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2025年5月11日 (日)

Technics ST-9700 修理調整記録2

 ・2025年3月、ST-9700の故障機がやってきました
 ・周波数窓の照明が点灯するだけで全く受信できないそうです
 ・故障個所の特定に苦戦した修理記録です

St970005_20250511085601

■製品情報--------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 Technics ST-9700 ¥250,000(1975年頃)
 ・オーディオ懐古録 Technics ST-9700 FM STEREO TUNER ¥250,000

St970002St970017_20250511084701

■動作確認--------------------------------------------------

 ・フロントパネルやボディに目立つキズ無く保存状態はとても良い
 ・さて、FMアンテナを接続して電源オン
 ・周波数窓と二つのメーターにオレンジ色照明点灯
 ・電源オンと同時にTメーターが中点から右側に少しズレる
 ・それ以外は全く変化なし
 ・76MHz~90MHz全区間で局間ノイズも聞こえない、全くの無音状態
 ・IF BAND切換反応なし、MUTING切換反応なし
 ・全く動作していないようなので、まずは電源回路の調査から調査開始

■内部確認--------------------------------------------------

 ・上面:フロントエンドユニット、音声信号系IF回路、制御系IF回路
 ・裏面:電源回路、MPX回路
 ・すでに修理にチャレンジした先人がいました
 ・ほぼすべての電解コンデンサーがオーディオグレード品に交換済み
 ・ICやトランジスタも多くが交換済みのようです
 ・電源基板の9番コネクタで電圧確認
  ・1pin (-11v) → 実測 -10.6v → 〇
  ・2pin (+12v) → 実測 - 1.3v → ×
  ・3pin (+21v) → 実測 +27.2v → ×
  ・9pin (-12v) → 実測 -12.2v → 〇
 ・+12v系統が死んでいるので各部動作しないわけです
 ・+21v電圧もちょっと高過ぎるような、、

St9700001St9700002

■修理記録:電源回路---------------------------------------

 ・電源オンの状態で電源基板の各パーツで電圧測定
 ・ひろくんが作成した 電源基板の回路図 に記入して考察
  ※この回路図はとても役に立ちました、ひろくんに感謝感謝
 ・たぶんTR601:2SC1406のC-B間が短絡している可能性ありそう?
 ・電源基板はコネクタとプラグを外すと意外に簡単に取り外せます
 ・怪しいと睨んだTR601を交換してみました
  ・TR601:2SC1406 → 2SC1383 ※新品交換
 ・予想的中! 交換後は各電圧が正常値になりました、
  ・1pin (-11v) → 実測 -11.2v → 〇
  ・2pin (+12v) → 実測 +12.5v → 〇
  ・3pin (+21v) → 実測 +22.9v → 〇
  ・9pin (-12v) → 実測 -12.5v → 〇
 ・周波数ズレあるものSメーターが大きく振れるようになりました
 ・つまりMUTINGやSメーターを司る制御系IF回路は復旧したようです
 ・しかし、Tメーターは中点から右にズレた位置でまったく不動
 ・次なる問題は音声信号系IF回路です

St970034_20250511084801St970036_20250511084801

■修理記録:トランジスタの取付け方向が違う-------------------

 ・IF回路のハンダ面を見るにはIFユニットごと取り外す必要があります
 ・この機会にT101とT102のシールドケースも外して記念撮影
  ・T101:LC4素子フィルター
  ・T102:フォスターシーレー検波器(回路図の点線内)
 ・黒川晃著「FMチューナーマニュアル」P131より抜粋

St9700if1Technics-st9700-detif2

 ・回路図と実機を比較しながら部品を確認していると、何と重大発見が!
 ・4個のトランジスタの取付けが基板シルク印刷の極性と一致しない
  ・TR101 2SC829
  ・TR102 2SC1688
  ・TR103 2SC1688
  ・TR104 2SC1327
 ・特に2SC1688はセンター足がエミッタという特殊型です
 ・修理の先人が交換した際に取付け方向を間違えたようです
 ・1個ずつ取り外してパーツテスターでチェックしました
 ・3本足の極性を確かめてからシルク印刷に合わせて再設置
 ・この結果、電源オン時にTメーターが中点から右にズレる現象が解消
 ・MUTINGオフなら音声波形が少し見えるようになりました
 ・次に 2SC1688 を 2SC1923 に交換してみました
  ・TR102 2SC1688 → 2SC1923 ※新品交換
  ・TR103 2SC1688 → 2SC1923 ※新品交換
 ・残念ながら改善効果なかったです

St970061_20250511085401St970044

■修理記録:IFアンプ交換------------------------------------

 ・次いで音声信号系IF基板で 10.7MHzのIF信号を追いながらを確認
  ・IC101:uPC555H
  ・IC102:uPC577H
  ・IC103:uPC555H ★故障?
  ・IC104:uPC555H
 ・するとIC103以降でIF信号が確認できなくなることを発見
 ・uPC555Hは70年代のチューナーでよく見かけるIFアンプですが、
 ・入手方法を調べてみると国内での新品調達は難しそうでした
 ・仕方ないので保有機の中でuPC555Hを搭載した機種を捜索
 ・一時的に基板から取り外してST-9700のIC103と交換してみました
 ・結果は、ストライク!
 ・Tメーターが左右に振れ音声信号のレベルが大幅に上昇しました

St970070_20250511085101St970071_20250511085101

■調整記録--------------------------------------------------

 ・弟機ST-9300のサービスマニュアルを参考にして手順を組立て
 ・Hiblend → OFF
 ・Muting → OFF
【B電圧調整】
 ・電源基板 4番端子(Pink)~ GND → DC電圧計セット
 ・アンテナ端子に信号を加えない状態 → VR601調整 → -12V
【AGC調整】
 ・フロントエンド内TP1 ~ GND → DC電圧計セット
 ・アンテナ端子に信号を加えない状態 → 4V ※確認のみ
【検波調整】
 ・アンテナ端子に信号を加えない状態 →
 ・T102(奥) 調整 → Tメーター中点
【OSC調整】フロントエンド内
 ・目盛り76MHz → 76MHz受信 → L8,L12調整 → Sメーター最大
 ・目盛り90MHz → 90MHz受信 → CT8,CT9調整 → Sメーター最大
【RF調整】フロントエンド内
 ・76MHz受信 → L1,L2,L4,L5,L6,L7 → Sメーター最大
 ・90MHz受信 → CT1~CT7調整 → Sメーター最大
 ・83MHz受信 → T1調整 → Sメーター最大
【検波調整:信号系IF検波基板】
 ・固定出力端子 → WaveSpectra接続
 ・83MHz受信 → Sメーター最大位置で受信
 ・T102(奥側)調整 → Tメーター中点
 ・T102(手前)調整 → 高調波歪最小
 ・T103調整 → 高調波歪最小
【検波調整:制御系IF基板】
 ・D208 → WaveSpectra接続
 ・83MHz受信 → T201,T202調整 → 信号レベル最大
【Sメーター調整】制御系IF基板
 ・83MHz100dB → Sメーター目盛り4.8
 ・83MHz 20dB → Sメーター目盛り0.7
【Muting調整1】MPX基板
 ・Mutingスイッチ ON(中間位置)
 ・83MHz20dB受信 → VR402調整 → 音声が出る位置へ
【Muting調整2】IF基板
 ・Mutingスイッチ DEEP(下位置)
 ・83MHz40dB受信 → VR203調整 → 音声が出る位置へ
【VCO調整】MPX基板
 ・TP304 → 周波数カウンタ接続
 ・83MHz無変調 → VR304調整 → 19kHz
 ※このときTP301,TP302も同じ値を示す
 ※VR301との関係がよく分かりません?
【PILOTキャンセル調整】MPX基板
 ・可変出力端子 → WaveSpectra接続 ※LPFを迂回した波形を観測
 ・83MHzST信号 → VR302,VR303調整 → 19kHz信号最小
【AFレベル調整】MPX基板
 ・固定出力端子 → AC電圧計セット
 ・83MHz60dB受信 → VR501調整 → Rch 0.775v
 ・83MHz60dB受信 → VR502調整 → Lch 0.775v
【セパレーション】MPX基板
 ・固定可変端子 → WaveSpectra接続
 ・83MHzST信号 → VR504調整 → 反対chへの漏れ信号最小
【Hiblend調整】MPX基板
 ・Hiblendスイッチ → AUTO(中間位置)
 ・固定可変端子 → WaveSpectra接続
 ・83MHz40dB,ST信号 → Hiblend作動位置へ※
 ※WaveSpectraで観察しながらセパレーション値が悪化する位置へ
 ※AUTOでもHiblendが効いてしまいます。
 ※電波状態が良好な場合は Hiblend=OFF 推奨

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■試聴------------------------------------------------------

 ・着手から随分時間がかかりましたが、何とか復活できました
 ・WaveSpectraで基準音を見ると高調波歪がちょっと気になります
 ・でもFM放送では低音が力強くて安定感のある音声が聴こえます
 ・何よりガンメタ色のパネルとオレンジ照明の組合せが最高です
 ・いずれLED化するとしてもこの色合いは残したいですね

St970008_20250511085501

note:BLUESS Laboratory

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