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2025年11月 2日 (日)

KENWOOD D-3300T 修理調整記録12

 ・2025年9月、D-3300Tの故障機が届きました
 ・何と、20年間眠っていた個体だそうです
 ・久しぶりに通電したところ不具合症状多数で使えないとのこと
 ・以下、復活までの作業記録です

D3300t04_20251102090101

■製品情報--------------------------------------------------

 ・オーディオ懐古録 KENWOOD D-3300T 140,000円(1986年)
 ・オーディオの足跡 KENWOOD D-3300T 140,000円(1986年発売)
 ・KENWOOD D-3300T 取扱説明書 日本語版PDF

D3300t02_20251102090301D3300t08_20251102090301

■動作確認--------------------------------------------------

 ・天版に少しキズがありますが全体に綺麗な個体です
 ・FMアンテナを接続して名古屋地区のFM局を受信してみました
 ・RF DIRECT → オート選局ではすべての局を素通りして受信不可
 ・RF DISTANCE → -0.1MHzズレた周波数ですべてのFM局を受信OK
 ・例えば82.5MHzの局を82.4MHzで受信します
 ・ズレた周波数でもSTEREOランプ点灯、MODULATIONバーも点灯
 ・ただ聞こえてくる音はかなり歪っぽい感じでステレオ感がない
 ・REC CALトーンは正常
 ・受信感度の低下、FM同調点のズレが原因だと思います

D3300t05_20251102090101

■内部点検--------------------------------------------------

 ・ボディを開けて内部点検、目視で分かるような故障個所は見当たらない
 ・信号発生器を使って各部仮調整したところ、
 ・-0.1MHzの周波数ズレはFM同調点調整によって修正できました
 ・正しい周波数でオートストップし、STEREOランプ点灯
 ・受信感度低下の問題もフロントエンド調整で復旧
 ・RF DIRECTでもオート選局で受信できるようになりました
 ・表示部だけ見ていると正常動作に戻ったように見えますが、、
 ・でも、出てくる音は変わらず歪っぽいまま
 ・モノラル放送では綺麗な音声、でもステレオ受信時は歪音がひどい状態です
 ・STEREO時のセパレーション値はたった5dB、ラジカセ以下の低レベルでした
 ・これではD-3300Tの本来の性能とは程遠い状態です
 ・フロントエンド~検波回路までは正常、MPX回路が故障しているようです
 ・なお登録したメモリー内容はプラグを抜いて1週間後も保持していました

D3300t20_20251102090101

■修理記録;MPX回路-----------------------------------------

 ・MONO受信時は正常、STEREO受信時に歪音が激しくなります
 ・19kHz信号が出てSTEREOインジケーターも点灯する状況なので
 ・IC16(MC1495L),IC17(AN7418S)の電圧と信号を見ながら故障個所を探索

D3300t31_20251102090101

【交換部品】
 ・D30 ツェナーダイオード 4.3v → 新品4.3v ※基板に焦げ跡
 ・D29 定電流ダイオード 4.5mA → 新品4.5mA ※基板に焦げ跡
 ・D45 ツェナーダイオード 8.2v → 新品8.2v ※故障
 ・Q55 トランジスタ 2SC2003 → 2SC2002
 ・C123 電解コンデンサ 1uF/50v → 1uF/50v
 ・C121 電解コンデンサ 470uF/10v → 470uF25v
 ・C136 電解コンデンサ 100uF/10v → 100uF/25v ※ 3Ω抵抗化
 ・C135 電解コンデンサ 100uF/10v → 100uF/25v ※124Ω抵抗化

D3300t23D3300t51_20251102090501D3300t48D3300t49D3300t50_20251102090401
D3300t52

 ・特にD29とD30は、部品を外すと基板面が焼け焦げていました
 ・劣化していた部品が20年ぶりの通電でビックリしたのかも?
 ・上記の部品交換で動作が正常化したので後述の受信調整を実施
 ・歪音が消えてD-3300T本来の性能を取り戻しました

D3300t60_20251102090101

■調整記録--------------------------------------------------

【本体設定】
 ・IF BAND:WIDE
 ・RF SELECTOR:DISTANCE
 ・QUIETING CONTROL:NORMAL
【VT電圧】
 ・TP6~TP7 DC電圧計セット
 ・アンテナ入力なし
 ・76MHz → L5調整 → 3.0V±0.1V ※実測 2.9V
 ・90MHz → TC5調整 →25.0V±0.1V ※実測24.8V
【検波調整】
 ・TP10~TP11 DC電圧計セット
 ・83MHz受信 → L12調整 → 0.0V±10mV ※実測-3.5V
 ・TP16~TP17 DC電圧計セット
 ・83MHz受信 → L9調整 → 0.0V±10mV ※実測+338mV
【RF調整】
 ・Multipath V端子 DC電圧計セット ※Sメーター電圧
 ・76MHz受信 → L1~L4調整 → 電圧最大
 ・90MHz受信 → TC1~TC4調整 → 電圧最大
【IFT調整】
 ・Multipath V端子 DC電圧計セット ※Sメーター電圧
 ・83MHz受信 → L10,L11,L22調整 → 電圧最大
 ・83MHz受信 → L11調整 → 電圧最大
【AUTO STOP調整】
 ・83MHz,20dB受信 → VR1調整 → STEREOインジケータ点灯
【SIGNAL METER調整】
 ・電源スイッチ後方の小さな基板
 ・83MHz,50dB → VR3調整 → 7番目のドット(最上段)点灯
【TUNING METER調整】
 ・SELECTOR:MONO
 ・83MHz,80dB → VR2調整 → ※
  ※中央の縦白セグメント点灯、両側の赤縦セグメントの中点へ
【MPX VCO調整】
 ・TP15に周波数カウンタ接続
 ・83MHz,80dB → VR5調整 → 76.00kHz±50Hz
【PILOT CANCEL調整1】
 ・音声出力をWavespectraで観察
 ・83MHz,ST信号 → VR1調整 → 19kHz信号最小
 ・左右chのバランス確認
【PILOT CANCEL調整2】
 ・83MHz,ST信号 → L20調整 → 19kHz信号最小
 ・左右chのバランス確認
【SUB CARRIER調整(38kHz)】
 ・音声出力をWavespectraで観察
 ・83MHz,SUB信号 → L19調整 → Lchレベル最大
【歪調整1 DLLD】
 ・83MHz,MONO → VR3調整 → 歪率最小
【歪調整2 MONO】
 ・83MHz,MONO → VR4調整 → 歪率最小
【歪調整3 MONO】
 ・83MHz,MONO → VR6調整 → 歪率最小
【歪調整4 STEREO】
 ・83MHz,L信号 → VR5調整 → 歪率最小
【歪調整5 STEREO】
 ・83MHz,SUB信号 → VR7調整 → 歪率最小
【歪調整6】
 ・83MHz,MAIN信号 → VR8調整 → 歪率最小
【歪調整7】
 ・83MHz,L信号 → VR9調整 → 歪率最小
【歪調整8 NARROW】
 ・IF BAND:NARROW
 ・83MHz,MAIN信号 → VR2調整 → 歪率最小
【SEPARATION調整1 L】
 ・83MHz,R信号 → VR4調整 → Lchもれ最小
【SEPARATION調整2 R】
 ・83MHz,L信号 → VR3調整 → Rchもれ最小
【SEPARATION調整3 NARROW】
 ・IF BAND:NARROW
 ・83MHz.L/R信号 → VR2調整 → もれ最小
【DEVIATION調整】
 ・REC CAL オン
 ・VR4調整 → 左から4番目のドットが点灯する位置

D3300t00_20251102090101

■試聴------------------------------------------------------

 ・20年も眠っていた個体なので、お目覚めの機嫌が悪かったようです
 ・今後は定期的に通電してあげてください

D3300t03_20251102090101

note:BLUESS Laboratory

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コメント

いつも感心しながら拝見しております。やはり壊れていたものが動くのはいいですね。
最初の写真ではやっと動いている感じから、最後の写真ではなんか誇らしげに感じます。
自分も修理をするために情報を集めているですが、エルナーのコンデンサはダメですね。
液漏れするだけでなくショートして他を壊すのがまずいです。
ご存じのひろくんさんだけでなく、カセットデッキの修理をされている方もこのコンデンサはダメと言ってます。
自分はケンウッドのKT-880Fを修理しましたがこのコンデンサは問答無用で全交換しました。
ただこのコンデンサは(M)とあり、音質用のものかもしれないのでニチコンMUSEなどを使いました。
これからも楽しい記事を期待しております。

>問答無用で全交換、、

凄いですね。
私は根気がないので、真似できません、、
壊れた部品だけ交換して満足してしまいます。

返信ありがとうございます。
このコンデンサは傾向不良があると記事で見ましたので特別に全交換しました。
KT-880Fは全交換と言っても30個ぐらいなのでまとめてやれば半日ぐらいでできますね。
それよりもどこがおかしい調べながらのほうが大変で時間がかかるので知識のない自分には難しいですね。

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