フォト
2026年5月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            

チューナー関連リンク

« 2025年4月 | トップページ | 2025年6月 »

2025年5月の記事

2025年5月25日 (日)

Victor FX-711 修理調整記録10

 ・2025年4月、FX-711の修理調整作業を承りました
 ・受信感度の低下と不定期な雑音混入があるそうです
 ・以下、作業記録です

Fx71106_20250525084901

■製品情報--------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 VICTOR FX-711 ¥49,800(1987年頃)
 ・オーディオ懐古録 Victor FX-711 ¥49,800
 ・Hifi Engine JVC FX-1100 FM/AM Computer Controlled Tuner
 ・FX-711 取扱説明書 PDF形式

Fx71102_20250525084501Fx71110_20250525084501

■動作確認--------------------------------------------------

 ・ボディ上面に目立つ擦り傷多数、
 ・電源オン、周波数表示点灯、輝度劣化や文字痩せなし
 ・上り下り方向ともオート選局で名古屋地区のFM局を受信できました
 ・オート選局時の周波数ズレなし
 ・ただ、信号レベルが20dB程度でOSCインジケーターが点灯します
 ・受信感度がかなり低下しているようです
 ・短時間のチェックでは不定期な雑音は確認できません
 ・AM受信を試したところ名古屋のAM局はまったく受信不能

■内部確認--------------------------------------------------

 ・部品面、配線面とも修理痕は見当たらない
 ・目視で分かる部品の劣化やハンダクラックは見当たらない
 ・まずは所定の電圧チェック → 異常なし
   ・Q801-E(+30V)→ +29.1V
   ・Q803-E(+12V)→ +11.9V
   ・Q808-E(-12V)→ -12.3V
   ・Q805-E( +5V)→ + 5.1V
   ・J705-3pin(+5.6V)→ +5.7V ※電源基板
   ・J705-5pin(-35V) →-34.2V ※電源基板

Fx71100_20250525084901

■調整記録--------------------------------------------------

●FM部
【VT電圧】
 ・TP101 DC電圧計セット
 ・受信周波数 76MHz → L151調整 → 7.5V±0.1V
 ・受信周波数 90MHz → TC105調整 → ★
 ・上記作業を数回繰り返す
 ★TC105調整が過敏に反応、僅かに触れるだけで値が変化する
【RFトラッキング調整】
 ・VR602 → 電圧計セット ※Sメーター電圧測定
 ・76MHz 40dB → L103,L104,L105,L106調整 → 電圧最大
 ・90MHz 40dB → TC101,TC102,TC103,TC104調整 → ★
 ★TC101~104調整 → 反応が過敏で最大電圧が定まらない

Fx71122_20250525084801Fx71123_20250525084801

■修理記録:トリマコンデンサ交換----------------------------

 ・フロントエンドのトリマコンデンサTC101~105が劣化しています
  ・TC101~TC105 → 新品(10pF)5個交換
 ・VT電圧調整、RF調整をやり直したところ感度が大幅アップしました
 ・交換後にその他調整項目もすべてやり直しました
 ・同様にAM回路のトリマコンデンサ2個も劣化していました
  ・TC301~TC302 → 新品(20pF)2個交換
 ・再度調整作業をやり直して正常動作になりました

Fx71125_20250525084701Fx71126_20250525084701

■調整記録--------------------------------------------------

●FM部
【VT電圧】
 ・TP101 DC電圧計セット
 ・受信周波数 76MHz → L151調整 → 7.5V±0.1V
 ・受信周波数 90MHz → TC105調整 → 22.0V±0.1V
 ・上記作業を数回繰り返す
【RFトラッキング調整】
 ・VR602 → 電圧計セット ※Sメーター電圧測定
 ・76MHz 40dB → L103,L104,L105,L106調整 → 電圧最大
 ・90MHz 40dB → TC101,TC102,TC103,TC104調整 → 電圧最大
【IFT調整】
 ・83MHz 1kHz 100%変調 40dB → T101調整 → 電圧最大
【PLL検波 VCO調整】
 ・TP104 周波数カウンタ接続
 ・受信バンド切替 → AM
 ・何も受信しない状態 → T208粗調整 → 10.7MHz±0.01MHz
 ・何も受信しない状態 → T207微調整 → 10.7MHz±0.01MHz
 ・受信バンド切替 → FMに戻す
【FM dB表示調整】
 ・83MHz 70dB → VR602調整 → 表示70dB
 ・83MHz 30dB → VR601調整 → 表示30dB
 ・上記作業を数回繰り返す
【モノラル歪調整:WIDE】
 ・IF BAND=WIDE
 ・音声出力をWaveSpectra接続
 ・83MHz 70dB → T204(黒)調整 → モノラル歪最小
【ステレオ歪調整:WIDE】
 ・IF BAND=WIDE
 ・音声出力をWaveSpectra接続
 ・83MHz 70dB → T202(黒)調整 → ステレオ歪最小
 ・QSCインジケーターが点灯していないことを確認
【ステレオ歪調整:NARROW】
 ・IF BAND=NARROW
 ・音声出力をWaveSpectra接続
 ・83MHz 70dB → T201(黒)調整 → ステレオ歪最小
 ・QSCインジケーターが点灯していないことを確認
【FM同調点調整】
 ・IF BAND=NARROW
 ・TP103 DC電圧計セット
 ・83MHz 70dB → T206調整 → 0V±1.5mV
【MUTINGレベル調整】
 ・MUTING=ON
 ・83MHz 20dB → VR604調整 → MUTING作動確認
【セパレーション調整】
 ・IF BAND=WIDE
 ・音声出力をWaveSpectra接続
 ・83MHz 70dB → VR401調整 → Lchもれ最小
 ・83MHz 70dB → VR402調整 → Rchもれ最小
 ・QSCインジケーターが点灯していないことを確認
【パイロット信号キャンセル調整】
 ・音声出力をWaveSpectra接続
 ・83MHz 70dB → VR403調整 → 19kHzもれ最小
 ・左右chのバランスに注意
【REC CAL調整】
 ・83MHz 70dB → 通常受信で出力レベル記録
 ・83MHz 70dB → VR404調整 → 上記記録-6dBに設定
 ・TONE 422Hz
●AM部
【VT電圧】
 ・TP102 DC電圧計セット
 ・受信周波数 522kHz → L302調整 → 1.8V±0.1V 実測1.8V
 ・受信周波数1629kHz → TC302調整 → 22.0V±0.1V 実測19.9V
 ・上記作業を数回繰り返す
【トラッキング調整】
 ・VR603 → 電圧計セット ※Sメーター電圧測定
 ・ 729kHz(NHK第一)受信 → L301調整 → 電圧最大
 ・1332kHz(東海ラジオ)受信 → TC301調整 → 電圧最大
 ・上記作業を数回繰り返す
【AM dB表示調整】
 ・999kHz 90dB送信 → VR603調整 → ※AMのdB値は適当です

Fx71130_20250525084901

■試聴------------------------------------------------------

 ・当初は受信不能だったAM放送も受信できるようになりました
 ・FM/AMとも受信動作正常です
 ・雑音の原因はトリマコンデンサの接触不良だったと思います
 ・本機は電源に接続してあればメモリ内容は保持されます
 ・電源プラグを抜いてから2日間はバックアップされました

Fx71103_20250525084901

note:BLUESS Laboratory

2025年5月18日 (日)

DENON TU-610 修理調整記録

 ・2025年4月、初めて見る機種が届きました
 ・不具合が多数あって実用にならないそうです
 ・さて、どんな故障でしょうか?

Tu61003

■製品情報--------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 DENON TU-610 39,000円(1979年頃)

Tu61002Tu61018

■動作確認--------------------------------------------------

 ・情報によればプリメインアンプ PMA-630 とペアになるチューナー
 ・本来のペア機は TU-630 だと思いますが廉価版の弟機の扱いですね
 ・さて、FMアンテナを接続して電源オン、F端子が無いのが残念
 ・周波数窓の照明点灯、目盛りが照明に浮かび上がる
 ・二つのメーターはアナログではなくLEDが点灯するタイプ
 ・名古屋地区のFM局を受信しよとすると、あれれ??
 ・選局ツマミの回転方向と指針の移動方向が逆になっている??
 ・選局ツマミを右に回すと指針が左方向、左に回すと右方向へ移動
 ・この感覚には違和感があって思い通りに操作できません
 ・それでも何とか慣れてきて確認できた症状は以下の通り
  ・FMは+0.5MHzの周波数ズレ
  ・82.5MHzのNHK-FM(名古屋)を目盛り83MHz付近で受信する
  ・Tメーター中点(緑色LED)が点灯しない
  ・Sメーターの5連LEDも下から2灯しか点灯しない
  ・STEREOランプは点灯したり消灯したりで安定しない
  ・聞こえてくるのは高調波歪が被った酷い音
  ・その一方でREC CALトーンは正常に聞こえる
  ・AMは背面バーアンテナで受信OK
  ・問題はFM、しかも重症の予感?

■内部確認--------------------------------------------------

 ・大型重量級の電源トランスが目を引きます
 ・FM4連AM2連フロントエンド、これは他社機でもよく見かけるタイプ
  ・IC1:LB1426 LED DRIVER
  ・IC2:HA11225 FM IF SYSTEM クアドラチュア検波
  ・IC3:HA1151 AM RADIO RECEIVER SYSTEM
  ・IC4:HA11223W PLL FM Stereo Demodulator
  ・VR1:Sメーター調整
  ・VR2:Pilotキャンセル
  ・VR3:セパレーション調整
  ・VR4:Rec Cal調整
  ・VR5:SERVO LOCK ?
  ・VR6:VCO 76kHz調整

Tu61000

■修理記録:選局ツマミ回転軸の糸掛け方向修正----------------

 ・提供者様にお聞きしたところバリコン糸を外したことがあるそうです
 ・復旧時、選局ツマミの回転軸に巻き付ける方向が逆だったみたい
 【修正方法】
  ・まず指針を83MHz付近(周波数の中央付近)に移動する
  ・この位置で小さなプーリーと糸をマスキングテープで固定する
  ・バリコン軸に繋がった大プーリーも糸と一緒にテープで固定
  ・こうすれば糸がバラけないので作業が楽になります
  ・バリコン軸の大プーリーを固定するネジを緩めてそっと外す
  ・選局ツマミ回転軸に巻き付いた糸を外して逆方向に巻き直す
  ・大プーリーをバリコン軸に戻してネジ止め固定する
 ・この作業で選局ツマミの回転方向と指針の移動方向が一致しました
 ・指針と目盛りのズレは後の調整で修正可能です

Tu61041Tu61043

■修理記録:フロントエンドOSCトリマ交換---------------------

 ・周波数目盛りと指針のズレを修正するためフロントエンドTC4を回す
 ・ところが全く反応なし
 ・このフロントエンドは TRIO製KT-990やKT-900と同じタイプです
 ・ボディを開けてこれを見た瞬間、実は嫌な予感がしましたが、、
 ・やはり、予感的中! TC4:OSCトリマコンデンサが死んでいました
 ・TC4を回しても発振周波数が全く変化しません
 ・トリマ交換は難しいので、新トリマを外付けする方法で対応しました
 ・容量10pFのトリマコンデンサをフロントエンド外側に取付け
 ・取付け方向がちょっと傾いてしまいましたが、
 ・下記調整を経て周波数目盛りと指針のズレは修正できました
 ・同時に、最初に確認した不具合症状もすべて解消しました

Tu61050Tu61051
Tu61053

■調整記録--------------------------------------------------

 ・MUTING OFF
 ・SERVO LOCK OFF
【FM OSC調整】
 ・VR1 → 電圧計セット(Sメーター電圧)
 ・83MHz 受信 → TC4調整 → 電圧最大
【FM RF調整】
 ・VR1 → 電圧計セット(Sメーター電圧)
 ・83MHz 受信 → TC1,TC2,TC3調整 → 電圧最大
 ・83MHz 受信 → IFT1調整 → 電圧最大
【クアドラチュア検波調整】
 ・TP7~TP8 → 電圧計セット(Tメーター電圧)
 ・音声出力 → WaveSpectra接続
 ・83MHz 受信 → T1調整 → 電圧ゼロ(緑LED点灯)へ
 ・83MHz 受信 → T2調整 → 高調波歪最小位置へ
 ・83MHz 受信 → IFT1調整 → 高調波歪最小
【SERVO LOCK調整(仮)】※VR5調整法はこれで良いのか?
 ・83MHz 受信 → 上記クアドラチュア検波調整完了後
 ・SERVO LOCK スイッチON
 ・VR5調整 → 高調波歪最小位置へ
【Sメーター調整】
 ・83MHz 70dB受信 → VR1調整 → 5連LEDが全灯する位置
【VCO調整】
 ・TP2 VCO → 周波数カウンタ接続
 ・SSG 83MHz 無変調 → VR6調整 → 76kHz
【PILOTキャンセル調整】
 ・音声出力端子 → WaveSpectra接続
 ・83MHz 受信 → VR2調整 → 19kHz成分最小
【セパレーション調整】
 ・音声出力端子 → WaveSpectra接続
 ・83MHz 受信 → VR3調整 → 反対chへの漏れ信号最小
【REC CAL調整】
 ・83MHz受信 → 出力レベル記録
 ・83MHz受信 → VR4調整 → -6dB設定 ※412Hz
【AM受信調整】
 ・ 600kHz → T3,バーアンテナ内コイル調整 → Sメーター最大点灯
 ・1400kHz → TC5,TC6調整 → Sメーター最大点灯

Tu61054

■試聴------------------------------------------------------

 ・ツマミの回転方向と指針の移動方向が一致しない、ホントに戸惑います
 ・例えればハンドルを右に切るとクルマは左に旋回するのと同じ状況
 ・もしこんなクルマがあったら怖くて運転できませんよね
 ・さて本機ですが、シンプルな構造と機能ながら普通にFMを楽しめます
 ・周波数窓の照明色とLEDインジケーターの色合いがよく合ってます
 ・照明を落とした薄暗い部屋でボーッとするときのお供に良さそうです

Tu61007

note:BLUESS Laboratory

2025年5月11日 (日)

Technics ST-9700 修理調整記録2

 ・2025年3月、ST-9700の故障機がやってきました
 ・周波数窓の照明が点灯するだけで全く受信できないそうです
 ・故障個所の特定に苦戦した修理記録です

St970005_20250511085601

■製品情報--------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 Technics ST-9700 ¥250,000(1975年頃)
 ・オーディオ懐古録 Technics ST-9700 FM STEREO TUNER ¥250,000

St970002St970017_20250511084701

■動作確認--------------------------------------------------

 ・フロントパネルやボディに目立つキズ無く保存状態はとても良い
 ・さて、FMアンテナを接続して電源オン
 ・周波数窓と二つのメーターにオレンジ色照明点灯
 ・電源オンと同時にTメーターが中点から右側に少しズレる
 ・それ以外は全く変化なし
 ・76MHz~90MHz全区間で局間ノイズも聞こえない、全くの無音状態
 ・IF BAND切換反応なし、MUTING切換反応なし
 ・全く動作していないようなので、まずは電源回路の調査から調査開始

■内部確認--------------------------------------------------

 ・上面:フロントエンドユニット、音声信号系IF回路、制御系IF回路
 ・裏面:電源回路、MPX回路
 ・すでに修理にチャレンジした先人がいました
 ・ほぼすべての電解コンデンサーがオーディオグレード品に交換済み
 ・ICやトランジスタも多くが交換済みのようです
 ・電源基板の9番コネクタで電圧確認
  ・1pin (-11v) → 実測 -10.6v → 〇
  ・2pin (+12v) → 実測 - 1.3v → ×
  ・3pin (+21v) → 実測 +27.2v → ×
  ・9pin (-12v) → 実測 -12.2v → 〇
 ・+12v系統が死んでいるので各部動作しないわけです
 ・+21v電圧もちょっと高過ぎるような、、

St9700001St9700002

■修理記録:電源回路---------------------------------------

 ・電源オンの状態で電源基板の各パーツで電圧測定
 ・ひろくんが作成した 電源基板の回路図 に記入して考察
  ※この回路図はとても役に立ちました、ひろくんに感謝感謝
 ・たぶんTR601:2SC1406のC-B間が短絡している可能性ありそう?
 ・電源基板はコネクタとプラグを外すと意外に簡単に取り外せます
 ・怪しいと睨んだTR601を交換してみました
  ・TR601:2SC1406 → 2SC1383 ※新品交換
 ・予想的中! 交換後は各電圧が正常値になりました、
  ・1pin (-11v) → 実測 -11.2v → 〇
  ・2pin (+12v) → 実測 +12.5v → 〇
  ・3pin (+21v) → 実測 +22.9v → 〇
  ・9pin (-12v) → 実測 -12.5v → 〇
 ・周波数ズレあるものSメーターが大きく振れるようになりました
 ・つまりMUTINGやSメーターを司る制御系IF回路は復旧したようです
 ・しかし、Tメーターは中点から右にズレた位置でまったく不動
 ・次なる問題は音声信号系IF回路です

St970034_20250511084801St970036_20250511084801

■修理記録:トランジスタの取付け方向が違う-------------------

 ・IF回路のハンダ面を見るにはIFユニットごと取り外す必要があります
 ・この機会にT101とT102のシールドケースも外して記念撮影
  ・T101:LC4素子フィルター
  ・T102:フォスターシーレー検波器(回路図の点線内)
 ・黒川晃著「FMチューナーマニュアル」P131より抜粋

St9700if1Technics-st9700-detif2

 ・回路図と実機を比較しながら部品を確認していると、何と重大発見が!
 ・4個のトランジスタの取付けが基板シルク印刷の極性と一致しない
  ・TR101 2SC829
  ・TR102 2SC1688
  ・TR103 2SC1688
  ・TR104 2SC1327
 ・特に2SC1688はセンター足がエミッタという特殊型です
 ・修理の先人が交換した際に取付け方向を間違えたようです
 ・1個ずつ取り外してパーツテスターでチェックしました
 ・3本足の極性を確かめてからシルク印刷に合わせて再設置
 ・この結果、電源オン時にTメーターが中点から右にズレる現象が解消
 ・MUTINGオフなら音声波形が少し見えるようになりました
 ・次に 2SC1688 を 2SC1923 に交換してみました
  ・TR102 2SC1688 → 2SC1923 ※新品交換
  ・TR103 2SC1688 → 2SC1923 ※新品交換
 ・残念ながら改善効果なかったです

St970061_20250511085401St970044

■修理記録:IFアンプ交換------------------------------------

 ・次いで音声信号系IF基板で 10.7MHzのIF信号を追いながらを確認
  ・IC101:uPC555H
  ・IC102:uPC577H
  ・IC103:uPC555H ★故障?
  ・IC104:uPC555H
 ・するとIC103以降でIF信号が確認できなくなることを発見
 ・uPC555Hは70年代のチューナーでよく見かけるIFアンプですが、
 ・入手方法を調べてみると国内での新品調達は難しそうでした
 ・仕方ないので保有機の中でuPC555Hを搭載した機種を捜索
 ・一時的に基板から取り外してST-9700のIC103と交換してみました
 ・結果は、ストライク!
 ・Tメーターが左右に振れ音声信号のレベルが大幅に上昇しました

St970070_20250511085101St970071_20250511085101

■調整記録--------------------------------------------------

 ・弟機ST-9300のサービスマニュアルを参考にして手順を組立て
 ・Hiblend → OFF
 ・Muting → OFF
【B電圧調整】
 ・電源基板 4番端子(Pink)~ GND → DC電圧計セット
 ・アンテナ端子に信号を加えない状態 → VR601調整 → -12V
【AGC調整】
 ・フロントエンド内TP1 ~ GND → DC電圧計セット
 ・アンテナ端子に信号を加えない状態 → 4V ※確認のみ
【検波調整】
 ・アンテナ端子に信号を加えない状態 →
 ・T102(奥) 調整 → Tメーター中点
【OSC調整】フロントエンド内
 ・目盛り76MHz → 76MHz受信 → L8,L12調整 → Sメーター最大
 ・目盛り90MHz → 90MHz受信 → CT8,CT9調整 → Sメーター最大
【RF調整】フロントエンド内
 ・76MHz受信 → L1,L2,L4,L5,L6,L7 → Sメーター最大
 ・90MHz受信 → CT1~CT7調整 → Sメーター最大
 ・83MHz受信 → T1調整 → Sメーター最大
【検波調整:信号系IF検波基板】
 ・固定出力端子 → WaveSpectra接続
 ・83MHz受信 → Sメーター最大位置で受信
 ・T102(奥側)調整 → Tメーター中点
 ・T102(手前)調整 → 高調波歪最小
 ・T103調整 → 高調波歪最小
【検波調整:制御系IF基板】
 ・D208 → WaveSpectra接続
 ・83MHz受信 → T201,T202調整 → 信号レベル最大
【Sメーター調整】制御系IF基板
 ・83MHz100dB → Sメーター目盛り4.8
 ・83MHz 20dB → Sメーター目盛り0.7
【Muting調整1】MPX基板
 ・Mutingスイッチ ON(中間位置)
 ・83MHz20dB受信 → VR402調整 → 音声が出る位置へ
【Muting調整2】IF基板
 ・Mutingスイッチ DEEP(下位置)
 ・83MHz40dB受信 → VR203調整 → 音声が出る位置へ
【VCO調整】MPX基板
 ・TP304 → 周波数カウンタ接続
 ・83MHz無変調 → VR304調整 → 19kHz
 ※このときTP301,TP302も同じ値を示す
 ※VR301との関係がよく分かりません?
【PILOTキャンセル調整】MPX基板
 ・可変出力端子 → WaveSpectra接続 ※LPFを迂回した波形を観測
 ・83MHzST信号 → VR302,VR303調整 → 19kHz信号最小
【AFレベル調整】MPX基板
 ・固定出力端子 → AC電圧計セット
 ・83MHz60dB受信 → VR501調整 → Rch 0.775v
 ・83MHz60dB受信 → VR502調整 → Lch 0.775v
【セパレーション】MPX基板
 ・固定可変端子 → WaveSpectra接続
 ・83MHzST信号 → VR504調整 → 反対chへの漏れ信号最小
【Hiblend調整】MPX基板
 ・Hiblendスイッチ → AUTO(中間位置)
 ・固定可変端子 → WaveSpectra接続
 ・83MHz40dB,ST信号 → Hiblend作動位置へ※
 ※WaveSpectraで観察しながらセパレーション値が悪化する位置へ
 ※AUTOでもHiblendが効いてしまいます。
 ※電波状態が良好な場合は Hiblend=OFF 推奨

St970072_20250511085501

■試聴------------------------------------------------------

 ・着手から随分時間がかかりましたが、何とか復活できました
 ・WaveSpectraで基準音を見ると高調波歪がちょっと気になります
 ・でもFM放送では低音が力強くて安定感のある音声が聴こえます
 ・何よりガンメタ色のパネルとオレンジ照明の組合せが最高です
 ・いずれLED化するとしてもこの色合いは残したいですね

St970008_20250511085501

note:BLUESS Laboratory

2025年5月 4日 (日)

PIONEER F-007 修理調整記録3

 ・2025年3月、F-007の故障機を譲り受けました
 ・FM受信時に頻繁に雑音が混入して使い物にならないそうです
 ・以下、復旧までの作業記録です

F00704

■製品情報--------------------------------------------------

 ・オーディオ懐古録 PIONEER F-007 95,000円(1978)
 ・オーディオの足跡 Pioneer F-007 95,000円(1979年頃)
 ・Hifi Engine PIONEER F-28 FM Stereo Tuner (1978)

F00702F00717

■クォーツロックシンセサイザー方式--------------------------

 ・F-007の特徴は何といってもPIONEER独特のクォーツロック方式
 ・以下はサービスマニュアル(英文)の回路説明を適当に意訳しました
  ・周波数を刻んだ目盛板の奥にコードパターンが配置されている
  ・指針ユニット内には9個のフォトトランジスタと2個のランプ内蔵
  ・内蔵ランプがコードパターンを照らしフォトトランジスタが読取る
  ・読み取った情報でローカル発振周波数を指定する
  ・基準周波数とローカル発振周波数を位相比較し発振周波数をロック
  ・この方式だと目盛りズレ皆無で高い精度のチューニングができる
  ・ローカル発振回路はバリキャップ2個搭載のツインバリキャップ仕様
  ・バリキャップは76.1~83.2MHzと83.3MHz~89.9MHz周波数範囲を分担
  ・分担する範囲を狭くすることでSN比を改善している

F00706F00745

■Parallel Balanced Linear Detector / PBLD -----------------

 ・パイオニアはこの検波方式を「超広帯域直線検波」と表記しています
 ・F-26以降では「Parallel Balanced Linear Detector:PBLD」と表記
 ・一般的には「分布定数形遅延線検波」と呼びます
 ・文献調査の結果が PIONEER F-26 の記録に残っています
【超広帯域直線検波】
 ・1974年 Pioneer TX-9900    140,000円
 ・1974年 Pioneer TX-8900     65,000円
 ・1975年 EXCLUSIVE F-3     250,000円
 ・1976年 Pioneer TX-8900II    65,800円
【Parallel Balanced Linear Detector / PBLD
 ・1977年 Pioneer F-26      135,000円
 ・1978年 Pioneer F-007 95,000円

■動作確認--------------------------------------------------

 ・外観は経年の汚れがあるが目立つ外傷はない
 ・FMアンテナを接続して電源オン
 ・周波数窓の照明点灯、Sメーター照明も点灯
 ・赤色LEDのインジケータ類点灯、指針に内蔵されたLOCKランプ点灯
 ・STEREOランプ点灯し名古屋地区のFM放送を受信しました
 ・正常な周波数でSメーター最大になるが、
 ・ただ周波数目盛とSTEREOランプが点灯する周波数が0.1MHzズレる
 ・STEREOランプが点灯するときはSメーターの振れが大幅に弱くなる
 ・さらに受信音に「ザザッ、ザザッ」と雑音が混入する
 ・IF BAND切換でWide/Narrowとも同じ雑音が混入する
 ・マルチパスH端子からも同じ雑音が聞こえる
 ・雑音発生時にメーター動作やインジケーターLEDに変化なし

■内部確認--------------------------------------------------

 ・フロントエンド=5連バリコン+ツインバリキャップOSC
 ・IF回路 WIDE / NARROW 切替
 ・M5109PR:PBLD検波
 ・PA3001A:クアドラチュア検波(同調点検出、Sメーター駆動)
 ・PA1001A:PLL MPX
 ・PA1002A:AF、MUTING動作

F00700

■修理記録:フロントエンド Q5:2SK61 ------------------------

 ・IF BAND切替でWide/Narrowとも同じ雑音が混入する
 ・マルチパスH端子からも同じ雑音が聞こえる
 ・固定出力端子をWaveSpectraに接続して波形観察すると
 ・「ザザッ、ザザッ」雑音に連動してノイズフロアが大きく変動
 ・制御用PA3001クアドラチュア検波出力を直接聞いても同じ雑音が混入
 ・そういえば以前も本機で同じ症状に対応したことを思い出しました
 ・フロントエンド Q5:2SK61 を確認すると3本の足が真っ黒です
 ・真っ黒になった足を歯間ブラシで丹念に磨いて汚れを落とすと、、
 ・期待通り「ザザッ、ザザッ」雑音は発生しなくなりました
 ・同じ 2SK61を使っているQ6も同処置をしておきました
 ・さらに足が真っ黒に変色しているICやTRも磨いておきました
 ・HA1201,LA1222,2SC461

F00721F00722

■調整記録--------------------------------------------------

【シンセサイザー基板】
 ・シンセサイザー基板から同軸ケーブルを抜く
 ・TP3 周波数カウンタ接続 → TC調整 → 10.2343MHz
 ・TP6 オシロスコープ接続 → 2ND,6TH調整 → 61.4MHz波形最大
 ・シンセサイザー基板に同軸ケーブル接続
 ・指針を76.1MHzにセット
 ・TP4 オシロスコープ接続 → LPF調整 → 399.8kHz方形波
【OSC VT電圧調整】
 ・TP9 → 電圧計セット
 ・指針を76.1MHzにセット → L6調整 → 1.07V
 ・指針を83.2MHzにセット → TC6調整 → 7.89V
【RF調整】
 ・SSG76.1MHz 30dB無変調 → L1~L5調整 → Sメーター最大
 ・SSG89.9MHz 30dB無変調 → TC1~TC5調整 → Sメーター最大
【IF調整】
 ・SSG83.0MHz 30dB無変調 → T1調整 → Sメーター最大
【同調点調整】
 ・TP28~TP29 → DC電圧計セット
 ・83MHz受信 → T8調整 → 電圧ゼロ
 ※0.1MHzの周波数ズレが解消しました
【IF歪調整】
 ・IF BAND=WIDE
 ・83MHz受信 → T1調整 → 高調波歪最小
 ・IF BAND=NARROW
 ・83MHz受信 → T2調整 → 高調波歪最小
【IF中心周波数調整】
 ・IF BAND=WIDE
 ・83MHz受信 → シンセサイザー基板TC調整 → 高調波歪最小
 ※調整範囲は微小です
【PBLD検波調整】
 ・83MHz受信 → VR1調整 → ※
 ※VR1を左右に大きく回し音声が出現する範囲の中間位置にセット
【コンパレータ調整 DC Null】
 ・TP23~TP24間 → DC電圧計セット
 ・83MHz受信 → VR5調整 → 電圧ゼロ
【MUTING調整】
 ・83MHz20dB受信 → VR2調整 → ミューティング作動
【Sメーター調整】
 ・83MHz100dB受信 → VR3調整 → Sメーター100dBf
【REC LEVEL調整】
 ・83MHz 1kHz 100%変調 → オーディオ出力レベル記録
 ・REC LEVEL CHECKオン → VR4調整 → -6dBセット
【VCO調整】
 ・TP13 → 周波数カウンタ接続
 ・83MHz変調オフ → VR1調整 → 76kHz
【パイロットキャンセル調整】
 ・83MHzステレオ変調 → VR2,T1調整 → 19kHz成分最小
 ・左右バランス注意
【セパレーション調整】
 ・IF BAND=WIDE
 ・83MHzステレオ変調 → VR3調整 → 反対ch漏れ信号最小
 ・IF BAND=NARROW
 ・83MHzステレオ変調 → VR4調整 → 反対ch漏れ信号最小


F00750

■試聴------------------------------------------------------

 ・修理後の再調整で雑音混入や周波数ズレの問題は解消しました
 ・セパレーション値が左右とも70dB、素晴らしい値です
 ・いずれ電解コンデンサ交換や電球のLED化にチャレンジしたいです

F00705

note:BLUESS Laboratory

« 2025年4月 | トップページ | 2025年6月 »