作動位置に届かない事でした
 ・ボタン裏側とスイッチ頭部の間に隙間があって最深部まで押し切れない
 ・対策としてボタン頭部に厚さ1mmのシリコンゴムを挟みました。
 ・本来はボタンとスイッチの隙間を埋める部品があったかもしれません?
 ・前回修理でフロントパネルを外した時にその部品が外れたかも?
 ・フロントパネルの分解経験は何度もありますが今まで気づかなかった、
 ・次に30Tを見る機会があれば確かめてみます

30t2230t23

■修理記録:wideランプとstereoランプをLED化-----------------

 ・STEREO用麦球は生きていましたが、この機に2個ともLED化しました
 ・色合いや明るさを合わせるためです
  →オリジナル麦球:φ4mm/6.3v/40mA
  →交換用LED:φ3mm/ウォームホワイト
【stereoランプ】
 ・33端子=アノード側、34端子=カソード側
 ・R618:330Ω/1w → 10kΩ/0.5w ※制限抵抗交換
 ・33端子~34端子間 → 1kΩ/0.5w ※追加(常時点灯防止のため)
【wideランプ】
 ・42端子=アノード側、32端子=カソード側
 ・R327:390Ω/1w → 10kΩ/0.5w 制限抵抗交換

30t30_2025010508530130t32

■調整記録--------------------------------------------------

【本体設定】
 ・MPX hi-blend=off
 ・Servo tuning=off
 ・IF selector=auto
 ・TP302とTP303を短絡すると強制narrowとなる
【レシオ検波調整1】
 ・入力信号なし
 ・TP201~GND DC電圧計セット → T201(narrow緑)調整 → 電圧ゼロ
 ・TP101~GND DC電圧計セット → T102(wide緑)調整 → 電圧ゼロ
【OSC調整】
 ・TP302~TP303短絡(強制narrowモード)
 ・SSG76MHz → L8調整 → Sメーター最大
 ・SSG90MHz → CT8調整 → Sメーター最大
【RF調整】
 ・TP302~TP303短絡(強制narrowモード)
 ・SSG76MHz → L1,L2,L3,L4,L5,L6,L7調整 → Sメーター最大
 ・SSG90MHz → CT1,CT2,CT3,CT4,CT5,CT6,CT7調整 → Sメーター最大
 ・SSG83MHz → T1調整 → Sメーター最大
【レシオ検波調整2】
 ・入力信号なし
 ・TP101~GND DC電圧計セット → T102(wide緑)調整 → 電圧ゼロ
 ・TP201~GND DC電圧計セット → T201(narrow緑)調整 → 電圧ゼロ
【出力レベル調整】wide
 ・IF selector=wide
 ・音声出力端子にAC電圧計セット
 ・SSG83MHz 400Hz 100% → VR504調整 → 1.4v
【モノラル歪調整】
 ・音声出力をWaveSpectraで観測
 ・IF selector=wide
 ・SSG83MHz 1kHz 100% → T102(wide赤)調整 → 歪最小
 ・TP302~TP303短絡(強制narrowモード)
 ・SSG83MHz 1kHz 100%変調 → T201(wide赤)調整 → 歪最小
【出力レベル調整】narrow
 ・TP302~TP303短絡(強制narrowモード)
 ・音声出力端子にAC電圧計セット
 ・SSG83MHz 400Hz 100% → VR503調整 → 1.4v
【ミューティング調整】
 ・Servo tuning=auto
 ・TP102~GND DC電圧計セット
 ・SSG83MHz 1kHz → T202,T203調整 → 電圧最大
 ・SSG83MHz 1kHz 60dB → VR402調整 → 局間ノイズが消える位置へ
 ・SSG83MHz 1kHz 20dB → VR401調整 → ミューティング作動位置へ
【Sメーター調整】
 ・SSG83MHz 1kHz 100% → VR501調整 → Sメーター指針
【VCO調整】
 ・TP601 周波数カウンタ接続
 ・SSG83MHz無変調 → VR602調整 → 19kHz±30Hz
【左右レベル調整】
 ・SSG83MHz 1kHz ST変調 → VR702調整 → 左右chのレベルを同じ
【パイロットキャンセル調整】
 ・音声出力をWaveSpectraで観測
 ・SSG83MHz 1kHz ST変調 → VR601,L601,L602調整 → 19kHz最小
【サブキャリアキャンセル調整】
 ・SSG83MHz 1kHz ST変調 → CT701調整 → 38kHz最小
【セパレーション調整】
 ・音声出力をWaveSpectraで観測
 ・SSG83MHz 1kHz L/R信号 → VR701調整 → 漏れ信号最小
 ・TP302~TP303短絡(強制narrowモード)
 ・SSG83MHz 1kHz L/R信号 → VR703調整 → 漏れ信号最小
【ハイブレンド調整】
 ・音声出力端子にAC電圧計セット
 ・SSG83MHz 1kHz L/R信号 → VR502調整 → 左右レベルを確認
 ・MPX high-blend=on
 ・SSG83MHz 1kHz L/R信号 → VR502調整 → 左右レベル同一
【Auto IF セレクター調整】
 ・TP101 200kHz正弦波注入
 ・TP301 オシロスコープ接続 → T302調整 → 200kHz波形最大
 ・TP101 300kHz正弦波注入
 ・TP301 オシロスコープ接続 → T301調整 → 300kHz波形最大
 ・上記作業を数回繰り返す

30t40

■試聴------------------------------------------------------

 ・30T、見た目のかっこよさは別格ですね
 ・フロントパネルが傷だらけの中古品はよく見かけますが、
 ・傷の少ない個体は貴重品です

30t06

■謹賀新年2025----------------------------------------------

 ・定年退職したはずの職場で今もフルタイムで仕事しています
 ・趣味に没頭できる生活はまだ先のようです
 ・今年もマイペースで趣味と仕事をがんばっていきます

note:BLUESS Laboratory

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コメント

あけましておめでとうございます。
いつも大変興味深い記事をありがとうございます。
今年も楽しみにしております。

yamamoto様

明けましておめでとうございます。
いつまで続けられるか分かりませんが、
当面の目標はこのまま仕事もブログも70才まで続けることです。
何とかがんばっていきます。

昨年オークションにて落札したKENWOOD D-3300T チューナが所有しているのですが
全く動作せずで修理をお願いしたいのですが可能でしょうか?
外観が美品で諦めることができずで。
宜しくお願いします。

修理受付はしていませんが、故障品として提供いただければ趣味で修理調整にチャレンジさせていただきます。ただし直せるかどうか分かりません。

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