Technics ST-9700 修理調整記録2
・2025年3月、ST-9700の故障機がやってきました
・周波数窓の照明が点灯するだけで全く受信できないそうです
・故障個所の特定に苦戦した修理記録です

■製品情報--------------------------------------------------
・オーディオの足跡 Technics ST-9700 ¥250,000(1975年頃)
・オーディオ懐古録 Technics ST-9700 FM STEREO TUNER ¥250,000
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■動作確認--------------------------------------------------
・フロントパネルやボディに目立つキズ無く保存状態はとても良い
・さて、FMアンテナを接続して電源オン
・周波数窓と二つのメーターにオレンジ色照明点灯
・電源オンと同時にTメーターが中点から右側に少しズレる
・それ以外は全く変化なし
・76MHz~90MHz全区間で局間ノイズも聞こえない、全くの無音状態
・IF BAND切換反応なし、MUTING切換反応なし
・全く動作していないようなので、まずは電源回路の調査から調査開始
■内部確認--------------------------------------------------
・上面:フロントエンドユニット、音声信号系IF回路、制御系IF回路
・裏面:電源回路、MPX回路
・すでに修理にチャレンジした先人がいました
・ほぼすべての電解コンデンサーがオーディオグレード品に交換済み
・ICやトランジスタも多くが交換済みのようです
・電源基板の9番コネクタで電圧確認
・1pin (-11v) → 実測 -10.6v → 〇
・2pin (+12v) → 実測 - 1.3v → ×
・3pin (+21v) → 実測 +27.2v → ×
・9pin (-12v) → 実測 -12.2v → 〇
・+12v系統が死んでいるので各部動作しないわけです
・+21v電圧もちょっと高過ぎるような、、
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■修理記録:電源回路---------------------------------------
・電源オンの状態で電源基板の各パーツで電圧測定
・ひろくんが作成した 電源基板の回路図 に記入して考察
※この回路図はとても役に立ちました、ひろくんに感謝感謝
・たぶんTR601:2SC1406のC-B間が短絡している可能性ありそう?
・電源基板はコネクタとプラグを外すと意外に簡単に取り外せます
・怪しいと睨んだTR601を交換してみました
・TR601:2SC1406 → 2SC1383 ※新品交換
・予想的中! 交換後は各電圧が正常値になりました、
・1pin (-11v) → 実測 -11.2v → 〇
・2pin (+12v) → 実測 +12.5v → 〇
・3pin (+21v) → 実測 +22.9v → 〇
・9pin (-12v) → 実測 -12.5v → 〇
・周波数ズレあるものSメーターが大きく振れるようになりました
・つまりMUTINGやSメーターを司る制御系IF回路は復旧したようです
・しかし、Tメーターは中点から右にズレた位置でまったく不動
・次なる問題は音声信号系IF回路です
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■修理記録:トランジスタの取付け方向が違う-------------------
・IF回路のハンダ面を見るにはIFユニットごと取り外す必要があります
・この機会にT101とT102のシールドケースも外して記念撮影
・T101:LC4素子フィルター
・T102:フォスターシーレー検波器(回路図の点線内)
・黒川晃著「FMチューナーマニュアル」P131より抜粋
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・回路図と実機を比較しながら部品を確認していると、何と重大発見が!
・4個のトランジスタの取付けが基板シルク印刷の極性と一致しない
・TR101 2SC829
・TR102 2SC1688
・TR103 2SC1688
・TR104 2SC1327
・特に2SC1688はセンター足がエミッタという特殊型です
・修理の先人が交換した際に取付け方向を間違えたようです
・1個ずつ取り外してパーツテスターでチェックしました
・3本足の極性を確かめてからシルク印刷に合わせて再設置
・この結果、電源オン時にTメーターが中点から右にズレる現象が解消
・MUTINGオフなら音声波形が少し見えるようになりました
・次に 2SC1688 を 2SC1923 に交換してみました
・TR102 2SC1688 → 2SC1923 ※新品交換
・TR103 2SC1688 → 2SC1923 ※新品交換
・残念ながら改善効果なかったです
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■修理記録:IFアンプ交換------------------------------------
・次いで音声信号系IF基板で 10.7MHzのIF信号を追いながらを確認
・IC101:uPC555H
・IC102:uPC577H
・IC103:uPC555H ★故障?
・IC104:uPC555H
・するとIC103以降でIF信号が確認できなくなることを発見
・uPC555Hは70年代のチューナーでよく見かけるIFアンプですが、
・入手方法を調べてみると国内での新品調達は難しそうでした
・仕方ないので保有機の中でuPC555Hを搭載した機種を捜索
・一時的に基板から取り外してST-9700のIC103と交換してみました
・結果は、ストライク!
・Tメーターが左右に振れ音声信号のレベルが大幅に上昇しました
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■調整記録--------------------------------------------------
・弟機ST-9300のサービスマニュアルを参考にして手順を組立て
・Hiblend → OFF
・Muting → OFF
【B電圧調整】
・電源基板 4番端子(Pink)~ GND → DC電圧計セット
・アンテナ端子に信号を加えない状態 → VR601調整 → -12V
【AGC調整】
・フロントエンド内TP1 ~ GND → DC電圧計セット
・アンテナ端子に信号を加えない状態 → 4V ※確認のみ
【検波調整】
・アンテナ端子に信号を加えない状態 →
・T102(奥) 調整 → Tメーター中点
【OSC調整】フロントエンド内
・目盛り76MHz → 76MHz受信 → L8,L12調整 → Sメーター最大
・目盛り90MHz → 90MHz受信 → CT8,CT9調整 → Sメーター最大
【RF調整】フロントエンド内
・76MHz受信 → L1,L2,L4,L5,L6,L7 → Sメーター最大
・90MHz受信 → CT1~CT7調整 → Sメーター最大
・83MHz受信 → T1調整 → Sメーター最大
【検波調整:信号系IF検波基板】
・固定出力端子 → WaveSpectra接続
・83MHz受信 → Sメーター最大位置で受信
・T102(奥側)調整 → Tメーター中点
・T102(手前)調整 → 高調波歪最小
・T103調整 → 高調波歪最小
【検波調整:制御系IF基板】
・D208 → WaveSpectra接続
・83MHz受信 → T201,T202調整 → 信号レベル最大
【Sメーター調整】制御系IF基板
・83MHz100dB → Sメーター目盛り4.8
・83MHz 20dB → Sメーター目盛り0.7
【Muting調整1】MPX基板
・Mutingスイッチ ON(中間位置)
・83MHz20dB受信 → VR402調整 → 音声が出る位置へ
【Muting調整2】IF基板
・Mutingスイッチ DEEP(下位置)
・83MHz40dB受信 → VR203調整 → 音声が出る位置へ
【VCO調整】MPX基板
・TP304 → 周波数カウンタ接続
・83MHz無変調 → VR304調整 → 19kHz
※このときTP301,TP302も同じ値を示す
※VR301との関係がよく分かりません?
【PILOTキャンセル調整】MPX基板
・可変出力端子 → WaveSpectra接続 ※LPFを迂回した波形を観測
・83MHzST信号 → VR302,VR303調整 → 19kHz信号最小
【AFレベル調整】MPX基板
・固定出力端子 → AC電圧計セット
・83MHz60dB受信 → VR501調整 → Rch 0.775v
・83MHz60dB受信 → VR502調整 → Lch 0.775v
【セパレーション】MPX基板
・固定可変端子 → WaveSpectra接続
・83MHzST信号 → VR504調整 → 反対chへの漏れ信号最小
【Hiblend調整】MPX基板
・Hiblendスイッチ → AUTO(中間位置)
・固定可変端子 → WaveSpectra接続
・83MHz40dB,ST信号 → Hiblend作動位置へ※
※WaveSpectraで観察しながらセパレーション値が悪化する位置へ
※AUTOでもHiblendが効いてしまいます。
※電波状態が良好な場合は Hiblend=OFF 推奨

■試聴------------------------------------------------------
・着手から随分時間がかかりましたが、何とか復活できました
・WaveSpectraで基準音を見ると高調波歪がちょっと気になります
・でもFM放送では低音が力強くて安定感のある音声が聴こえます
・何よりガンメタ色のパネルとオレンジ照明の組合せが最高です
・いずれLED化するとしてもこの色合いは残したいですね
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