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2025年2月の記事

2025年2月23日 (日)

TRiO KT-990 修理調整記録12

 ・2024年12月、KT-990の故障機が届きました
 ・フロントパネルが前傾している、FM受信時の激しいノイズなど不具合多数
 ・以下、復活までの作業記録です

Kt99003_20250223093001

■製品情報--------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 TRIO KT-990 ¥53,800円(1982年発売)

Kt99002_20250223092801Kt99013

■動作確認--------------------------------------------------

 ・外観は経年の汚れ、天板に目立つ擦り傷あり
 ・電源オン、フロントパネル照明点灯、指針照明が点灯しない
 ・選局ツマミを回すと回転フィーリングがかなり重い
 ・原因はフロントパネルが前傾して選局ツマミと接触していること
 ・これはKT-990/KT-900で頻繁に遭遇する不具合事例です
 ・フロントパネルを指で支えながら名古屋地区のFM局を受信テスト
 ・82.5MHzのNHK-FM(名古屋)を82.4MHz付近で受信
 ・ズレた位置でSメーター点灯、Tメーターインジケーター点灯
 ・MUTINGオフで指針を移動すると局間ノイズに激しい雑音が混入する
 ・バリコン軸の軸受部が錆びついている感じです
 ・適当なAMループアンテナを接続して名古屋のAM局を受信テスト
 ・Sメーターがフル点灯しAM放送を受信OK

■内部確認--------------------------------------------------

 ・フロントパネルが前傾する原因は重量級アンプ等を上に載せたこと
 ・重量に耐え切れずフロントパネルとボディを繋ぐプラ部品が破損
 ・これはKT-900/KT-990定番の破損個所なので修復可能
 ・次にフロントエンド内のトリマコンデンサを仮調整で回したところ、
 ・幸いなことにトリマコンデンサは生きていました
 ・バリコン回転軸の軸受部が緑青色に変色してノイズ源になっている

Kt990_00

■修理記録:フロントパネル補修(プラスチック溶接)----------

 ・経験を重ねてプラスチック溶接の腕前がだいぶ上がってきました
  ・破損部分を瞬間接着剤で仮止め
  ・破断位置を跨ぐようにホッチキス針を置く
  ・針はM字型に曲げて使うとより効果的
  ・ハンダ鏝を針に押し当てプラスチックの内部に溶かし込む
  ・溶けたプラスチックを出来るだけ平らにならす
  ・最後に研磨して仕上げる
 ・20Wクラスのハンダ鏝ならこて先が細いので使い勝手が良いです
 ・プラスチックの厚みが2mmほどしかないので作業は慎重に!
 ・熱を加えすぎると裏面(上部から見える面)に変形が及ぶので注意

Kt99020_20250223093401Kt99023_20250223093401Kt99024Kt99025_20250223093401

■修理記録:指針照明LED化------------------------------------

 ・オリジナルのφ4mm電球が切れていました
 ・φ3mmのLED(ウォームホワイト)に拡散キャップを被せて交換
 ・実験用電源で明るさを確認しながら制限抵抗1kΩでJ95に接続
 ・電源回路 D33 → C114(1000uF/10v)→ J95 ※+10.3V
 ・LEDに茶色のポリイミドテープを巻くとイイ感じの「電球色」です

Kt99031_20250223092801Kt99030_20250223092801

■修理記録:バリコン軸洗浄----------------------------------

 ・MUTINGオフで指針を移動すると激しいバリバリ音が発生する原因です
 ・目に見える範囲の緑青サビを爪楊枝の先端で削ぎ落す
 ・次にエレクトロニッククリーナーを噴射して何度か回転させる
 ・100均で買った歯間ブラシ(SSサイズ)で軸受け部を清掃
 ・これを何度か繰り返して清掃完了
 ・最後にエアダスターを噴射して乾燥させてからCRC556を少量塗布
 ・76~90MHz区間を何度も往復して馴染ませて作業完了

Kt99042_20250223093001

■受信調整--------------------------------------------------

【FM OSC調整】
 ・TR7020-2Pin(R18右足) → 電圧計セット(Sメーター電圧)
 ・83MHz 受信 → TC4調整 → 電圧最大
【FM RF調整】
 ・TR7020-2Pin(R18右足) → 電圧計セット(Sメーター電圧)
 ・83MHz 受信 → TC1,TC2,TC3調整 → 電圧最大
 ・83MHz 受信 → T1調整 → 電圧最大
【クアドラチュア検波調整】
 ・TP1~TP2 → 電圧計セット(Tメーター)
 ・83MHz 受信 → L4調整 → 電圧ゼロ(Tメーター中点)
【WIDE GAIN調整】
 ・TR7020-2Pin → 電圧計セット(Sメーター電圧)
 ・83MHz Narrow受信 → Sメーター電圧記録
 ・83MHz Wide受信 → VR1調整 → 上記電圧と同じ
【高調波歪調整】
 ・音声出力端子 → WaveSpectra接続
 ・83MHz → T1(フロントエンド内)調整 → 高調波歪最小
【パルスカウント検波調整】
 ・TR4011-1Pin → 周波数カウンタセット
 ・83MHz受信 → L6調整 → 1.965MHz
【VCO調整】
 ・TP VCO → 周波数カウンタ接続
 ・SSG 83MHz 無変調 → VR7調整 → 76kHz
【PILOTキャンセル】
 ・音声出力端子 → WaveSpectra接続
 ・83MHz Wide受信 → VR6調整 → 19kHz成分最小
【セパレーション Narrow調整】※Narrow調整を先に行なうこと
 ・音声出力端子 → WaveSpectra接続
 ・83MHz Narrow → VR3調整 → 反対chへの漏れ信号最小
【セパレーション Wide調整】
 ・音声出力端子 → WaveSpectra接続
 ・83MHz Wide → VR4調整 → 反対chへの漏れ信号最小
 ・83MHz Wide → VR5調整 → 反対chへの漏れ信号最小
【REC CAL調整】
 ・83MHz受信 → 出力レベル記録
 ・83MHz受信 → VR2調整 → -6dB設定 ※418Hz
【AM受信調整】
 ・700kHz → L11,L12調整 → Sメーター最大点灯
 ・1400kHz → TC1,TC2調整 → Sメーター最大点灯

Kt99050_20250223093001

■試聴------------------------------------------------------

 ・特に照明に浮かび上がる強化ガラス製フロントパネルが美しい
 ・薄暗い部屋でボーっと眺めていると幸せに浸れます
 ・上面に重い機材を載せないようにご注意ください

Kt99008_20250223093001

note:BLUESS Laboratory

2025年2月16日 (日)

YAMAHA T-7 修理調整記録6-2

 ・前回修理記録の続編です
 ・部品取り機として残した個体の修理が「一応」完了しました
 ・以下作業記録です

T704_20250216084901

■製品情報--------------------------------------------------

 ・オーディオ懐古録 YAMAHA T-7 NATURAL SOUND STEREO TUNER ¥69,800円
 ・Hifi Engine Yamaha T-7 Natural Sound AM/FM Stereo Tuner (1980-82)

T702_20250216085101T709_20250216085101

■当初の動作確認---------------------------------------------

【SN/202393(部品取り機)】
 ・TメーターとSメーターが点灯して受信しているようです
 ・STEREOランプも点灯しますが、ただ音が出ません
 ・REC CALトーンは正常音が聞こえました
 ・たぶんMUTINGが作動したまま解除されない状態と思います
 ・電源コンデンサがすべて交換済み、さらに改造痕も多々ありました

■当初の内部確認---------------------------------------------

【SN/202393(部品取り機)】
 ・外観はキズが多く、底板も凹んでいる
 ・すべての電解コンデンサーが交換済みでした
 ・あとフィルムコンデンサもいくつか交換済み
 ・バッテリーも交換済み
 ・過去の事例を思い出しながら IC120(LC7200)-23pinをGNDに落とす
 ・すると予想通り受信音が聞こえてきました
 ・やはり何らかの理由でMUTINGが解除できない状態です
 ・この原因を探してオート選局回路の電圧測定を始めたところ
 ・FM/AM切換ボタンを押した瞬間にFM受信音が聞こえてきました
 ・これは、、ひょっとして、プッシュスイッチの接触不良か??
 ・前面に並んだプッシュスイッチを各100回操作
 ・これ以降は音が出なくなる現象は発生しなくなった、と思いましたが
 ・ランニングテスト中にまた再発、原因は別にあるようです
 ・そして更なる不具合を確認、強制DX(Narrow)にすると音が酷く歪みます
 ・Local(Wide)では正常な音声なので気づきませんでした

T700_20250216084901

■今回の修理記録:DX受信時の歪み----------------------------

 ・YAMAHA機のIF BAND切換は Local(Wide) と DX(Narrow) です
 ・ Local(Wide)では歪みなし、DX(Narrow)にするとひどく歪む
 ・この症状から不調箇所は DX(Narrow) にありそうです
 ・DX(Narrow) 回路にあるのはセラミックフィルター CF3 CF4のみ
 ・これを別のジャンク機から取り外した青色フィルターに交換
 ・ひどく歪んでいた音が正常化しました
 ・DX(Narrow)を使うことは無いのですが、でも安心材料です

T720T721_20250216085101

■調整記録--------------------------------------------------

【本体スイッチ設定】
 ・FUNCTION = FM
 ・RX MODE = AUTO DX
 ・MUTE/OTS = OFF
 ・BLEND = OFF
 ・REC CAL = OFF
 ・AM調整を先に行います
【AM OSC調整】
 ・ 600kHz受信 → T110調整 → シグナルメーター最大
 ・1400kHz受信 → AMOSC調整 → シグナルメーター最大
【AM RF調整】
 ・ 600kHz受信 → T109調整 → シグナルメーター最大
 ・1400kHz受信 → AMANT調整 → シグナルメーター最大
【FM同調点調整】
 ・IC111 20pin(またはR282)-GND → 電圧計セット
 ・SSG10.7MHzをCF101に注入 → T103調整 → 電圧ゼロ
【FM OSC調整】
 ・IC102 (LA1231) 13pin → 電圧計セット
 ・83MHz受信 → フロントエンドTC4調整 → 電圧最大
 ※OSCコイルL4の調整が難しいため83MHzのみで調整
【FM RF部調整】
 ・IC102 (LA1231) 13pin → 電圧計セット
 ・83MHz受信 → フロントエンドTC1,TC2,TC3調整 → 電圧最大
 ※RFコイルL1~L3の調整が難しいため83MHzのみで調整
【Mono歪調整】
 ・音声出力 → WaveSpectra接続
 ・83MHz → TC101調整 → 高調波歪最小
【VCO調整】
 ・R263右足 → 周波数カウンタ接続
 ・83MHz → VR108調整 → 19kHz±10Hz
【ST SUB調整】
 ・音声出力 → WaveSpectra接続
 ・83MHz SUB → T112調整 → Lchレベル最大
【Stereo歪調整】
 ・音声出力 → WaveSpectra接続
 ・83MHz ST → VR101 VR102 VR103,T102調整 → 高調波最小
【Pilot Cancel調整】
 ・音声出力 → WaveSpectra接続
 ・83MHz ST → T113,VR109調整 → 19kHz漏れ信号最小
【セパレーション調整】
 ・音声出力 → WaveSpectra接続
 ・83MHz ST → VR105調整 → Lch漏れ信号最小
 ・83MHz ST → VR106調整 → Rch漏れ信号最小
【シグナルインジケーター点灯調整】
 ・83MHz 100dB → VR112調整 LED全点灯
 ・83MHz 0dB → VR111調整 LED全消灯
【プリセットチューニング上限位置調整】
 ・自動選局時に指針がスケールを振り切らないように制限する設定
 ・90.5MHz受信 → プリセット5に登録
 ・83MHz付近でプリセット5を押し指針移動開始
 ・このとき90.2MHz付近で自動停止するようにVR113を調整する
【プリセットチューニング下限位置調整】
 ・75.5MHz受信 → プリセット1に登録
 ・83MHz付近でプリセット1を押し指針移動開始
 ・このとき75.8MHz付近で自動停止するようにVR114を調整する

T740_20250216084901

■試聴------------------------------------------------------

 ・電源オン時にミューティングが解除されない問題は残っていますが、
 ・でもFM/AM切換ボタンを一度操作すると解除されることが判明
 ・不調原因ははスイッチ内部の接触不良かな?と想像します
 ・スイッチを取り外して分解洗浄しようかと思いましたが、
 ・取り付け部のロック剤を見ると、、このまま動態保存することにしました

T731T706_20250216084901

note:BLUESS Laboratory

2025年2月 9日 (日)

SONY ST-JX8 修理調整記録4

 ・2024年12月、中古店のジャンクコーナーで故障品に遭遇しました
 ・「AMは受信OK、FMは音が小さい」と値札に書かれていました
 ・外観はひどく汚れたボロボロ状態で価格はワンコイン
 ・部品取り目的と割り切って確保してきました

Jx805

■製品情報--------------------------------------------------

 ・オーディオ懐古録 SONY ST-JX8
 ・オーディオの足跡 SONY ST-JX8 ¥70,000(1981年発売)
 ・取扱説明書 日本語版、PDF形式

Jx803Jx811

■動作確認--------------------------------------------------

 ・フロントパネル、ボディともヤニ汚れで茶色く変色している
 ・表面のヤニは既に拭き取ってあるみたい
 ・さて、FMアンテナを接続して電源オン
 ・周波数表示が明るく点灯、輝度劣化や文字痩せなし
 ・オート選局で名古屋地区のFM局を受信しようとしたところ、
 ・全局とも放送周波数を素通りして受信不可でした
 ・MUTINGオフにしてマニュアル選局にするとFM局を受信できました
 ・ただし値札に書いてあった通り出てくる音がとても小さい
 ・REC CALトーンは正常に聞こえる
 ・AM放送は背面バーアンテナで受信できました
 ・やはり問題はFM受信回路です

■内部確認--------------------------------------------------

 ・ボディを開けると部品が見えないほど大量の茶色いホコリが堆積
 ・エアーとブラシで内部を徹底清掃して部品が顔を出しました
 ・独立したフロントエンドユニット、レシオ検波
 ・LA1235:FM IF System
 ・uPC1223C:MPX System
 ・LA1245:AM Tuner System
 ・修理歴、改造歴は無さそうです

Jx820

■修理記録:IFT201修理---------------------------------------

 ・ST-JX8の修理調整にはST-J75の資料が役立ちます
 ・電源系統のチェック、特にヒューズ抵抗確認 → OK
 ・VT電圧確認 → OK
 ・FM同調点調整 → IFT201を回しても電圧変化しない
 ・どうやらIFT201内蔵コンデンサが死んでいるようです
 ・ST-J75回路図のIFT101内部図を参考にして試行錯誤した結果
 ・IFT201背面にあるR229に並列に30pFコンデンサを追加
 ・これでFM同調点調整OK、シグナルメーターもフル点灯
 ・オート選局できるようになりました

Jx830Jx831Jx832Ift201

■修理記録:IFT202修理--------------------------------------

 ・しかし続くレシオ検波調整が出来ないことが新たに判明
 ・IFT202を回しても調整できません
 ・レシオ検波用のIFT202を取り外して裏面を観察
 ・内蔵コンデンサが黒く変色していました
 ・これを取り外して新品コンデンサをハンダ面に追加
 ・ST-J75回路図のIFT102内部図を参考にして試行錯誤した結果
 ・R236(J75ではR136)に並列100pF追加
 ・D201/D202側(ST-J75ではD101/D102)に47pF追加
 ・これでレシオ検波波形がキレイに出てきました
 ・音が小さい問題も解消してSTEREOランプも点灯

Jx840Jx842Jx843Ift202

■調整記録--------------------------------------------------

Stjx800_20250209090301

【VT電圧確認】
 ・アンテナ入力なし
 ・TP-CV → 電圧計セット
 ・76MHz → L5調整 → 8.1V ※確認のみ
 ・90MHz → TC5調整 → 21.5V※確認のみ
【FM同調点調整】
 ・R228両端(IC201:LA1235横)電圧計セット
 ・83MHz受信 → IFT201調整 → 電圧0V±10mV
【レシオ検波調整】
 ・TP-NULL~GND 電圧計セット
 ・音声出力 → WaveSpectra接続
 ・83MHz受信 → IFT202(黒:左)調整 → 電圧0V±10mV
 ・83MHz受信 → IFT202(赤:右)調整 → 歪率最小
【フロントエンド調整】
 ・IC201:LA1235-13ピン(JW51)電圧計セット※Sメーター電圧
 ・83MHz受信 → CT1,CT2,T101,T102調整 → 電圧最大
  ※L101~L105がボンドで固められているので調整不可
  ※83MHzでCT1,CT2を合わせる方法で調整しました
【ミューティング調整】
 ・83MHz 20dB受信 → RT201調整 → 受信できる位置
【Sメータレベル調整】
 ・83MHz 80dB受信 → RT203調整 → Sメーター全点灯位置
【VCO調整】
 ・TP-76K(R307左足)~GND 周波数カウンタセット
 ・83MHz(無変調)→ RT302調整 → 76kHz
【パイロットキャンセル調整】
 ・音声出力 WaveSpectra接続
 ・83MHz(ST)→ RT301調整 → 19kHz漏れ信号最小
 ・83MHz(ST)→ L301調整 → 19kHz漏れ信号最小 ※左右バランス注意
【セパレーション調整】
 ・83MHz(ST-Lch)→ RT305調整 → Rch最小
 ・83MHz(ST-Rch)→ RT355調整 → Lch最小
【OUTPUTレベル調整】
 ・音声出力端子 TP62 AC電圧計セット
 ・83MHz(60dB)受信 → RT305調整 → Lch 0.775V
 ・音声出力端子 TP64 AC電圧計セット
 ・83MHz(60dB)受信 → RT306調整 → Rch 0.775V
【REC CAL調整】
 ・音声出力レベル測定
【AM VT電圧調整】
 ・CT401 CT402
 ・L401 バーアンテナ
 ・RT401(AM SIG)電圧計セット(Sメーター電圧)
 ・IFT401、IFT402
 ・RT402(AM MUTE)

Jx850

■試聴------------------------------------------------------

 ・せっかく受信復活したので外装をせっせとクリーニングしましたが、
 ・かなり頑張りましたが、茶色い汚れが落としきれないので諦めました
 ・IFTコイルに内蔵されたコンデンサの故障は最近の頻発事例です
 ・製造から40年以上ですから部品の寿命はとっくに尽きていますよね
 ・このまま部品取り機として保管しておきます

Jx804

note : BLUESS Laboratory

2025年2月 2日 (日)

KENWOOD L-02T 修理調整記録4

 ・2024年12月、KENWOOD L-02Tの修理調整作業を承りました
 ・可変端子から音が出るのに固定端子(RCA)は音が出ないそうです
 ・以下、作業記録です

L02t93
LED化後

■製品情報--------------------------------------------------

 ・オーディオ懐古録 KENWOOD L-02T FM STEREO TUNER \300,000
 ・オーディオの足跡 KENWOOD L-02T \300,000(1982年頃)
 ・Hifi Engine Kenwood L-02T FM Stereo Tuner (1982-83)
 ・KENWOOD L-02T 取扱説明書 (日本語版、PDF形式)

L02t02_20250202085501L02t09_20250202085501

■動作確認--------------------------------------------------

【依頼者様からの事前情報】
 ・Σケーブル(可変端子)だと音が出るが固定RCA端子からは音が出ない
 ・NHKのアナウンサーの発声のサ行が歪んで聴こえる
 ・同調周波数の針が見えにくい
 ・REC CALが勝手にONになることがある
【当方での確認事項】
 ・天板やフロントパネル角に目立つすり傷・打ち傷多数あり
 ・ボディの継ぎ目には大量のホコリ、外観は残念なジャンク級です
 ・天板は2枚構成、スライド式で後方へずらして外しますが、
 ・天板の隙間がひどく傷だらけ、先人は強引にこじ開けたようです
【可変出力(Σ端子)】
 ・同梱されていたΣケーブル(非純正品)で接続しました
 ・RF=DIRECT → MUTINGが作動して受信不可
 ・RF=NORMAL → 名古屋地区のFM局をすべて受信できました。
 ・STEREOランプ点灯、SERVO LOCKランプ点灯
 ・三つのメーター動作OK、アンテナ切換OK
 ・IF BAND切換OK、REC CALトーンOK、 LPF切換OK
 ・受信感度が低下しているようですが、基本動作はOKでした
 ・ご指摘のように指針が暗くて見難い、でも全く見えないわけではない
 ・可変出力端子(Σ端子)のRch側がグラグラ状態です
 ・今のところREC CALの誤動作は発生していません
【固定出力(RCA端子)】
 ・メーター動作やインジケーターランプの点灯具合は正常です
 ・可変出力に接続した状態と同じですが、肝心の受信音が聞こえません
 ・REC CALトーンも聞こえません

■内部確認--------------------------------------------------

 ・SメーターとDメーター上部に黄色マスキングテープが貼ってありました
 ・しかもマスキングテープは無造作にちぎった状態でちょっとビックリ
 ・たぶんメーター照明用の電球交換の痕跡と思います
 ・続いてフロントパネルを外して指針電球部を確認すると、、
 ・指針基板も黄色いマスキングテープでぐるぐる巻きになっていました
 ・不思議に思ってテープを外すと基板を固定するプラ製ツメが割れていました
 ・マスキングテープは割れたツメの代わりに基板を固定するためでした
 ・指針電球は既に直径5mmのLED(黄色)に交換済みでした
 ・ただオリジナルAC電源に制限抵抗1kΩを介しただけの接続です
 ・しかも指針基板に穴を開けて直径5mmのLEDを埋め込んでありました
 ・この状態でLEDは点灯していますが、ただ5mmではオーバーサイス
 ・指針の裏側に届く丸い穴に入らないので外側で光っている状態

L02t40L02t43L02t44L02t46L02t48

■修理記録:固定出力端子から音が出ない件---------------------

 ・調べてみるとRL1入口側では音が出ていますがRL1出口側では無音状態
 ・ミューティングリレーRL1(L23)が壊れているようです
 ・ジャンク箱を探したところKT-1000の基板に同型リレーがありました
 ・これを移植したところ無事に固定端子から音が出るようになりました

L02t21_20250202085901L02t23L02t24_20250202085901

■修理記録:可変出力端子(Σ端子)Rch破損---------------------

 ・可変端子にΣケーブルを挿し込むときにRch端子がグラグラします
 ・内側を見ると端子を固定するネジ部分が割れていました
 ・割れた部分は瞬間接着剤で仮固定
 ・端子とボディとの接触面は強力ボンドで固定しました
 ・端子はもう外せないと思いますがご容赦ください

L02t30L02t31_20250202090101L02t32L02t33L02t34

■修理記録:指針照明----------------------------------------

 ・このままの状態で直径3mmの白色LEDに交換してみました
 ・指針の裏側で点灯させれば指針は本来の赤色で点灯しました
 ・まずはLED電源をDC化する方法を考えました

L02t47L02t49L02t50_20250202090201L02t51_20250202090201L02t53_20250202090301

■修理記録:メーター照明------------------------------------

 ・指針照明のLED化に伴ってメーター照明もLEDに変更しました
 ・本来はメーターを分解してフィラメント電球を取り出すのですが
 ・メーター外側からテープLEDでライトアップする方法です
 ・1cm角のプラ製L字アングルをベースにしてLEDテープを貼り付け
 ・このL字アングルをメーター上部に両面テープで固定する
 ・メーター形状に合わせてアングルに切れ込みを入れると収まりが良い
 ・オリジナル電球はメーター内部に残したまま配線だけ切断
 ・ちょっと邪道な手法ですが、外から見た感じは上々の出来映えです
【オリジナル照明電源】
 ・[電源基板]24端子 → [MPX基板]20端子(AC12v)
 ・[電源基板]25端子 → [MPX基板]21端子
【LED照明電源】
 ・電源基板
 ・[電源基板]20端子:IF基板に繋がる+14vを借用しました
 ・[制限抵抗220Ω] を介して [MPX基板]21端子に接続
 ・指針とメーター照明を合わせて実測23mAでした
 ・念のため借用対策としてC28,C29を増強
 ・C28,C29(1000uF/16v) → (2200uF/25v)新品交換
【考察】
 ・電源基板にはシルク印刷だけで部品が未実装の部分があります
 ・これは周波数デジタル表示機能がある輸出機向け電源回路です
 ・ここに部品を実装してLED専用12v電源を作り出す方法もありかも
 ・いつか機会があったら試してみたい改造です

L02t71L02t72L02t75L02t80L02t81

■調整記録--------------------------------------------------

L02t00_20250202090601

【セッティング】
 ・QUIETING:AUTO
 ・IF BAND:WIDE
 ・REC CAL:OFF
 ・LPF:OFF
 ・MUTING:OFF
【Sメーター調整 (1)】
 ・83MHz,60dB → IF基板 L15調整 → Sメーター最大
【Tメーター調整 (1)】
 ・83MHz,60dB → IF基板 L12調整 → Tメーター中点
【トラッキング調整】
 ・76kHz,40dB → FE基板 L1,L2,L3,L4,L5,L6,L13調整 → Sメーター最大
 ・90kHz,40dB → FE基板 TC1,TC2,TC3,TC4,TC5,TC6調整 → Sメーター最大
 ・数回繰り返す
【Tメーター調整 (2)】
 ・IF BAND:NARROW
 ・電波無し、指針83MHz位置 → IF基板 L7調整 → Tメーター中点
【Sメーター調整 (2),(3)】
 ・IF BAND:NARROW
 ・RF SELECTOR:DIRECT
 ・83MHz,45dB → IF基板 VR2調整 → Sメーター 50dBf
 ・83MHz,65dB → IF基板 VR4調整 → Sメーター 70dBf
 ・数回繰り返す
【Sメーター調整 (4)】
 ・83MHz,65dB → IF基板 VR3調整 → Sメーター 70dBf
 ・数回繰り返す
【REC CAL調整】
・REC CAL:ON
・固定出力端子にAC電圧計セット → MPX基板 VR5調整 → -6dB
・430Hz
【VCO調整】
 ・83MHz,80dBu,Pilot → MPX基板 VR1調整 → STEREOランプが点灯する範囲の中間
【Pilotキャンセル調整】
・固定出力端子にSpaceSpectra接続
 ・83MHz,80dBu,Pilot → MPX基板 VR2,L1調整 → 19kHz成分最小
【オフセット(OFS)調整】
・IC10-7pin ~ GND DC電圧計セット
 ・83MHz,60dBu,Pilot → MPX基板 VR3調整(Lch) → 0v ※実測+30mV
・IC19-7pin ~ GND DC電圧計セット
 ・83MHz,60dBu,Pilot → MPX基板 VR4調整(Rch) → 0v ※実測ー22mV
【マルチパスメーター調整】
 ・38kHz AM変調10%
 ・83MHz,60dBu,38kHz AM Dev10% → MPX基板 L16,L17,L18 調整 → マルチパスメーター最大
【歪調整(MONO)】
 ・83MHz,80dBu,1kHz → IF基板 L1,L2,L3,L4,L5 → 高調波歪最小
【歪調整(STEREO WIDE)】
 ・83MHz,80dBu,1kHz,SUB信号 → IF基板 L32(色なし) → 高調波歪最小
【歪調整(STEREO NARROW)】
 ・IF BAND:NARROW
 ・83MHz,80dBu,1kHz,SUB信号 → IF基板 L34(色なし) → 高調波歪最小
【セパレーション調整(WIDE)】
 ・IF BAND:WIDE
 ・83MHz,80dBu,1kHz,R信号 → IF基板 VR8 → Lch 最小
 ・83MHz,80dBu,1kHz,L信号 → IF基板 VR10 → Rch 最小
【セパレーション調整(NARROW)】
 ・IF BAND:NARROW
 ・83MHz,80dBu,1kHz,R信号 → IF基板 VR9 → Lch 最小
 ・83MHz,80dBu,1kHz,L信号 → IF基板 VR11 → Rch 最小
【SCA調整】
 ・DARC信号を入れて音声出力波形を確認 → 影響なし
 ・VR6(Lch),VR7(Rch)ノータッチ

■試聴------------------------------------------------------

 ・上記調整によって受信感度が大幅に向上しました
 ・外観はかなり残念な状態ですが、動作は正常化しました
 ・勝手にREC CALに切り換る現象は再現しませんでしたが、
 ・回路図を見て切換回路のICやトランジスタの足を磨いておきました
 ・かなり真っ黒に変色していたので改善効果はあったかもしれません

L02t05_20250202090601
LED化前L02t94
LED化後

note:BLUESS Laboratory

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